皇居東御苑花だより(令和5年11月24日)

令和5年11月24日
写真 説明
キチジョウソウ(キジカクシ科)
○キチジョウソウ(キジカクシ科)Reineckea carnea
関東以西の山野、やや湿り気のある日陰に群生する多年草です。長さ10~30cm、幅約1.2cmの線形の葉が根元から出ます。晩秋、高さ8~13cmの花茎を伸ばし、淡紅色の花を穂状に咲かせます。花が咲くと吉事があるとされ、「吉祥(きちじょう)草」の名があります。
カンツバキ(ツバキ科)
○カンツバキ(ツバキ科)Camellia sasanqua‘Shishigashira’
サザンカの園芸品種とされますが、異説もあります。枝は横に広がり、あまり高くなりません。葉は濃緑色で光沢があり、縁に鋭い鋸歯があります。12~2月、直径7~9cm、濃紅色、八重の花を咲かせます。大小10数枚ある花弁は、先端が浅く裂け、縁は波打ち、バラバラに散ります。
ナンテン(実)(メギ科)
○ナンテン(実)(メギ科)Nandina domestica
暖地の山地に見られ、高さ約2mになります。庭木、盆栽として植えられます。5~6月、枝先に白い小花を多数咲かせます。11~12月、果実は赤く熟し、正月飾りやせき止めの薬として利用されます。
ヤツデ(ウコギ科)
○ヤツデ(ウコギ科)Fatsia japonica
暖地の沿岸に自生し、高さ3~5mになります。葉は長さ、幅とも20~40cm、掌状に7~9裂し、烈片の縁には鋸歯があります。10月~11月、茎の先に直径2~3cmの散形花序を円錐状に多数つけます。
シロダモ(クスノキ科)
○シロダモ(クスノキ科)Neolitsea sericea
山地に生え、高さ10~15mになります。花と実が同時に見られるのが特徴です。10~11月に黄褐色の花を散形状に数個開き、果実は長さ1.2~1.5cmの楕円形で赤く熟します。
ムラサキシキブ(実)(シソ科)
○ムラサキシキブ(実)(シソ科)Callicarpa japonica
山野に生え、高さ2~3mになります。6~7月、淡紫色の花を多数つけます。直径3~4mmの球形の果実は、紫色に熟し、秋が深まり葉が落ちた後も残ります。幹はまっすぐ伸びて強いので、昔から道具の柄や杖などに用いられてきました。
センリョウ(実)(センリョウ科)
○センリョウ(実)(センリョウ科)Sarcandra glabra
暖地の林内に生え、高さ80cm程になります。地下茎から毎年新しい茎を出して株を広げます。6~7月、茎先に2~3個、短い穂状の花序をつけます。球形の果実は、直径5~7mm、12~3月、赤色に熟し、正月飾りにも用いられます。
サザンカ(ツバキ科)
○サザンカ(ツバキ科)Camellia sasanqua
九州や四国などの山地に自生し、数多く園芸種もあり、庭や公園によく植えられます。高さは普通5~6mですが、大きいものは15mにもなります。10~12月、枝先に直径4~7cmの花を咲かせます。花弁は5個で平開し、ツバキと異なり、バラバラに散ります。
タチバナ(実)(ミカン科)
○タチバナ(実)(ミカン科)Citrus tachibana
暖地の沿岸に稀に自生する日本固有のカンキツ類で、高さ2~4mになります。6月頃、枝先に白い花を咲かせます。直径2.5~3cmの果実は酸味が強く、生食には向きません。
チャノキ(ツバキ科)
○チャノキ(ツバキ科)Camellia sinensis
鎌倉時代、中国から栄西禅師が持ち帰ったとされ、緑茶用に各地で栽培されています。刈り込まれないと高さ7~8mにもなります。10~11月、直径約2.5cm、5弁の白い花を咲かせます。果実は直径約2cm、熟すと裂け、暗褐色の種子を2~3個出します。
ツバキ(秋一番)(ツバキ科)
○ツバキ(秋一番)(ツバキ科)Camellia japonica‘Aki-ichiban’
ツバキの早咲き品種です。10月~3月、白地に紅色の縦絞りが少し入る一重咲きの花を咲かせます。時に白又は赤一色の花も咲かせます。
フユザクラ(バラ科)
○フユザクラ(バラ科)Cerasus ×parvifolia 'Fuyu-zakura'
マメザクラ系の品種で、4月上旬と10~12月の2回、花を咲かせます。花弁は5枚で、咲き始めはわずかに淡紅色を帯び、後に白色になります。春の花には花弁の先端に切れ込みがありますが、秋の花は切れ込みがないことが多く、逆に凸形になることもあります。
ツワブキ(キク科)
○ツワブキ(キク科)Farfugium japonicum
海岸や海辺の山などに生える常緑の多年草で、高さ30~70cmになります。園芸種が多数あります。10~12月、直径5cm程の黄色の花を房状に咲かせます。葉はフキに似て厚く、表面に艶があり、この名があります。綿毛をかぶった若い葉柄のつくだ煮が「きゃらぶき」です。葉は焙って、腫れ物などに貼ったりします。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」、山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁