皇居東御苑花だより(令和5年10月13日)

令和5年10月13日
写真 説明
シモバシラ(シソ科)
○シモバシラ(シソ科)Keiskea japonica
関東以西、山地の木陰に生える高さ40~70cmの多年草です。9~10月、枝上部の葉の脇から花序を出し、片側だけに小さな白花を多数咲かせます。冬、枯れた茎に霜柱のような氷の結晶ができるので、この名があります。
ハリギリ(ウコギ科)
○ハリギリ(ウコギ科)Kalopanax septemlobus
山地に生え、高さ20~25mになります。樹皮は黒褐色で縦に深裂し、枝は太くてトゲが多いです。葉は枝先に集まって互生し、掌状に5~9裂します。7~8月に、枝先に球形の散形花序に、淡黄色の小さな花を多数開きます。若芽は食用にされます。
マヤラン(ラン科)
○マヤラン(ラン科)Cymbidium macrorhizon
樹林下で、菌根を形成し、必要な栄養を菌類から得ている腐生植物です。高さ10~30cmになり、7~8月、白色で紅紫色を帯びた1.5cm程の花を咲かせます。和名は、最初の発見地、神戸市摩耶山に因みます。
クコ(実)(ナス科)
○クコ(実)(ナス科)Lycium chinense
土手や道端などに生え、高さ1~2mになります。茎は根元から多数に分かれ、枝は弓状に垂れ、小枝が刺状になります。7~11月、5裂する薄紫色の小花を咲かせます。長さ1.5~2cm、楕円形の果実は、橙紅色に熟し、食されます。
キンモクセイ(モクセイ科)
○キンモクセイ(モクセイ科)Osmanthus fragrans ver. aurantiacus
中国原産で、ギンモクセイの変種です。雄株のみ渡来し、庭などに広く植えられています。高さは普通4~6m、大きいものは10mを超え、よく分枝します。10月、葉の脇に橙黄色の小さな花を多数咲かせ、強い芳香を漂わせます。
フユザクラ(バラ科)
○フユザクラ(バラ科)Cerasus ×parvifolia 'Fuyu-zakura'
マメザクラ系の品種で、4月上旬と10~12月の2回、花を咲かせます。花弁は5枚で、咲き始めはわずかに淡紅色を帯び、後に白色になります。春の花には花弁の先端に切れ込みがありますが、秋の花は切れ込みがないことが多く、逆に凸形になることもあります。
オトコヨウゾメ(ガマズミ科)
○オトコヨウゾメ(ガマズミ科)Viburnum phlebotrichum
野の日当たりの良い場所に生え、高さ2m程になります。4~6月、淡紅色を帯びた白い花が5~10個、枝先から垂れて咲きます。9~10月、長さ5~8mm、光沢のある果実が赤く熟します。
クロガネモチ(実)(モチノキ科)
○クロガネモチ(実)(モチノキ科)Ilex rotunda
暖地の山野に生え、高さ20m程になります。名は若枝や葉柄の色に由来します。5~6月、直径4mm、淡紫白色の花を咲かせます。11~2月、直径5~8mm、球状の果実が赤く熟します。雌雄異株です。
オガタマノキ(実)(モクレン科)
○オガタマノキ(実)(モクレン科)Magnolia compressa ver. compressa
暖地の山地に自生します。よく神社に植えられ、神前に供えられます。2~4月、葉の脇に咲く、芳香のある直径3~4cmの花は白色で、基部は紅色を帯びます。長さ8~14cm、長楕円形の葉は、表面は光沢があり、裏面は有毛です。
カシワバハグマ(キク科)
○カシワバハグマ(キク科)Pertya robusta
山地の林内に生える高さ30~70cmの多年草です。9~11月、茎の上部に、白っぽい小花が集まって形成された頭花を穂状につけます。名前の由来となったハグマ(白熊)とは、ヤクの尾の毛のことで、払手(ほっす:僧が法事の時に持つはたきに似た仏具)などに使われます。
サンシュユ(実)(ガマズミ科)
○サンシュユ(実)(ガマズミ科)Cornus officinalis
中国原産で、江戸時代、薬用として渡来しました。高さ5~10mになり、樹皮は薄く剝がれます。3月~4月上旬、黄色い小花を多数咲かせ、秋には長さ1.5cm、楕円形の果実が赤く熟します。
シラヤマギク(キク科)
○シラヤマギク(キク科)Aster scaber
山地や丘陵などに普通に見られる、高さ1~1.5mの多年草です。茎や葉にはザラザラした毛が生えています。8~10月、直径2cmほどの白い花をつけます。春の若苗は、ヨメナに対しムコナと呼んで食用にもなります。
ススキ(イネ科)
○ススキ(イネ科)Miscanthus sinensis
平地や山地の日当たりの良い場所に普通に見られ、高さ1~2mになる大形の多年草です。2個ずつ対となる小穂を密に付けた花穂は、長さ20~30cm、白色又は黄褐色、時に紫色を帯びます。秋の七草の一つで、尾花とも呼ばれ、茅の一種です。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」、山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁