皇居東御苑花だより(令和5年12月8日)

令和5年12月8日
写真 説明
カンツバキ(ツバキ科)
○カンツバキ(ツバキ科)Camellia sasanqua‘Shishigashira’
サザンカの園芸品種とされますが、異説もあります。枝は横に広がり、あまり高くなりません。葉は濃緑色で光沢があり、縁に鋭い鋸歯があります。12~2月、直径7~9cm、濃紅色、八重の花を咲かせます。大小10数枚ある花弁は、先端が浅く裂け、縁は波打ち、バラバラに散ります。
キンカン(実)(ミカン科)
○キンカン(実)(ミカン科)Citrus japonica
中国原産で、江戸時代以前に日本に渡来しました。高さ1~2mになります。初夏から秋に2~3回、白い花を咲かせます。果実は直径2~3cmの球形で、橙黄色に熟します。果肉は酸っぱいですが、果皮に甘味と香気があり、食べられます。
キチジョウソウ(キジカクシ科)
○キチジョウソウ(キジカクシ科)Reineckea carnea
関東以西の山野、やや湿り気のある日陰に群生する多年草です。長さ10~30cm、幅約1.2cmの線形の葉が根元から出ます。晩秋、高さ8~13cmの花茎を伸ばし、淡紅色の花を穂状に咲かせます。花が咲くと吉事があるとされ、「吉祥きちじょう草」の名があります。
タチバナ(実)(ミカン科)
○タチバナ(実)(ミカン科)Citrus tachibana
暖地の沿岸に稀に自生する日本固有のカンキツ類で、高さ2~4mになります。6月頃、枝先に白い花を咲かせます。直径2.5~3cmの果実は酸味が強く、生食には向きません。
ツバキ(白侘助)(ツバキ科)
○ツバキ(白侘助)(ツバキ科)Camellia japonica‘Shiro-wabisuke’
ツバキとチャノキの雑種で、園芸種の一つです。11~3月、直径4~5cm、白色一重、ラッパ状に花を咲かせます。ツバキのようにポトッと散ります。
ナンテン(実)(メギ科)
○ナンテン(実)(メギ科)Nandina domestica
暖地の山地に見られ、高さ約2mになります。庭木、盆栽として植えられます。5~6月、枝先に白い小花を多数咲かせます。11~12月、果実は赤く熟し、正月飾りやせき止めの薬として利用されます。
ムラサキシキブ(実)(シソ科)
○ムラサキシキブ(実)(シソ科)Callicarpa japonica
山野に生え、高さ2~3mになります。6~7月、淡紫色の花を多数つけます。直径3~4mmの球形の果実は、紫色に熟し、秋が深まり葉が落ちた後も残ります。幹はまっすぐ伸びて強いので、昔から道具の柄や杖などに用いられてきました。
ミヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)
○ミヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)Lonicera gracilipes var. glandulosa
山野に生え、よく分枝して高さ1.5~2mになります。ヤマウグイスカグラの変種で、枝葉、花冠に毛が密生します。春、淡紅色の花を1~2個咲かせます。6~7月、直径約1cm、楕円形の果実は、赤く熟し、甘味があり、食べられます。
サザンカ(ツバキ科)
○サザンカ(ツバキ科)Camellia sasanqua
九州や四国などの山地に自生し、数多く園芸種もあり、庭や公園によく植えられます。高さは普通5~6mですが、大きいものは15mにもなります。10~12月、枝先に直径4~7cmの花を咲かせます。花弁は5個で平開し、ツバキと異なり、バラバラに散ります。
センリョウ(実)(センリョウ科)
○センリョウ(実)(センリョウ科)Sarcandra glabra
暖地の林内に生え、高さ80cm程になります。地下茎から毎年新しい茎を出して株を広げます。6~7月、茎先に2~3個、短い穂状の花序をつけます。球形の果実は、直径5~7mm、12~3月、赤色に熟し、正月飾りにも用いられます。
クロガネモチ(実)(モチノキ科)
○クロガネモチ(実)(モチノキ科)Ilex rotunda
暖地の山野に生え、高さ20m程になります。名は若枝や葉柄の色に由来します。5~6月、直径4mm、淡紫白色の花を咲かせます。11~2月、直径5~8mm、球状の果実が赤く熟します。雌雄異株です。
ヤツデ(ウコギ科)
○ヤツデ(ウコギ科)Fatsia japonica
暖地の沿岸に自生し、高さ3~5mになります。葉は長さ、幅とも20~40cm、掌状に7~9裂し、烈片の縁には鋸歯があります。10月~11月、茎の先に直径2~3cmの散形花序を円錐状に多数つけます。
ツワブキ(キク科)
○ツワブキ(キク科)Farfugium japonicum
海岸や海辺の山などに生える常緑の多年草で、高さ30~70cmになります。園芸種が多数あります。10~12月、直径5cm程の黄色の花を房状に咲かせます。葉はフキに似て厚く、表面に艶があり、この名があります。綿毛をかぶった若い葉柄のつくだ煮が「きゃらぶき」です。葉は焙って、腫れ物などに貼ったりします。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」、山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁