皇居東御苑花だより(令和5年10月6日)

令和5年10月6日
写真 説明
バクチノキ(バラ科)
○バクチノキ(バラ科)Prunus zippeliana
暖地の主に沿岸地に生え、高さ10~15mになります。灰褐色の樹皮が鱗状にはがれると、紅黄色の木肌が現れます。9月頃、葉の脇から出る短い花穂に、6~7mmの白い花を密に付けます。葉は咳止め、鎮静剤に使われます。
ガマズミ(実)(ガマズミ科)
○ガマズミ(実)(ガマズミ科)Viburnum dilatatum
山野に普通に生え、高さ2~4mになります。昔から人々の生活と結びつきが深く、地方名も多くあります。5~6月に、枝の先端から小さな白花を多数咲かせます。9~10月に実が赤く熟し、霜が降りる頃、白い粉を吹いて甘くなり、食べられます。
オガタマノキ(実)(モクレン科)
○オガタマノキ(実)(モクレン科)Magnolia compressa var.compressa
暖地の山地に自生します。よく神社に植えられ、神前に供えられます。2~4月、葉の脇に咲く、芳香のある直径3~4cmの花は白色で、基部は紅色を帯びます。長さ8~14cm、長楕円形の葉は、表面は光沢があり、裏面は有毛です。
シラヤマギク(キク科)
○シラヤマギク(キク科)Aster scaber
山地や丘陵などに普通に見られる、高さ1~1.5mの多年草です。茎や葉にはザラザラした毛が生えています。8~10月、直径2cmほどの白い花をつけます。春の若苗は、ヨメナに対しムコナと呼んで食用にもなります。
ススキ(イネ科)
○ススキ(イネ科)Miscanthus sinensis
平地や山地の日当たりの良い場所に普通に見られ、高さ1~2mになる大形の多年草です。2個ずつ対となる小穂を密に付けた花穂は、長さ20~30cm、白色又は黄褐色、時に紫色を帯びます。秋の七草の一つで、尾花とも呼ばれ、茅の一種です。
ヒツジグサ(スイレン科)
○ヒツジグサ(スイレン科)Nymphaea tetragona
池沼に生える多年生の水草です。水底から葉柄が伸び、光沢のある葉が水面に浮かびます。6~9月、長い花柄の先に白色の清楚な花が1個開きます。未の刻(午後2時)に開くので、未草と呼ばれます。
フヨウ(アオイ科)
○フヨウ(アオイ科)Hibiscus mutabilis
高知県や九州南部などの暖かい沿海地に自生し、高さ1~4mになります。葉は掌状に浅く3~7裂します。7~10月、枝の上部に、直径10~14cm、白色や淡紅色の花が開きます。朝咲いて夕方しぼむ一日花で、毎日次々と開花します。
ヤマハギ(マメ科)
○ヤマハギ(マメ科)Lespedeza bicolor var.bicolor
山地に生え、高さ約2mになります。庭によく植えられるミヤギノハギとは異なり、枝はほとんど枝垂れません。6~9月、直径1cm程、紅紫色の蝶形の小花を咲かせます。秋の七草の一つです。
ヤマホトトギス(ユリ科)
○ヤマホトトギス(ユリ科)Tricyrtis macropoda
山野の林内に生える多年草で、高さ40~70cmになります。7~9月、茎の上部に数個開く白い花は、外側に反り、紫色又は黄色の斑点があります。
アメリカヤマボウシ(実)(ミズキ科)
○アメリカヤマボウシ(実)(ミズキ科)Cornus florida
別名ハナミズキとも言います。米国東海岸からメキシコに分布し、1912年にワシントンに贈ったサクラの返礼に日本へ贈られた木として知られます。高さ5~12m、よく分枝し、秋には美しく紅葉し、枝先に赤い実をつけます。
ウメモドキ(実)(モチノキ科)
○ウメモドキ(実)(モチノキ科)Ilex serrata
山中や湿地に生える落葉低木です。6月頃、葉の付け根にウメに似た淡紫色の花を咲かせます。直径約5mm、球形の果実は赤く熟し、小鳥が好んで食べます。晩秋から初冬にかけて、枝いっぱいに残る実が美しいことから、庭木としてよく植えられます。
ウド(ウコギ科)
○ウド(ウコギ科)Aralia cordata
春の山菜としておなじみで、高さ1~1.5mになる大形の多年草です。全体に短毛が生えています。8~9月、茎の上部に、淡緑色、3mmほどの小さな花を球状に多数咲かせます。
オミナエシ(オミナエシ科)
○オミナエシ(オミナエシ科)Patrinia scabiosaefolia
日当たりの良い草原などに生える多年草で、高さ約1mになります。7~10月、黄色の小さな花を多数咲かせます。秋の七草の一つです。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」、山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁