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高村光雲(1852~1934)
仏師の高村が写生を重視するようになったのは、西欧美術の迫真的な再現描写力に驚嘆したためだが、実際には高村の写実性とはあくまでも、江戸期以来、主に花鳥を題材に日本でも培われていた外面的な相似性の追求という域内にとどまっていた。それゆえに彼が手がけた写実的な作の主題が、多くは人物ではなく、鳥獣であったといえる。本作はそうした高村の鳥獣像のなかでももっとも完成度の高い一点。羽毛が一枚ずつ細かく彫出され、羽根、鶏冠、足はそれぞれ彫法に変化をつけて異なる質感が表現し分けられている。また、目の部分には仏像の玉眼の技法が用いられている。職人的な手技が極められた傑作である。1対 明治22年(1889) 木彫 雄:20.0×20.0×32.0 雌:12.0×22.5×21.0 |