皇居東御苑花だより(令和5年11月2日)

令和5年11月2日
写真 説明
ツワブキ(キク科)
○ツワブキ(キク科)Farfugium japonicum
海岸や海辺の山などに生える常緑の多年草で、高さ30~70cmになります。園芸種が多数あります。10~12月、直径5cm程の黄色の花を房状に咲かせます。葉はフキに似て厚く、表面に艶があり、この名があります。綿毛をかぶった若い葉柄のつくだ煮が「きゃらぶき」です。葉は焙って、腫れ物などに貼ったりします。
ホトトギス(ユリ科)
○ホトトギス(ユリ科)Anemone hupehensis
半日陰や湿気のある場所に生える多年草で、高さ30~100cmになります。8~10月、葉の脇に直径2.5cm程、紫色の班点のある花を2~3個咲かせます。花の班点を鳥のホトトギスの胸の斑点に準えて名付けられました。
ムラサキシキブ(実)(シソ科)
○ムラサキシキブ(実)(シソ科)Callicarpa japonica
山野に生え、高さ2~3mになります。6~7月、淡紫色の花を多数つけます。直径3~4mmの球形の果実は、紫色に熟し、秋が深まり葉が落ちた後も残ります。幹はまっすぐ伸びて強いので、昔から道具の柄や杖などに用いられてきました。
センリョウ(実)(センリョウ科)
○センリョウ(実)(センリョウ科)Sarcandra glabra
暖地の林内に生え、高さ80cm程になります。地下茎から毎年新しい茎を出して株を広げます。6~7月、茎先に2~3個、短い穂状の花序をつけます。直径5~7mm、球形の果実は、12~3月、赤色に熟し、正月飾りにも用いられます。
ユズ(実)(ミカン科)
○ユズ(実)(ミカン科)Citrus junos
中国伝来とされ、古くから広く植えられています。高さ4~6mになり、葉腋に棘、葉柄に翼があります。5~6月、枝先に直径約3cmの白い花を咲かせます。直径4~7cm、球形の果実は、秋に黄色く熟します。強い香のある果皮や果汁は料理に使われます。
シュウメイギク(キンポウゲ科)
○シュウメイギク(キンポウゲ科)Anemone hupehensis
古く中国から渡来した帰化植物と考えられています。地下茎を伸ばす多年草で、草丈50~80cmになります。秋、花茎を伸ばし、直径5~7cm、淡い紫紅色や白色の花を多数咲かせます。
チャノキ(ツバキ科)
○チャノキ(ツバキ科)Camellia sinensis
鎌倉時代、中国から栄西禅師が持ち帰ったとされ、緑茶用に各地で栽培されています。刈り込まれないと高さ7~8mにもなります。10~11月、直径約2.5cm、5弁の白い花を咲かせます。果実は直径約2cm、熟すと裂け、暗褐色の種子を2~3個出します。
ダルマギク(キク科)
○ダルマギク(キク科)Aster spathulifolius
海岸の岩場などに生える多年草で、高さ25~30cmになります。葉は厚く、両面にビロード状の密毛があります。8~11月、直径3.5~4cmの青紫色の花を枝先に1つ咲かせます。
ジュウガツザクラ(バラ科)
○ジュウガツザクラ(バラ科)Cerasus ×subhirtella‘Autumnalis’
4月上旬と10~12月の2回、二季咲きのサクラです。花は白色のものが多く、淡~濃紅色などもあります。秋冬に咲く花は小形で、春に咲く花はやや大形になります。
サザンカ(ツバキ科)
○サザンカ(ツバキ科)Camellia sasanqua
九州や四国などの山地に自生し、数多く園芸種もあり、庭や公園によく植えられます。高さは普通5~6mですが、大きいものは15mにもなります。10~12月、枝先に直径4~7cmの花を咲かせます。花弁は5個で平開し、ツバキと異なり、バラバラと散ります。
サンシュユ(実)(ガマズミ科)
○サンシュユ(実)(ガマズミ科)Cornus officinalis
中国原産で、江戸時代、薬用として渡来しました。高さ5~10mになり、樹皮は薄く剝がれます。3月~4月上旬、黄色い小花を多数咲かせ、秋には長さ1.5cm、楕円形の果実が赤く熟します。
カシワバハグマ(キク科)
○カシワバハグマ(キク科)Pertya robusta
山地の林内に生える高さ30~70cmの多年草です。9~11月、茎の上部に、白っぽい小花が集まって形成された頭花を穂状につけます。名前の由来となったハグマ(白熊)とは、ヤクの尾の毛のことで、払手(ほっす:僧が法事の時に持つはたきに似た仏具)などに使われます。
ガマズミ(実)(ガマズミ科)
○ガマズミ(実)(ガマズミ科)Viburnum dilatatum
山野に普通に生え、高さ2~4mになります。昔から人々の生活と結びつきが深く、地方名も多くあります。5~6月に、枝の先端から小さな白花を多数咲かせます。9~10月に実が赤く熟し、霜が降りる頃、白い粉を吹いて甘くなり、食べられます。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」、山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁