主な式典におけるおことば(令和4年)

天皇陛下のおことば

新年ビデオメッセージ(令和4年1月1日)


新年ビデオメッセージ(令和4年1月1日)

天皇陛下

新年おめでとうございます。


皇后陛下

おめでとうございます。


天皇陛下

今年も,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,一般参賀で皆さんに直接お話をすることが残念ながらできません。そこで,昨年と同じようにビデオで御挨拶をしようと思います。

この1年も新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい,国の内外で多くの方が感染し,亡くなりました。亡くなられた方々に,深く哀悼の意を表しますとともに,大切な方を亡くされた多くの方々に,心からお見舞いを申し上げます。また,これまで,献身的に治療に当たってこられた医療従事者の皆さんの並々ならぬ御尽力に改めて敬意と感謝の意を表します。

我が国では,幸いにしてワクチン接種が行き渡ってきたことや,国民の皆さんのたゆみない努力などにより,新型コロナウイルスの感染者の数が一時に比べて大きく減少し,随分と落ち着きを見せています。また,新型コロナウイルス感染症により重症化する方や亡くなる方も確実に少なくなってきており,明るい兆しが見えてきたようにも思われます。同時に,今,私たちは,オミクロン株という,新たな変異ウイルスの脅威にも直面しています。

海外に目を向けると,感染者数が増加している国も多く,中には,ワクチンが手に入らなかったり,必要な治療が受けられない人々も大勢おり,このような状況が早く改善することを願っています。

国内にあっては,この新型コロナウイルス感染症の影響により,仕事を失ったり,苦しい生活状況に陥る方も多く,心が痛みます。助けを必要としている方々のところに,多くの温かい手が差し伸べられることを願ってやみません。

国民の皆さんのこれまでの御苦労もいかばかりかと思いますが,今一度,私たち皆が,これまでの経験に学び,感染症の対策のための努力を続けつつ,人と人とのつながりを一層大切にしながら,痛みを分かち合い,支え合って,この困難な状況を乗り越えていくことを心から願っています。

そして,新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まり,皆さんと再び直接お会いできる日が来ることを心待ちにしています。

昨年は,東日本大震災の発生から10年を迎えた年でした。人々のたゆみない努力により,一歩一歩復興が進んできていますが,その一方で,多くの方々が,困難な状況の中で今なお苦労を重ねておられることを案じています。また,昨年も台風や大雨により,多くの方が被害に遭われ,亡くなられたことに胸が痛みます。これからも被災地の方々に心を寄せていきたいと思います。

私たちの前には,まだ様々な困難が横たわっていますが,そのような中にあって,昨年夏に行われた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は,選手や関係者の努力により,多くの人々に勇気と希望を与えるものとなったことと思います。

本年が,皆さんにとって,明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことのできる良い年となることを,心から願っています。新年に当たり,我が国,そして世界の人々の幸せと平和を祈ります。


皇后陛下

昨年も,多くの方にとって御苦労の多い年だったのではないかと思います。また,年の暮れからの寒波で大変な思いをされている方も多いのではないでしょうか。どうぞ皆様くれぐれもお体を大切にお過ごしいただきますように。

今年が,皆様にとって少しでも穏やかで,実り豊かな年となりますよう,心からお祈りしております。


新年をお迎えになったご一家のご近影

第208回国会開会式
令和4年1月17日(月)(国会議事堂)

 本日,第208回国会の開会式に臨み,全国民を代表する皆さんと一堂に会することは,私の深く喜びとするところであります。
 国会が,国民生活の安定と向上,世界の平和と繁栄のため,永年にわたり,たゆみない努力を続けていることを,うれしく思います。
 ここに,国会が,当面する内外の諸問題に対処するに当たり,国権の最高機関として,その使命を十分に果たし,国民の信託に応えることを切に希望します。

第9回世界水フォーラム(ビデオ)
令和4年3月21日(月)(セネガル・ダカール市)


第9回世界水フォーラムにおける天皇陛下おことば

2022年3月21日
 セネガル・ダカール市

マッキー・サル セネガル共和国大統領閣下
ロイ・フォーション 世界水会議会長
御出席の皆様

「平和と発展のための水の安全保障」をテーマとし,水と緑の豊かな文化と歴史を育むセネガル共和国ダカール市で開催される第9回世界水フォーラムにビデオで参加できることをうれしく思います。お招きいただいたマッキー・サル大統領閣下に感謝するとともに,新型コロナウイルス感染症の影響による様々な困難に直面する中でこの会合を実現されたセネガル共和国政府,世界水会議,そして全ての関係者の皆さんに深い敬意を表します。

今回の世界水フォーラムは,第1回がモロッコで開催されて以来,4半世紀ぶりにアフリカで開催されますが,経済社会が急速に発展しているアフリカにおいても水は大変重要な役割を果たしています。アフリカは年3%超の速さで経済成長を果たし,都市人口の増加率は約3.6%と世界平均の約2倍となっています。このような中,アフリカの電力需要の20%近くを賄う水力発電は2040年までに現在の3倍近くに増加することが予測されるなど,食糧,飲料水,衛生,電力といった主要な水分野で旺盛な需要が見込まれます。経済社会の急速な発展と水需要の増加が著しいアフリカはまさに水分野で注目すべき地域といえましょう。私も,2010年にガーナ国を訪れた際にアコソンボダムを見た時,その規模の大きさに驚くとともに,ダムで発電された電力が近隣諸国にも輸出されていることを聞き,アフリカにおける水力発電の重要性を認識しました。

一方,本フォーラムのテーマである「平和と発展のための水の安全保障」を考える上では,その国・地域の経済社会の発展だけでなく,気候変動のような地球規模での課題にも目を向ける必要があります。私は,2007年から国連 水と衛生に関する諮問委員会(UNSGAB)の名誉総裁を8年間務めました。このUNSGABがその基調提言書である「橋本行動計画」の中で提言し,実現したのが2008年のアフリカ連合(AU)水サミットです。この時採択されたAU水サミット宣言は,気候変動による水資源への脅威に対処するため,各国の気候変動適応策を強化することを(うた)っています。AU水サミット開催地であったエジプトのシャルム・エル・シェイクで,本年開催される国連気候変動枠組条約第27回締約国会合(COP27)においても,AU水サミット宣言の精神が受け継がれ,水と気候変動に関する議論が更に深まり,具体的な行動につながっていくことを期待しています。

さて,現在,世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症により,私たちは水と衛生が健康の礎であることを実感しました。また,災害の被災地や紛争地における水の確保も大きな問題であると思います。持続可能な開発目標(SDGs)の一つである基本的な水と衛生への完全なアクセス達成に向けた取組の加速が必要となっています。そして,先ほど述べた気候変動など地球規模の課題や感染症といった,繰り返して生じる脅威に対処しながら,水と衛生,水と食糧・エネルギー分野の連携強化,水災害,水環境,統合水資源管理などの様々な水に関する課題を解決するために,水分野を超えた各分野とも連携して,包括的,継続的,柔軟に取り組むなど,私たちがいかに貢献していけるかが問われています。

その意味で,来年開催される国連2023水会議は,1977年のマルデルプラタ会議以来の,水問題を中心に議論する,水の将来にとって重要な国連会議となるでしょう。その主要な準備会合として,ここダカールでの様々な議論が,アフリカ,そして地球規模の水をめぐる課題の解決に向けた取組に新たな風を吹き込み,更に来月日本の熊本で開催される第4回アジア・太平洋水サミットへ継承され発展することによって,国連2023水会議での実りある議論と行動につながっていくことを期待しています。

海洋,大気,大地を巡る水は,等しくその過程で全ての生き物を育みます。地球上の全ての人々が,互いを思いやりながらこの恵みを分かち合い,共に繁栄と幸福の道を歩んでいくことを強く願います。私たちは,水問題の解決に向けた長い道のりのいまだ半ばにいますが,一人一人が人と水との関わりの歴史や経験から学び,様々な地域における良い事例など,そこから得られる見識を共有し,それぞれの水文化を育んでいくことが,地域の水問題を解きほぐし,平和と発展につながっていくものと信じています。今回の会合とその先にある多くの対話と行動の機会を通じて,水問題をめぐる国や地域の境界を越えた相互理解が進み,社会がつながり,人々がお互いを認め合う,平和な世界につながっていってほしいと願っております。その確かな歩みを願いながら,私も今後とも水問題に関心を寄せていきたいと思います。

ありがとうございました。

2020・2021・2022年 日本国際賞(Japan Prize)授賞式
令和4年4月13日(水)(帝国ホテル)

 日本国際賞の授賞式に,関係者の皆さんと共に出席できることをうれしく思います。この度の授賞式に当たり,ロバート・ギャラガー博士,スバンテ・ペーボ博士,マーティン・グリーン博士,バート・フォーゲルシュタイン博士,ロバート・ワインバーグ博士,カタリン・カリコー博士,ドリュー・ワイスマン博士,クリストファー・フィールド博士が,それぞれ受賞されたことを心からお祝いいたします。
 ギャラガー博士は,デジタル情報通信における不具合の検出や訂正の方法として信頼性と効率性の高い「LDPC符号」を提案されました。この方式は,コンピュータの処理能力の向上に伴って有効性が見い出され,現代のデジタル化社会を支える極めて重要な基盤技術となっています。
 ペーボ博士は,古代人の骨からDNAの断片を抽出して解析する遺伝学的手法を取り入れ,世界で初めてネアンデルタール人のゲノム解読に成功されました。以来この方法で現生人類の進化の核心に迫る成果を挙げ,現生人類の誕生と進化の解明に新たな光を当てられました。
 グリーン博士は,1970年代から結晶シリコン太陽光発電デバイスのエネルギー変換効率の向上に取り組み,性能面とコスト面で優れた実用的なデバイスを発明されました。現在,この技術は太陽光発電の主流となっており,博士の研究が太陽光発電の普及に大きく寄与しています。
 フォーゲルシュタイン博士とワインバーグ博士は,がんは1個の細胞内に複数の遺伝子の変異が段階的に起こることによって発生するという「多段階発がんモデル」を提唱し,それを実証されました。細胞のがん化の過程の解明は,現代のがん治療法の開発に大きく貢献しました。
 カリコー博士とワイスマン博士は,m(メッセンジャー)RNAを構成するウリジンを修飾核酸のシュードウリジンに置き換えることで,医薬品として体内に投与したときの望まれない免疫反応を抑制できることを発見されました。これにより,医療への応用の道が(ひら)かれ,迅速な新型コロナウイルスワクチンの開発につながりました。
 フィールド博士は,植物が土壌に根付いた状態のまま,生きた葉の光合成速度や蒸散量を測定できる装置を開発し,環境の変化が光合成に与える影響を定式化されました。博士はさらにモデルを発展させ,グローバルな生物圏の二酸化炭素吸収量の分布や,大気中二酸化炭素濃度の上昇の原因を明らかにされ,将来の気候変動予測を可能とされました。
 各博士の御研究は,様々な科学技術の発展や人類の健康に大きく貢献するものであり,ここに,深く敬意を表します。
 現在,我が国を含め世界中の人々が,新型コロナウイルス感染症の影響により,様々な困難に直面しています。そのような状況の中で,科学技術が果たす役割は,更に重要になってくるものと思われます。様々な分野の叡智(えいち)を結集し,世界の人々が互いに力を合わせることにより,この困難な状況を乗り越え,希望に満ちた未来を築いていくことを願っています。
 この日本国際賞が,人々に幸福をもたらす科学技術の発展に一層寄与するとともに,人類の平和と繁栄に貢献することを希望し,式典に寄せる言葉といたします。

第4回アジア・太平洋水サミット開会式(オンラインにて御臨席)
令和4年4月23日(土)(熊本城ホール)
【実際のおことばは,英語で述べられています。こちらのページでは和訳したものを掲載しています。】

 挨拶に先立ち,2016年の熊本地震や2020年など近年の豪雨災害により,亡くなられた方々に対して哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々を心からお見舞いいたします。災害からの復旧・復興が一日も早く進むことを願っております。

御列席の皆様

 第4回アジア・太平洋水サミットが,アジア太平洋地域はもとより,世界各国から多くの参加者を迎えて熊本市において開催され,オンラインという形で,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

 開催地である熊本市は水に恵まれ,約74万人もの市民の水道水源の全てを地下水で賄う世界でも希有(けう)な都市です。この恵まれた資源を後世に確実に守り伝えるために,地域の住民・事業者・行政が一体となって,地下水の涵養(かんよう)や水環境の保全などの優れた取組が行われています。熊本地震からの復旧・復興も進んでいる中,この地で「持続可能な発展のための水~実践と継承~」をテーマとした本サミットが開催されることは大変意義深いことと思います。

 水は,地球上のあらゆる生命の源であり,多くの恵みを与えてくれる一方で,時には洪水などで災害をもたらす脅威となります。また,水問題は,貧困,教育,ジェンダーなど,持続可能な開発目標(SDGs)の他の課題とも密接に関連した問題として捉えられます。私たちは新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中で,水と衛生が健康の礎であることを改めて実感しました。また,災害の被災地や紛争地における水の確保も大きな問題であると思います。

 今回のサミットでは,各国首脳が多様な水問題を解決するための構想や思考を共有し,更には,国際機関,政府機関,NGO,各分野の専門家など様々な人々が集い議論し,叡智(えいち)を結集して具体的な解決策を探り,行動に移すことが期待されています。また,会議には多くの若い人々も参加すると聞いています。アジア太平洋地域の水について考えるこのサミットに,次の世代を担う若い人々が国を越えて参加されることは大変意義深く,皆さんの活躍を楽しみにしています。

 来年には国連で46年ぶりに水問題を中心に議論する会議が開催されます。今回のサミットが大きな成果を上げ,アジア太平洋地域,更には世界の水問題の解決,そして,水を通じた全世界の人々の幸福と世界の平和に向けた大きな一歩となることを心から願い,私の挨拶といたします。

 ありがとうございました。

沖縄復帰50周年記念式典(オンラインにて御臨席)
令和4年5月15日(日)(グランドプリンスホテル新高輪国際館パミール,沖縄コンベンションセンター)

 沖縄復帰50周年に当たり,本日,沖縄と東京をオンラインでつなぎ,記念式典が開催されることを誠に喜ばしく思います。
 先の大戦で悲惨な地上戦の舞台となり,戦後も約27年間にわたり日本国の施政下から外れた沖縄は,日米両国の友好と信頼に基づき,50年前の今日,本土への復帰を果たしました。大戦で多くの尊い命が失われた沖縄において,人々は「ぬちどぅたから」(命こそ宝)の思いを深められたと伺っていますが,その後も苦難の道を歩んできた沖縄の人々の歴史に思いを致しつつ,この式典に臨むことに深い感慨を覚えます。
 本土復帰の日,中学1年生であった私は,両親と一緒にニュースを見たことをよく覚えています。そして,復帰から15年を経た昭和62年,国民体育大会夏季大会の折に初めて沖縄を訪れました。その当時と比べても,沖縄は発展を遂げ,県民生活も向上したと伺います。沖縄県民を始めとする,多くの人々の長年にわたるたゆみない努力に深く敬意を表します。
 一方で,沖縄には,今なお様々な課題が残されています。今後,若い世代を含め,広く国民の沖縄に対する理解が更に深まることを希望するとともに,今後とも,これまでの人々の思いと努力が確実に受け継がれ,豊かな未来が沖縄に築かれることを心から願っています。
 美しい海を始めとする自然に恵まれ,豊かな歴史,伝統,文化を育んできた沖縄は,多くの魅力を有しています。沖縄の一層の発展と人々の幸せを祈り,式典に寄せる言葉といたします。

第72回全国植樹祭(オンラインにて御臨場)
令和4年6月5日(日)(鹿深夢の森)

 第72回全国植樹祭が滋賀県の「鹿()(ふか)夢の森」で開催されるに当たり,オンラインという形で出席し,皆さんと一緒に植樹を行うことができることをうれしく思います。
 滋賀県においては,昭和50年に当時の栗太郡栗東町にある金勝山(こんぜやま)で第26回全国植樹祭が開催されました。私たちは,平成7年の第19回全国育樹祭の折,その植樹祭会場を訪れ,昭和天皇お手植えのヒノキの枝打ちと香淳皇后お手植えのモミジの施肥を行いました。当時の会場は「県民の森」として地域の人々に親しまれ,植樹された木々も立派に育っていると聞いております。
 滋賀県の中央部に位置する琵琶湖は,周囲の山々から流れ出す河川によって形成され,人々の暮らしを支える重要な水源として,また,水上交通の要所として大きな役割を果たしてきました。滋賀県の豊かな森林は,琵琶湖の水源を擁し,琵琶湖固有の生態系を育むとともに,古代より,森林から切り出された木材が琵琶湖の水運によって都や社寺の建築に利用されてきています。このような「木を植え,育て,()って利用し,また植える」という循環の取組は現在にも受け継がれ,今もなお,多くの人々の協力と活動により森林づくりが行われていることを喜ばしく思います。
 森林は,水源の涵養(かんよう)や国土の保全,木材を始めとする林産物の供給など,私たちに様々な恩恵をもたらします。また,温暖化の防止や生物多様性の保全など,地球環境を守っていく上で,その重要性は今日ますます大きなものとなっています。
 こうした森林の大切さを思うとき,私たちにもたらされる自然の恵みに感謝するとともに,これからも健全な森林を育み,木々を木材として循環利用しながら,次の世代,またその次の世代へと引き継いでいくことは,私たちの果たすべき大切な使命であると考えます。
 本日表彰を受けられる方々を始め,日頃からそれぞれの地域において森林や緑づくりに尽力されている全国の皆さんに敬意を表し,そうした活動が,今後も多くの人々に支えられながら発展していくことを期待します。
 私たちは,今もなお,新型コロナウイルス感染症の影響により,様々な困難に直面しています。森林に関わり,林業に携わる皆さんの御苦労もいかばかりかと思いますが,皆さんのたゆみない努力が実を結び,この困難を乗り越えていかれることを願っています。
 終わりに,この大会のテーマである「木を植えよう びわ湖も緑のしずくから」にふさわしく,人々が協力して,水源となる森林を守り,育むことにより,美しく豊かな水が生まれる活動が,滋賀の地から全国へ,そして世界へ広がり,将来の世代へとつながっていくことを願い,私の挨拶といたします。

日米フルブライト交流計画70周年記念式典
令和4年7月1日(金)(帝国ホテル)

 日米フルブライト交流計画70周年を記念する式典に、皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 フルブライト交流計画は、人と人との交流を通し、相互理解を深めることで平和な世界を築き上げたいという、故J.ウィリアム・フルブライト米国上院議員の願いから始まりました。第二次世界大戦直後にプログラムが始まって以来、世界の国々が参加し、これまでに多くの同窓生が世界各国で活躍されていると聞いています。
 このうち、日米の交流計画では、この70年の間に、約6千6百人の日本人を米国に派遣し、約2千9百人の米国人を我が国に迎えることで、両国間の友好と相互理解の促進に大きく貢献してきました。その結果、多くの同窓生の方々が、政治、経済、科学、学術、芸術を始め、国内外の様々な分野で活躍されています。長年にわたり、この活動を支えてこられた多くの関係者の尽力に心から敬意を表します。
 若い時の海外への留学は、とても貴重な経験となります。私や皇后にとっても、留学先の国の社会や文化などについて(じか)に知る経験ができたのみならず、他の留学生とも交流を深め、また、自分の国を見つめ直す良い機会になったと思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により一時停止されていた、留学のための両国間の渡航が再開されるようになり、日米両国の学生や研究者が、再び留学を通して、専門分野の研(さん)を積むことに加えて、両国の歴史や社会、文化を学び、交流を深め、様々な貴重な経験を積まれることを願っています。
 フルブライト交流計画がこれからも発展を続けるとともに、今後とも、この交流計画を通じて、日米の人々の相互理解が一層深まるとともに、世界の平和と発展に寄与していくことを希望し、私の挨拶といたします。

第209回国会開会式
令和4年8月3日(水)(国会議事堂)

 本日、第209回国会の開会式に臨み、参議院議員通常選挙による新議員を迎え、全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。
 ここに、国会が、国権の最高機関として、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します。

全国戦没者追悼式
令和4年8月15日(月)(日本武道館)

 本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来77年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。
 私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による様々な困難に直面していますが、私たち皆が心を一つにし、力を合わせてこの難しい状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。
 ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

学制150年記念式典
令和4年9月5日(月)(国立劇場)

 学制発布150年を、皆さんと共に祝うことをうれしく思います。
 明治5年の学制発布は、全ての人々が基礎的な学校教育を受けられるようにするという構想を掲げたものでありました。この構想に沿って関係者がたゆみない努力を続けてきたことは、我が国の発展に極めて大きく寄与したところであり、ここに先人の努力に深く敬意を表します。
 また、長年にわたり学校教育に力を尽くしてこられた皆さんが、本日、教育者表彰を受けられたことを心からお祝いいたします。
 私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による様々な困難に直面しています。これまでの日常が大きく変化している中で、本日表彰を受けられた方々を始め、教育に携わる皆さんの御苦労や努力もいかばかりかと思います。
 近年は、ICTを積極的に活用することにより、一人一人に最も適した学びの環境を整える取組も行われていると聞いています。このように、時代や社会の変化に対応しつつ、誰一人取り残されず、誰もが自分らしさを大切にしながら学ぶことができ、一人一人の可能性が最大限に引き出される教育の実現に向けた動きが着実に進むことを期待いたします。
 学制発布から150年を迎え、教育関係者の皆さんが、先人の足跡を振り返りつつ、未来に向かって更なる努力を重ねられることを願い、私の挨拶といたします。

第13回世界核医学開会式(ビデオ)
令和4年9月8日(木)(国立京都国際会館)


 第13回世界核医学会開会式における天皇陛下おことば(仮訳)

令和4年9月8日(木)
国立京都国際会館
第13回世界核医学会開会式
(ビデオ)

第13回世界核医学会の開会式が、世界の多くの国と地域から参加される皆さんを迎えて開催されることを喜ばしく思います。

1970年に設立された世界核医学会の第1回大会は1974年に日本で開催され、当時皇太子同妃両殿下であられた上皇上皇后両陛下が開会式に御臨席になりました。この度、約半世紀ぶりに日本で開催されるに当たり、このように挨拶ができることをうれしく思います。

核医学は、放射性医薬品を用いて様々な臓器の疾患の診断や治療を行う医療分野であり、世界的に患者数が増加しているアルツハイマー病の診断、心筋梗塞などの心臓疾患における診断、また特に近年は、がんの治療に重要な役割を果たしていると伺っています。

世界核医学会では、このような核医学診療の世界への普及や発展途上国への支援を活動の主要目的にしていると伺っております。長年にわたり核医学の発展のために努力を重ねてこられた世界の関係者の皆さん、そして設立当初から世界の多くの国と地域と共に活動を続けてこられ、また、新型コロナウイルス感染症の影響による様々な困難に直面する中でこの会合を実現された国内の関係者の皆さんに対し、敬意を表します。今後、この医療分野が世界へ広く普及し、人々の健康増進につながることを期待しています。

この度の会議において、参加者の皆さんが様々な議論や交流を通じて知見を深めるとともに、この会議が大きな成果を収め、核医学分野の更なる発展に寄与することを願い、開会式に寄せる言葉といたします。

日本遺族会創立75周年記念式典
令和4年9月12日(月)(ホテルニューオータニ)

 日本遺族会が創立75周年を迎えるに当たり、全国の戦没者遺族代表の皆さんと共に、この記念式典に臨むことに感慨を覚えます。
 先の大戦において、国のために尽くし、戦火により、あるいは、病により亡くなられた多くの戦没者のことを思うと、深く心が痛みます。また、かけがえのない家族を失った戦没者遺族の皆さんの、長年にわたる御苦労もいかばかりであったかと思います。遺族会の皆さんが、悲しみや幾多の困難を乗り越えて、恒久平和を希求し、活動を続けられていることに、心から敬意を表します。
 私自身は、戦争を体験しておりませんが、子供の頃から折に触れ、両親を始めとする方々から戦争についての話を聞いてきました。先の戦争の記憶が薄れようとしている今日、戦争により深い悲しみを経験された方々の、平和な世界の実現への強い願いが、戦争を知らない世代に広く伝えられていくことが大切であると考えます。
 日本遺族会では、若い世代を中心に組織された青年部が、次代の「平和の語り部」として、戦争の悲惨さ、平和の尊さを、将来世代へ語り継ぐ活動を行っていると聞いています。世界では今も争いが絶えず、武力によって多くの尊い命が失われている中にあって、このような活動はとても意義深いものと言えます。
 日本遺族会が、これからも遺族の方々の支えとなって、遺族の皆さんの福祉の一層の充実に寄与するとともに、戦争のない平和な世界の実現に向けた取組が更に広がることを願い、式典に寄せる言葉といたします。

日本商工会議所創立100周年記念式典
令和4年9月16日(金)(東京国際フォーラム)

 日本商工会議所の創立100周年記念式典に、全国の商工会議所の皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 日本商工会議所は、大正11年、全国の商工業者を代表して、我が国の経済全体を俯瞰(ふかん)した活動を行うことを目的に、常設の商業会議所連合会として創立されました。それ以来、全国の商工会議所の意見が様々な場に反映されるようになり、また、商工業者の海外進出や人材育成の支援など、我が国の商工業の振興に寄与する事業活動が行われるようになったことは、誠に意義深いことと思います。
 今日では、515の商工会議所及び約123万の会員を擁する組織に成長し、全国の経営指導員による中小企業の経営支援や、検定試験などを通じた産業人材の育成、活力あふれるまちづくりのための取組など、中小企業の振興や、地域経済社会の活性化に大きく貢献する多様な事業活動を行われていることを喜ばしく思います。
 また、近年では、東日本大震災で被災された事業者への復興支援や、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への支援などにも取り組まれていると聞きます。
 こうした日本商工会議所並びに全国の商工会議所関係者の長年にわたる尽力とたゆみない努力に、深く敬意を表します。
 今後とも、各地の商工会議所が、地域総合経済団体として幅広い活動を行われるとともに、日本商工会議所が、全国の商工会議所のネットワークを活用して、「地域とともに、未来を創る」の理念の下、中小企業と地域経済社会の活性化、ひいては我が国の経済の成長・発展に力を尽くされることを希望し、式典に寄せる言葉といたします。

第77回国民体育大会
令和4年10月1日(土)(カンセキスタジアムとちぎ)

 第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」の総合開会式に、全国各地から参加された選手、役員、そして開催地である栃木県の皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 国民体育大会は、終戦の翌年、戦後の厳しい状況にもかかわらず、スポーツの復興を願う人々の熱意により、第1回大会が開催され、以来、我が国におけるスポーツの普及と発展に大きな役割を果たしてきました。長年にわたり、大会を支えてこられた関係者のたゆみない努力に深く敬意を表します。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大後は、国民体育大会も2年の間開催できませんでした。この度、本大会が、3年ぶりにここ栃木の地で開催されます。これまで、様々な困難の中で大会再開のために準備を重ねてこられた皆さんの努力を多といたします。
 今年も、夏の大雨や台風により、日本各地で大きな被害が生じました。被災され、様々な苦労をされている多くの方々のことを案じております。
 この度の大会を通じて、選手の皆さんには、日頃の練習の成果を十分に発揮されるとともに、改めてスポーツのすばらしさを実感しつつ、お互いの友情を育み、地元栃木県の皆さんとの一期一会を大切にして、すばらしい思い出を作ってください。
 栃木県民を始め、多くの人々に支えられて開催されるこの大会が、皆さんの心に残る、実り多い大会となることを期待し、総合開会式に寄せる言葉といたします。