主な式典におけるおことば(令和4年)

秋篠宮皇嗣殿下のおことば

「全国学校・園庭ビオトープコンクール2021」発表大会
令和4年1月23日(日)(国立オリンピック記念青少年総合センター)

 本日,「全国学校・園庭ビオトープコンクール2021」の発表大会に,皆様とともに出席できましたことを大変嬉しく思います。そして,このたび各賞を受賞される皆様に心よりお祝いを申し上げます。

 さて,昨年10月に,「国際連合生物多様性条約第15回締約国会議」の第1部が開催されました。その時の声明の中に,遅くとも2030年までに,生物多様性の損失を止め,回復軌道に乗せることを確実にすることが掲げられております。今日,地球全体で,約100万種の動植物が絶滅の危機にあると言われております。そして,日本においても,生き物の多様性は,長期的に悪化傾向にあるとされています。持続可能な開発目標,いわゆるSDGsには,目指すべき世界像として,「人類が自然と調和し,野生動植物その他の種が保護される世界」が記されております。そのことを達成するためには,私たち一人ひとりが自然からの恩恵を理解するとともに,自分たちの身近にある自然に対して関心と愛着を持つことが必要になってまいりましょう。

 その意味において,学校や園庭に作るビオトープは,そこに通う人たちにとって,自然の生態系や生き物の多様性を考える大切な機会を提供してくれることと思います。このたびのコンクールにおける受賞事例では,教材として活用し,あるいは地域の様々な人々と連携するなど,興味深い取り組みが行われていると伺っております。このような意義深い取り組みが広く紹介されることは,持続可能な社会の実現に向けた人づくり・地域づくりに大きく貢献するものと考えます。

 終わりに,本コンクールも今回で12回目を迎え,学校や園にビオトープがあることの大切さが広く認識されるようになってきたことと思います。このことは,本活動に携わってこられた多くの方々のご尽力によるものであり,ここに深く敬意を表します。そして,学校・園庭ビオトープの取り組みが,今後も日本各地で普及し,自然を慈しむ心の輪が広がっていくことを祈念し,私の挨拶といたします。

第24回オリンピック冬季競技大会(2022/北京)TEAM JAPAN結団式
令和4年1月29日(土)(グランドプリンスホテル新高輪)

 本日,2月4日から中華人民共和国の北京市を中心に開催される第24回オリンピック冬季競技大会に参加されるTEAM JAPANの皆さまにご挨拶できますことを誠に嬉しく思います。

 このたびのオリンピック競技大会においては,スキー・フリースタイルのビッグエア男女,ボブスレーの女子一人乗りの他,スキー・ジャンプ,フリースタイルのエアリアル,スノーボードクロス,スケート・ショートトラックのリレーにおいて4つの混合種目も新たに加わり,前回の平昌大会を上回る7競技109種目が実施されると伺っております。

 この大会に向けては,COVID-19の影響により,練習環境も含めて大変困難を伴うことが多かったことと思います。そのような中,出場される方々には,厳しい選考を経て日本代表になられたことをお慶び申しあげます。

 今回は,通常の冬季オリンピックとは大きく異なる環境で開催される大会となります。参加される皆さまには,感染症への対応に十分心を配られつつ,競技の場に臨んでは,日頃の成果を存分に発揮されることを期待しております。そして,スポーツを通じての国際親善に努めていただくことを願っております。

 皆さまのご活躍をお祈りし,結団式に寄せる言葉といたします。

第18回日本学術振興会賞並びに日本学士院学術奨励賞
令和4年2月3日(木)

【表彰式典は中止となりましたが,主催者からの依頼により受賞者へのお祝いのメッセージをお寄せになりました。】


受賞者の皆様

第18回日本学術振興会賞を受賞された皆様,ならびにその中から日本学士院学術奨励賞を受賞された皆様に心からお祝いを申し上げます。

年明けから,一時収まっていたCOVID-19の感染者数が再び増加したことにより,本年も昨年に引き続き授賞式が開催されないことになりました。今年は受賞された方々とお目にかかり,それぞれの研究についてお話を伺うことができるのではないかと期待しておりましたので,皆様にお目にかかれないことを誠に残念に思います。

さて,昨年は,日本出身で,米国プリンストン大学で研究をされている眞鍋淑郎博士が,気候の物理的モデリング,気候変動の定量化,地球温暖化の確実な予測により,ノーベル物理学賞を共同受賞されるという,大変喜ばしいことがありました。

その眞鍋博士は,受賞者発表直後のインタビューで,今回の受賞につながった研究が,もとは好奇心からスタートしたこと,そして本当に面白い研究は好奇心から出た研究だという主旨のことを語っておられました。この言葉のとおり,学術研究は研究者の知的好奇心と自由な発想が出発点となり,地道に研究を継続することによって新たな知見が獲得され,さらにその先の多様な展開へとつながるものであると考えます。さらに,人類社会は,地球温暖化や様々な疾病を始めとする多くの困難な問題に直面しており,こうした問題の解決に,多様な学術領域の知見が必要不可欠なものであることは言を俟ちません。

その意味で,これまで我が国の学術研究を支えてこられた日本学術振興会と日本学士院が協力して,人文学,社会科学から自然科学にわたる幅広い分野で若手研究者を顕彰し,その研究意欲をより高め,研究の発展を支援しようとすることには大きな意義を感じます。

現下のCOVID-19のパンデミックは,あらゆる国や地域において,社会の状況を大きく変えてしまいました。しかし,そのような中におきましても,これまでに蓄積されてきた様々な学術分野の知見をもとに多くの対策が講じられてきました。また,世界中の研究者の努力により,この感染症と原因となっているSARS-CoV-2に関する研究が日々進展してきております。それらの成果により,この困難な状況を乗り越える日が訪れることを期待しております。

この度,受賞の栄に浴された皆様は,これまでに大変優れた業績をあげておられますが,この受賞を一つの契機として,今後さらに充実した研究を進められ,世界的に活躍されることを祈念し,お祝いの言葉といたします。

時節柄,くれぐれもご自愛ください。

 2022年2月

秋篠宮 文仁

北京2022パラリンピック冬季競技大会日本代表選手団結団式
令和4年2月24日(木)

 【本年2月24日に開催された結団式は,COVID-19の感染拡大防止のため,会場での参加者を限定した上でWebを主体とした形で開催されました。このようなことにより,主催者からビデオメッセージによるお言葉の提供依頼があり,メッセージをお寄せになりました。】


 本日,「北京 2022 パラリンピック冬季競技大会」日本代表選手団の結団式が開催され,大会に参加される選手ならびに役員の皆さまに,WEB 上ではありますが,ご挨拶できますことを誠に嬉しく思います。

 このたびのパラリンピック冬季競技大会においては,中華人民共和国の北京市を中心に,アルペンスキーやクロスカントリースキーをはじめとする6 競技78種目が実施されると伺っております。

 この大会に向けては,COVID-19 の影響により,練習環境も含めて多くの困難を伴ったのではないかと思います。そのような中,出場される方々には,厳しい選考を経て日本代表になられたことをお慶び申しあげます。

 今回は,通常の冬季パラリンピックとは大きく異なる環境で開催される大会となります。参加される皆さまには,感染症への対応に十分心を配られつつ,競技の場に臨んでは,日頃の練習の成果を存分に発揮されることを期待しております。そして,スポーツを通じての国際親善に努めていただくことを願っております。

 皆さまのご活躍をお祈りし,結団式に寄せる言葉といたします。

第32回全国「みどりの愛護」のつどい
令和4年2月25日(金)

 【昨年9月に開催予定であった式典は中止となりましたが,記念植樹式は関係者に限定するなどして開催されました。
記録誌を発行するにあたり,主催者からの依頼によりお言葉をお寄せになりました。】


 第32回全国「みどりの愛護」のつどいにあたり,花と緑の愛護に顕著な功績のあった団体として,「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞された110団体ならびに神奈川県都市緑化功労者知事表彰を受賞された31団体の皆様に心からお祝いを申し上げます。

 本年は,神奈川県の横須賀市において,全国からみどりの愛護団体がつどう式典が行われる予定でしたが,COVID-19の感染状況に鑑み中止になりました。そのようなことから,皆様にお目にかかり,お話をする機会を得ることができず,誠に残念です。この困難な状況が一日も早く収束し,皆様とお目にかかれる日が訪れることを切に願っております。

 さて,緑は,地球温暖化や災害の防止,生物多様性の保全の場など,現在直面している地球規模の環境諸問題へ対処する上で,大切な役割を担っております。また,美しい景観の形成や日々の暮らしにゆとりと潤いをもたらしてくれる存在でもあります。そして,我が国は緑豊かな環境の中で,四季折々に姿を変える美しい自然の恵みを受け,それらを背景として数多くの文化を生み,育んでまいりました。

 ここ神奈川県は,「三浦半島の丘陵の緑」や「丹沢・大山などの山地」,「相模湾から東京湾に至る変化に富む海岸線」など多様な自然景観や,「日本の開国から近代化を彩った歴史的な遺産」など地域資源に恵まれています。
 また,そのような豊かな自然環境や地域資源とともに,「鎌倉彫」や「箱根寄木細工」など,人々の暮らしに根付いた伝統工芸が継承されてきました。
 
 貴重な緑と,その緑を源とする清らかな水を守るとともに,新たな緑を創り出し,育てていくためには,多くの人々がその大切さを理解し,幅広く運動に参加していくことが重要でありましょう。その意味で,受賞された方々のみどりの愛護活動への取組は,大変意義深いものであり,皆様の努力に対し深く敬意を表します。

 終わりに,多くの人々が緑を守り育てる心を持つとともに,緑豊かな環境づくりが一層発展していくことを祈念し,第32回全国「みどりの愛護」のつどいに寄せる言葉といたします。

社会福祉法人恩賜財団(※正しくは「恩賜」「財団」を二段組みとして,一文字分の大きさで示したもの。)済生会創立110周年記念式典
令和4年2月27日(日)(明治記念館)

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大日本山林会「第60回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事賞状伝達贈呈式」
令和4年3月8日(火)(三会堂ビル)

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大日本農会「令和3年度農事功績者表彰事業」
令和4年3月16日(水)

【表彰式典は中止となりましたが,受章者へは総裁からメッセージをお送りになられました。】

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大日本水産会「令和2年度及び3年度水産功績者表彰式」
令和4年3月22日(火)(赤坂インターシティAIR)

 3月16日夜,福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生いたしました。それにより,本日の表彰式への出席が叶わなくなった方がおられると伺っております。この地震で影響を受けられた方々にお見舞いを申し上げます。

 本日,大日本水産会「令和2年度及び3年度水産功績者表彰式」が,2年ぶりに開催されますことを誠に喜ばしく思います。昨年度に受章をされた皆様,そして本日受章をされる皆様に,心からお祝いを申し上げます。
 また,かねてより魚をはじめとする水族に親しんできた私にとり,全国各地で水産業に深く携わっておられる皆様とお会いできましたことを大変嬉しく思います。

 大日本水産会は,水産業の振興を図り,その経済的・文化的発展を推進することを目的として,1882年に創立されました。爾来,今年で140年という長い歴史を有し,水産業振興のために様々な事業を展開してこられました。中でも1890年に始まった「水産功績者表彰」は,貴会において,大変重要な事業として位置付けられ,本年で105回目,総受章者数は3,266名を数えます。そして,これまでの受章者を見ますと,歴史の一幕にその名を刻んだ人々の名前もあり,改めて貴会の歴史の重みを感じます。

 四方を海に囲まれ,湖沼や湧水,清流に恵まれている我が国では,かねてより漁業や養殖業が盛んで,それに伴って,関連する加工業や流通業が発展してまいりました。水産業は,特に鮮度と安定的な供給が求められる産業であり,長年にわたり,これら各分野の振興に力を尽くしてこられた皆様には,さまざまなご苦労があったことと推察し,深く敬意を表します。

 我が国では,古来より魚介類が身近で貴重なタンパク源として親しまれてまいりました。さらに昨今の健康志向もあり,魚介類に対する人びとの関心が高まるとともに,海外においても,食文化としての和食が普及し,その中心的な存在である魚介類が注目されております。
 
 このように,水産業はこれからも様々な可能性が期待される重要な産業であります。いっぽう,近年の日本の水産業を取り巻く状況に目を向けますと,水産資源の減少や漁業の後継者不足,海洋環境の変化,赤潮や福徳岡ノ場で生じた軽石の被害,さらにはCOVID-19による水産物の需要停滞と価格低下など,様々な課題が山積しており,それらの解決のため,政府や水産業界,そしてそれぞれの現場における取り組みが,日々行われております。

 このような状況のもと,受章者の皆様には,これを一つの契機とし,健康に留意されつつ,今後とも日本の水産業の維持と発展のために活躍されますことを期待いたしております。

 終わりに,大日本水産会が今後ますます発展し,我が国の水産業の振興に一層貢献されることを祈念し,本式典に寄せる言葉といたします。

「第30回地球環境大賞」授賞式
令和4年4月28日(木)(明治記念館)

 本日,第30回「地球環境大賞」の授賞式が3年ぶりに開催されるにあたり,皆様とともに出席できましたことを,大変うれしく思います。そして,このたび各賞を受賞される方々に心からお祝いを申し上げます。

 皆様が行ってこられた取り組みは,植樹による都市部の生物多様性の保全,脱炭素に寄与する先進技術開発,持続可能な農林業,まちづくりのための新たな施策など,地球環境の保全や自然環境との共存に大きく寄与するものであります。ここに皆様の今までのご努力に対し,深く敬意を表します。

 近年,地球温暖化の防止や生物多様性の保全,廃棄プラスチックによる海洋汚染など,様々な環境問題に対する人々の関心と意識は非常に高いものを感じるとともに,これらがグローバルな展開を見せております。そのいっぽうで,気候変動が大きな要因とみられる自然災害が世界各地で数多く発生しています。我が国でも,毎年のように豪雨による大きな被害が全国各地で生じております。地球環境に関わるこれらの問題を考えるとき,自然環境の保全とともに,防災や減災についての意識を高め,諸課題解決に向けた方途を探求していく必要性を強く感じます。

 本年で30回目を迎えた地球環境大賞は,環境を守りながら発展する産業や,持続可能な循環型社会の実現に寄与する製品や技術の開発など,環境保全の取り組みを顕彰し,社会に貢献することを目的として創設されました。爾来,産業界に始まり,自治体,学校,市民グループへと表彰の対象を広げ,環境保全と災害への対応に熱心に取り組む人々を広く顕彰することによって,地球環境の保全と人々の環境意識を高めることに貢献してきました。

 国連の持続可能な開発目標,いわゆるSDGsが注目を集め,昨年の「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」においては,我が国をはじめ多くの国々が地球温暖化防止に向けたカーボンニュートラルに触れ,目標を宣言いたしました。COVID-19のパンデミックによるものをはじめ,現在,世界の社会経済情勢には厳しいものがあります。しかし,そのような中にあっても環境に関する諸問題の重要性は不変です。今後とも,日本の優れた環境関連技術や知識をもって世界に貢献していくことが求められましょう。その意味でも,国際社会のモデルとなるような優れた実績を積み重ねていくことは,誠に意義深く大切なことと考えます。

 終わりに,受賞者をはじめとする皆様が,これまでにも増して温暖化の防止など,地球の環境保全や自然との共存に積極的に取り組んでいかれることを期待するとともに,その活動がより一層広がりを見せることを祈念し,本式典に寄せる言葉といたします。

第10回「日本医師会 赤ひげ大賞」表彰式
令和4年5月12日(木)(帝国ホテル東京)

 第10回「日本医師会 赤ひげ大賞」の表彰式が開催され,皆様と共に出席できましたことを大変嬉しく思います。そして,本日表彰を受けられる方々に,心からお祝いを申し上げます。
 
 この赤ひげ大賞は,地域の人々に寄り添いながら,病気の治療を行うのみならず,健康の保持や増進など,日々の暮らしを守る活動を行う「かかりつけ医」に光を当て,地域医療の発展を願って設立されたと伺っております。
 
 近年,高齢化が急速に進む中,各地の医療現場では,離島などの地理的条件が厳しい土地に医師の存在がなかったり,都市部ではあるものの病院が撤退したり,また,診療科が偏っていたりするケースが見られます。さらに,COVID-19の影響により,持病をもちながらも通院や検診を躊躇する人々も出てきております。
 
 日本では,2020年初頭から始まったCOVID-19の感染拡大により,対面での人と人との交流に大きな制約を受けるなど,日々の生活に様々な制限を余儀なくされるようになりました。このような中にあって,全国各地の医療現場での感染症対策をはじめ,それぞれの地域において人々の健康を守るために力を尽くされている方々に,深く敬意を表します。

 このたびの受賞者は,様々な課題に使命感を持って応え,各々の地域にとって無くてはならない存在として活躍されている方々と承知しております。皆様が,今回の受賞を一つの里程標として,今後も健康に留意されつつ,医療活動に尽力されることを願っております。

 終わりに,「日本医師会 赤ひげ大賞」が,地域住民の診療や健康管理に日々携わっている医師の大きな励みとなり,地域医療の更なる発展につながることを祈念し,私の挨拶といたします。