主な式典におけるおことば(令和6年)
秋篠宮皇嗣殿下のおことば
第64回交通安全国民運動中央大会
令和6年1月17日(水)(文京シビックホール)
今日ここには、被災地からご出席の方がおられると伺いました。また、震災による影響を受けたり、身近な人が被災されたりした方もおられるのではないかと思います。ここに心よりお見舞いを申し上げますとともに、被災地の復旧・復興を、この大会の場から願っております。
本日、第64回交通安全国民運動中央大会が開催されましたことは誠に意義深いことであります。そして、このたび、日頃の交通安全活動への貢献により表彰を受けられる方々に心からお祝いを申し上げます。
さて、昨年の交通事故による死亡者数は2,678人で、一昨年と比べ増加いたしました。しかるに、1970年のピーク時の6分の1以下となっております。このことは、全日本交通安全協会をはじめ、交通安全に関わっている多くの方々の長年にわたるたゆみない努力の賜物と申せましょう。
しかしながら、いまだに年間2,000人以上の尊い命が失われ、30万件以上の交通事故が発生しております。その中で、高齢者が関係する事故や、飲酒運転など悪質で危険な運転も問題になっております。そして、それらのことによって、数多くの人々が辛い思いをしていると聞いています。
私たちが普段利用する道路上には、日々多くの人や車が往来しており、路上の交通事故は、誰にでも起こり得ることです。
一人ひとりが、交通事故を起こさないようにすることの自覚を持ち、また、交通事故に遭わないように気をつけるとともに、交通道徳を高め、これらを実践することが肝要であると考えます。そして、運転者や歩行者それぞれが、相手の立場に配慮し、思いやりのある行動をとることが求められております。
本年の大会は、4年ぶりにコロナ禍前と同じ規模での開催と伺っております。このように、関係者が一堂に会し、交通安全に関わる多様な問題を話し合い、対策を考えることは、大変意義深いことと申せましょう。
おわりに、本日の受賞者をはじめ、全国津々浦々で日々交通事故防止に取り組んでおられる皆様のご尽力に深く敬意を表するとともに、交通事故のない安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、交通安全運動がさらに進むことを祈念し、大会に寄せる言葉といたします。
社会福祉法人恩賜財団(※正しくは「恩賜」「財団」を二段組みとして、一文字分の大きさで示したもの。)「令和5年度済生会総会」
令和6年1月28日(日)(熊本城ホール)
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「全国学校・園庭ビオトープコンクール2023」発表大会
令和6年2月4日(日)(東京国立博物館 平成館)
この地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表します。そして、被災されている数多くの方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、被災した地域の復旧・復興を願っております。
本日、隔年で開催されている「全国学校・園庭ビオトープコンクール2023」の発表大会に、皆様とともに出席できましたことを大変嬉しく思います。そして、このたび各賞を受賞される方々に心よりお祝いを申し上げます。
さて、2022年の「国際連合生物多様性条約第15回締約国会議」において、2050年に自然と共存する世界を実現するため、2030年までに生物多様性の損失を
2019年の国連報告書によれば、今後数十年で、およそ100万種の生物が絶滅するおそれがあると言われています。持続可能な開発目標、いわゆるSDGsには、目指すべき世界像として、「人類が自然と調和し、野生動植物その他の種が保護される世界」が記されています。そのことを達成するためには、私たち一人ひとりが自然からの恩恵を理解するとともに、自分たちの身近にある自然をよく観察し、関心を深めていくことが大切です。
その意味において、学校や園庭に作るビオトープは、そこに通う人たちにとって、自然と触れ合う場にとどまらず、自然との共存について考える大切な機会を提供してくれる場になると思います。このたびのコンクールにおける受賞事例では、普段生活する空間で様々な人々が協力し合い、自然との共存を試行する興味深い取り組みが行われていると伺っております。そして、このような意義深い取り組みが広く紹介されることは、持続可能な社会の実現に向けた人づくり・地域づくりにも大きく貢献するものと考えます。
本コンクールも今回で13回目を迎え、学校や園にビオトープがあることの大切さが広く認識されるようになってきたことと思います。このことは、本活動に携わってこられた多くの方々のご尽力によるものであり、ここに深く敬意を表します。
おわりに、学校・園庭ビオトープの取り組みが、今後も日本の各地で普及し、自然を慈しむ心の輪が広がっていくことを祈念し、私の挨拶といたします。
「第20回日本学術振興会賞並びに日本学士院学術奨励賞」授賞式
令和6年3月7日(木)(明治記念館)
また今日の式典には、COVID-19の影響から、授賞式が開催されなかった第17回と第18回の受賞者で出席をされている方がおられると伺っております。ここに、改めてお慶びを申し上げます。
このたび受賞をされた皆様には、それぞれが専門とされる分野において研究活動を推進され、これまでに大変素晴らしい業績をあげてこられました。そのことからも、本日の受賞を里程標として、今後さらに充実した研究を進められ、より一層世界的に活躍されることを願っております。
さて、学術研究は、研究者が持つ好奇心とそれに伴う自由で柔軟な発想に端を発し、それを醸成し、その成果として、真理の探究、経済の持続的発展、生活の利便、疾病の治療、心の豊かさなど、様々な展開を見せるものであると考えます。
現在、人類社会は、地震や気候変動とそれに伴う異常気象・気象災害などの自然災害、悪性新生物や感染症を始めとするさまざまな疾病、そして食料・資源・エネルギーなど、多くの困難な課題を抱えております。このような現代社会において、さまざまな課題を解決していくためには、多様な学術領域からの知的貢献が必要不可欠なものとなっております。
そのような中、これまで我が国の学術研究を支えてこられた日本学術振興会と日本学士院が協力して、人文学、社会科学から自然科学にわたる幅広い分野において、現在、そして次世代を担う研究者を顕彰し、その研究意欲をより高め、研究の発展を支援していることに大きな意義を感じます。それとともに、多くの若い世代の研究者が業績をあげていかれることは、その成果を享受する国民にとっても大変喜ばしいことと申せましょう。今後、日本における学術の発展が今以上に進んでいくことを願っております。
おわりになりますが、関係の皆様のご尽力により、日本の学術研究の進展が一層図られることを心より祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。
「第32回地球環境大賞」授賞式
令和6年4月4日(木)(明治記念館)
皆様が、今までに行ってこられた種々の取り組みは、環境に配慮したまちづくりや製品の販売、水処理技術の開発やプラスチック使用量の削減、CO₂削減やリサイクル技術の確立など、地球環境の保全や自然との共存に大きく寄与するものであります。ここに皆様の今までのご努力に対し、深く敬意を表します。
近年、気候変動への対応や生物多様性の保全、廃棄プラスチックによる海洋汚染など、環境諸問題への人々の関心と意識は非常に高くなるとともに、グローバルな展開を見せていると感じることが多々あります。
また環境に関することとしては、気候変動が大きな要因とみられる自然災害が世界各地で発生しています。我が国でも、毎年のように豪雨による大きな被害が生じていますし、渇水と高温による農作物への影響もあります。
さらに、これら地球環境に関わる諸問題を考えるとき、自然環境の保全とあわせて、自然災害についての意識を高めていく必要性も強く感じています。
今年の元日に発生した能登半島地震では、大変残念なことに多くの人々が亡くなり、そして今も困難な暮らしを送っている方々が多数おられます。また、昨日は、台湾で地震が発生し、多くの方々が被災されました。この現状に心を痛め、そして、あらためて防災や減災の必要性に思いをいたしております。
さて、本年で32回目を迎えた地球環境大賞は、環境を守りながら発展する産業や、持続可能な循環型社会の実現に寄与する製品や技術の開発など、環境保全への取り組みを顕彰するとともに、社会への貢献を目的として創設されました。
爾来、産業界はもとより、自治体、学校、市民グループへと表彰の対象を広げ、環境保全と災害への対応に熱心に取り組む人々を広く顕彰し、地球環境の保全や環境意識を高める役割を担ってきました。
現在、国連の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsに多くの人たちが関心を向けるようになりました。そのようななか、2023年の「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議」で採択された文書には、パリ協定の目標達成のための緊急的な行動の必要性や、2025年までの世界全体の温室効果ガス排出量ピークアウトなどが明記されました。
環境に関する諸問題の重要性は不変であり、今後とも、日本の優れた環境関連技術や知識をもって世界に貢献していくことが求められましょう。その意味でも、国際社会のモデルとなるような優れた実績を積み重ねていくことは、誠に意義深く大切なことと考えます。
おわりに、本年の受賞者をはじめとする皆様が、これまでにも増して温暖化の防止など、地球環境の保全や自然との共存に積極的に取り組んでいかれることを期待いたします。そして、それらの活動がより一層広がりを見せることを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。
「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」開会式
令和6年5月17日(金)(神戸市総合運動公園)
このたびの大会は、当初、3年前の2021年に行うことで計画が進められておりました。しかるに、COVID-19のパンデミックにより、2度にわたる延期を経て、本年開催されることとなりました。今日に至るまで多くの困難を乗り越え、大会の準備に力を尽くしてこられた方々、長期間にわたっての練習を積み重ねて出場を果たされた選手、そして様々な形で選手を支えてこられた関係者に深く敬意を表します。
さて、世界パラ陸上競技選手権大会は、世界最高峰のパラ陸上競技大会であり、1994年に第1回大会がドイツ・ベルリンで開催されて以来、本大会で11回を数えます。そして、この30年の間に当初は42種目で行われていた競技は、168種目へと幅が広がりました。
本大会は、東京2020パラリンピックにおける感動やパラスポーツへの関心の高まりを将来へ継承していくことが、基本理念のひとつであると聞いております。
参加される皆様には、日頃の練習の成果を存分に発揮され、すばらしいパフォーマンスを披露してくださることを期待しております。それとともに、世界約100の国と地域から集われた方々、また、多くのボランティアや地元の方々がお互いに交流することによって、世界の人々の友情と親交がさらに深まることを期待いたします。
そして、神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会が、多くの人々の心に残る大会になるとともに、これを契機にパラスポーツへの関心が今以上に高まることを願っております。
おわりに、本大会が「TSUNAGERU・HIROGERU・SUSUMERU」の3つの基本理念の下、誰もが暮らしやすい、インクルーシブな社会の実現に寄与することを祈念し、開会式に寄せる言葉といたします。
公益社団法人日本植物園協会第59回大会
令和6年5月23日(木)(水戸市民会館)
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令和6年度公益社団法人日本動物園水族館協会通常総会
令和6年5月29日(水)(有楽町朝日ホール)
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第35回全国「みどりの愛護」のつどい
令和6年6月1日(土)(和歌山城ホール)
そして、この機会に、花と緑の愛護に顕著な功績のあった団体として、「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞された97団体ならびに和歌山県都市緑化功労者知事表彰を受賞された36団体の皆様に、心からお慶びを申しあげます。
この全国「みどりの愛護」のつどいは、自然に親しみ、その恩恵に感謝するという「みどりの日」の趣旨を踏まえ、緑の保全育成に携わる関係者が一堂に会し、都市緑化意識の高揚と、緑豊かな潤いのある居住空間づくり、そして緑を守り育てる国民運動を積極的に推進していくことを目的として開催されてきたものと承知しております。
緑は、美しい景観を形成し、日々の暮らしにゆとりや安らぎをもたらすばかりでなく、災害や地球温暖化の防止、生物多様性の保全など、様々な地球規模の環境問題に対処する上で大切な役割を担っています。
私たちは昨日、「稲むらの火」で有名な有田郡広川町を訪れ、防災林を備えた広村堤防の保護に取り組んでいる方々とお話をし、防災文化が次世代へと継承されていることを伺いました。
本年、元日には能登半島地震が発生し、大変残念なことに多くの人々が亡くなり、そして今も困難な暮らしを送っている方々が多数おられることに心を痛めております。改めて防災と減災の重要性、そして緑が防災に果たす役割や、緑を守り育むことの大切さに思いをいたしながら、それを継承していく必要性を感じております。
その意味で、ただ今表彰を受けられた方々のみどりの愛護活動への取り組みは、大変意義深いものであり、皆様のご尽力に対し深く敬意を表します。そして、皆様の取り組みが次世代へと受け継がれていくことを願っております。
おわりに、このたびの「みどりの愛護」のつどいが一つの契機となり、全国から参加された皆様が相互に交流を深め、緑を守り育てる心をさらに高めていただくとともに、緑豊かな環境づくりが一層発展していくことを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。
「第26回日本水大賞・2024日本ストックホルム青少年水大賞」表彰式
令和6年6月18日(火)(日本科学未来館)
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第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)TEAM JAPAN結団式
令和6年7月5日(金)(国立代々木競技場 第二体育館)
この度の大会は、パリで開かれる夏季オリンピックとして3回目であり、前回の開催からちょうど100年に当たります。
今回の大会では、前回の東京オリンピックで新たに実施された、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンに加え、ブレイキンが新たな競技として採用され、全部で32競技329種目が実施されると伺っております。また、それに伴い、TEAM JAPANも、海外でのオリンピック競技大会の中で、これまでにない規模での参加になるものと承知しております。
参加される皆様には、競技の場に臨んでは、日頃の成果を存分に発揮されることを期待いたします。そして、皆様一人ひとりがスポーツを通して世界の各国・各地域から集う人々との交流を深められ、国際親善に努められることを願っております。
おわりに、皆様のご活躍をお祈りし、結団式に寄せる言葉といたします。
パリ2024パラリンピック競技大会日本代表選手団結団式
令和6年7月16日(火)(帝国ホテル東京)
本大会は、パリで開かれる初めてのパラリンピックとのことです。そして、開会式がパリ中心地のシャンゼリゼ大通りからコンコルド広場に至る場所において開催されるなど、これまでにない試みがなされると伺っております。
今回の大会における競技数は、前回の東京大会と同じ22競技、メダル種目は10多い549種目が実施され、日本代表選手団も、これまで海外で開催された大会の中で、最大規模での参加になると承知しております。
パラリンピックは、パラアスリートにとって最高の競技の舞台の一つです。皆様には、日頃からの成果を存分に発揮されることを期待しております。そして、皆様一人ひとりが、スポーツを通じて、パリに集う人々との交流を深めることにより、国際親善に努められることを願っております。
おわりに、皆様のご活躍をお祈りし、結団式に寄せる言葉といたします。
令和6年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
令和6年7月27日(土)(福岡県立久留米スポーツセンター体育館)
令和6年度全国高等学校総合体育大会「ありがとうを強さに変えて 北部九州総体 2024」が、全国から多くの参加者を迎え、玄界灘や有明海、筑紫平野とそこを流れる筑後川、そして、英彦山地などの自然環境に恵まれた、ここ福岡県を始め、佐賀県、長崎県、大分県の北部九州4県と北海道、福島県、和歌山県で開催されることを大変喜ばしく思います。
インターハイの名で親しまれている全国高等学校総合体育大会は、高校生に広くスポーツ実践の機会を提供し、技能の向上やスポーツ精神の高揚を図るとともに、生徒相互の親睦を深め、心身ともに健やかな青少年の育成を目的とし、1963年から教育活動の一環として開催されております。
この大会は、各競技に47都道府県の代表が出場する高校生最大のスポーツの祭典です。
本大会の出場者の中には、能登半島地震により被災した地域の方々もおられます。この度の震災の大きな被害に心を痛めておりますが、皆様の活躍が、被災地の人々にとって明るい話題になることを願っております。
さて、歴史を振り返りますと、各競技の日本代表として国際舞台で活躍した選手の多くが、インターハイに出場したことがあるとのことです。つい8時間ほど前、フランスのパリ市を中心としたオリンピックが開幕しましたが、日本代表選手の4割以上が、インターハイの出場経験者であると聞いております。
この度の大会に出場される方々にも、「駆け上がれ夢の舞台へ 燃え上がれ若人の魂」のスローガンの下、この猛暑の中での暑さ対策などに心を配られつつ、日頃の成果を大いに発揮されることを期待しております。
さらに、この大会では、各開催道県の多くの高校生が準備と運営に協力をしています。選手の皆様が、地元の高校生や各地から参加される方々と交流を深め、高校生活の良き思い出を作られることを願っております。
おわりに、本大会が、選手の活躍と地元高校生を始めとする関係者の協力により、実り多いものとなることを祈念し、開会式に寄せる言葉といたします。
第48回全国高等学校総合文化祭「清流の国ぎふ総文2024」総合開会式
令和6年7月31日(水)(長良川国際会議場)
第48回全国高等学校総合文化祭「清流の国ぎふ総文2024」が、東西文化の交流の地として発展してきたとされる、ここ岐阜県で開催されます。
本日は、全国各地そして海外から参加された多くの方々とともに出席できましたことを大変嬉しく思います。
そして、生徒実行委員会をはじめとする岐阜県の高校生、全国から集われた高校生、その指導に当たってこられた方々など、本大会を創り上げてこられたすべての関係者のご尽力には、誠に大なるものがあると感じ入ります。
さて、全国高等学校総合文化祭は、文化・芸術活動に取り組む高校生の祭典として、これまで約半世紀の長きにわたり、生徒が主体となって、地域の特性と高校生ならではの斬新な感性を活かし、「総文」の呼び名で開催されてまいりました。
そして、1977年の第1回大会から各都道府県持ち回りで開催され、昨年のかごしま総文をもって、47都道府県を一巡しました。今回からは、二巡目に入ります。
このように、次世代を担う人たちによる文化・芸術の祭典が全国を巡って毎年開催されていることは、多様な才能を開花させ、未来に向けた文化創造の土壌を耕す上で、誠に意義深いものと申せましょう。
本年の大会には、能登半島地震で被災した地域からも参加されています。この度の震災による大きな被害に心を痛めておりますが、そのような中にあっても活動を続けてこられた方々に敬意を表します。
今年の大会テーマは、「集え青き春 漕ぎ出せ知の筏 水面煌めく清流の国へ」であります。皆様それぞれが、日々の活動の成果を存分に披露され、それを全国へ発信していかれることを期待しております。そして、国内外から集う参加者が相互に交流し、文化・芸術の輪をさらに広げていかれることを願っております。
おわりに、「清流の国ぎふ総文2024」が、皆様にとって、心に残る素晴らしい一夏の思い出になることを祈念し、開会式に寄せる言葉といたします。
第27回国際昆虫学会議開会式
令和6年8月25日(日)(国立京都国際会館)
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Distinguished guests and Congress participants,
It is a great pleasure for me to attend the opening ceremony of the 27th International Congress of Entomology, ICE 2024, being held under the main theme of "New Discoveries through Consilience” with so many people from Japan and abroad here in Kyoto, Japan’s ancient capital.
The International Congress of Entomology has internationally promoted basic and applied research and academic exchanges in the fields of insects and some other related arthropods for more than a hundred years since the first Congress in Brussels in 1910.
I understand that ICE is being held in Japan for the second time, 44 years after the 16th Congress in 1980.
I would like to express my deep respect to those who have supported the development of this field over many years, and to the Local Organizing Committee for its contribution in hosting ICE 2024.
I understand that insects, which account for about three-quarters of all animal species living on earth, are a highly diversified group of organisms adapted to a wide range of environments.
Insects are familiar to humans and can also serve as bioindicators of ecosystem conditions, and they are closely related to our daily lives and economic activities, too.
In addition, entomology is not limited to the fields of biology or agricultural sciences such as pest control to prevent damage to crops.
This subject is an extremely wide range of studies that also encompasses ethnoentomology, the study of relationships between insects and humans, such as folk knowledge and ecological knowledge about insects in various regions, folk taxonomy, entomophagy, and others.
It also embraces cultural entomology, which examines cultural representations, including pop culture, to show how humans perceive insects.
By the way, insects are also related to the field of "domestication", which is my research interest.
It is truly fascinating to learn, for example, how silkworms became associated with humans and were domesticated, and how different varieties of them were subsequently bred.
And I am similarly interested in the current domestication level of western honey bees, commonly kept for apiculture, and of bumblebees, commercialized for pollinating agricultural crops.
Thus, entomology is a highly multidisciplinary field.
Therefore, ICE 2024 is truly meaningful in bringing together approximately 4,000 researchers and the public, including children, from Japan and around the world to facilitate in-depth discussions.
In closing my address, I hope that the multifaceted exchange that will take place across fields from natural sciences to the humanities and social sciences, and between researchers and public enthusiasts, will help to achieve "consilience", the “integration of knowledge”.
Moreover, I wish that this will ultimately contribute to the conservation of species and the environment, and to the advancement and deepening of entomology.
It is also my sincere wish that ICE 2024 and your stay in Kyoto will be fruitful, meaningful, and enjoyable for you all.
Thank you for your kind attention.
2024年(第34回)福岡アジア文化賞授賞式
令和6年9月26日(木)(福岡国際会議場)
そして今日、皆様と共に出席し、受賞者それぞれの活動や研究の一端について、この会場でお話を伺うことができますことを誠に嬉しく思います。
「福岡アジア文化賞」は、アジア各地で受け継がれている多様な文化を尊重し、その保存と継承に貢献するとともに、新たな文化・芸術の創造、そしてアジアに関わる学術研究に寄与することを目的として、それらに功績のあった方々を顕彰するために創設されました。爾来、アジアの文化とその価値を世界に示すにあたり、本賞の果たした役割には誠に大きなものがあります。
私自身、東南アジアを中心に、いくつかのアジアの国々を訪れ、多様な風土や自然環境によって創り出され、長い期間にわたって育まれてきた各地固有の歴史や言語、民俗、芸術など、文化の豊かさと深さに関心を抱きました。
それとともに、貴重な文化を記録・保存・継承し、さらに発展させていくことの大切さや、新たに創造していくことによる広がり、そして、アジアを深く理解するための学術の重要性を強く感じてまいりました。このことからも、本賞がアジアの文化・芸術の価値と、それらについての学術的な側面を伝えていくことは、大変意義深いことと考えます。
その意味から、本日受賞される3名の方々の優れた業績とその意義が、アジアのみならず広く世界に向けて発信されることを願っております。そして、国際社会全体でそれらを共有することは、人類の貴重な財産の蓄積につながることと思います。
おわりに、受賞される皆様に改めてお祝いの意を表しますとともに、この「福岡アジア文化賞」を通じて、アジアの各地に対する理解、そして国際社会の平和と友好が促進されることを祈念し、授賞式に寄せる言葉といたします。
京都府立植物園開園100周年記念式典
令和6年10月5日(土)(京都府立京都学・歴彩館)
本日、「京都府立植物園開園100周年」の記念式典が開催され、皆様とともにお祝いできますことを、誠に喜ばしく思います。
京都府立植物園は、1923年、大正12年11月10日に「大典記念京都植物園」として産声をあげた日本で最初の公立の総合植物園です。そして、翌1924年元日からは、有料観覧を開始いたしました。爾来、貴植物園は、市街地にある緑豊かな憩いの場として、京都を始め国内外から訪れる幅広い世代の人々に親しまれてきました。また、植物についての理解を深める場であり、植物学の発展に寄与するなど、多岐にわたって大きな役割を果たしてこられました。
いっぽう、この100年を振り返ると、室戸台風や鴨川大洪水によって大きな被害を受けたことをあげることができます。そして先の大戦下においては、植物園が食料増産のための野菜の圃場となり、戦後は、連合国軍に約12年間接収されました。1957年12月に全面返還された時、2万5千本以上あった樹木はわずか6千本余りまで減少し、多くの貴重な植物が失われたと聞いております。しかし、このような数多の困難があったものの、京都府民の声に後押しされ、また、日本植物園協会を始め関係者による植物園の再建に向けたたゆまぬ努力が実を結び、1961年4月に「京都府立植物園」として再開園されました。
そして現在、貴植物園には、年間80万人以上が来園し、日本を代表する植物園のひとつになったことは皆様ご承知のとおりです。自然に対する親しみと敬いの心を育む拠点として、また、学習・教育の場としての役割も高くなってきております。それとともに、世界の植物約1万2千種類を有し、海外の植物園や国内の大学との連携協定も進め、生物多様性保全に関する教育・研究に貢献する事業を実施していると伺っております。
近年、私たちは、気候変動を始めとする様々な環境問題に直面しています。自然や社会生活に対する向き合い方も、未来に向けて持続可能なものである必要があります。このような状況のもと、種を保存し、生物の多様性を保全することの意義を多くの人たち、とくに次の世代を担う人たちに普及啓発していくことは非常に大切なことと考えます。その際に植物園が担う役割は、今後ますます大きくなっていくことと思います。本日ここに集っておられる皆様が、このような役割についての認識を共有し、植物園のさらなる発展に寄与していただくことを願っております。
おわりに、開園から100周年を迎えた京都府立植物園が、より一層充実していかれることを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。
第47回全国育樹祭式典行事
令和6年10月20日(日)(サンドーム福井)
「第47回全国育樹祭」が、ここ福井県において、「育てよう 幸せ芽吹く 緑の大地」のテーマのもと、全国各地から多くの参加者を迎えて開催されますことを誠に喜ばしく思います。そして、本日表彰を受けられる方々に心からお祝いを申し上げます。
全国育樹祭は、継続して森を守り育てることの大切さを普及啓発するため、全国植樹祭を開催したことのある都道府県において、1977年から開催されております。福井県では、1980年に第4回大会が行われており、44年の時を経て、再びこの地で育樹祭が開催されますことに深い感慨を覚えます。
昨日、私たちは、2009年に 「第60回全国植樹祭」が行われた一乗谷朝倉氏遺跡において、当時の天皇皇后両陛下が植樹をされたアカマツとスダジイの手入れを行いました。15年の歳月を経て、樹々が健やかに成長していることを大変うれしく思いました。
そして福井県では、その時の植樹祭を契機に、「緑と花の県民運動」として、「元気な森をつくる運動」、「自然を知り伝える運動」、「緑と花のふるさとをつくる運動」の3つの運動を推進しておられます。また、森林面積が総面積の約75パーセントを占める本県では、林業への支援や県産材の利用拡大にも取り組んでおられると伺っております。戦後造林された人工林を中心に本格的な利活用期を迎えている今日、このような取り組みには大きな意義を感じます。
森林は、国土の保全や水源の涵養、木材や特用林産物の供給などを通じ、私たちの暮らしに必要なものや豊かさをもたらしています。それとともに、二酸化炭素の吸収源や生物多様性の保全の場でもあり、地球環境を守る上で重要な役割を担っております。かけがえのない森林を後世へと引き継いでいくことは、私たちに課せられた大切な務めでありましょう。
その意味から、本日表彰を受けられる方々をはじめ、日頃からそれぞれの地域において国土の緑化に力を尽くしておられる全国の皆様に深く敬意を表します。そして、このような活動が今後も多くの人々に支えられ、一層進められていくことを願っております。
おわりに、本大会をひとつの契機として、森林を守り育てる取り組みが、ここ福井の地から全国へ広がり、未来へと受け継がれていくことを祈念し、本式典によせる言葉といたします。
2024年(第33回)ブループラネット賞表彰式典
令和6年10月23日(水)(東京會舘)
ロバート・コスタンザ教授は、1997年に発表された論文において、自然環境が人間に提供する生態系サービスの経済的価値が、当時の世界のGDP総額を上回っていることを初めて実証され、それまで過小評価されていた生態系サービスの重要性を世界に広く提示されました。そして、生態経済学を学術分野として創始されたお一人でもあります。
また
このように、本日の両受賞者が、長年にわたる卓越した研究と国際的な協力を通じて、私たちが、現在直面している最も深刻な課題の一つである生物多様性の損失への対処や、生態系サービスの価値を評価するために力を尽くしてこられたことは、誠に意義深いことであります。このたび受賞された方々をはじめ環境諸問題に熱心に取り組む方々のご尽力により、持続可能な社会と地球環境、人々の幸福な生活が実現されることを心から願っております。
おわりに、すばらしい業績をあげられましたコスタンザ教授ならびに
第23回全国障害者スポーツ大会開会式
令和6年10月26日(土)(SAGAサンライズパーク陸上競技場(SAGAスタジアム))
本日、第23回全国障害者スポーツ大会「SAGA2024」の開会式が、玄界灘や有明海、佐賀平野など豊かな自然に恵まれ、虹の松原や吉野ヶ里遺跡、そして数々の陶磁器の産地としても知られるここ佐賀県で開催されます。全国各地から参加された選手、支え手、役員、そして開催地の皆様と共に出席できましたことを大変うれしく思います。
全国障害者スポーツ大会は、障がいのある人たちが大会に参加し、競技などを通じスポーツの楽しさを体験するとともに、国民が障がいについての理解を深め、障がい者の社会参加の推進に寄与することを目的として、2001年より開催されております。爾来、本大会は、我が国の障がい者スポーツの普及と振興に大きく寄与してきました。長年にわたって大会を支えてこられた関係者のご尽力に深く敬意を表します。
「SAGA2024」は、「新しい大会へ。すべての人に、スポーツのチカラを。」の大会メッセージのもと、スポーツが持つ価値を未来につなげていくため、「する 観る 支える」をコンセプトとして、全試合の動画を配信することや、選手を支える方々を表彰することなど、今までにない形の大会運営に取り組まれると伺っております。このような取り組みが、我が国の障がい者スポーツのますますの発展につながることを願っております。
そして、参加される皆様には、日頃の練習の成果を存分に発揮され、すばらしいパフォーマンスを披露していただければと思います。それとともに、選手同士はもちろんのこと、選手を支え、一緒に大会を作り上げていく「サガンティア」の方々や、観戦に来られる地元の方々との交流を深めていただくことを期待いたします。
おわりに、ここ佐賀の地で、多くの人々に支えられて開催されるこの大会が、皆様の心に長く残る、実り多いものになることを願っております。そして、これを一つの契機として、障がいのある人々への理解がさらに広がり、障がい者の社会参加が一層促進されますことを祈念し、開会式に寄せる言葉といたします。
大日本山林会「第63回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事賞状伝達贈呈式」
令和6年11月7日(木)(イイノホール)
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大日本農会「令和6年度農事功績者表彰式」
令和6年11月14日(木)(赤坂インターシティAIR)
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大日本水産会「令和6年度水産功績者表彰式」
令和6年11月27日(水)(赤坂インターシティAIR)
本日、大日本水産会「令和6年度水産功績者表彰式」が開催され、長年にわたる水産業への功績に対して表彰を受けられる皆様に、心からお慶びを申し上げます。
また、幼少の頃より魚をはじめとする水族に親しんできた私にとり、全国各地で水産業に深く携わっておられる皆様とお会いできましたことを大変嬉しく思います。
大日本水産会は、1882年の創立以来140年余にわたり、水産業振興のためさまざまな事業を展開してこられました。なかでも、「水産功績者表彰」は今回で108回目となり、総受章者数は3,372名を数えるにいたっております。そしてこの表彰は、水産業に携わる方々の励みになってきたことと思います。
四方を海に囲まれている日本では、縄文時代の貝塚からの出土に見られるように、古より魚介類が身近で貴重なタンパク源として親しまれてきました。また、海だけでなく、湖沼や湧水、清流にも恵まれている我が国では、漁業や養殖業が盛んであり、それに伴って、関連する加工業や流通業が発展してまいりました。そして、各地において固有の魚食文化が育まれていることも特徴の一つかと思います。
しかし、国内の水産業を取り巻く状況を見ますと、海洋環境の変化による水産資源の減少や後継者も含めた人手不足、燃料や資機材価格の高騰、漁船の脱炭素化・省人化・省力化への対応などの課題があり、政府や水産業界、そして水産業の現場において、課題解決のための取り組みが、日々行われていると伺っております。
いっぽう、海外に目を転じますと、世界規模での人口増加の中、貴重な食料源として、養殖業を中心に水産物の生産量が右肩上がりになっているとともに、一人あたりの魚介類の消費量はこの半世紀で約2倍に増加しています。そして、和食文化の中心的な存在ともいえる魚介類に注目が集まっていることも相俟って、近年、我が国では水産物の輸出拡大の機運が高まりを見せております。
このような状況のもと、本日表彰を受けられる方々には、さまざまなご苦労があったことと推察いたしますが、長年にわたって水産の各種分野の振興に力を尽くしてこられたことに深く敬意を表します。これからも、日本の水産業の維持と発展の一翼を担われつつ、お元気で活躍されますことを願っております。
おわりに、大日本水産会が、今後ますます発展し、我が国の水産業の振興に一層の貢献をされることを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。
北区立王子小学校創立150周年記念式典
令和6年12月14日(土)(北区立王子小学校)
王子小学校は、1874年、明治7年に「第六番小学荒川学校」として創立されました。その時以来、150年という長い歴史と伝統の中で、今日までに2万名を超える卒業生を社会に送り出してこられました。
王子小学校は、児童の健やかな成長と明るい未来を願いつつ、新しい時代に活躍でき、持続可能な社会の担い手になる人材の育成を目標に教育を進めてこられました。
その一環として、児童の主体性を育むとともに、地域の伝統文化の継承や異なる学年との交流、多様な特別支援教育や国際親善・国際交流活動など、特色のある教育活動を行っておられます。また、登校時の校門における挨拶運動は、同じ敷地内で学ぶ小学生と中学生との貴重なふれあいの機会にもなっていると伺っております。
このような歩みをたゆみなく支えてこられた教職員をはじめ、保護者、卒業生、そして地域の方々など、多くの関係者のご尽力に対し、心から敬意を表します。
さて、王子小学校の児童の皆さん。今日は、皆さんとお目にかかれましたことを、大変嬉しく思います。
皆さんは、今年150周年を迎えた歴史あるこの小学校で、日々楽しく学んだり、遊んだりされていることでしょう。皆さんが、豊かな心と健やかな
おわりに、今後ますます変化し、多様化する社会にあって、北区立王子小学校が、その歴史と伝統を礎にして、未来に向かってさらに発展されますことを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。
第40回国際生物学賞授賞式
令和6年12月17日(火)(日本学士院会館)
40回目を迎えた本年は、ドイツのゼンケンベルク研究所・自然史博物館教授であり、また、フランクフルト大学教授でもあるアンゲリカ・ブラント(Angelika Brandt)教授が受賞されました。心からお慶びを申し上げます。
第40回は、昭和天皇ならびに上皇陛下が研究されてきた、「系統・分類を中心とする生物学」が贈賞の対象分野であります。
ブラント教授は、系統学や分類学の観点から、特に節足動物の等脚目を中心に深海生物を対象とした研究を行い、多くの業績をあげてこられました。そのなかでは、南極域の底生深海生物の国際的な学術調査プロジェクトである“ANDEEPプロジェクト”を主導され、南極海域の生物多様性が従来の見解に比べて非常に高いことを明らかにされ、深海生物相の種多様性が極域に向かうほど低下するという今までの考えに疑問を呈されました。
また、ブラント教授は、南極海や北西太平洋域などの深海域における等脚目について、100種以上の新種を発見し、記載され、等脚目の多様性や分類体系の複雑さに関する新たな知見を示されました。そして、形態形質の分岐解析に基づいて、当該分類群の新たな系統関係を発表されるなど、この分野において中心的な役割を果たしてこられました。
深海域は、極限環境下にあり、調査が困難であるため、分類学において最後のフロンティアとして残されてきました。そのような中で、ブラント教授は、多くの国際共同プロジェクトを主導し、リーダーシップを発揮されてきました。そして、これらのプロジェクトの成果を基に、深海生態系の調査・研究を進め、数々の業績を収められるとともに、人々の深海に対する理解を深めることにも大きく貢献してこられました。
系統・分類を中心とする生物学分野は、近年飛躍的な発展を見せておりますが、ブラント教授の数々のご業績もその一翼を担っていると申せましょう。この分野に関心を寄せている一人として、深く敬意を表したいと存じます。
おわりになりますが、ブラント教授のご研究が今後より一層発展することを願うとともに、国際生物学賞がこれからも生物学のさらなる発展に寄与していくことを祈念し、お祝いの言葉といたします。