皇居東御苑花だより(令和5年10月20日)

令和5年10月20日
写真 説明
ツバキ(秋一番)(ツバキ科)
○ツバキ(秋一番)(ツバキ科)Camellia japonica‘Aki-ichiban’
ツバキの早咲き品種です。10月~3月、白地に紅色の縦絞りが少し入る一重咲きの花を咲かせます。時に白又は赤一色の花も咲かせます。
サザンカ(ツバキ科)
○サザンカ(ツバキ科)Camellia sasanqua
九州や四国などの山地に自生し、数多く園芸種もあり、庭や公園によく植えられます。高さは普通5~6mですが、大きいものは15mにもなります。10~12月、枝先に直径4~7cmの花を咲かせます。花弁は5個で平開し、ツバキと異なり、バラバラと散ります。
センリョウ(センリョウ科)
○センリョウ(センリョウ科)Sarcandra glabra
暖地の林内に生え、高さ80cm程になります。地下茎から毎年新しい茎を出して株を広げます。6~7月、茎先に2~3個、短い穂状の花序をつけます。直径5~7mm、球形の果実は、12~3月、赤色に熟し、正月飾りにも用いられます。
コバノガマズミ(ガマズミ科)
○コバノガマズミ(ガマズミ科)Viburnum erosum ver. erosum
各地の山野にごく普通に生え、高さ2~4mになります。4~5月、本年枝の先に直径3~7cmの散房花序を出して、白い花を多数開きます。9~10月、卵球形の果実が赤く熟します。
チャノキ(ツバキ科)
○チャノキ(ツバキ科)Camellia sinensis
鎌倉時代、中国から栄西禅師が持ち帰ったとされ、緑茶用に各地で栽培されています。刈り込まれないと高さ7~8mにもなります。10~11月、直径約2.5cm、5弁の白い花を咲かせます。果実は直径約2cm、熟すと裂け、暗褐色の種子を2~3個出します。
マヤラン(ラン科)
○マヤラン(ラン科)Cymbidium macrorhizon
樹林下で、菌根を形成し、必要な栄養を菌類から得ている腐生植物です。高さ10~30cmになり、7~8月、白色で紅紫色を帯びた1.5cm程の花を咲かせます。和名は、最初の発見地、神戸市摩耶山に因みます。
バクチノキ(バラ科)
○バクチノキ(バラ科)Prunus zippeliana
暖地の主に沿岸地に生え、高さ10~15mになります。灰褐色の樹皮が鱗状にはがれると、紅黄色の木肌が現れます。9月頃、葉の脇から出る短い花穂に、6~7mmの白い花を密に付けます。葉は咳止め、鎮静剤に使われます。
キンモクセイ(モクセイ科)
○キンモクセイ(モクセイ科)Osmanthus fragrans ver. aurantiacus
中国原産で、ギンモクセイの変種です。雄株のみ渡来し、庭などに広く植えられています。高さは普通4~6m、大きいものは10mを超え、よく分枝します。10月、葉の脇に橙黄色の小さな花を多数咲かせ、強い芳香を漂わせます。
ウスギモクセイ(モクセイ科)
○ウスギモクセイ(モクセイ科)Osmanthus fragrans ver. thunbergii
中国・インド原産で、ギンモクセイの変種です。関西によく植えられていますが、九州に自生するともいわれています。よく分枝して高さ約7mになります。黄白色の花はキンモクセイより少し大きめです。長さ約2cm、楕円形の果実は、黒紫色に熟します。
シモバシラ(シソ科)
○シモバシラ(シソ科)Keiskea japonica
関東以西、山地の木陰に生える高さ40~70cmの多年草です。9~10月、枝上部の葉の脇から花序を出し、片側だけに小さな白花を多数咲かせます。冬、枯れた茎に霜柱のような氷の結晶ができるので、この名があります。
オガタマノキ(実)(モクレン科)
○オガタマノキ(実)(モクレン科)Magnolia compressa
暖地の山地に自生します。よく神社に植えられ、神前に供えられます。2~4月、葉の脇に咲く、芳香のある直径3~4cmの花は白色で、基部は紅色を帯びます。長さ8~14cm、長楕円形の葉は、表面は光沢があり、裏面は有毛です。
サンシュユ(実)(ガマズミ科)
○サンシュユ(実)(ガマズミ科)Cornus officinalis
中国原産で、江戸時代、薬用として渡来しました。高さ5~10mになり、樹皮は薄く剝がれます。3月~4月上旬、黄色い小花を多数咲かせ、秋には長さ1.5cm、楕円形の果実が赤く熟します。
ススキ(イネ科)
○ススキ(イネ科)Miscanthus sinensis
平地や山地の日当たりの良い場所に普通に見られ、高さ1~2mになる大形の多年草です。2個ずつ対となる小穂を密に付けた花穂は、長さ20~30cm、白色又は黄褐色、時に紫色を帯びます。秋の七草の一つで、尾花とも呼ばれ、茅の一種です。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」、山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁