主な式典におけるおことば(平成28年)

皇太子殿下のおことば

国立オリンピック記念青少年総合センター開所50周年及び国立青少年教育振興機構発足10周年記念式典
平成28年1月15日(金)(国立オリンピック記念青少年総合センター)

国立オリンピック記念青少年総合センター開所50周年及び国立青少年教育振興機構発足10周年記念式典に,職員や青少年など関係者の皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

国立オリンピック記念青少年総合センターは,これまでに5千数百万人に上る多くの青少年や青少年教育関係者などを受け入れ,青少年の健全な育成に大きな役割を果たしてきました。この50年間の長きにわたる関係者のたゆみない努力に対し,心から敬意を表します。

私自身,かつてこのオリンピックセンターの施設整備が全面的に完了したことを記念して開催された「全国青少年総合フェスティバル」の開会式に参加したことがあり,学習や交流,研修,スポーツ・文化など各種の活動を総合的に実施するための体制が整ったことを意義深く感じたことを思い出しました。

今後とも,このオリンピックセンターにおける活動を通じて,参加する青少年一人一人に,他人を思いやる心や感動する心などを始めとする豊かな人間性や協調性などが培われていくことを期待いたします。

近年の急激な社会変化の中で,日本の明日を担う青少年を育成する国立青少年教育振興機構には,大きな期待が寄せられているものと思います。開所50周年を迎えたオリンピックセンターが,我が国内外の多くの青少年に親しまれ,日本の中心的な青少年教育施設として,ますます発展していくことを願い,私の挨拶といたします。

修養団創立110周年記念大会
平成28年2月7日(日)(国立オリンピック記念青少年総合センター)

修養団創立110周年記念大会に,多くの関係者の皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

修養団は明治39年の創立以来,一貫して「愛と汗」の理念と実践により明るい社会を建設し,世界の福祉と平和に貢献することを目的に,心豊かな子供を育てる体験活動,ボランティア活動,講習会など各種の社会教育活動を展開して,社会に大きな貢献をしてきました。

創立以来110年,時代の変遷とともに社会教育活動をめぐる環境も大きく変化してきたことと思いますが,修養団の皆さんのたゆみない努力で幾多の困難を乗り越え,現在も活発に活動されていることに対し,深く敬意を表します。

これからも「愛と汗」の精神に基づいた「こんにちは! どうぞ! ありがとう! の幸せの種まき運動」が更に進み,一輪でも多くの幸せの花が咲き,明るく平和な世界が実現することを願い,大会に寄せる言葉といたします。

第27回全国「みどりの愛護」のつどい
平成28年6月12日(日)(千葉県立柏の葉公園)

挨拶に先立ち,この度の熊本地震により亡くなられた多くの方々に心から哀悼の意を表しますとともに,ご遺族を始め,今なお厳しい環境の下で暮らす被災者の方々に改めてお見舞いを申し上げます。被災地の復旧や復興が一日も早く進み,被災された方々が安心して暮らすことができるようになることを心から願っております。

第27回全国「みどりの愛護」のつどいが,ここ千葉県立柏の葉公園において開催されるに当たり,日頃から緑の愛護活動に携わっておられる皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

我が国は,緑豊かな環境の中で,四季折々に姿を変える美しい自然の恵みを受け,数多くの文化を生み,育んできました。千葉県も,緑濃い房総の丘陵と下総台地や,日本一の流域面積を誇る利根川,九十九里浜や屏風ヶ浦といった変化に富んだ海岸線など,美しく豊かな自然環境に恵まれています。そして,温暖な気候ともあいまって,豊饒(ほうじょう)な海の恵みは多様な文化を支え,重要な交通路でもあった利根川は,この地域に江戸の文化をもたらし,独特の町並みや祭りなどを生み出してきました。

豊かな緑は,私たちの暮らしにゆとりと潤いをもたらします。また,地球温暖化の防止や生物多様性の保全などの様々な環境問題を改善するとともに,災害の防止にも大きな役割を果たしています。この会場である柏の葉公園も,緑を生かしたまちづくりや庭づくりの見本ともなり,また,緑と上手に暮らす情報発信の拠点にもなっていると伺っています。

貴重な緑と,その緑を源とする清らかな水を守り,更に新たな緑を育んでいくためには,多くの人々がその大切さを理解し,幅広く運動に参加することが重要です。その意味でも,ただ今表彰を受けられた方々の緑の愛護活動への取組は,大変意義深いものであり,皆さんの努力に対し深く敬意を表します。

終わりに,今回のつどいにおいて,全国から参加された皆さんが相互に交流を深め,緑を守り育てる心を新たにされるとともに,緑豊かな環境づくりが一層発展することを願い,私の挨拶といたします。

第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)日本代表選手団結団式
平成28年7月3日(日)(国立代々木競技場第二体育館)

第31回オリンピック競技大会日本代表選手団結団式に出席し,リオデジャネイロにおいて開催されるオリンピック競技大会に参加される選手及び役員の皆さんとお会いできますことをうれしく思います。

選手の皆さんには,この度,日本代表選手に選ばれたことを心からお祝いいたします。

今回のオリンピックは,南アメリカ大陸で初めて開催されるもので,1904年にセントルイスで開催された,第3回オリンピック競技大会以来112年ぶりに復帰するゴルフと,新たに追加された7人制のラグビーフットボールを含む,28競技306種目が実施されると聞いております。

この大会に参加される皆さんが,スポーツを通して世界各地の精鋭と競い合い,そして友好を深められることを希望いたします。

選手の皆さんには,本大会に向けて体調管理に十分留意され,競技の場においては,日頃の練習の成果を十分に発揮されるよう願っております。

皆さんのご活躍は,2020年に東京で2度目の開催となるオリンピックの成功につながるものと思います。

選手の皆さんのご活躍とご健闘をお祈りし,結団式に寄せる言葉といたします。

第52回献血運動推進全国大会
平成28年7月7日(木)(明治神宮会館)

挨拶に先立ち,先の熊本地震により亡くなられた方々のご遺族と被災された方々に,この機会に改めてお見舞いを申し上げます。災害からの復旧・復興が一日も早く進むことを願っております。日本赤十字社においても,地震直後から医療救護活動を行うとともに,その後も,避難されている方々の健康維持のための支援などを行っていると聞いております。いろいろと大変なこともあると思いますが,引き続き,被災された方々の支えとなるよう希望いたします。

第52回献血運動推進全国大会に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

医療活動に欠かせない献血は,現在,医療の需要に応えるため,400ミリリットル献血及び成分献血の推進が図られており,昨年は延べ491万人の方々の協力により,全国の患者さんに滞りなく血液製剤が届けられたと聞いております。これも,本日ここに表彰を受けられた方々を始め,長年にわたり献血運動の推進に尽くしてこられた関係者の皆さんの努力と,国民一人一人の献血への理解と協力があって成し得たことであると思います。

近年は,少子高齢化が進み,10代,20代,さらには30代の献血者数が減少傾向にある一方で,今後,輸血を必要とする高齢者が増えると予想されることから,若い世代の方々の献血への理解と協力が強く求められています。

このため,日本赤十字社では,全国的なイベントを開催したり,また,例えば,インターネットを活用して,輸血を受けた患者さんとその家族の記録映像を配信したりすることにより,若い方々の献血に対する関心を高めるとともに,将来の献血を担う小・中学生や高校生に対しては,学校に出向いて献血の意義を説明する献血セミナーを積極的に行っていると聞いております。国や地方公共団体の協力も得て,こうした様々な取組により,献血への理解が一層広がることを期待しています。

最後に,ここ東京での大会を契機に,国民の皆さんの献血への協力がより一層進み,献血運動の輪が更に広がっていくことを希望して,大会に寄せる言葉といたします。

平成28年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成28年7月28日(木)(ジップアリーナ岡山)

平成28年度全国高等学校総合体育大会「2016 情熱疾走 中国総体」が,全国各地から多数の参加者を迎えて,江戸時代に庶民のための公立学校として開かれた「旧閑谷(しずたに)学校」など,豊かな歴史や文化と美しい自然に恵まれたここ岡山県を始め,鳥取県,島根県,広島県,山口県の中国各県と和歌山県で開催されることを喜ばしく思います。

私も皆さんと同じ高校生の時,ここ岡山県で行われた高校総体を観戦したことがあり,当時を懐かしく思い出します。

選手の皆さんには,厳しい暑さの中,体調管理に気を付けられ,日頃鍛えた力と技を十分発揮し,お互いに友情を育むとともに,地域の方々とも交流を深め,高校生活の良い思い出をつくられるよう願っています。

そして,選手の皆さんの活躍と地元高校生の協力により,この大会が,実り多いものとなることを期待します。

皆さんのご健闘を心からお祈りします。

第40回「水の週間」水を考えるつどい
平成28年8月1日(月)(科学技術館)

第40回「水の週間」水を考えるつどいが,多くの関係者の出席を得て開催されることを誠に喜ばしく思います。

水はあらゆる生命の根源となる基本的資源であり,我が国は,水資源と水に関わる施設を守り育てることにより,水がもたらす恵みを受けてきました。

この4月に地震に襲われた熊本は,もともと地下水源に恵まれた水が豊かな土地柄ですが,少なくとも約43万戸が断水しました。ふだん当然のように利用している水が,災害により突然手に入らなくなると,日常生活に深刻な影響を及ぼすことを,改めて認識することとなりました。

また,今年は九州が地震に加えて豪雨による水害にも見舞われる一方で,関東では冬の雪や春以降の雨が少なく水不足に悩まされています。地球温暖化による気候変動の影響とも指摘されていますが,降水量の偏りが極端になってきており,地域によっては,将来の渇水リスクが高まることが懸念されています。

水は限りある貴重な資源です。水資源を安定的に確保し,その有効活用を図ることは,国民生活を守り発展させるための根幹となるものであり,今後とも,水資源対策が一層充実されることが望まれます。

我が国の発展を支えてきた「水の恵み」を守り続けるためには,多くの人たちの取組が必要です。本日,水資源功績者として表彰される方々は,水資源の利用と保全に当たって長年にわたり最前線で活躍され,その活動は誠に意義深いものであり,そのご尽力に心より敬意を表します。また,作文コンクールに入賞された方々に祝意を表したいと思います。

水を守り育てる取組は不断の努力を必要としますが,「水の週間」をきっかけとして,水の大切さに対する国民の関心と理解がより一層深まることを願い,私の挨拶といたします。

第18回結晶成長国際会議開会式
平成28年8月8日(月)(名古屋国際会議場)
【実際のおことばは,英語で述べられています。こちらのページでは,和訳したものを掲載しています】

本日,第18回結晶成長国際会議開会式に,多くの国と地域から参加される皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

今回の第18回結晶成長国際会議は,「結晶成長の基礎科学と工学による社会貢献」を主題に据え,基礎研究と応用研究との(きずな)を強めることを目的として開催されると聞いております。本会議において,結晶成長に携わる学術界,産業界の研究者と技術者が一堂に会し,研究成果を産業の発達と生活の向上につなげていくための方途について議論が行われることは,大変意義深いことと考えます。

一昨年,赤﨑勇教授,天野浩教授,中村修二教授の3名が青色発光ダイオード(blue LED)の発明という研究成果を評価され,ノーベル物理学賞を受賞しましたが,このことに代表されるように,結晶成長学が省エネルギーの促進を通して持続可能な社会の実現に貢献する余地はますます大きくなっていると伺っております。今後,結晶成長学の一層の進展が,省エネルギーのみならず,創薬,生命科学から情報通信まで幅広い分野において,低炭素社会,高度情報化社会,そして高齢化社会を支える科学技術の基盤を提供し,社会の発展に貢献していくことが望まれています。

今回の会議を通じて,世界中から参加されている若い世代の研究者や技術者,学生などの結晶成長に対する関心が更に高まり,未来に向けて多くの技術革新を創出していく良いきっかけとなることを期待します。

最後に,今回の第18回結晶成長国際会議の開催に尽くされた関係者の努力に対し,心からの敬意を表するとともに,今次会議が,21世紀の人類の重要な課題に対して,その解決の方向性や具体的対応策を提示するとともに,そのために研究者や技術者が果たす重要な役割を世界に広める機会となることを願って,開会式に寄せる言葉といたします。

第1回「山の日」記念全国大会記念式典
平成28年8月11日(木)(上高地バスターミナル)

第1回「山の日」記念全国大会記念式典に皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。

「山の日」は,「山に親しむ機会を得て,山の恩恵に感謝する」ことを趣旨に,平成26年に国民の祝日として制定されました。制定に尽力された多くの皆さんに心から敬意を表します。

また,記念すべき第1回の全国大会が,山岳観光地として名高い,ここ長野県松本市上高地で開催されることは,この「山の日」の制定趣旨を表現するにふさわしく,大変意義深いことと思います。

私も,昭和42年に両親と共にこの地を訪れ,穂高連峰の雄大な景色に魅了され,そこから流れ出る梓川の清流に心を癒やされたことが,懐かしく思い出されます。

我が国は,国土の約7割を山地が占めており,私たち日本人は,古くから山に畏敬の念を抱き,森林の恵みに感謝し,自然と共に生きてきました。

また,長野県では登山学習というすばらしい取組が脈々と受け継がれており,この大会のロゴマークも,地元の子供たちが制作に関わったと聞きました。次代を担う子供たちに,山のすばらしさや厳しさ,山の恩恵への感謝の気持ちなどをしっかりと引き継いでいくことが大切であり,「山の日」が明るく豊かな「山の未来」を創造する第一歩となることを願っています。私自身,山に登り始めて50年ほどになりますが,山に登るたびに新しい発見や新たに学ぶことがあり,山の魅力は尽きることがありません。

このように,「山の日」が誕生したことを機に,ここ上高地から山の価値を広く国内外に発信し,多くの人が山に親しみ,その恵みに感謝するとともに,美しく豊かな自然を守り,次の世代に引き継いでいくことを心より願い,挨拶といたします。

国立劇場開場50周年記念式典
平成28年9月28日(水)(国立劇場)

国立劇場開場50周年記念式典に,多くの関係者の皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

我が国は古い歴史を持つ様々な伝統芸能に恵まれています。これらの優れた伝統芸能の根を絶やすことなく次代に引き継いでいくために,昭和41年に,幾多の困難を経て,現在の独立行政法人日本芸術文化振興会の前身である特殊法人国立劇場が設置され,この劇場が開場されたと聞いています。以来50年の長きにわたり,国立劇場は,歌舞伎,文楽,雅楽などの伝統芸能の殿堂として,その上演や調査研究,伝承者養成などの事業を行い,保存と振興に大きな役割を果たしてきました。

また,平成16年には沖縄伝統芸能の保存振興のための国立劇場おきなわが開場になり,昭和50年代に順次整備された国立演芸場,国立能楽堂,国立文楽劇場と共に,我が国の伝統芸能の総合センターとしての機能が整備されました。これまで我が国の伝統芸能の保存振興に力を尽くしてこられた多くの関係者に対し,深く敬意を表します。

人々が心豊かな生活を送り,社会に活力を生み出す上で,芸術文化の果たす役割は,ますます重要になってきています。今後とも,国立劇場とその運営母体である日本芸術文化振興会が,我が国の芸術文化の継承発展と新たな創造の一翼を担っていくことを期待し,式典に寄せる言葉といたします。

第40回全国育樹祭
平成28年10月9日(日)(京都府立府民の森ひよし)

第40回全国育樹祭が全国各地から多くの参加者を迎え,ここ京都府の「府民の森ひよし」において開催されることを喜ばしく思います。

京都府は74%を森林が占める緑豊かな地であり,とりわけ,京都丹波高原を中心とするこの地域は,かつては平安の都の造営を支え,今日では,北山スギに代表される木材,丹波くりや京野菜などの豊かな恵みをもたらし,長きにわたって人々の暮らしを支え,文化を育んできました。

豊かで美しい森林は,国土の保全や水源の(かん)養,木材の生産など,人々の生活にとってかけがえのない役割を果たすとともに,地球温暖化の防止や生物多様性の保全など,地球環境を守る上でも期待が大きくなっています。

こうした森の大切さを思うとき,緑を守り,大切に育ててこられた先人に感謝するとともに,この豊かな森を次の世代に引き継いでいくことが,今を生きる私たちの務めであると考えます。

昨日,私は,山城総合運動公園ふれあいの森で,平成3年の第42回全国植樹祭において,天皇皇后両陛下がお手植えになった京都府の木,北山スギと,京都府の花,シダレザクラの,手入れを行い,お手植えの木々が,25年の歳月を経て,府民に親しまれ健やかに成長している姿に感銘を受けました。

そして,京都府では,林業関係者だけでなく,企業やボランティアの皆さんなど幅広い府民の皆さんが参加して森づくりを進める「京都モデルフォレスト運動」が,今年,10周年を迎えることを聞き,心強くまた喜ばしく思いました。

本日,表彰を受けられる方々を始め,日頃からそれぞれの地域において,国土の緑化に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに,そうした活動が,これからも多くの人々に支えられ,更に発展していくことを期待します。

終わりに,この大会のテーマである「育樹の輪 ひろげる森と 木の文化」にふさわしく,森林を守り育て,木とともに人々が暮らしてきた文化が,ここ京都の地から全国へ,未来へと継承されていくことを願い,私の挨拶といたします。

第16回全国障害者スポーツ大会開会式
平成28年10月22日(土)(北上総合運動公園北上陸上競技場)

挨拶に先立ち,台風10号を始めとするこの夏の度重なる豪雨により亡くなられた多くの方々に心から哀悼の意を表しますとともに,ご遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。これらの災害からの復旧・復興が一日も早く進むことを願っております。

第16回全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」の開会式に,全国各地から参加された多くの選手,役員,そして開催地である岩手県の皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。

この大会が,東日本大震災からの復興の力となり,その先の明るい未来への架け橋となることを願い,被災地で初めて開催されることは,大変意義深いことです。

選手の皆さんには,日頃の厳しい練習の成果を発揮して,大いに活躍していただきたいと思います。また,選手同士はもちろん,ボランティアの方々や地元岩手県の皆さんとの交流を深められ,たくさんのすばらしい思い出を作ってください。

先月のリオパラリンピック競技大会における日本選手団の活躍は,皆さんもよくご記憶のことと思います。それに続いて開催されるこの大会を機に,障害者に対する理解が更に広がり,障害者スポーツがより一層発展するとともに,障害のある人もない人も,お互いを尊重し合い,共に支え合う社会づくりが進んでいくことを希望いたします。

終わりに,この大会の開催を支えてこられた全ての皆さんの努力に,心から敬意を表するとともに,「広げよう 感動。伝えよう 感謝。」のスローガンの下,多くの人々に感動を広げ,希望に満ちた明日につながる大会となることを願い,私の挨拶といたします。

JETプログラム30周年記念式典
平成28年11月7日(京王プラザホテル)

本日,JETプログラム30周年記念式典が,世界各国から多くの参加者を迎え,開催されることをうれしく思います。

JETプログラムは,我が国の外国語教育の充実や地域レベルでの国際化の推進に寄与し,これまでに,65か国から約6万5,000名が参加する大規模な人的交流事業に発展してきました。

この間,外国青年を受け入れてこられた都道府県,市町村や学校,海外でJETプログラムの広報や参加者の選考に協力してこられた方々など,多くの関係者の皆さんのご尽力により,JETプログラム事業が大きく成長したことは大変喜ばしいことです。

JETプログラムに参加する外国青年は,日本各地の小学校,中学校,高等学校などの外国語指導助手として,また,地方公共団体で国際交流事業に従事する国際交流員として,あるいは,学校などでスポーツ指導に当たるスポーツ国際交流員として,地域の国際化の推進に大きな役割を果たしています。

海外から日本への外国人観光客が増加していることに加え,ラグビーワールドカップ2019日本大会や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も予定される中,JETプログラムに参加する外国青年の役割は,将来を担う青少年に対する外国語教育を充実し,地域の国際化を推進する上で,大変意義深いものです。

一方,外国青年にとっても,日本の様々な地域に住み,地元の人々と接することにより,その風土や文化を知ることのできる機会は,とても大切であると思います。また,JETプログラム卒業生が各国で活躍し,その同窓会組織であるJETAAが,世界16か国に53の支部を有するまでになり,日本文化の紹介やJETプログラムへの支援などを通じて日本との架け橋となっていることを心強く思います。今後,更に世界で活躍するJETプログラム卒業生と日本との(きずな)が深まることを期待しています。

30周年を迎えたJETプログラムが更に発展して,我が国の外国語教育がますます充実し,地域レベルでの国際交流が進展することを願い,私の挨拶といたします。

第19回全国農業担い手サミットinぎふ
平成28年11月10日(木)(岐阜メモリアルセンター)

「第19回全国農業担い手サミットinぎふ」に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

農業は,食料の生産と供給を通じて,人々の暮らしと健康を支えています。また,水を育み,国土を保全し,緑豊かな魅力ある景観をつくり出すとともに,それぞれの地域で特色ある文化を育んできました。

皆さんが各地域において,このような大切な役割を果たす農業を担い,農業・農村の発展に日頃から意欲的に取り組まれていることを,心強く感じます。

ここ岐阜県は,日本の中央部に位置し,温暖な平(たん)地から,夏季でも冷涼な中山間地まで変化に富んだ自然条件と,豊かな森林が育む清流をいかして,多種多様な農産物が1年を通して栽培されていると聞いております。また,近年,農業従事者の急速な減少や高齢化が全国的に大きな課題となっていますが,岐阜県では,行政だけではなく,地域ぐるみで就農者を支える取組に力を入れていると伺っております。

全国から農業の担い手の皆さんが集まり,「広げよう!つなげよう!未来の農業へ」のテーマの下,次代の農業の担い手の育成に焦点を当てて,このサミットが開催されることは,将来にわたって農業の営みを継続し,農村の文化を受け継いでいくために,誠に意義深いことと思います。

農業を取り巻く環境が大きな転換期を迎える中,このサミットを契機に,農業の更なる発展を目指す人々の輪が,ここ岐阜の地から全国に広がり,日本の農業が未来に向けて力強く発展していくことを願い,私の挨拶といたします。

国連加盟60周年記念行事
平成28年12月19日(月)(国際連合大学)

日本の国際連合加盟60周年記念行事に皆さんと共に出席することを,うれしく思います。

国際連合は,創設以来,世界の平和と安全の維持や経済,社会,文化,環境,防災,人道など,国際社会が直面する様々な問題を解決すべく,たゆまぬ努力を続けてきました。

我が国も,1956年に国連に加盟して以来,戦後の復興から発展を遂げる過程で,国連や関連の国際機関から多大な支援を受けてきました。そして,その後は,支援を受けるのみならず,世界の平和と繁栄に貢献すべく,国連と共に,そして国連を通じて,国際社会の様々な課題の解決に取り組んできました。また,現在も多くの日本人が国連職員として,あるいは,国連平和維持活動の要員として,現場の最前線で活躍しています。

しかしながら,国際社会においては,依然として地域紛争が()まず,それによって子供を含め多くの犠牲者や難民が発生しているほか,貧困・経済格差や地球温暖化,自然災害といった克服すべき課題も多岐にわたっています。私たちは今,こうした諸課題にいかに対処し,どのようにして平和で安定し,持続可能な社会を実現していくのかを問われています。国際社会は,英知を結集し,力を合わせなければなりません。その意味でも国連の役割は,ますます重要になってきているものと思います。

昨年,国際社会は,今後15年を見据えた,国際社会全体の新たな開発目標を定めた「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択しました。また,地球温暖化対策として,京都議定書の後継枠組みとなる「パリ協定」も採択されました。今後,これらの新たな目標の実現に向けて,国際社会が一層の連携を深めていくことを期待します。私自身も昨年,国連「水と衛生に関する諮問委員会」名誉総裁として,同諮問委員会の最終会合などに出席しましたが,この新たな開発目標の実現に向け,引き続き可能な貢献を行っていきたいと思います。

本日の記念行事をきっかけとして,これからも我が国の人々が,国際連合についての理解を一層深めるとともに,世界の平和と繁栄の実現という崇高な目標の達成に寄与していくことを願い,私の挨拶といたします。