皇居東御苑花だより(令和5年12月1日)

令和5年12月1日
写真 説明
ツバキ(白侘助)(ツバキ科)
○ツバキ(白侘助)(ツバキ科)Camellia japonica‘Shiro-wabisuke’
ツバキとチャノキの雑種で、園芸種の一つです。11~3月、直径4~5cm、白色一重、ラッパ状に花を咲かせます。ツバキのようにポトッと散ります。
キンカン(実)(ミカン科)
○キンカン(実)(ミカン科)Citrus japonica
中国原産で、江戸時代以前に日本に渡来しました。高さ1~2mになります。初夏から秋に2~3回、白い花を咲かせます。果実は直径2~3cmの球形で、橙黄色に熟します。果肉は酸っぱいですが、果皮に甘味と香気があり、食べられます。
キチジョウソウ(キジカクシ科)
○キチジョウソウ(キジカクシ科)Reineckea carnea
関東以西の山野、やや湿り気のある日陰に群生する多年草です。長さ10~30cm、幅約1.2cmの線形の葉が根元から出ます。晩秋、高さ8~13cmの花茎を伸ばし、淡紅色の花を穂状に咲かせます。花が咲くと吉事があるとされ、「吉祥きちじょう草」の名があります。
ミヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)
○ミヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)Lonicera gracilipes var. glandulosa
山野に生え、よく分枝して高さ1.5~2mになります。ヤマウグイスカグラの変種で、枝葉、花冠に毛が密生します。春、淡紅色の花を1~2個咲かせます。6~7月、直径約1cm、楕円形の果実は、赤く熟し、甘味があり、食べられます。
ムラサキシキブ(実)(シソ科)
○ムラサキシキブ(実)(シソ科)Callicarpa japonica
山野に生え、高さ2~3mになります。6~7月、淡紫色の花を多数つけます。直径3~4mmの球形の果実は、紫色に熟し、秋が深まり葉が落ちた後も残ります。幹はまっすぐ伸びて強いので、昔から道具の柄や杖などに用いられてきました。
タラヨウ(実)(モチノキ科)
○タラヨウ(実)(モチノキ科)Ilex latifolia
暖地の山地に自生し、庭や寺院などに植えられ、高さ20m程になります。葉裏を傷つけて文字が書けるので、ハガキノキの別名があります。初夏、黄緑色の小花を集めて咲かせ、秋、直径6~8mm、球形の果実が赤く熟します。雌雄異株です。
マンリョウ(実)(サクラソウ科)
○マンリョウ(実)(サクラソウ科)Ardisia crenata
暖地の林内に自生し、観賞用に広く栽培されています。茎は直立し、上部でまばらに小枝を出し、高さ0.3~1mになります。7月頃、小枝の先に直径約8mmの白い花を多数つけます。果実は球形で赤く熟し、縁起の良い木とされています。
タチバナ(実)(ミカン科)
○タチバナ(実)(ミカン科)Citrus tachibana
暖地の沿岸に稀に自生する日本固有のカンキツ類で、高さ2~4mになります。6月頃、枝先に白い花を咲かせます。直径2.5~3cmの果実は酸味が強く、生食には向きません。
チャノキ(ツバキ科)
○チャノキ(ツバキ科)Camellia sinensis
鎌倉時代、中国から栄西禅師が持ち帰ったとされ、緑茶用に各地で栽培されています。刈り込まれないと高さ7~8mにもなります。10~11月、直径約2.5cm、5弁の白い花を咲かせます。果実は直径約2cm、熟すと裂け、暗褐色の種子を2~3個出します。
シロダモ(クスノキ科)
○シロダモ(クスノキ科)Neolitsea sericea
山地に生え、高さ10~15mになります。花と実が同時に見られるのが特徴です。10~11月に黄褐色の花を散形状に数個開き、果実は長さ1.2~1.5cmの楕円形で赤く熟します。
サザンカ(ツバキ科)
○サザンカ(ツバキ科)Camellia sasanqua
九州や四国などの山地に自生し、数多く園芸種もあり、庭や公園によく植えられます。高さは普通5~6mですが、大きいものは15mにもなります。10~12月、枝先に直径4~7cmの花を咲かせます。花弁は5個で平開し、ツバキと異なり、バラバラに散ります。
ツワブキ(キク科)
○ツワブキ(キク科)Farfugium japonicum
海岸や海辺の山などに生える常緑の多年草で、高さ30~70cmになります。園芸種が多数あります。10~12月、直径5cm程の黄色の花を房状に咲かせます。葉はフキに似て厚く、表面に艶があり、この名があります。綿毛をかぶった若い葉柄のつくだ煮が「きゃらぶき」です。葉は焙って、腫れ物などに貼ったりします。
センリョウ(実)(センリョウ科)
○センリョウ(実)(センリョウ科)Sarcandra glabra
暖地の林内に生え、高さ80cm程になります。地下茎から毎年新しい茎を出して株を広げます。6~7月、茎先に2~3個、短い穂状の花序をつけます。球形の果実は、直径5~7mm、12~3月、赤色に熟し、正月飾りにも用いられます。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」、山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁