主な式典におけるおことば(令和3年)

秋篠宮皇嗣殿下のおことば

第17回日本学術振興会賞並びに日本学士院学術奨励賞
令和3年2月28日(日)

【表彰式典は中止となりましたが,主催者からの依頼によりお言葉をお寄せになりました。】

第17回日本学術振興会賞を受賞された皆様,またその中から第17回日本学士院学術奨励賞を受賞された皆様に心からお祝いを申し上げます。

本年は,COVID-19の感染拡大によって本賞の授賞式が開催されないことになりました。毎年,授賞式において受賞された方々から,それぞれの研究についてお話しを伺うことを楽しみにしておりましたので,今般お目にかかれないことは大変残念な思いです。

さて,学術研究は,それを志す研究者の知的好奇心と自由な発想に端を発して行われ,地道に研究を継続することによって新たな知見が生まれ,構築されることで,その先の多様な展開へとつながっていくものと考えます。そのいっぽう,人間社会は気候変動や様々な疾病をはじめとする多くの困難な問題を抱えており,こうした課題の解決のためには,幅広い学術領域からの貢献が必要不可欠なものであることも紛うことなき真実です。

その意味で,これまで我が国の学術研究を支えてきた日本学術振興会と日本学士院が協力して,人文学から社会科学,自然科学にわたる幅広い分野で若手研究者を顕彰し,その研究意欲をより高め,研究の発展を支援しようとすることは誠に意義深いものであります。

現下のCOVID-19の感染拡大は,人間社会に未曾有の危機をもたらすとともに,社会の脆弱性も顕在化するに至りました。他方,この危機に対応するため,今までに蓄積されてきた医学分野を始めとする様々な学術分野で得られた知見が,治療法の確立や感染拡大の防止,ワクチンや治療薬の開発,社会経済の立て直しなどの対策に用いられています。また,世界中でCOVID-19と原因ウイルスであるSARS- CoV-2に関する研究が進展してきており,それらの成果により,現在の困難な状況は必ず乗り越えられるものと期待いたしております。

今回,受賞の栄に浴された皆様は,それぞれの分野において,これまでにも大変優れた業績をあげておられます。皆様には,この受賞を一つの契機として,今後さらに充実した研究を進められ,世界的に活躍されることを心から願っております。

終わりに,関係の皆様のご尽力により,日本の学術研究の進展が一層図られることを祈念し,お祝いの言葉といたします。

日本消化器内視鏡学会第100回総会記念式典
令和3年5月14日(金)

【本年5月14日に開催された式典は,COVID-19の感染拡大防止のため,式典会場での参加者を限定した上でWebを主体とした形で開催されました。このようなことから,主催者からの依頼によりビデオメッセージをお寄せになりました。】

一般社団法人日本消化器内視鏡学会第100回総会記念式典がWebでの参加を含め多くの関係者の出席のもと,盛大に開催されますことを心からお祝い申し上げます。

さて,国内外ではCOVID-19の急速な拡大により,公衆衛生上,未だかつてない難局を迎えております。このような厳しい状況のもとで,貴学会は安全な内視鏡診療を提供するための提言を累次にわたって出されるとともに,会員の方々におかれては,国民の健康と地域医療を守るため,内視鏡診療を含めた医療活動に献身的に取り組んでおられると伺っております。このような皆様のご尽力に対し,深い敬意と感謝の意を表します。

日本における消化器内視鏡の始まりは,終戦の混乱から世情が落ち着き,新しい希望を求めて人々が模索していた1949年に,医師と光学技術者とが協力して胃カメラの開発に着手したことであると伺っております。この当時の日本では胃がんが多く,しかもそのほとんどが進行がんで発見されていました。それが胃カメラの普及に伴い,早期胃がんの内視鏡診断学が確立され,その後,大腸がん,食道がんの診断学へと発展してまいりました。さらに近年は,内視鏡治療の目覚ましい進歩と普及により,消化器系の多くのがんが外科手術ではなく,低侵襲の内視鏡治療で治癒できるようになったことは,患者への負担が大幅に減少し,早期の社会復帰を可能にしたことと推察いたします。

歴史を紐解きますと,貴学会は,1955年に「胃カメラ研究会」として発足し,その後「日本胃カメラ学会」,「日本内視鏡学会」,「日本消化器内視鏡学会」へと学会の名称の変遷があり,現在では会員数3万5千名を有する大きな学会へと発展を遂げられました。

学会の理念には,消化器内視鏡を通じて,低侵襲で良質な医療を提供することが目的としてあげられており,「患者に理解され信頼される消化器内視鏡医を育成する」という視点に立って,数多くの専門医の育成にも努めてこられました。その結果,現在では全国津々浦々で高い水準の内視鏡診療を受けられるようになっております。また,英文誌‘DEN’の発行や,近隣のアジア諸国をはじめ,欧州,米国,南米など多くの国々との交流を通じて,全世界へ継続的に内視鏡診療を発信し,国際的にも指導的な役割を果たしておられます。

さらに近年では,IT技術の進歩と相まって,全国の内視鏡施設を結ぶ「内視鏡データベースプロジェクト」を実施し,世界最大のビッグデータの構築を目指すとともに,世界に先駆けてAIを活用した内視鏡診断機器を実用化されたと伺っております。

学会設立から60年余りを経て,我が国の消化器内視鏡医学が世界のトップに位置づけられていることを誠に喜ばしく思うとともに,これまで力を尽くしてこられた多くの方々に深く敬意を表します。そして,日本消化器内視鏡学会が第100回総会記念式典を一つの契機として,今後さらなる内視鏡医学の発展に寄与し,人類の福祉に貢献されることを願い,式典に寄せる言葉といたします。

日本植物園協会第56回大会
令和3年5月27日(木)

【本年5月27日に開催された「第56回大会(表彰式)」は,COVID-19の感染拡大防止のため,会場での参加者を限定した上でWebを主体とした形で開催されました。このようなことから,協会との打ち合わせによりビデオメッセージをお寄せになりました。】

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日本動物園水族館協会2021年度通常総会
令和3年5月27日(木)

【本年5月27日に開催された通常総会(記念講演)は,COVID-19の感染拡大防止のため,会場での参加者を限定した上でWebを主体とした形で開催されました。このようなことから,協会との打ち合わせによりビデオメッセージをお寄せになりました。】

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第23回日本水大賞・日本ストックホルム青少年水大賞
令和3年6月15日(火)

【表彰式典は中止となりましたが,お言葉をお寄せになりました。】

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第32回オリンピック競技大会(2020/東京)日本代表選手団結団式
令和3年7月6日(火)

【本年7月6日に開催された結団式は,COVID-19の感染拡大防止のため,会場での参加者を限定した上でWebを主体とした形で開催されました。このようなことから,主催者からの依頼により宮邸からおことばをお寄せになりました。】

本日,第32回オリンピック競技大会に参加される日本代表選手団の結団式が開催され,選手および役員の皆さまと,WEB上ではありますが,お会いできましたことを誠に嬉しく思います。

本大会は,COVID-19の世界的な流行の影響により1年延期となりました。スポーツ選手にとって,1年の違いは,最良の時を維持する上で大変困難を伴うことと思います。

出場される皆さまには,そのような状況を乗り越えて,この度,日本代表になられたことをお慶び申し上げます。

今回の夏季オリンピックは,57年ぶりに自国,東京を中心に開催される2度目の大会となります。また,今大会では,2008年の北京オリンピック以来となる野球・ソフトボールと新たにスポーツクライミング,空手,サーフィン,スケートボードを加えた,33競技339種目が実施されると聞いております。

いっぽう,このパンデミックが収束する状況は見えてきておりません。このことは,オリンピズムが目指す「平和でより良い世界の構築に貢献」するための参加者間の交流が難しいことを意味すると推察いたします。そのような状況下ではありますが,皆さまには,それぞれが可能な場において,交流を深めていただきたく思います。

今回は,通常のオリンピックとは大きく異なる環境で開催される大会です。参加される皆様には,感染症への対応に十分心を配られ,そして競技の場に臨んでは,日頃の成果を存分に発揮されることを願っております。

皆さまのご活躍をお祈りし,結団式に寄せることばといたします。

第55回全日本高等学校馬術競技大会
令和3年7月20日(火)

【本年7月20日に開催された大会は,COVID-19の感染拡大防止のため,無観客で開催されました。このようなことから,主催者からの依頼によりビデオメッセージをお寄せになりました。】

はじめに,本日の会場である御殿場市が所在する静岡県の熱海市において,土石流による大きな被害が発生いたしました。本日ここに集われている皆さまも心を痛めておられることと思います。この災害で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに,依然として多くの方の安否が不明であること,数多くの方々が被災されていることに,心よりお見舞いを申し上げます。

本日,第55回全日本高等学校馬術競技大会が,ここ御殿場市馬術・スポーツセンターにおいて,2年ぶりに開催されますことを誠に喜ばしく思います。

私が初めて全日本高等学校馬術競技大会に出席をしたのは,今からちょうど40年前の1981年,私自身がまだ高校生の時のことでした。その時以来,たびたびこの大会に出席をしており,私にとりまして縁ある行事であります。

そのようなことから,私自身,55回の節目に当たり,5年ぶりに大会会場に足を運び,全国の地区大会を勝ち抜かれた36校の代表の方々とお目にかかることを楽しみにしておりました。しかしながら,COVID-19の状況が依然として思わしくなく,本大会も無観客で実施されることになり,ビデオメッセージとなりましたことを大変残念に思います。

このように,通常とは異なる状況下ではありますが,参加される皆さまには,感染症への対応に十分心を配られつつ,競技の場に臨んでは日頃の成果を存分に発揮されますことを願っております。

さて,ご存知のように,馬術競技は全ての種目で男女の区別なく同じ条件で実施されます。また,数多あるスポーツの中でも,人と動物が一体になって行う稀な競技です。そのため,騎乗者には,個性が異なる馬の性格を慮って馬を誘導することが求められます。皆さまには馬の気持ちをよく理解し,その能力を最大限に発揮させるため,これからもいっそう技術を高めていっていただきたく思います。

また,それとともに,5000年以上にわたって人類に随伴し,馬術競技においてはパートナーとなる「馬」について,さらに知識を深めていっていただければ幸いです。

おわりに,この夏の大会が,皆さまにとって思い出に残る素晴らしい一時になることを祈念いたします。そして,開催に向けて力を尽くされた多くの関係者に深く敬意を表し,開会式に寄せる言葉といたします。

第45回全国高等学校総合文化祭「紀の国わかやま総文2021」総合開会式
令和3年7月31日(土)

 【本年7月31日に開催された総合開会式には,東京都に緊急事態宣言が発せられたことから,ご臨席をお控えになりました。そのようなことから,主催者からの依頼によりビデオメッセージをお寄せになりました。】

 第45回全国高等学校総合文化祭「紀の国わかやま総文2021」が,万葉集を代表する歌人にも詠まれた美しい自然を有する和歌山の地で開催されますことを大変喜ばしく思います。
 全国高等学校総合文化祭は,芸術や文化活動に取り組む高校生の祭典として,これまでも開催地の生徒が主体となって,地域の特性と高校生ならではの感性を活かした大会づくりがなされてまいりました。このような高校生による芸術・文化の祭典が毎年開催されていることは,国民の芸術・文化に対するさらなる理解と参加意欲を喚起する上で,誠に意義深いものと考えます。

 昨年来のCOVID-19の感染拡大は,広く芸術・文化活動に大きな影響を及ぼしました。皆様も,活動を続けていく上で不安やご苦労があったことと推察いたします。そのような中にあっても,活動を行うことができる喜びを支えに,困難に向き合い,様々な工夫で感染防止を図りながら熱心に取り組んでこられた全国の高校生,その指導にあたられた方々,そして生徒実行委員会をはじめとする関係者のご尽力により,本日の開会を迎えることができました。

 私も,WEB開催となった昨年の大会を経て,2年ぶりに会場で皆様とお会いすることを楽しみにしておりました。しかしながら,東京都に緊急事態宣言が発せられたことから,ビデオメッセージでの参加となりましたことを大変残念に思います。
 本日は,総合開会式の模様を同時配信で視聴し,また明日は,いくつかの部門をオンラインで訪ねたいと思っております。

 今年の大会テーマは,「届けよう和の心 若葉が奏でるハーモニー」であります。参加される皆様には,日頃の活動と日々の生活の中で培われた創造性を表現し,それを全国へと発信されますことを期待いたしております。また,感染防止の観点から参加者相互の交流が難しい場面が多々あることと推察いたしますが,皆様それぞれが可能な場において交流を深め,友好の輪を広げていただきたいと思います。 

 終わりに,様々な課題を解決し,本大会の開催へと力を尽くされた多くの関係者の熱意と努力に深く敬意を表しますとともに,本日から始まる「紀の国わかやま総文2021」が,皆様の心にいつまでも残る素晴らしい一時となることを祈念し,開会にあたっての言葉といたします。

令和3年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
令和3年8月13日(金)

 【本年8月13日に開催された総合開会式には,東京都に緊急事態宣言が発せられたことから,ご臨席をお控えになりました。そのようなことから,主催者からの依頼によりビデオメッセージをお寄せになりました。】
 
 令和3年度全国高等学校総合体育大会が,全国各地から多数の参加者を迎え,「越山若水」と称される豊かな自然と景観に恵まれた福井県をはじめ,新潟県,富山県,石川県,長野県の北信越5県と和歌山県で開催されることを大変喜ばしく思います。
 本大会は,COVID-19の影響下でも,教育活動である部活動を止めないとの方針のもと,様々な工夫を重ね開催に至ったと伺っております。開催に向けて取り組まれた全国の関係者のご尽力に深く敬意を表します。また,多くの困難な状況の中でも精一杯の努力を続け,出場を果たされた皆様にお慶びを申し上げます。

 私も,2年ぶりに本日の開会式に出席し,皆様にお目にかかることを楽しみにしておりました。しかしながら,東京都などに緊急事態宣言が発せられたことから,ビデオメッセージでの参加となりましたことを大変残念に思います。

 さて,全国高等学校総合体育大会,インターハイは,高校生のスポーツ技能の向上やスポーツ精神の高揚を図るとともに,生徒相互の親睦を深め,心身ともに健全な青少年を育成することを目的とし, 1963年から開催されております。

 そして,歴史を振り返りますと,各競技の世界大会やオリンピックなど,国際的な大会に出場した選手の中には,かつてインターハイで活躍した方たちも多くおられると聞いております。

 これから競技に出場される方々には,そうした先達のように,「走れ 北信越の大地を とべ 北信越の大空へ」のスローガンのもと,感染予防に心を配られつつ,競技に臨んでは日頃の成果を存分に発揮されることを期待しております。

 また,この大会には,各開催県の多くの高校生が運営に協力をされています。感染防止の観点から多くの制約があることと推察いたしますが,皆様には,各県で尽力をされている方々とも可能な場において交流を深めていただきたく思います。そして,高校生活の良き思い出を作られることを願っております。

 終わりに,「輝け君の汗と涙 北信越総体 2021」が,選手の活躍と地元高校生,そして関係者の協力により,実り多いものとなることを祈念し,開会式に寄せる言葉といたします。

東京2020パラリンピック競技大会日本代表選手団結団式
令和3年8月17日(火)

【本年8月17日に開催された結団式は,COVID-19の感染拡大防止のため,会場での参加者を限定した上でWebを主体とした形で開催されました。このようなことから,主催者からの依頼によりビデオメッセージをお寄せになりました。】

本日,東京2020パラリンピック競技大会日本代表選手団の結団式が開催され,大会に参加される選手および役員の皆さまに,WEB上ではありますが,ご挨拶できますことを誠に嬉しく思います。

本大会は,COVID-19の世界的な流行の影響で1年延期されました。皆さまには,これまでの間,スポーツ選手として最良の状態を維持するため,多くの苦労と大変な努力をしてこられたことと思います。

皆さまには,そのような状況を乗り越えて,この度,日本代表になられたことをお慶び申しあげます。

東京で開催されるパラリンピック競技大会は,1964年大会に続き2回目となります。今回は,新たにバドミントンとテコンドーが競技として加わり,22競技539種目が実施されると伺っております。

さて,今回は,通常のパラリンピック競技大会とは大きく異なる環境での開催となります。参加される皆さまには,感染症への対応に十分留意され,そして競技の場に臨んでは,日々の成果を存分に発揮されることを願っております。

また,パンデミックが収束する兆しが見えない中においては参加者間の交流が難しいことと推察いたします。そのような状況ではありますが,皆さまには,それぞれが可能な場においてスポーツを通じた国際親善に努めていただきたく思います。

終わりに皆さまのご活躍をお祈りし,結団式に寄せることばといたします。

2021年(第31回)福岡アジア文化賞授賞式
令和3年9月29日(水)

 【本年9月29日に開催された授賞式は,COVID-19の感染拡大防止のため,無観客で開催されました。このようなことから,主催者からの依頼によりビデオメッセージをお寄せになりました。】

 このたび,第31回福岡アジア文化賞において,大賞を受賞されるパラグミ・サイナート氏,学術研究賞を受賞される岸本美緒氏,そして芸術・文化賞を受賞されるプラープダー・ユン氏に心からお祝いを申し上げます。 

 昨年は,COVID-19の感染拡大により授賞式が延期になり,このたびオンラインを活用して31回目の式典が行われ,皆様にご挨拶できますことを誠に嬉しく思います。
 ただ,第15回より毎年出席をし,受賞者からそれぞれの活動や研究について直接お話を伺うことは,私にとりまして貴重な機会でありましたので,本年受賞される皆様にお目に掛かれないことは誠に残念な思いです。この困難な状況が収束し,皆様を日本に,そして福岡にお迎えできる日が来ることを切に願っております。

 「福岡アジア文化賞」は,古くからアジア各地で受け継がれている多様な文化を尊重し,その保存と継承に貢献するとともに,新たな文化の創造,そしてアジアに関わる学術研究に寄与することを目的として,それらに功績のあった方々を顕彰するために創設されました。爾来,アジアの文化とその価値を世界に示していく上で, 顕著な役割を果たしてこられました。これまでの輝かしい受賞者の中には,アジア地域に限らず,世界各地で活躍されている方が多くおられることは,皆様がご存じのことと思います。

 私自身,アジアの国々をたびたび訪れ,多様な風土や自然環境が創り出し,長い期間にわたって育まれてきた各地固有の歴史や言語,民俗,芸術など,文化の深さや豊かさに関心を持ち,それらの保存・継承,更なる発展の大切さと,アジアを深く理解するための学術の重要性を強く感じてまいりました。また,人と人との直接的な交流が制限されているこの時期において,本賞がアジアの文化の価値とそれらについての学術的な側面を伝えていくことは,大変意義の深いことと考えます。

 その意味でも,本日受賞される3名の方々の優れた業績は,広く世界に向けてその意義を示し,また社会全体でこれらを共有することによって,次の世代へと引き継ぐ人類の貴重な財産になりましょう。

 終わりに,授賞式の開催に向けて尽力された皆様に敬意を表しますとともに,この福岡アジア文化賞を通じて,アジア諸地域に対する理解,そして国際社会の平和と友好がいっそう促進されていくことを祈念し,授賞式に寄せる言葉といたします。

造幣事業150年記念式典
令和3年10月4日(月)

 【本年10月4日に開催された式典は,COVID-19の感染拡大防止のため,会場での参加者を限定した上で開催されました。このようなことから,主催者からの依頼によりビデオメッセージをお寄せになりました。】

 日本で造幣事業が開始されてから150年が経ちました。本日,そのことを記念する式典が,造幣局が開設された大阪の地において催され,皆様に,画面を通してではありますが,ご挨拶できますことを誠に嬉しく思います。

 1871年4月,大阪の地にはじめて近代的造幣工場が完成して以来,造幣局は,純正画一な貨幣の製造を通じて,我が国の貨幣制度の確立や近代日本の建設,ならびに国民経済の発展に大きく寄与してきました。
 それとともに,造幣事業を通じて培った高度な技術を活用し,勲章や褒章の製造,ネックレスなどの貴金属製品の品位証明に取り組むなど,造幣局は,一貫してその社会的使命を果たしてこられました。
 さらに2007年以降は,諸外国からの受注に基づく外国貨幣の製造も行っており,国際的な貢献にも大なるものがあります。
 また,来月には,これまで培ってきた多くの知見と技能を結集し,最新の偽造防止技術を取り入れた,新しい500円貨幣の発行が予定されていると伺っております。

 私は,今から28年前の1993年に,造幣局を訪問いたしました。その折には,貨幣や勲章を製造している工場を見学いたしましたが,そこで一所懸命仕事に励んでおられた方々の姿が,深く印象に残っています。
 今日の造幣事業が国民の信頼を得て円滑に運営されているのは,一重に長年にわたる飽くなき向上心と弛まぬ努力による知識の蓄積と技能の向上,そして,それらを継承していくため,後進を育成してこられた賜物と申せましょう。ここに,本事業に携わってこられた皆様のご努力とご労苦に,深く敬意を表します。

 終わりに,造幣事業150年の節目の年にあたり,皆様が,さらなる技術の研鑽に励まれ,国民からの信頼や国内外の期待に引き続きこたえていかれることを祈念し,本式典に寄せる言葉といたします。

第44回全国育樹祭
令和3年10月10日(日)

 【本年10月10日に開催された式典行事は,COVID-19の感染拡大防止のため,会場での参加者を限定した上で開催されました。そのようなことから,主催者からの依頼により,現地でのおことばに代え,ビデオメッセージをお寄せになりました。】

 第44回全国育樹祭が,全国一の面積を有する豊かな森林に恵まれた北海道において開催されますことを大変喜ばしく思います。

 現在,COVID-19の影響により,私たちの日常は,様々な場面において制約を余儀なくされております。このことは,森林づくりに携わる方々にも様々な影響を及ぼしていることと推察いたします。
 このような状況の中,大会関係者のご尽力により,本日を迎えることができました。私も北海道を訪れ,皆様とお会いすることを楽しみにしておりましたので,今回出席できないことを大変残念に思います。そのようなことから,本日は,式典の様子をWEBの同時配信で視聴しております。

 さて,昨日は,2007年に第58回全国植樹祭が開催された苫小牧市で,当時の天皇皇后両陛下が植樹をされた樹木の手入れが行われ,私もオンラインで参加いたしました。両陛下が植樹をされた北海道の木であるアカエゾマツや,濃い花の色で知られるエゾヤマザクラなどが健やかに育っていることや,その時に記念植樹された約2万本の苗木が森となり,「苫東・和みの森」の愛称で親しまれ,道民やボランティアの方々の協力の下で大切に守り育てられていることを聞き,大変嬉しく思いました。
 また,木や森林との触れあいを通じて豊かな心を育む「木育」を全国に先駆けて提唱し取り組んできた北海道で,百年先を見据えた森林づくりが,道民との協働により,たゆみなく進められていることには,大きな意義を感じます。

 森林は,国土の保全や水源の涵養,木材や特用林産物の供給などを通じ,私たちの暮らしに必要なものや豊かさをもたらすとともに,二酸化炭素の吸収源や生物多様性の保全の場を提供するなど,地球環境を守る上でも重要な役割を果たしております。
 このように,かけがえのない豊かな森林を後世へと引き継いでいくことは,私たちに課せられた大切な務めでありましょう。

 その意味から,本日表彰を受けられる方々をはじめ,日頃からそれぞれの地域において,国土の緑化に力を尽くされている全国の皆様に敬意を表しますとともに,このような活動が今後も多くの人々に支えられ,一層発展していくことを期待いたしております。
 
 おわりに,本大会のテーマである「つなごう未来へ この木 この森 この緑」にふさわしく,豊かな森林を育む取組が,北海道の地から全国へと大きく広がり,未来へと受け継がれていくことを祈念し,本式典に寄せる言葉といたします。