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明治という新しい時代を迎えて,我が国は近代国家として大きな変革を遂げ,皇室でも諸外国の制度や文化に学び,新たな形で儀式や行事が行われるようになりました。その中で明治20年代から,饗宴の折の引出物のひとつとして,ボンボニエールと呼ばれる小さな菓子器が採り入れられました。慶びの場にふさわしいデザインによる,手のひらに載るほどの大きさの愛らしい菓子器は,今日まで皇室の御慶事を記念する品として引き継がれています。 当館では平成8年に旧秩父宮家から御遺贈を受けた品々の中に,まとまった数のボンボニエールがあったことを機に,平成12年の春,展覧会「慶びの小箱-ボンボニエールの意匠美」を開催し,注目を集めました。その後,平成17年に御遺贈を受けた旧高松宮家の品々にも多くのボンボニエールが含まれており,これらの調査を重ねたことで,近代の皇室におけるボンボニエールの有様が明らかになりつつあります。 今回の展覧会では,これまでの成果をもとに,御即位や御結婚などの皇室御慶事のほか,外国賓客の接遇など様々な機会に用いられてきたボンボニエールを,その由緒に注目して歴史的にたどります。そして,それぞれの形や文様の意味,製造者や材質などからとらえることができる各時代の特徴についても紹介します。 デザインに工夫を凝らして銀や漆,陶磁などの材質を生かしたボンボニエールの数々にその歴史の深さを感じると同時に,その製作を支えた工芸技術の土壌の豊かさにも心を寄せていただければ幸いです。 展覧会図録(PDF形式:46.0MB) |