主な式典におけるおことば(令和2年)

秋篠宮皇嗣殿下のおことば

1.17のつどい-阪神・淡路大震災25年追悼式典-
令和2年1月17日(金)(兵庫県公館)

阪神・淡路大震災から,本日で25年が経ちました。ここに,震災によって亡くなった人々の御霊に深く哀悼の誠を捧げます。

25年前のこの日,住み慣れたまちが一瞬にして崩壊し,かけがえのない6,400名以上の命が奪われました。私は震災の後,幾度となくこの地を訪れましたが,その度に,被災者をはじめ兵庫県の皆様が,困難な状況に直面しながらも,心を一つにして励まし助け合いながら,全国から集まった大勢のボランティアとともに,懸命の努力で美しい街並みを蘇らせていることに,深い感銘を覚えました。

これまで,県民,団体,行政が一体となって,幾多の困難を乗り越え,ハード・ソフト両面から災害に強い地域づくりに力を尽くしてこられました。

また,県内に集積した国際的な防災・人道支援機関を活かし,国際会議などを通じて震災の教訓を世界に発信するなど,世界各国・地域における防災体制の強化にも貢献しています。

阪神・淡路大震災の後も,東日本大震災をはじめとして,大きな自然災害が各地で発生しております。その度に,多くのボランティアや応援職員など,兵庫県の皆様が現地に駆けつけ,被災者に寄り添いながら,自らの震災の経験と教訓を活かした支援が行われていることは,誠に意義深いことと考えます。

震災から25年が経過し,この地においても震災を経験していない世代が増えていることから,「震災を風化させない」取り組みを進めていると伺っております。その中でも,特に震災を経験していない世代の人々が,積極的に震災や防災・減災について学び,周囲や社会に働きかけながら防災・減災活動に取り組んでいることを大変心強く思います。

これからも,震災の経験と教訓を踏まえ,人々が助け合い,安全で安心して暮らせる地域づくりが進められるとともに,その知見が国の内外に広まり,また,世代を越えて継承されていくことを願っております。

おわりに,亡くなった人々の御霊安らかならんことを心からお祈りし,追悼の言葉といたします。

第60回交通安全国民運動中央大会
令和2年1月22日(水)(文京シビックホール)

 本日,第60回交通安全国民運動中央大会が開催され,皆様と共に出席できましたことを誠に喜ばしく思います。そして,本日交通安全運動への貢献に対して表彰を受けられる方々に心からお祝いを申し上げます。
 交通事故による昨年の死亡者数は3,215人で,1948年の統計開始以来最も少ない人数となりました。そして,初めて1970年のピーク時の5分の1以下に減少いたしました。このことは,関係者の皆様の長年にわたる交通安全運動に対するたゆみない努力の積み重ねの賜物と申せましょう。
 しかしながら,交通事故は,いまだに年間38万件ほど発生しております。特に,交通事故死者数全体に占める高齢者の割合は50%強で推移しているばかりでなく,昨今では交通死亡事故数全体の中で高齢運転者が当事者になる比率も高まっております。このように依然として,かけがえのない多くの命が失われている今日,交通事故がなく,安心して暮らせる社会の実現は,私たち皆の願いであります。
 私たちが普段利用する道路上には,日々多くの自動車や自転車,そして人々が往来しており,路上の交通事故は,誰にでも起こり得ます。これらの事故を防ぐためには,私たち一人ひとりが,交通事故を防止しようとする自覚を持って交通道徳を高め,それを実践することが肝要であると考えます。
 そして自動車や自転車の運転者,歩行者がそれぞれ,相手の立場に配慮し,思いやりの気持ちを持った行動をとることが求められております。
 その意味からも,毎年開催される本大会は,関係者が一堂に会して諸問題を話し合う大切な機会であると言えましょう。
 終わりに,本大会の受賞者をはじめ,全国津々浦々で日々交通事故防止のために取り組んでおられる皆様のご尽力に深く敬意を表するとともに,60回の節目を迎えた本大会を契機として,交通安全運動がなお一層推進されていくことを祈念し,大会に寄せる言葉といたします。

「全国学校・園庭ビオトープコンクール2019」発表大会
令和2年2月2日(日)(国立オリンピック記念青少年総合センター)

本日,「全国学校・園庭ビオトープコンクール2019」の発表大会が開催されるにあたり,各賞を受賞される皆様に心よりお祝いを申し上げます。

近年における,持続可能な社会の実現に向けての様々な取り組みは,国際社会の潮流となっております。このような中,地球温暖化の防止や災害による被害の軽減を始め,多くの機能を有する自然との共存は欠かせないものであります。そして,自然との共存を実現するための一つとして,私たち一人ひとりが自然の恵みの大切さを理解するとともに,地域の自然に対しての愛着を持つことが必要になってまいりましょう。

その意味からも,私たちの周りから身近な自然が少なくなりつつある今日,学校や園庭に作るビオトープは,園児,児童,生徒,学生にとって,自然に対する興味や関心が深まり,自然との共存を考える大切な体験の場になることと思います。この度のコンクールにおける受賞事例では,この身近な自然を積極的に活用した,様々な体験活動や教育活動の興味深い取り組みが紹介されていると伺っております。このような意義深い取り組みが広く紹介されることは,これからの教育や保育にとって大変重要であるとともに,持続可能な社会の実現に向けた人づくりや地域づくりにも大きく貢献するものと考えます。

終わりに,本コンクールも今回で11回目を迎え,身近な自然の大切さが広く認識されるようになってまいりましたが,このことは活動に携わってこられた多くの方々のご尽力によるものであり,ここに深く敬意を表します。そして,学校ビオトープ,園庭ビオトープの取り組みが,今後も日本各地で普及し,自然を慈しむ心の輪が広がっていくことを祈念し,私の挨拶といたします。

第65回青少年読書感想文全国コンクール表彰式
令和2年2月7日(金)(経団連会館)

 本日,第65回青少年読書感想文全国コンクールにおいて,数多くの応募作品の中から選ばれ,表彰される皆様に心からお祝いを申し上げます。
 青少年読書感想文全国コンクールは,子どものころから読書に親しみ,心豊かに生きる糧にしてほしいという願いのもと,1955年に始まりました。以来,関係者の長年にわたるご尽力により,全国の児童・生徒の約3割が応募するまでの行事に発展してきたと伺っております。そして,65回の節目を迎えた本年,この表彰式に皆様とともに出席できましたことを誠にうれしく思います。
 私自身,幼少の頃に子供向けに書かれた物語や偉人伝などを楽しみ,またそれ以降も,興味のおもむくままに本に親しんでまいりました。そのような中で,本から新たなことを知り,感じ,気づき,考えたことは多々ありましたが,それらを的確に表現し,人にわかりやすく伝えることは実に難しいことのように思います。今回,受賞作品のいくつかに目を通しますと,皆様が,本に書かれていることの内容をしっかり考え,自分自身の経験にも照らし合わせながら読んでおられることに感心するとともに,そのことを上手に表現されていることに感銘を受けました。
 現代は,多くの人がインターネットで情報を得る時代になりました。しかし,最近の「学校読書調査」によると,小・中・高校生が1ヶ月に読む本の冊数は前年より少し増え,このコンクールにも今回,約398万編の作品が寄せられたと聞き,喜ばしく思いました。教育現場などで,本の選び方や読み方,感想文の書き方などを指導してこられた方々,そして優れた作品を著し,美しい装丁を施し,それらを出版してこられた方々をはじめ,これまで全国各地で青少年の読書活動を支えてこられた多くの皆様のご尽力に深く敬意を表します。
 おわりに,本日受賞される皆様をはじめ,一人でも多くの人々が本に親しみ,さまざまな人の気持ちに共感し,視野を広げ,考えを深め,心を豊かにすることができる読書を身につけていただくことを期待いたします。そして,本コンクールが今後ともさらに発展していくことを願い,表彰式に寄せる言葉といたします。

「第16回日本学術振興会賞並びに日本学士院学術奨励賞」授賞式
令和2年2月18日(火)(日本学士院会館)

本日,「第16回日本学術振興会賞並びに日本学士院学術奨励賞授賞式」が開催されるにあたり,受賞をされた皆様に心からお祝いを申し上げます。

学術研究は,研究者の知的好奇心と自由な発想が原点となり,地道に研究を継続することによって新たな知見が獲得され,その先の多様な展開へとつながるものであると考えます。そのいっぽうで,人類社会はエネルギー問題や自然災害,さまざまな疾病をはじめ,多くの困難な課題を抱えており,こうした課題の解決のためには,多様な学術領域からの貢献が必要不可欠なものとなっております。

その意味で,これまで我が国の学術研究を支えてこられた日本学術振興会と日本学士院が協力して,人文学,社会科学から自然科学にわたる幅広い分野で若手研究者を顕彰し,その研究意欲をより高め,研究の発展を支援しようとすることは誠に意義深いことであると思います。

昨年は,旭化成株式会社名誉フェローの吉野彰博士が,リチウムイオン電池の開発によって,ノーベル化学賞を共同受賞されました。このことは,学術界はもとより,我が国の産業界にとっても大変喜ばしいことでありました。博士は,研究者には,柔軟性と最後まであきらめない剛直性が必要であり,この両者のバランスが重要であると語っておられましたが,その言葉どおり,独自の発想に基づく研究に粘り強く取り組んでこられたことが受賞につながったものと思います。

本日受賞の栄に浴された皆様は,これまで大変優れた業績をあげておられます。その上で,今回をひとつの契機として,今後もさらに充実した研究を進められ,世界的に活躍されることを願っております。

終わりに,関係の皆様のご尽力により,日本の学術研究の進展が一層図られることを心より祈念し,式典によせる言葉といたします。

日本動物園水族館協会令和2年度通常総会
令和2年6月8日(月)

【本年6月8日に日本動物園水族館協会令和2年度通常総会が実施されました。秋篠宮皇嗣殿下(日本動物園水族館協会総裁)は出席はされておりませんがメッセージを寄せられました。】

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第22回日本水大賞・2020日本ストックホルム青少年水大賞
令和2年6月23日(火)

【表彰式典は中止となりましたが,お言葉をお寄せになりました。】

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第44回全国高等学校総合文化祭「2020こうち総文」(WEB SOUBUN)
令和2年7月31日(金)~10月31日(土)

【オンライン上で「2020こうち総文」が開催されるにあたり、主催者からの依頼により特設サイトへお言葉をお寄せになりました。】


第44回全国高等学校総合文化祭,「2020こうち総文」が,COVID-19の影響を受けながらも,Web上での発表・交流という形で開催されますことを大変喜ばしく思います。実行委員会をはじめ,関係者の熱意と創意工夫により,今までにない形の総文を作り上げてこられたことに深く敬意を表します。参加される皆様と直接お会いできないことが残念ですが,「WEB SOUBUN」の特設サイトが10月31日まで開設されておりますので,そちらを通じて発表や展示を観賞したいと考えております。

また,全国的な学校の休業の影響で部活動への制約がある中でも,作品を発表するために多くの高校生が努力し,その成果を短い期間で披露できることに,作品に込める思いやひたむきさ,そしてたくましさを感じます。

ご存知のように,「令和2年7月豪雨」により,熊本県をはじめ全国各地で大きな被害が生じました。今回,その被災した地域からの参加もあります。そして,その中には,通われている学校が被害にあった方々もおられると聞いております。また,身近に被災した方のいる参加者もおられましょう。ここに,心からお見舞いを申し上げます。

さて,全国高等学校総合文化祭は,文化・芸術活動に取り組む高校生の祭典として,これまでも開催地の生徒が主体となって,地域の特性と若い世代ならではの感性を活かした大会づくりがなされてまいりました。このような高校生による文化・芸術の祭典が毎年開催されていることは,国民の芸術や文化に対する関心や理解を高めるとともに,多様な才能を開花させ,未来に向けた豊かな文化創造の土壌を培う上で,誠に意義深いことです。

本年の大会テーマは,高知県の自然に相応しい「蒼海の知 緑樹の感 陽光の志 いま,南国土佐に集うとき」であります。参加される皆様が,日頃の活動で培われた創造性を発揮し,開催に向けて取り組んできた実行委員会の高校生の思いと一つになり,Webを通じてその成果を全国へと発信されるとともに,参加者相互の交流と友好の輪を大きく広げていかれることを期待いたしております。

終わりに,困難を乗り越え,開催に向けて尽力された関係者に改めて敬意を表しますとともに,「2020こうち総文」が「WEB SOUBUN」として総文の歴史に新たな1ページを刻み,いつまでも皆様の心に残り,明日に向けた力となる素晴らしい大会となることを祈念し,私の言葉といたします。

第29回「地球環境大賞」
令和2年10月2日(金)

【表彰式典は中止となりましたが,主催者からの依頼によりお⾔葉をお寄せになりました。】


第29回「地球環境大賞」の各賞を受賞された方々に心からお祝いを申し上げます。

本年は,COVID-19の状況に鑑み授賞式の開催が中止となりました。例年は授賞式の際,皆様が行われている取り組みについてお話を伺っておりましたが,本年は,そのような機会を持つことができないことを大変残念に思います。

過日,主催者から本年の大賞をはじめとする各賞の内容を伺いました。受賞された皆様の取り組みは,気候変動に伴う災害への対応や温室効果ガスの排出削減,廃棄物の再資源化など,地球環境の保全や変化する自然環境との共存に大きく寄与するものであり,ここに皆様のご努力にたいし,深く敬意を表します。

地球温暖化の防止や生物多様性の保全,廃棄プラスチックによる海洋汚染など,環境諸問題に対する人々の関心や意識が年を追って高まり,グローバルな広がりを見せる中,近年,気候変動が大きな要因とみられる自然災害が世界各地で数多く発生しています。本年もわが国では「令和2年7月豪雨」により,熊本県をはじめ全国各地で大きな被害が生じました。地球環境に関わるこれらの問題を考えるとき,私たちは自然環境の保全とともに防災や減災についての意識を高め,いかにして自然と共存し諸課題解決に向けた方途を探求していくか,その必要性を強く感じます。

今年で29回目を迎えた地球環境大賞は,環境を守りながら発展する産業や,持続可能な循環型社会の実現に寄与する製品・技術の開発など,環境保全の取り組みを顕彰することで,社会に貢献することを目的として創設されました。そして,その活動は産業界に始まり,自治体,学校,市民グループへと表彰の対象を広げ,環境保全と災害への対応に熱心に取り組む人々を広く顕彰することによって地球環境の保全,人々の環境意識を高めることに貢献してきました。

国連の持続可能な開発目標,いわゆるSDGsや,COP21において採択された温暖化防止のための「パリ協定」が注目される中,今後とも,わが国は優れた環境関連技術や知識をもって世界に貢献していくことが求められましょう。その意味でも持続可能な経済・社会づくりのために,国際社会のモデルとなるような優れた実績を積み重ねていくことは,誠に意義深く大切なことと考えます。

最後になりますが,受賞者をはじめとする皆様が,これまでにも増して温暖化の防止など地球環境の保全や自然との共存に積極的に取り組んでいかれることを期待するとともに,その活動がより一層広がりを見せることを祈念し,お祝いの言葉といたします。

第31回全国「みどりの愛護」のつどい
令和2年10月24日(土)

【本年5月16日に開催予定であった式典及び記念植樹が,招待者を福井県の関係者等に限定するなどして,感謝状授与式及び植樹式として開催されるにあたり,主催者からビデオメッセージによるお言葉の提供依頼があり,メッセージをお寄せになりました。】


本日,第31回全国「みどりの愛護」のつどい感謝状授与式および植樹式が,ここ福井県において開催されますことをお喜び申し上げます。

当初,本年5月に催されることになっていた,この「みどりの愛護」のつどいは,COVID-19の感染が広がったことによって,時期と内容を改めて検討する必要が出てまいりました。そのような難しい判断をせざるを得ない状況のもとにありながらも,「越前海岸」や「若狭湾」,「奥越」の山々など「越山若水」と称される豊かな自然景観に恵まれた福井の地において,この式典が開催できましたことを大変嬉しく思います。このことは,実現に向けて取り組まれた関係者のご尽力によるものと申せましょう。

さて,緑は,私たちの暮らしに豊かさや安らぎをもたらしてくれます。また,美しい景観の形成や生物多様性の保全の場,防災性の向上など,多くの機能を有します。さらに,温暖化に代表される地球環境問題への対応を考えるとき,二酸化炭素の吸収源として,あるいはヒートアイランド対策としての大切な役割も果たしています。

このように,貴重な緑と,その緑を源とする清らかな水を守るとともに,新たな緑を創り出し,育てていくためには,多くの人々がその大切さを理解し,緑を守り育てる活動を実践していくことが重要でありましょう。その意味で,本日表彰を受けられた方々の緑の愛護活動への取組は大変意義深いものであり,長年に亘る皆様のご努力に対し深く敬意を表します。

終わりに,この度の「みどりの愛護」のつどいをひとつの契機として,改めて緑を守り育てる心に思いを馳せ,緑豊かな環境づくりの活動が一層発展していくことを祈念し,本式典に寄せる言葉といたします。

「2020年JCI世界会議横浜大会」オープニングセレモニー
令和2年11月3日(火)

【オンライン上でオープニングセレモニーが開催されるにあたり,主催者からビデオメッセージによるお言葉の提供依頼があり,メッセージをお寄せになりました。】


「2020年JCI世界会議横浜大会」が,1859年に横浜港が開港して以来,国際交流と貿易の要衝として栄えた,ここ横浜の地において開催されますことをお喜び申し上げます。

この度の大会は,COVID-19の世界的な蔓延により,オンライン配信中心で開催されると伺いました。開催地である横浜は,街の中に,東洋と西洋の文化が同所的に存在することによって,独特の雰囲気を醸し出している場所です。このようなことからも,世界のJCIの多くのメンバーがこの機会に横浜を訪れることを楽しみにされていたことと思います。しかし,COVID-19により,残念ながら海外から皆様にお越しいただくのが難しい状況です。今後,状況が許すようになったおりには,ぜひ魅力ある横浜を訪れていただくことを願っております。

このような難しい時世にあって,JCIの皆様には,その理念である「恒久的世界平和の創造」のもとに,一人ひとりが思いやりの気持ちを持ち,共に栄えることのできる明るい豊かな社会を創り上げていっていただくことを期待いたします。そして皆様が世界中の人々と手を携えて,この困難な状況を乗り越え,今後とも,人々の幸せと平和を希求し続けていかれることを心から願っております。

本大会においては,興味深いキーノートスピーチや大会実行委員会が主催するフォーラムなど,世界中の様々な課題の解決を目指す数多くのプログラムが用意されていると伺っております。これらのプログラムを通して,大会テーマである「The Crossroad of Innovation」が示すように,異なる文化や言語を背景とする世界中のJCIのメンバーが,意見を交換し,友好を深められることを期待いたしております。

終わりに,この大会が皆様にとって実り多きものになるとともに,JCIが,人,地域,そして世界を結ぶ懸け橋として,ますます発展されることを祈念し,オープニングセレモニーに寄せる言葉といたします。

大日本山林会「第59回農林水産祭参加全国林業経営推奨⾏事」
令和2年11月5日(木)

【表彰式典は中止となりましたが,お言葉をお寄せになりました。】

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大日本農会「令和2年度農事功績者表彰事業」
令和2年11月16日(月)

【表彰式典は中止となりましたが,お言葉をお寄せになりました。】

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2020年(第29回)ブループラネット賞
令和2年11月26日(木)

【表彰式典は中止となりましたが,主催者からの依頼によりお言葉をお寄せになりました。】

特設サイトへURL:


第29回ブループラネット賞を受賞された米国のデイビッド・ティルマン教授,ならびに英国のサイモン・スチュアート博士に心からお祝いを申し上げます。

このたび受賞されたティルマン教授は,「食習慣・健康・環境のトリレンマ」を世界的に重要な課題として問題提起をされ,肉食中心の食習慣から,人間の健康にも,地球環境にもよい植物ベースの食習慣と農業の実践への移行を提唱されました。

またスチュアート博士は,国際自然保護連合(IUCN)絶滅危惧種レッドリストの評価法の開発を主導されるとともに,世界両生類アセスメントにより両生類の三分の一が絶滅の危機にあることは,すなわち自然環境が損なわれつつあるメルクマールであることを示され,種と自然環境の保全に尽力されました。

お二方の業績に深く敬意を表します。

受賞されたお二方が,長年にわたる卓越した行動力と並外れた探求心を持ち続けて,現代文明や社会に警鐘を鳴らし,今後の人々の活動のあり方に道筋を示してこられたことは,誠に意義深いことであります。このたびの受賞者をはじめ環境問題を深く考察している方々が主導的な役割を担い,持続可能な地球環境と人々のよりよい生活が実現されることを願っております。

本年は,COVID-19のパンデミックにより,表彰式典および関連行事を開催することができませんでした。ティルマン教授ならびにスチュアート博士そして式典に出席を予定されていた皆様と直接お話しができないことは誠に残念なことでありますが,この状況が収まったときには,ぜひお二方に日本へお越しいただき,そのすばらしい業績について,お話しを伺う機会を持つことができればと思っております。

最後になりますが,このブループラネット賞が世界の人々の環境に対する意識を高め,それに伴う行動をうながす契機になりますことを祈念し,第29回ブループラネット賞に寄せる言葉といたします。

第36回国際生物学賞
令和2年12月16日(水)

 【表彰式典は中止となりましたが,主催者からの依頼によりお言葉をお寄せになりました。】


 昭和天皇の永年にわたる生物学への貢献を顕彰し,1985年のご在位60年の機会に創設され,上皇陛下のご研究を併せて記念する「国際生物学賞」は,本年で36回目を迎えます。その36回目の本賞を受賞された,理化学研究所環境資源科学研究センター特別顧問の篠崎一雄博士に,心からお慶びを申し上げます。

 本年は「環境応答の生物学」が贈賞の対象分野となりましたが,篠崎博士は,植物が受ける環境ストレス,乾燥や低温,高塩濃度などに対する耐性獲得とその応答のメカニズムを分子生物学的手法を用いて世界に先駆けて解明し,この分野を先導して来られました。

 博士は,モデル植物であるシロイヌナズナを用いて,植物にとって大きなストレスとなる水分や温度,塩分濃度などの環境変化に応じて発現する遺伝子を多数発見し,それらの制御メカニズムを明らかにされました。特に,乾燥ストレスについては,従来から知られていたアブシジン酸を介した,気孔を閉じ,葉からの蒸散を抑制する仕組みのような経路とは別に,アブシジン酸に依存しない制御系があることを示されました。さらに乾燥ストレス応答において,根から葉への長距離情報伝達因子を確定し,新たなメカニズムを発見されました。

 また,シロイヌナズナで発見した環境ストレス耐性に関わる遺伝子を利用して,乾燥耐性の作物への応用に向けて海外の機関との共同研究を進められ,シロイヌナズナの乾燥耐性遺伝子を導入した形質転換イネやダイズにおいて,乾燥耐性の強化や収量の増加を実際の耕作地で証明されています。

 篠崎博士のこれらのご研究とその成果は,環境応答の生物学における基礎をなす重要なものであります。そして,応用分野としても,気候変動によって今後懸念される世界の食糧危機克服に向けて大きく貢献することが期待されるものとして,高く評価されるものと申せましょう。

 博士のこれまでのご研究によって,基礎植物科学は重要な発展を遂げました。このことは,ひとえに博士が研究者としておさめられた数々の業績によるものであり,ここに深く敬意を表します。

 最後になりますが,篠崎博士のご研究が今後さらに発展するとともに,生物学分野が一層深まっていくことを祈念し,お祝いの言葉といたします。

大日本水産会「令和2年度水産功績者表彰事業」
令和2年12月4日(金)

 【表彰式典は中止となりましたが,主催者からの依頼によりお言葉をお寄せになりました。】


 令和2年度大日本水産会「水産功績者表彰事業」においてのご受章を心からお喜び申し上げます。

 皆様が,長年にわたって水産業における各分野で振興に力を尽くしてこられたことに深く敬意を表します。

 私は平成27年11月に開催された表彰式以来,昨年まで毎回出席し,表彰状の授与に立ち会うとともに,受章された方々から今までのご苦労やこれからの展望などについて,直接お話を伺うことを楽しみにしてまいりました。しかしながら,今年はCOVID-19の影響により,表彰式を開催することができず,お目にかかれないことを大変残念に思っております。

 我が国では,古来より魚介類が身近で貴重なタンパク源として親しまれてきました。さらに昨今の健康志向もあり,魚介類に対する関心が高まるとともに,海外においても食文化としての和食が普及し,その中心的な存在である魚介類が注目されております。
 このように,水産業はこれからも様々な可能性が期待される重要な産業でありますが,近年の日本の水産業を取り巻く状況に目を向けますと,水産資源の減少や漁業の後継者不足などの課題が山積しており,それらを解決するため,政府や水産業界,そしてそれぞれの現場における取り組みが,日々行われております。

 このような状況のもと,今回で104回目をむかえ,総受章者数3229名を数える,大日本水産会における大変重要な事業に位置付けられております本表彰事業が一つの契機となり,表彰を受けられた皆様が今後とも日本の水産業の維持と発展のために大きく貢献され,活躍されますことを祈念し,お祝いの言葉とさせていただきます。