主な式典におけるおことば(令和7年)
秋篠宮皇嗣殿下のおことば
第65回交通安全国民運動中央大会
令和7年1月15日(水)(文京シビックホール)
そして、日頃からの交通安全活動への貢献により、本日表彰を受けられる方々に心からお慶びを申し上げます。
近年の交通事故による死亡者数を見ますと、ピーク時の1970年と比べ、6分の1以下になっております。このことは、交通安全に関わっている多くの方々の長年にわたるたゆみないご努力の賜物と申せましょう。
しかしながら、昨年、交通事故で亡くなった人の数は、2,663人で、その前年より15人減少したものの、いまだに年間2,000人以上の尊い命が失われています。また、交通事故により、約34万人が負傷しており、多くの人々が生活をする上で困難があったり、悲しい思いをしたりしています。そして、高齢者が関係する事故や、飲酒運転など悪質で危険な運転も問題になっております。
私たちが利用している道路では、日々多くの人や車が往来しており、路上の交通事故は、何時でも、何処ででも、誰にでも起こり得ます。
一人ひとりが、生命の尊さと交通事故の重大性を深く心にとどめ、運転者が自覚を持つのはもちろんのこと、歩行者も事故に遭わないように気をつけることが大切です。そして交通道徳を高め、これらを確実に実践することが肝要でありましょう。
その上で、何よりも、運転者や歩行者それぞれが、相手の立場に配慮し、思いやりのある行動をとることが求められていると考えます。
その意味からも、各地で活動され、豊かな知識と経験をお持ちの皆様が、このように一堂に会し、交通安全についての諸施策を協議されることは、誠に意義深いことであります。
おわりに、本日の受賞者をはじめ、全国津々浦々で交通事故防止に取り組んでおられる皆様のご尽力に深く敬意を表します。そして、交通事故のない安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、交通安全運動がさらに進むことを祈念し、大会に寄せる言葉といたします。
「第21回日本学術振興会賞並びに日本学士院学術奨励賞」授賞式
令和7年2月4日(火)(日本学士院会館)
本日受賞をされた皆様に心からお祝いを申し上げます。
受賞された皆様は、それぞれの専門分野において研究を進め、今までに秀逸な業績をあげてこられました。このたびの受賞を一つの契機として、今後もさらに成果を積み重ね、幾久しく活躍されることを心から願っております。
学術研究は、研究者の知的好奇心や自由な発想、そして研究への意欲に端を発し、地道な研究の継続を経て、真理の探求、経済の持続的発展、生活の利便性向上、心の豊かさの増進など、様々な成果を生むにいたるものと理解しております。
現在、人類社会は、気候変動やそれに伴う自然災害、さまざまな疾病や食料・エネルギー問題をはじめ、多くの困難な課題を抱えております。これらを解決していくためには、多様な学術領域からの知的貢献が必要不可欠なものとなっております。
その意味で、我が国の学術研究を支える日本学術振興会と日本学士院が協力して、人文学、社会科学から自然科学にわたる幅広い分野の若手研究者を顕彰し、研究意欲をより高め、研究の発展を支援しようとすることに大きな意義を感じます。それとともに、若い世代の研究者が業績をあげていかれることは、学術の発展を期待し、その成果を享受、あるいは共有する国民にとっても大変喜ばしいことと申せましょう。
おわりに、日本の学術研究が、関係の皆様のご尽力によって一層進展することを心より祈念し、式典に寄せる言葉といたします。
第70回青少年読書感想文全国コンクール表彰式
令和7年2月6日(木)(経団連会館)
青少年読書感想文全国コンクールは、幼少期から本に親しみ、心豊かに生きる糧にしてほしいという願いから、1955年に始まりました。その時以来、関係者の長年にわたるご尽力により、今では、全国の児童・生徒のほぼ5人に1人が応募するまでのコンクールに発展したと承知しております。そして本年、70回という記念すべき表彰式で、皆様とお目にかかれましたことを大変嬉しく思います。
受賞作品のいくつかを拝読いたしましたが、自分の知らない世界に出会った感動を言葉で表現する力に驚くとともに、登場人物の気持ちに寄り添ったり、自分と重ねてみたりして、そこからさらに深く考えて得たことを、執筆者自身で昇華させている様子が窺えました。そして、皆さんの本に対する思いや共感する心に触れることができ、感銘を受けました。
本を読んで感想文を書くとき、皆さんは、自分の考えをまとめながら自身の経験を振り返ったり、自分と向き合う作業をされたりしたことと思います。そのような自分を振り返ってみることは、面白い反面、楽しいだけではないかもしれません。しかし、本をつうじて自分とじっくり向き合う時間は、皆さんの心を豊かにしてくれたのではないでしょうか。
日本の全世帯のスマートフォン普及率が約90パーセントと言われる今日、私たちを取り巻く情報通信環境は大きく変化しました。それにより、本があまり読まれなくなったと言われますが、年間で児童・生徒に読まれる本の数は決して減っているわけではないとも聞きます。実際、今回のコンクールに向けて、2万4千校近い学校から、230万編を超える作品が寄せられたとのことです。
これだけ多くの応募があった背景には、日々読書指導に取り組まれている教員の方々のご努力があったことと推察いたします。また、青少年の心の糧になるような優れた著作を生み出された作家の方々、そのような作品を美しい装丁と共に世に送り出された出版関係の方々、そして、全国各地で青少年の読書活動を支援してこられた方々のご尽力に心からの敬意を表します。
おわりに、本コンクールの発展に力を尽くしてこられた全ての方々に深く敬意を表します。そして、この意義あるコンクールが将来に向けてさらに発展し、これからも多くの児童・生徒たちが一層本に親しみ、心豊かに成長していくことを祈念し、表彰式に寄せる言葉といたします。
社会福祉法人恩賜財団(※正しくは「恩賜」「財団」を二段組みとして、一文字分の大きさで示したもの。)「令和6年度済生会総会」
令和7年2月16日(日)(愛媛県県民文化会館)
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2025年日本国際博覧会レセプション
令和7年4月12日(土)(ホテルニューオータニ大阪)
明日の開幕に先だって、これまでこの博覧会の開催に向けて尽力してこられた多くの皆様に、この会場でお会いできましたことを、大変嬉しく思います。
本日の開会式では、式典とともに、このたびの博覧会のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現するさまざまなパフォーマンスが行われました。
これらを通じて、世界が「国際博覧会」で一つとなり、人類が直面している共通の課題への解決策を考えていく意義が改めて共有されたのではないかと思います。
前回、大阪で日本万国博覧会が開催されたのは1970年のことでした。私もその時のことは、強く印象に残っております。今回、当時の万博を経験された方々はもちろん、幅広い世代の方々にこの博覧会を楽しんでいただきたいと思います。
そして、世界との出会いというすばらしい体験が世代を超えて共有され、次世代へと引き継がれていくことを期待いたしております。
このたびの国際博覧会の準備に携わってこられた地元大阪府、大阪市を始めとする、国内外の関係者の熱意と努力に対して、心からの敬意を表します。そして、会場を訪れる皆様が、世界各地から来訪される方々との交流を通じ、「いのち輝く未来社会」をともに創り上げていくことを祈念し、私のあいさつといたします。
ありがとうございました。
令和7年度公益社団法人日本動物園水族館協会通常総会
令和7年5月21日(水)(ホテルアソシア豊橋)
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公益社団法人日本植物園協会第60回大会
令和7年5月27日(火)(アクトシティ浜松コングレスセンター)
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公益財団法人日本国際医学協会創立100周年記念レセプション
令和7年5月29日(木)(在京ドイツ大使公邸)
1925年、医師の継続的な医学教育を目的として石橋長英博士によって設立された「医学談話会」は、1939年に日独医学協会の名で財団法人として認可され、1952年に現在の日本国際医学協会に改称されました。その間、貴協会は一貫して医師の生涯教育と医学を通じた国際親善を進めてこられました。
我が国との医学交流は、エルヴィン・フォン・ベルツ博士や森鷗外博士に代表されるように、明治以来ドイツを中心として行われてきました。石橋長英初代理事長は、1939年に締結された「日独医学協定」の成立に尽力され、多数の日本人医師や研究者のドイツへの留学や使節団の派遣、ドイツ人医師・研究者の日本への招聘を支援され、日本の医学・医療の発展に大きく貢献されました。
貴協会の熱意もあって、両国の交流は市民にも拡がり、たとえばベルツ博士ゆかりの群馬県草津町とビーティヒハイム・ビッシンゲン市や、栃木県旧石橋町、現在の下野市と旧シュタインブリュッケン、現在のディーツへルツタール市では姉妹都市協定が締結され、定期的な人的交流が行われていると伺っております。
また、医師の生涯教育については「国際治療談話会」を定期的に開催され、専門分野別に細分化されつつある医学の再統合をはかり、領域にとらわれない医学を提唱されています。そして、国際治療談話会の「感想」は、医学、歯学、薬学以外の分野の有識者を迎えて行われている講演ですが、広範な知識と倫理を求められる医師の生涯教育として大変意義深く、かつ独自性が高い取り組みであると申せましょう。
おわりに、日本国際医学協会が、今後も日本とドイツを始めとする国際医学交流ならびに医師の生涯教育に貢献し、ますます発展していかれることを祈念し、創立100周年にあたってのお祝いの言葉といたします。
第36回全国「みどりの愛護」のつどい
令和7年6月7日(土)(森のホール21(松戸市文化会館))
そして、このたび、花と緑の愛護に顕著な功績を残され、「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞された94団体ならびに千葉県都市緑化功労者知事表彰を受賞された32団体の皆様に心からお祝いを申し上げます。
千葉県は、気候が温暖で三方を海に囲まれ、雄大な景色を作る海岸線や数多くの里地里山など美しい自然に恵まれています。
また都市部においても、緑化活動などによって緑豊かな景観が保たれ、そこに暮らす人々に快適さや潤いをもたらすとともに、訪れる人たちにも魅力的な場所になっていると伺っております。
この全国「みどりの愛護」のつどいは、緑に関わる全国の関係者が一堂に会し、広く都市緑化意識の高揚を図り、緑豊かな潤いのある住みよい環境づくりを進めるとともに、緑を守り育てる国民運動を積極的に推進していくことを目的として開催されてまいりました。
緑は美しい景観を生み出し、人々にゆとりや安らぎを与えるだけでなく、気候変動や生物多様性の保全など、地球規模の環境問題に対処する上で、非常に大切な役割を担っています。
それ故、この貴重な緑を守り、新たな緑を創り出し、育むとともに、次世代につないでいくことが必要であると感じております。その意味で、本日表彰を受けられた皆様の地道な努力と継続的な活動は、大変意義深いものであり、そのご尽力に深く敬意を表します。
おわりに、この「みどりの愛護」のつどいに参加された皆様がお互いに交流を深め、緑を守り育てる心をさらに高められることによって、緑豊かな環境づくりが一層発展していくことを祈念し、私の挨拶といたします。
特定非営利活動法人全日本愛瓢会創立50周年記念式典
令和7年6月12日(木)(福井市にぎわい交流施設「ハピリンホール」)
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2025年日本国際博覧会 ジャパンデー公式式典
令和7年7月3日(木)(EXPOホール「シャインハット」)
「大阪・関西万博」では、連日のように、参加各国・地域のナショナルデーや国際機関のスペシャルデーが開催され、それぞれの国などの紹介がなされております。
そして本日は、日本のナショナルデーである、「ジャパンデー」です。この日にあたり、主催国として、多くの皆様をお迎えできましたことを、誠に喜ばしく思います。
ジャパンデーは、日本の歴史や文化、伝統について、理解を深めていただくよい機会です。本日、会場内で行われる多くの催しを通じて、日本の持つ魅力を、世界の人々とともに、再発見することができる日になることを期待します。
ジャパンデーのテーマは、「LIFE WILL BLOOM.~いのちは、何度でも輝く。~」です。我が国の歴史を振り返ってみますと、先人たちは、四季が移ろう中で、自然の中にも「いのち」を見出し、生きとし生けるもの、すべての「いのち」を尊びながら、その感性を培ってきたと言えましょう。また、世界との交流を通じて、他国のよいところを柔軟に取り入れつつ、我が国特有の文化を育んでもきました。最近では、アニメやマンガなど日本が生み出したコンテンツが世界に広まり、国境を越えて、多くの人々をつなげています。
このような日本は、これからも、世界各国・各地域をつなぎ、また未来に貢献することができるのではないかと思います。その契機の一つになっているのが、このたびの万博と言えましょう。そして、次世代を担う人たちには、世界の人々や文化との出会いを経験し、世界について、そして未来について、考えを深めてほしいと思います。
おわりに、本日のジャパンデーをきっかけとして、世界と出会い、日本を伝えるというすばらしい体験が世代を超えて共有され、次の世代へと引き継がれていくことを祈念し、ジャパンデーに寄せる言葉といたします。
「第27回日本水大賞・2025日本ストックホルム青少年水大賞」表彰式
令和7年7月8日(火)(日本科学未来館)
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「海の日記念行事2025」開会式
令和7年7月21日(月)(東京国際クルーズターミナル)
そして、海洋に関する学術・研究、幅広い分野における普及啓発や海運業、船舶産業などの海事クラスターの発展に顕著な功績が認められ、海洋立国推進功労者として内閣総理大臣賞が贈られる5名、1団体の皆様に、心からお祝いを申しあげます。
本年は、1941年に制定された「海の記念日」が、「海の日」として国民の祝日となって30回目の節目の年となります。この記念すべき年に、日頃から海洋・海事の振興に力を尽くしておられる皆様とともにこの日を祝うことは、大変意義深いことと考えます。
四方を海に囲まれた我が国は、
しかしながら、海水温の上昇や海洋汚染、海洋資源の枯渇など、海を取り巻く様々な問題が生じております。私たちはこのような諸問題への解決に真剣に取り組み、豊かな海の環境を保全していかなくてはなりません。そのためには、国民一人ひとりが海への関心と理解を持ち続け、次の世代を担う人たちに豊かな海を引き継いでいく取り組みを進めていくことが大切なことと申せましょう。
日本の各地では、「海の日」である今日だけではなく、海の月間である7月を中心として、多くの「海の日」を記念する行事が開催されると伺っております。多くの人たちが、海のことに思いを馳せながらこれらの行事に参加され、海の恩恵に感謝する気持ちが、未来へと受け継がれることを願っております。
おわりに、本日の海の日記念行事を通じて、国民の間に広く海洋についての理解と関心が深まることを祈念し、「海の日記念行事2025」に寄せる言葉といたします。
令和7年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
令和7年7月24日(木)(広島県立総合体育館)
戦後80年の節目となる本年、被爆地広島を幹事県として、このたびの大会が行われ、ここに集う人々が、共に過去を振り返り、未来に向けて平和への思いを新たにする機会を得ることは、非常に意義深いことと思います。
また、このあと行われる公開演技では、多くの人々の「応援」を受けて復興し、「平和」を願う広島で育った高校生が、「たくさんの人々へ応援の声を届けたい」との想いを表現されると伺っています。
さて、インターハイの名で親しまれている全国高等学校総合体育大会は、高校生に広くスポーツ実践の機会を提供し、技能の向上やスポーツ精神の高揚を図るとともに、生徒相互の親睦を深め、心身ともに健やかな青少年を育成することを目的とし、1963年から教育活動の一環として開催されております。
そして、この大会の歴史を振り返ってみますと、世界大会やオリンピックなど、国際的な大会に出場した選手の中には、かつてインターハイで活躍した方たちも数多くおられます。
このたびの大会に出場される方々には、「輝け君の青春 刻め努力の軌跡」のスローガンの下、暑熱対策などに心を配られつつ、日頃の成果を大いに発揮されることを期待しております。
さらに、この大会では、各開催道県の多くの高校生が準備と運営に関わっています。選手と地元の高校生や各地から参加される方々が親睦を深められ、皆様にとって末永く心に残る大会になることを願っております。
おわりに、本大会が、選手の活躍と地元高校生を始めとする関係者の協力により、実り多いものとなることを祈念し、開会式に寄せる言葉といたします。
第49回全国高等学校総合文化祭「かがわ総文祭2025」総合開会式
令和7年7月26日(土)(あなぶきアリーナ香川)
また、生徒実行委員をはじめとする香川県の高校生、全国から集われた高校生、その指導にあたってこられた方々など、本大会を創り上げてこられたすべての関係者のご尽力に対して心から敬意を表します。
さて、全国高等学校総合文化祭は、文化・芸術活動に取り組む高校生の祭典として、開催地の生徒が主体となり、地域の特性と高校生ならではの感性を活かした大会づくりがなされてまいりました。1977年の第1回大会から各都道府県持ち回りで行われ、昨年の岐阜大会から2巡目に入りました。このような祭典が、次世代を担う高校生によって長年にわたり毎年開催されていることは、国民の文化・芸術に対する関心や理解をいっそう深めるとともに、未来に向けた文化創造の土壌を豊かにする上で、誠に意義深いものと申せましょう。
今年の大会テーマは「讃岐に咲くは
おわりに、「かがわ総文祭2025」が、皆様にとりまして、素晴らしい一夏の思い出になることを祈念し、開会式に寄せる言葉といたします。
東京2025世界陸上競技選手権大会開会式開会宣言
令和7年9月13日(土)(国立競技場)
2025年(第35回)福岡アジア文化賞授賞式
令和7年9月16日(火)(福岡市民ホール)
そして本日ご出席の皆様と共に、受賞者それぞれの活動や研究の一端について、この会場でお話を伺うことができますことを誠に嬉しく思います。
「福岡アジア文化賞」は、アジア各地で受け継がれている多様な文化を尊重し、その保存と継承に貢献するとともに、新たな文化・芸術の創造、そしてアジアに関わる学術研究に寄与することを目的として、それらに功績のあった方々を顕彰するために1990年に創設されました。爾来、アジアの文化とその価値を世界に示すにあたり、本賞の果たしてきた役割には誠に大きなものがあります。
私自身、日本国内を旅するとともに、東南アジアを中心に、いくつかのアジアの国々を訪れました。そして、多様な風土や自然環境によって創り出され、長い期間にわたって育まれてきた各地固有の歴史や言語、民俗、芸術など、文化の豊かさと深さに関心を抱いてきました。
それとともに、貴重な有形・無形の文化を記録・保存・継承し、さらに発展させていくことの大切さや、新たに創造していくことによる広がり、そして、アジアを深く理解するための学術の重要性を強く感じてまいりました。このことからも、本賞がアジアの文化・芸術の価値、ならびに学術面における成果を伝えていくことは、大変意義深いことと考えます。
その意味において、本日受賞される3名の方々の優れた業績とその意義が、アジアのみならず広く世界に向けて発信されることを願います。そして、国際社会全体でそれらを共有することは、人類の貴重な財産の蓄積につながることと思います。
おわりに、受賞される皆様に改めてお祝いの意を表しますとともに、この「福岡アジア文化賞」を通じて、アジアに対する理解、そして国際社会の平和と友好が促進されることを祈念し、授賞式に寄せる言葉といたします。
第48回全国育樹祭式典行事
令和7年10月5日(日)(セキスイハイムスーパーアリーナ)
そして、本日表彰を受けられる方々に心からお祝いを申し上げます。
全国育樹祭は、継続して森を守り育てることの大切さを普及啓発するため、1977年から、全国植樹祭を開催したことのある都道府県において、毎年開催されております。ここ宮城県においては、全国植樹祭が二度開催されておりますが、このたび、初めて全国育樹祭が開催されますことに深い感慨を覚えます。
昨日、私たちは、1997年に「第48回全国植樹祭」が行われた国立花山青少年自然の家 南蔵王野営場において、当時の天皇皇后両陛下が植樹をされたブナとオオヤマザクラの手入れを行いました。28年の歳月を重ね、樹々が健やかに成長している姿を見ることができ、大変うれしく思いました。
さて、2011年に発生した東日本大震災の津波により、宮城県沿岸部の海岸防災林が大きな被害を受けました。その再生には長い年月を要しますが、地元や県内外の多くの方々が植林や保育活動を行い、防災機能の復旧だけでなく、地域の交流の場としての活用も目指していると伺っています。
また本県では、林業の担い手の確保や育成が進められているとのことです。戦後に造林された樹木が本格的な利活用期に入っている今日、大変重要なことと考えます。
そして、これらいずれの取り組みも将来に向けた意義深いものと申せましょう。
森林は、国土の保全、水源の涵養、レクリエーションの場の提供のほか、木材や特用林産物の供給など、私たちの暮らしに必要なものや豊かさをもたらす多様な機能を持っています。そして、地球温暖化の防止に欠かせない二酸化炭素の吸収源として、また生物多様性の保全など、地球環境を守る上でも重要な役割を担っております。
このように、かけがえのない豊かな森林を維持し、次の世代へと引き継いでいくことは、私たちに課せられた大切な務めでありましょう。
その意味から、本日表彰を受けられる方々をはじめ、日頃からそれぞれの地域において国土緑化に力を尽くされている全国の皆様に敬意を表します。そして、こうした活動が今後も多くの人々に支えられ、一層発展していくことを期待しております。
おわりに、本大会が一つの契機となり、震災の教訓が広く伝承され、森林を守り育てていく人々の想いがここ宮城の地から全国へ広がっていくことを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。
2025年日本国際博覧会閉会式
令和7年10月13日(月)(EXPOホール「シャインハット」)
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして開催されたこの博覧会が、世界の多くの国や地域、国際機関を始めとする関係者の熱意と協力のもとに開催され、盛況のうちに滞りなくこの日を迎えることができたことを大変嬉しく思います。博覧会の開催に尽力された方々に深く敬意を表します。
このたびの博覧会を契機に、多くの人々が、ここ夢洲に集い、繋がり、相互理解を深め、人類が直面している共通の課題への解決策について共に考える機会を得たことは、非常に意義深いことと思います。これからも世界が手を携え、「いのち輝く未来社会」を創り上げていくことを期待しております。
おわりに、この博覧会における素晴らしい体験が世代を超えて共有され、次世代へと引き継がれていくことを祈念し、閉会の言葉といたします。
「第15回国際口蓋裂・頭蓋顔面異常学会国際会議」開会式
令和7年10月20日(月)(国立京都国際会館)
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Distinguished guests and Congress participants,
It is a great pleasure for me to join many people from Japan and abroad at this Opening Ceremony of the 15th International Congress on Cleft Lip/Palate and Related Craniofacial Anomalies, for short CLEFT2025, being held here in Kyoto.
This international Congress encompasses all fields related to the treatment of cleft lip/palate and related craniofacial anomalies. I am very pleased that this Congress, with a long history, is being held in Japan for the first time. I express my deep respect to those who have advanced this field for their long-standing dedication.
I have learned that cleft lip/palate affect approximately 1 in every 500 to 1,000 live births, making them among the most common birth defects worldwide. These conditions can cause impairments not only for newborns and infants but throughout a person’s lifetime, and thus require care. Therefore, treatment cannot be accomplished through the efforts of a single professional field alone, but rather requires collaborations among specialists across a wide range of disciplines, including doctors, dentists, speech-language pathologists, and other medical and dental professionals. Meanwhile, I understand that in many developing countries, collaborative efforts across multiple fields are essential. These include the fostering of medical personnel, and improving the quality of comprehensive healthcare services.
In this context, I understand that team-based care and collaborative studies are central to this Congress, which aims to facilitate research presentations and lively discussions through the Japanese concept of ‘wa’ in its theme of “‘Wa Harmony’ – Looking for Harmony and Consensus in comprehensive cleft care and collaborative studies”. I hope that the outcomes of this Congress will greatly contribute to strengthened collaboration and advancements in related fields.
In concluding my address, I hope that active interdisciplinary exchanges among clinicians and researchers from around the world will provide momentum for further advances in research on cleft lip/ palate and craniofacial anomalies. Furthermore, it is my wish that the outcomes will lead to better treatment and brighter futures for patients around the world. I hope this Congress and your stay here in Kyoto will be fruitful, meaningful, and enjoyable.
Thank you for your kind attention.
第24回全国障害者スポーツ大会開会式
令和7年10月25日(土)(彦根総合スポーツ公園陸上競技場(平和堂HATOスタジアム))
本大会は、障がいのある人たちが大会に参加し、競技などを通じてスポーツの楽しさを体験するとともに、国民が理解を深め、障がい者の社会参加の推進に寄与することを目的として、2001年より開催されております。爾来(じらい)、本大会は、我が国の障がい者スポーツの普及と振興に大きく寄与してきました。長年にわたって大会を支えてこられた関係者のご尽力に深く敬意を表します。
「わたSHIGA輝く障スポ」では、「みんなが輝く大会に!」のメッセージのもと、全ての競技会場にカームダウンスペースを設置するなど、誰もが大会を楽しむことができる工夫がなされていると伺っております。この大会での様々な取り組みが、我が国の共生社会の実現につながることを期待しております。
そして、参加される皆様には、日頃の練習の成果を存分に発揮され、すばらしいパフォーマンスを披露していただければと思います。それとともに、全国各地から集われた選手同士、また多くのボランティアの皆様や地元の方々との交流を深められ、たくさんの思い出や人とのつながりを作っていただくことを期待いたします。
おわりに、本大会を通じて生まれた感動が、ここ滋賀県から全国へと広がり、未来への希望として将来にわたって引き継がれることを願っております。
そして、この大会を一つの契機として、障がいのある人々に対する理解が更に広がり、障がい者の社会参加が一層促進されますことを祈念し、開会式に寄せる言葉といたします。
2025年(第34回)ブループラネット賞表彰式典
令和7年10月29日(水)(東京會舘)
ロバート・B・ジャクソン教授は、森林・草原・湿原などの陸域生態系の炭素循環の専門家として、長年にわたり土壌・植生・土壌細菌群集に関して先駆的な研究を行ってこられました。その中で、化石燃料の使用や自然生態系から発生する二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの温室効果ガスの収支を定量化されています。そして、2017年からは、グローバル・カーボン・プロジェクトの議長として温室効果ガス排出量の監視と削減の取り組みを主導されています。
ジェレミー・レゲット博士は、「カーボン・トラッカー・イニシアチブ」の初代会長として「カーボンバブル」の概念を提唱し、化石燃料資産の経済リスクを明らかにし、気候変動が金融市場にもたらすリスクに光をあてられました。こうしたリスクへの認識の高まりは、投資家の判断に影響を及ぼしています。また、経済活動と環境保全の両立を図る実践的な取り組みとして、英国有数の太陽光発電企業を創業されました。近年は、スコットランドで自然再生の一形態であるリワイルディングと地域社会の繁栄を結び付ける取り組みを推進されています。
このように、お二人の受賞者が、長年にわたる卓越した研究と国際的な協力を通じて、私たちが直面する気候変動という極めて深刻な課題の解決に力を尽くしてこられたことは、誠に意義深いことであります。お二人をはじめ環境問題に真摯に取り組む方々のご尽力により、持続可能な社会、健全な地球環境、そして人々の幸せがもたらされることを心から願っております。
おわりに、すばらしい業績を上げられましたジャクソン教授ならびにレゲット博士に改めて敬意を表しますとともに、ブループラネット賞が、これからも世界の人々の環境への意識を高め、それに伴う行動を促す上で重要な役割を果たしていくことを祈念し、「第34回ブループラネット賞表彰式典」に寄せる言葉といたします。
大日本農会「令和7年度農事功績者表彰式」
令和7年11月12日(水)(赤坂インターシティAIR)
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