天皇皇后両陛下のご活動

国事行為などのご公務

天皇陛下は,内閣の助言と承認により,国民のために,憲法の定める国事に関する行為を行われます。その中には,国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命すること,内閣の指名に基づいて最高裁判所長官を任命すること,国務大臣その他の官吏の任免を認証すること,国会を召集すること,法律や条約を公布すること,栄典を授与すること,大使の信任状を認証すること,外国の大公使を接受することなどが含まれています。これらの事項についての閣議決定の書類は,毎回,閣議の後に陛下のお手元に届けられ,陛下は,これを丁寧にご覧になった上で,ご署名やご押印をなさいます。さらに,陛下は,これらの国事行為に関連して,国会開会式に毎回ご出席になるほか,宮殿で行われる儀式に臨まれます。これらの儀式には,内閣総理大臣及び最高裁判所長官の親任式,認証官任命式,外国特命全権大使の信任状捧呈式,勲章親授式などがあります。

宮殿及び赤坂御所においては,これらの儀式をはじめ,拝謁,ご会見,茶会,午餐,晩餐など,両陛下ご主催のさまざまな行事が行われます。これらの行事は,社会のさまざまな分野で地道な努力を続けている人々を励まし,顕著な功績を挙げた人々をおねぎらいになることを目的としたものが多く,その機会に,国会議員・閣僚・各省幹部・裁判官をはじめ法秩序維持に携わる人々,医師・看護師ほか医療・社会福祉関係者,勲章・文化勲章受章者,学士院賞・芸術院賞受賞者など各界各層の多数の人々とお会いになられます。また,宮殿では,国際親善を目的として,国賓のための公式晩餐や,その他外国要人,在京外国大使などのためのご引見,午餐も行われます。外国からの大使の着任,離任の際には,その都度お会いになります。

また,我が国から外国に派遣される大使についても,赴任前に一人一人にお会いになります。その他外国元首とのご親書・ご親電の交換があります。

行幸啓

両陛下の東京都内でのお出ましは,毎年のものだけでも,全国戦没者追悼式,日本学士院授賞式,日本芸術院授賞式,日本国際賞授賞式などがあります。

両陛下は,毎年,全国植樹祭・国民体育大会・全国豊かな海づくり大会,国民文化祭にご出席のための4回の地方行幸啓があるほか,国際学会ご出席や地方事情ご視察のための行幸啓もあります。毎年,障害者週間の前後には,障害者のための施設をご訪問になり,また,こどもの日及び敬老の日の前後には,これらの日にちなんだ福祉施設等へご訪問になります。

外国ご訪問

天皇皇后両陛下は,外国政府の招待を受けて国際親善のため,外国をご訪問になるほか,外国王族のご葬儀にご参列などの機会に外国に赴かれます。

各国ご訪問の際は,その国の元首をはじめとする各界各層の人々と広くお会いになり,各地で,歴史・文化・産業・社会福祉などに関係する多くの施設をご訪問になっておられます。

伝統文化の継承

和歌は長く皇室の伝統として重んぜられ,両陛下はお祝いごとなどの折に触れ,歌をお詠みになります。宮中では,鎌倉時代中期に始められたと言われる歌会始の儀が毎年1月に行われ,ここでは,全国から詠進された和歌の中から選ばれた十首が,両陛下の御製(ぎょせい)・御歌(みうた)などとともに,伝統に則り披講されます。両陛下のお詠みになった和歌は,新年をはじめとする機会に発表されます。

毎年1月,両陛下は明治2年に遡る講書始の儀に臨まれ,人文科学,社会科学,自然科学の各分野における学問の権威者からご進講をお受けになります。

その他,正倉院や京都東山御文庫などに収蔵されている宝物や御物は勅封によって保存されており,また,雅楽,古式馬術などが宮内庁によって継承されています。

天皇陛下は,我が国の農耕文化の中心である稲作について,昭和天皇のお始めになった行事を上皇陛下からお引継ぎになりました。春には種籾をおまきになり,初夏に田植えをなさり,秋には稲刈りをなさいます。

皇后陛下は,昭憲皇太后が明治4年にお始めになったご養蚕を上皇后陛下からお引継ぎになりました。皇居内の紅葉山御養蚕所で,春から初夏にかけて,掃立て・給桑(きゅうそう)・上蔟(じょうぞく),繭かきなど養蚕の各段階の作業が行われます。長年飼育されて来た日本在来品種「小石丸」は,正倉院宝物の絹織物の復元に最もふさわしい糸であることが確認され,この品種を増産し,上皇后陛下は平成6年(1994年)から平成21年(2009年)まで,正倉院にお贈りになり,貴重な古代裂の あしぎぬあやにしき等の復元がなされてきました。また,平成17年(2005年)には,鎌倉時代の絵巻「春日権現験記絵」(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)の表紙裂と巻緒の修復のためにもお贈りになりました。

御養蚕所の繭は絹織物として宮中祭祀や外国元首への贈り物等にも使用されています。家蚕の他にも天蚕を野外天蚕室で飼育されています。

宮中祭祀

天皇皇后両陛下は,皇太子同妃両殿下の時代から,宮中三殿(賢所,皇霊殿,神殿)における祭祀を大切にしてこられました。古くから伝えられる祭儀を忠実に受け継がれ,常に,国民の幸せを祈っておられます。

赤坂御所でのご生活

両陛下は,赤坂御用地内にある赤坂御所にお住まいです。宮殿での公式行事のほかに,赤坂御所においても,公式行事に臨まれるほか,内外の諸情勢,学術や芸術文化の現状,災害復旧の状況,各種行事や式典の概要などについて,しばしば関係者のご進講・ご説明をお受けになり,ご懇談の機会を持っておられます。

なお,皇居勤労奉仕団の人々には,赤坂御所などでお会いになり,各地域の近況について話をお聞きになった上で,ねぎらいのお言葉をおかけになります。

ご研究など

天皇陛下は,皇太子殿下でいらっしゃった時期の平成4年4月から,平成31年3月まで,学習院大学史料館客員研究員の委嘱をお受けになり,日本中世史のご研究をお続けになっています。また,平成15年に学習院女子大学で「北米文化の源流・イギリスの社会と文化について」と題するご講義をなさって以来,平成17年・18年・20年~29年・31年と,ほぼ毎年,さまざまなテーマでご講義をなさいました。

水問題については,平成15年3月に名誉総裁としてご臨席になった第3回世界水フォーラムの開会式において「京都と地方を結ぶ水の道-古代・中世の琵琶湖・淀川水運を中心として-」と題した記念講演を,平成18年3月にメキシコをご訪問になった際には第4回世界水フォーラム全体会合において「江戸と水運」と題した基調講演を,平成19年12月には「第1回アジア・太平洋水サミット開会式」において「人と水-日本からアジア太平洋地域へ-」と題した記念講演を, 平成20年7月にスペインをご訪問になった際には2008年サラゴサ国際博覧会「水の論壇」シンポジウムにおいて「水との共存-人々の知恵と工夫-」と題した特別講演を,平成21年3月にトルコで開催された第5回世界水フォーラムにおいて「水とかかわる-人と水との密接なつながり-」と題した基調講演をなさり,平成24年3月にはフランスで開催された第6回世界水フォーラムにおいて「水と災害-津波の歴史から学ぶ-」と題したビデオメッセージが上映されました。平成25年3月にはアメリカ合衆国で開催された国連「水と災害に関する特別会合」において「人と水災害の歴史を辿る-災害に強い社会の構築のための手掛かりを求めて-」と題した基調講演をなさり,平成27年4月には韓国で開催された第7回世界水フォーラムにおいて「人々の水への想いをかなえる-科学技術を通じた水と人との関わり-」と題したビデオメッセージが上映されました。平成27年11月にはアメリカ合衆国で開催された国連「水と災害に関する特別会合」において「人と水とのより良い関わりを求めて」と題した基調講演をなさいました。平成29年7月にはアメリカ合衆国で開催された国連「水と災害に関する特別会合」において「水に働きかける」と題したビデオメッセージが上映されました。平成30年3月にはブラジルで開催された第8回世界水フォーラム「水と災害」ハイレベルパネルにおいて「繁栄・平和・幸福のための水」と題した基調講演をなさいました。

また,英国ご修学中のご研究の成果を英文で「The Thames as Highway(交通路としてのテムズ川)」としておまとめになり,平成元年4月に刊行されました。さらに,平成3年9月,オックスフォード大学で同大学名誉法学博士号を授与されました。

天皇陛下は,特にスポーツと音楽にご関心が深く,スポーツでは,登山・テニス・スキー・ジョギングをよくなさり,音楽ではヴィオラをご演奏になります。

皇后陛下も,スポーツと音楽にご関心が深く,スポーツではテニス・スキーをなさいます。

愛子内親王殿下は,平成31年4月から学習院女子高等科第3学年にご在学になりお健やかに成長していらっしゃいます。