主な式典におけるおことば(平成30年)

皇太子殿下のおことば

第29回全国「みどりの愛護」のつどい
平成30年5月26日(土)(滋賀県立長浜ドーム)

 第29回全国「みどりの愛護」のつどいが,ここ滋賀県立長浜ドームにおいて開催されるに当たり,日頃から緑の愛護活動に携わっておられる皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 我が国は,緑豊かな環境の中で,四季折々に姿を変える美しい自然の恵みを受け,多様な文化を生み,育んできました。滋賀県も,日本最大の湖である琵琶湖を有し,その周囲に広がる近江盆地,さらには伊吹山地,鈴鹿山脈,比良(ひら)山地などの山々がそれを取り囲んでおり,近江八景に代表されるような変化に富んだ美しい景観や,多種多様な動植物が生育する豊かな自然に恵まれています。そして,こうした美しい水と緑の豊かな自然環境の中で,古くから東西の交通の要衝として人と物が行き交う中で,「長浜縮緬(ちりめん)」などの地場産業や独自の文化が発展し,継承されてきました。
 豊かな緑は,地球温暖化の防止や生物多様性の保全などの様々な環境問題を改善するとともに,災害の防止にも大きな役割を果たしています。また,私たちの暮らしにゆとりと潤いをもたらしてくれます。
 貴重な緑と,その緑を源とする清らかな水を守り,更に新たな緑を創り出し,育てていくためには,多くの人々がその大切さを理解し,幅広く運動に参加していくことが重要です。ただ今表彰を受けられた方々の緑の愛護活動への取組は,大変意義深いものであり,皆さんの努力に対し深く敬意を表します。
 終わりに,今回のつどいにおいて,全国から参加された皆さんが相互に交流を深め,緑を守り育てる心を新たにされるとともに,緑豊かな環境づくりが一層発展することを願い,私の挨拶といたします。

平成30年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成30年8月1日(水)(三重県営サンアリーナ)

 挨拶に先立ち,この度の平成30年7月豪雨により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。救援と復旧の作業が一日も早く進み,被災された方々が安心して暮らすことができるようになることを心から願っております。
 平成30年度全国高等学校総合体育大会「2018 彩る感動 東海総体」が,全国各地から多数の参加者を迎えて,鈴鹿山脈や大杉谷,清流「宮川」など,美しい自然に恵まれ,豊かな歴史や伝統・文化を育んできたここ三重県を始め,岐阜県,静岡県,愛知県の東海4県と和歌山県で開催されることを喜ばしく思います。
 選手の皆さんには,厳しい暑さの中,体調管理に十分気を付けられ,日頃鍛えた力と技を発揮し,お互いに友情を育むとともに,地域の方々とも交流を深め,高校生活の良い思い出をつくられるよう願っております。
 そして,選手の皆さんの活躍と地元高校生の協力により,この大会が実り多いものとなることを期待します。
 皆さんの御健闘を心からお祈りします。

第100回全国高等学校野球選手権記念大会開会式
平成30年8月5日(日)(阪神甲子園球場)

 挨拶に先立ち,この度の平成30年7月豪雨により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。被災地の復旧が一日も早く進むことを願っております。
 第100回という記念すべき節目を迎えた,全国高等学校野球選手権記念大会の開会式に出席できることを,うれしく思います。
 次代を担う若者が,スポーツを通じて自らを鍛え,スポーツマンシップを養うことは,とても大切なことであり,これまで1世紀にわたり,青少年の夢を育み,国民の大きな関心を集めてきた高校野球が果たしてきた役割には,大きなものがあります。
 私の高校野球の最初の記憶は,第50回記念大会の決勝戦,大阪の興國(こうこく)高校と静岡商業高校の試合でした。1対0という白熱した投手戦をよく覚えています。それ以来,50年にわたり,高校野球を身近なものと感じて応援してきましたし,第70回大会と第91回大会では開会式に出席し,試合を観戦して,長きにわたる高校野球の歴史の一部をこの目で垣間(かいま)見る機会を得られたことは,とてもうれしいことでした。
 その度に,選手や応援団,観客や運営に関わる方々,さらには選手たちを受け入れる地元の方々のひたむきな取組によって,高校野球が育てられていることを,強く感じることができました。1世紀の長きにわたる皆さんの努力に対し敬意を表します。あわせて,選手の皆さんが,試合を通して大きく成長されている様子もうれしく思っています。
 選手の皆さんは,日々鍛錬を積み重ね,母校の,そしてふるさとの期待を担って,ここ甲子園に集いました。今日までの練習の成果を十分に発揮し,力の限りプレーすることを期待しています。同時に,暑いさなかの試合となりますので,プレーする選手の皆さんも,応援する方々も,くれぐれも体調の管理には気を付けてください。
 この大会が,多くの球児の活躍の場となり,国民に親しまれながら,更に大きく発展することを願うとともに,選手の皆さんの御健闘を心からお祈りし,挨拶といたします。

第17回日本スカウトジャンボリー大集会
平成30年8月7日(火)(第17回日本スカウトジャンボリー会場アリーナ)

 挨拶に先立ち,この度の平成30年7月豪雨により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。被災地の復旧が一日も早く進むことを願っております。
 また,今回の災害に当たり,被災地のスカウトの皆さんを始め全国のスカウトの皆さんが,様々な支援活動に尽力されていると伺いました。皆さんの活動に深い敬意を表します。
 第17回日本スカウトジャンボリーの大集会に,国内外から参加されたスカウトの皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 私は,第7回大会以来,ジャンボリー会場を訪れていますが,毎回,皆さんが,日頃から,スカウト活動への参加を通じて自らの成長を促し,将来良き社会人となるために研(さん)され,大会の様々な活動に積極的に,また真剣に取り組んでいる姿を,頼もしく感じます。
 私自身,皆さんと同じ年頃にジャンボリーに参加し,野営体験などのスカウト活動の貴重な体験をしたことを懐かしく思い出します。
 皆さんが,様々な活動に協力して取り組むことで,スカウト同士の友情を深められることはもちろん,海外からのスカウトと交流し,国際的な視野を広げることは,いろいろな形で必ず皆さんの将来に大きく役立つものとなるでしょう。
 ここ能登の地は,長い時間を掛けて自然と調和した人の営みが造り上げた里山里海を有しています。能登の豊かな自然と文化に触れながら,多くの活動に参加し,貴重な思い出を作ってください。
 スカウト運動の一層の発展と,我が国,そして世界の青少年の健全な育成が図られることを願い,大集会に寄せる言葉といたします。

2018年第11回国際水協会(IWA)世界会議・展示会 開会式
平成30年9月16日(日)(東京国際展示場)

ダイアン・ダラス国際水協会会長
御列席の皆様

 挨拶に先立ち,この度の平成30年北海道()(ぶり)東部地震により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 2018年第11回国際水協会(IWA)世界会議・展示会が,世界各国から多くの参加者を迎え,ここ東京において開催されることを誠に喜ばしく思います。
 国際水協会が世界における安定的かつ安全な水の供給と公衆衛生に寄与することを目的として,長年活動を続けられていることは,大変意義深いものと考えます。
 水は,全ての地域や国々において,人々の生活の安定と社会の発展のために欠かせないものです。しかし,世界には,いまだに安全な水や適切な衛生施設にアクセスできない人々が多数存在しています。
 こうした中,2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」において,「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。」が独立した課題として位置付けられました。
 「持続可能な開発目標」では,水の問題が,貧困や,教育,ジェンダーの問題など,他の目標に密接に関連した横断的課題としても捉えられており,誰一人取り残さない社会の実現に向けた国際社会の大きな課題となっております。
 また,水は,あらゆる生命の根源であり,多くの恵みを与えてくれる一方で,時に大きな災害をもたらし,生命にとっての脅威となります。
 我が国でも,今年の7月に西日本を中心に発生した豪雨災害により,多くの人命が失われるとともに,水道施設の被害によって多くの世帯で断水が発生しました。南アフリカのケープタウンでは,近年の連続した干ばつにより,給水量が厳しく制限され,人々の生活に深刻な影響を及ぼすなど,水関連災害への対応も国際社会が取り組むべき重要な課題です。
 私はこれまで,世界水フォーラムや国連水と災害に関する特別会合における講演などを通じて,人と水との関わり方について思いを巡らせてきました。日本を始め世界各国・地域の過去の経験や優れた事例から学ぶとともに,社会における水との関わりの歴史や文化を深く知ることは,水問題解決に大きく資するものと考えています。
 歴史から学んだ知恵と,現代の優れた技術を併せて活用し,国際社会が連携して行動することが求められております。
 この国際水協会世界会議・展示会で,世界の水問題の解決に向け,活発な議論が行われるとともに,水を通じた人類の繁栄,幸福の実現に向けて,関係者の皆さんが継続して力を合わせていくことを願い,私の挨拶といたします。

第4回世界社会科学フォーラム開会式
平成30年9月25日(火)(福岡国際会議場)
【実際のおことばは,英語で述べられています。こちらのページでは,和訳したものを掲載しています】

ダヤ・レディ国際学術会議会長
御列席の皆様

 本日,第4回世界社会科学フォーラム開会式に,多くの国と地域から参加される皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 今回の第4回世界社会科学フォーラムは,「持続可能な未来のための安全と平等」をメインテーマに,近年,世界各地で顕在化している環境破壊や格差拡大などの様々な問題に対し,安全保障や公平性の観点から,社会科学分野の総力を結集して解決を目指す国際会議と聞いております。そして,こうした会議がアジアで初めて開催されるとともに,日本のアジアへの玄関口であるここ福岡で開催されることを,誠にうれしく思います。
 また,今年7月には国際社会科学評議会(ISSC)と国際科学会議(ICSU)が合併し,文系と理系の国際学術関係団体が共同して世界の学術界をまとめ上げる世界最大の学術団体である国際学術会議(ISC)が結成されました。その設立は大変意義深く,世界の学術界の進展に大きく寄与されるものと確信いたします。その国際学術会議(ISC)が主催となって初めて行われるのが,この第4回世界社会科学フォーラムであると承知しています。国際学術会議(ISC)の結成後最初の会議にふさわしく,人文社会科学系の学者と自然科学者が,共に世界の喫緊の課題に向けて議論する場となることを期待します。
 取り分け,地球温暖化などによる環境破壊を防止して環境の保全を図り,持続可能で平和な未来を維持することは,人類の責務と考えられます。また,世界中で自然災害が頻発している中,人類が協力して災害を乗り越えていくことも重要な課題となっています。そうした様々な世界の課題を解決するため,人文社会科学や自然科学の研究者だけでなく様々な関係者が一堂に会し,話し合うことの重要性が今日高まっていると考えます。
 今回の会議が実りある成果を上げ,かけがえのない地球の持続可能な未来のために大きく貢献することを願い,開会式に寄せる言葉といたします。

第33回国民文化祭・おおいた2018・第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会
平成30年10月6日(土)(iichiko総合文化センター)

 挨拶に先立ち,本年の度重なる豪雨災害や北海道胆振(いぶり)東部地震により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。被災地の復旧と復興が一日も早く進むことを願っております。
 「第33回国民文化祭・おおいた2018」・「第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会」の開会式に,皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。
 大分県は,温暖な気候と海・山などの豊かな自然に恵まれるとともに,宇佐神宮を始め,古くから独特な山岳宗教文化を育み今年開山1300年を迎えた六郷満山(ろくごうまんざん)臼杵石仏(うすきせきぶつ)などの歴史的文化遺産や,御嶽(おんたけ)神楽・鶴崎(おどり)を始めとした伝統芸能が数多く存在しています。また,約300年にわたった小藩分立の歴史により,それぞれの地域で独自の気風が育ち,それらが互いに取り込み融合し,独自の新しい文化が創りあげられてきました。
 この大分の地において,全国各都道府県,さらには海外からも,様々な文化活動に取り組まれている方々を迎え,国民文化祭及び全国障害者芸術・文化祭が開催されることは,誠に意義深いことです。関係者の皆さんが開催のために払われた努力に対し,心から敬意を表します。
 今大会は「おおいた大茶会(だいちやかい)」というテーマの下,子どもからお年寄りまで,また障害のある方もない方も,外国の方も,誰もが参加できる文化の祭典を目指して,大分県内の全市町村と芸術・文化団体の皆さんが一緒になって,地域固有の伝統文化はもとより,現代アートや障害者アートなど多彩な取組が行われると聞いています。また,多くのアーティストや芸術・文化団体の皆さんが,学校や地域,福祉の現場でワークショップを行うなどして,県民の皆さんと共に大会の準備を進めてこられたとも聞いています。
 このような取組を通じて,地域の伝統芸能や文化を改めて見つめ直すとともに,地域やジャンル,世代を超えた交流の輪が広がることで芸術文化活動の裾野が広がり,新しい文化が創造されることを期待しています。
 「国民文化祭・おおいた2018」・「全国障害者芸術・文化祭おおいた大会」が大きな成功を収めることを願い,私の挨拶といたします。

第18回全国障害者スポーツ大会開会式
平成30年10月13日(土)(福井県営陸上競技場)

 初めに,本年の豪雨や地震などの度重なる自然災害により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。被災地の復旧と復興が一日も早く進むことを願っております。
 第18回全国障害者スポーツ大会「福井しあわせ元気大会」の開会式に,全国各地から参加された多くの選手,役員,そして開催地である福井県の皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。
 今年で18回目を迎えたこの大会は,我が国の障害者スポーツの普及・振興に大きく寄与してきました。本日から開催される「福井しあわせ元気大会」を契機として,障害者スポーツがより一層発展するとともに,障害のある方々に対する理解が更に広がることを希望します。
 選手の皆さんには,日頃の練習の成果を十分に発揮して,大いに活躍していただきたいと思います。また,選手同士はもちろん,たくさんのボランティアの方々や,応援に来られる地元福井県の皆さんと出会い,交流を深め,すばらしい思い出を作ってください。この大会に参加された皆さんの中から,2年後の東京パラリンピックにおいて活躍される選手が数多く誕生することを期待しております。
 終わりに,この大会の開催を支えてこられた全ての方々の努力に心から敬意を表するとともに,参加する全ての皆さんが活躍される大会になることを願い,私の挨拶といたします。

灯台150周年記念式典
平成30年11月1日(木)(パレスホテル東京)

 我が国における灯台を始めとする航路標識の整備が,政府事業として明治元年に始められてから満150年を迎え,その記念式典が挙行されることをうれしく思います。
 灯台は,内外多数の船舶にひとしく利用され,日夜,船舶交通の安全を守る大切な使命を担っていますが,その背景には,創業当時から,常に最新の技術と創意工夫とによって,航路標識をより見やすく,信頼性のあるものへと改善してきた歴史があります。そして,孤島やへき地といった厳しい環境にも耐えて灯火を守り,航海の安全に尽くしてこられた多くの人々の絶え間ない御苦労があったことを忘れることはできません。
 私自身,4歳の頃,両親と共に初めて千葉県に旅行した際に野島埼(のじまさき)灯台を訪れました。その後も幾つかの灯台を訪ね,灯台に課せられた重要な使命を感じることができました。また,灯台守を描いた「喜びも悲しみも幾歳月」の映画や歌の歌詞も印象に残っております。これまで,過酷な環境の中で任務を果たされてきた灯台守の方々に心から敬意を表します。
 近年の航路標識は,技術の進展によって著しく近代化が進み,海上安全情報の提供や,海上交通の管制等によって,海の安全・安心の確保に一層寄与していると聞いております。
 この機会に,過去150年にわたる先人の業績と関係者のたゆみない努力に敬意を表するとともに,灯台を始めとする航路標識が,今後とも船舶交通の安全確保に貢献し,我が国を囲む海が一層安全で,美しく,豊かであることを願い,式典に寄せる言葉といたします。

第21回全国農業担い手サミットinやまがた
平成30年11月8日(木)(山形国際交流プラザ)

 初めに,本年の豪雨や地震などの度重なる自然災害により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。被災地の復旧と復興が一日も早く進むことを願っております。
 「第21回全国農業担い手サミットinやまがた」に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 農業は,食料の生産と供給を通じて,人々の暮らしと健康を支えています。また,水源の(かん)養などを通じて,国土や自然環境を保全し,緑豊かな魅力ある景観をつくり出すとともに,それぞれの地域で特色ある文化を育んできました。
 皆さんが,このような大切な役割を果たす農業を担い,地域のリーダーとして,農業・農村の発展に日頃から意欲的に取り組まれていることを,心強く感じます。
 ここ山形県は,夏は気温が高く,冬には多くの積雪がある四季の変化に富んだ気候と,山,川,森などの恵まれた自然環境の中で,水稲,果樹,野菜,花き,畜産など,各地域の特色をいかした様々な農業が行われていると聞いております。
 また,近年,高齢化の進展などに伴う担い手の減少が課題となっておりますが,山形県では,農業が生命を支え育む魅力ある産業として持続的に発展していけるよう,多様な人材の確保・育成に向け,県を挙げて取り組まれていると伺っております。
 この山形の地において,全国から集まった農業の担い手の皆さんが「咲かせよう農の花!実らせよう豊かな日本!」のテーマの下,互いの知見や情報を交換し合い,共に将来あるべき農業の姿を探求されることは,日本の農業と各地域の発展のために,誠に意義深いことと思います。
 農業を取り巻く環境が大きく変化する中,このサミットを通じて,熱意と意欲を持って農業に取り組み,地域に活力を生み出している皆さんの輪が全国に広がり,日本の農業が未来に向けて力強く発展していくことを願い,私の挨拶といたします。

第45回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクール授賞式
平成30年11月9日(金)(NHK放送センター)

 第45回を迎えた「日本賞(にっぽんしょう)」授賞式に,世界各地の皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 優れた教育は,いつの時代にあっても,次世代を育み,明るい未来を築いていくための大切な営みです。私は,1989年に「日本賞(にっぽんしょう)」の授賞式に初めて出席して以来,世界中でより良い教育の実現に貢献すべく,映像メディアによる教育コンテンツが多様化し,また発展してきたことを,毎回,印象深く思ってまいりました。番組の内容,演出の手法や技術の革新を通して教育コンテンツの質の向上を目指してきた制作者の皆さんのたゆまぬ努力に,深く敬意を表します。
 今年の「日本賞(にっぽんしょう)」では,コンクールで優秀作品を選ぶ一方で,教育に関心のある多くの方を対象とした公開イベントを開催し,社会の多様性や国際理解についても活発な議論が交わされたと聞いています。多様な文化や価値観を背景とした皆さんが「日本賞(にっぽんしょう)」に集い,未来のために真剣に意見を交換したことは,誠に意義深いものと思います。
 「日本賞(にっぽんしょう)」の成果を皆さんが持ち帰り,これからも自国の教育の発展に寄与されるとともに,国際的な理解と協力に貢献するという「日本賞(にっぽんしょう)」の目的が果たされていくことを願い,私の挨拶といたします。

第42回全国育樹祭
平成30年11月18日(日)(武蔵野の森総合スポーツプラザ)

 第42回全国育樹祭が全国各地から多くの参加者を迎え,ここ東京都の「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で開催されることを喜ばしく思います。
 東京都は,我が国を代表する世界有数の大都市として発展を遂げ,2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えた今,世界から一層の注目を集めています。この大都市東京に,豊かな緑の彩りを加えているのが,多摩地域と島しょ地域に広がる森林,そして,公園の樹木など都市の中に育まれている森林です。
 昨日,私は,海の森公園予定地において,平成8年の第47回全国植樹祭の折に天皇皇后両陛下がお手植えになった,東京都の木であるイチョウの手入れを行いました。お手植えの樹木が,22年の歳月を経て,健やかに成長している姿に深い感銘を覚えるとともに,植樹祭を契機として,多くの都民や企業の協力の下で植樹活動が行われ,海に浮かぶ美しい森が生まれつつあることをうれしく思いました。また,私は山歩きが好きですが,雲取山を最高峰とする奥多摩の山々など,東京都内の山を歩くたびに,その森林の美しさや,豊かな自然に印象付けられてきました。
 我が国の国土の7割近くを覆う森林は,国土の保全や水源の(かん)養,木材の生産など,多面的な機能を果たすことにより,人々の暮らしを豊かにしてきました。また,地球温暖化の防止や生物多様性の保全など,地球環境を守る上でも大きな役割を果たすことが期待されています。先人たちのたゆみない努力により育まれ,今を生きる私たちに恵みをもたらしている森林を,健全な姿で次の世代へ継承し,美しい国土と豊かな暮らしを未来へとつないでいくことは,私たちに課せられた大切な務めであると考えます。
 本日表彰を受けられる方々を始め,各地域において国土の緑化に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに,そうした活動が今後も多くの人々に支えられ,更に発展していくことを期待しています。
 終わりに,この大会のテーマである「育樹から 木のある暮らし つないでく」にふさわしく,森を育み,木を暮らしにいかす,木と共に生きる文化が,ここ東京の地から全国へ,そして次世代へと大きく広がっていくことを願い,私の挨拶といたします。

日本PTA創立70周年記念式典
平成30年11月21日(水)(ホテルニューオータニ)

 日本(にっぽん)PTA創立70周年記念式典が開催され,全国から参加された皆さんと共にお祝いできることを,うれしく思います。
 PTAは,終戦から間もない昭和23年,全国各地の小学校・中学校において,児童・生徒たちの健やかな成長を願って,保護者と教員が協力する組織として誕生しました。それ以来,PTAが教育の発展に果たしてきた役割は大きく,子供たちの力を伸ばすために,70年間にわたってたゆみない努力を続けてこられました。
 また,日本(にっぽん)PTA全国協議会では,日頃より親子で話し合う大切さを社会全体に呼び掛ける三行詩コンクールや,子供を取り巻く社会環境などに関する意識調査を始めとする様々な取組をしてこられました。東日本大震災や平成28年熊本地震に際しては,被災した学校の教育活動や子供たちの心のケアのため,募金を行って支援をされたと伺っています。
 今日,インターネットの普及など,青少年を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。このような中,今後とも皆さんが手を携えて,次代を担う児童・生徒たちの健全な育成のため,家庭・学校・地域の懸け橋となり,一層力を尽くしていかれることを期待しています。
 終わりに,本日表彰を受けられた方々を始め,これまでPTA活動を支えてこられた多くの関係者の皆さんの御努力に対し,深く敬意を表し,式典に寄せる言葉といたします。

高円宮杯第70回全日本中学校英語弁論大会記念レセプション
平成30年11月30日(金)(帝国ホテル)

 高円宮杯全日本中学校英語弁論大会70周年に当たり,多くの関係者の皆さんと共に,この記念レセプションに参加できることをうれしく思います。
 この英語弁論大会は,「国際性豊かな青少年を育てるために,国際語である英語を熟達させるとともに,広くその普及を図り,日本文化の発展ならびに国際親善に寄与すること」を目的として,昭和24年に始まりました。私が初めて弁論大会,そして記念レセプションに出席したのは昭和49年の第26回大会で,その時,当時中学3年生だった私とほぼ同年代の中学生の皆さんの英語でのスピーチがとても上手で感心したことを覚えています。
 10年前に第60回大会の記念レセプションに出席した折には,中学生の皆さんに,英語を通じて国際相互理解を深めることの大切さについてお話ししました。人と人とがお互いを理解し合うのに一番大事なことは話す内容です。そして,伝えるべき内容を持つためには,まず自分の国の歴史や文化をよく学ぶと同時に,世界の国々のことも学び,他の国の人々の状況についても豊かな想像力を持って思いを巡らす力を育んでいっていただきたいと思います。
 今後,中学生の皆さんには,英語を更に上手に話せるようになることに加え,先ほど挙げたようなことを学び,理解を深めるとともに,様々な経験を積み,海外の人と会った時に,「話したい」「伝えたい」また,同時に相手の話もよく聞いて「分かり合いたい」と思える事柄を一つでも多く身に付けていってください。
 この大会が,多くの皆さんによって今後も支えられ,ますます発展していくことを心から願っております。