ベトナムご訪問に際し(令和5年)

秋篠宮皇嗣同妃両殿下の記者会見

ご訪問国:ベトナム

ご訪問期間:令和5年9月20日~9月25日

会見年月日:令和5年9月15日

会見場所:赤坂東邸

記者会見をなさる秋篠宮皇嗣同妃両殿下
記者会見をなさる秋篠宮皇嗣同妃両殿下

<宮内記者会代表質問>

問1 両殿下にお伺いします。24年ぶりにご夫妻で訪問されるベトナムの印象や思い出とともに、外交関係樹立50周年の節目に公式訪問される抱負をお聞かせ下さい。 ベトナムは平成21年に天皇陛下が、平成29年には上皇ご夫妻が国際親善のため訪問されるなど皇室とのゆかりも深い国です。陛下や上皇ご夫妻からお聞きになっていることがあればお聞かせ下さい。
殿下

本年、日本とベトナムの外交関係樹立50周年の記念の年にあたって、ベトナム国からのお招きによって同国を訪問することになりました。このことは私たちにとりまして大変うれしいことであります。外交関係の樹立が50年といいましても、ベトナムと日本の関わりというものは非常に古い歴史があります。例えば8世紀には、当時のチャンパ王国の僧侶だった仏哲が日本に渡来して、その時にチャンパは林邑(りんゆう)国といっていますけれども、林邑(りんゆう)楽を伝えています。そしてその林邑(りんゆう)楽は今でも日本の雅楽として残っているわけです。また、それから大分後にはなりますが、17世紀、朱印船貿易の時代には多くの日本人がベトナムの地を踏んでおり、今度行く予定になっているホイアンには日本町がありました。そして、この9月に初演されるオペラがありますが、アニオー姫、これはベトナムの王女、ゴック・ホア姫と日本人との物語ですが、それもこの時代のものであり、今でもそれが「長崎くんち」の時に、7年に1度でしたかな、登場するという両国でのつながりがあります。そして更に時を経ますと、20世紀初頭には東遊(ドンズー)運動によって、ベトナムから200人以上の学生が日本に留学しており、それを提唱したファン・ボイ・チャウと日本人医師の浅羽佐喜太郎の交友というのも知られているところです。

さて、私は今度が3回目になりますけれども、初めて行きましたのが1999年、2回目が2012年です。1999年といいますと、ベトナムが長い戦争で非常に困難な時期を経て、そしてドイモイが1986年ですね、それから10年少し()った時期に当たりまして、まず見て思ったのは、非常に活気のある街というのが、これはハノイですけれども、車窓から外を見ていても伝わってきました。ちょうど急速に発展している時期になるのではないかと思います。それまでも私は東南アジアの国に何か国か行っていますけれども、言葉では表現することはできないのですが、それとはまた少し違う感じ、そういうものが強く印象に残ったのですね。そして同じ時に、古都であるフエにも行きました。フエ大学の芸術学部でしょうか、そこの人たちがいわゆる宮廷音楽であるニャーニャック、これは漢字では雅楽と書くわけですが、それを演奏してくれました。このニャーニャック、復興ではなくて再活性化という言い方をこれに実際に携わった方はしていますけれども、ニャーニャックの演奏を聴き、また弾いてくれた人たちと話をして、楽器の説明などを受けながら、日本に雅楽が入ってきた時期とニャーニャックの時期というのは違いますけれども、大本を辿(たど)ると恐らく同じになってくるでしょう。そのような二つの国において、それぞれの音楽がどのように進化していったのか、その変遷がどうだったのかというのに思いを()せたことをよく覚えています。そして2012年には、あれはハノイから南西に行くのですかね、マイチャウという所に行きました。マイチャウは峠を越えていくのですけれども、峠の上から見たマイチャウの景色というのは大変美しくて、今でもその風景というのは強く印象に残っていますし、マイチャウの幾つかの村を訪ねた時に、キン(族)の人たちの話も聞きましたし、あとはターイ(族)、それからモン(族)の人たちの家に上がらせてもらって、そこの地域の習慣だったりとか、いろいろ私が興味を持っていることを質問しながらそれに答えてもらうような形で話を聞いたことがとても良い思い出となっております。

その次は、抱負でしたか。

記者

外交関係樹立50周年の節目に公式訪問される抱負をお聞かせください。

殿下

私は前に会見でも話したことがあるのですが、あまり抱負は語らないことにしています。ただ、こうであったらいいなという願いとして一つお話しできますのは、日本とベトナムというのは今、非常に緊密な関係にありますし、アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップを更に深化させていき、また経済連携協定も結ばれて発効されています。そういう両国の関係が緊密になっている時のこの50周年ということで、ベトナムと日本の両方で様々な催物が行われていると聞いております。中にはかなり長いスパンでの事業もあるやに聞いております。そのような多くの両国で行われている催し、事業、これは今後更に二つの国の関係を良くしていくことにつながっていくことと思いますけれども、私たちの訪問もそれら多くのものの一つとして、両国の友好親善関係の促進に何か役に立つ、何か寄与できることがあればうれしいと思っています。

それから、何でしたでしょうか。

記者

陛下や上皇ご夫妻から伺っていることをお聞かせいただけますでしょうか。

殿下

陛下が2009年になりますかね、上皇上皇后両陛下が2017年に訪問されています。いずれもベトナムから大変温かい歓迎を受けたという話を聞いております。今の陛下が行かれた時には、ホイアンの日本町を訪ねておられます。その時の詳細までは覚えておりませんけれども、私はホイアンに行ったことがなかったものですから、日本町の様子というのを伺った記憶があります。またメコンの下流部、メコンデルタのあの地帯のところを視察されましたけれども、その話も何度か伺ったことがあります。私自身、メコンはもっと上流部の方、中国の雲南からラオス、タイ、そういう辺りのメコンは何度も見ていますけれども、ちょうど海の方に流れ出るそこの場所は見たことがなくて、今回も時間があれば行きたかったのですが、残念ながらまた次の機会にすることにしたいと思います。上皇上皇后両陛下は、これは平成の最後の外国訪問になるわけですね。そのことからもやはり非常に強い印象を持たれたと思います。ハノイとフエでしたけれども、その中でも残留日本兵の家族の人たちと会った時のお話というのは伺ったことはあります。あとは上皇陛下からカントー川で採集されてその後、新種記載をされたハゼのことも伺ったことがあります。それぐらいでしょうか。

妃殿下

先ほど宮様も話されましたように、この度、宮様とご一緒にベトナムを公式に訪問することになりました。私たちは一緒に今から24年前にベトナムを訪れまして、その時には、初めは首都のハノイ、続いてホーチミン、そしてフエを訪れましたけれども、それぞれの都市で温かく迎えていただき、歴史を感じさせる街並みや、活気あふれる街の様子とか、あとは様々な出会いもありましたので、そういうことを思い出しております。また、ベトナムについて訪問した時のことをふり返りますと、ベトナムが育んできた豊かな文化が印象に残りました。例えば初めに首都のハノイに到着した晩に、長く受け継がれてきた水上劇。

殿下

(妃殿下をご覧になって)水上人形劇。

妃殿下

(殿下をご覧になって)ありがとうございます。水上人形劇を鑑賞しまして、これはとても(にぎ)やかな舞台でした。そのほかに、ホーチミンでは一弦琴、ダン・バウと言われましたでしょうか、その楽器の音色がとても美しく深いものであって、それもとても記憶に残っておりますし、あとは先ほども宮様がお話をされましたが、古都フエで学生たちが奏でた、とてもテンポが早い印象を持ったのですけれども、そちらの(ベトナムの)宮廷音楽を聴く機会に恵まれました。このようにベトナムの伝統芸能、音楽も私の心の中では大切な思い出になっておりますとともに、非常に個人的なことにもなりますが、旅行先で頂きましたお料理もおいしく、特に、例えばお米もそのまま炊いて頂くほかに、お米を加工して、調理して、いろいろな種類の香味野菜、ハーブですとか調味料を生かした、そのようなお料理もありまして、そのような豊かな食文化にも心()かれました。

記者

外交関係樹立50周年の節目に公式訪問される抱負をお聞かせいただけますでしょうか。

妃殿下

今年は外交関係樹立50周年にあたって、両国では音楽とか芸術の公演を始め、学術研究の交流、それから生活文化を紹介するイベントとか様々な行事がおこなわれています。私たちも滞在中に、今回初演となる新作オペラのアニオー姫を鑑賞する予定でおります。この大切な節目の年にあたり、宮様と共に訪問できますことを大変うれしく思っておりますとともに、心を尽くして両国の親善に努めてまいりたいと思います。

記者

陛下や上皇ご夫妻から何か伺っていることがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。

妃殿下

宮様が今、いろいろなお話をされました。そのほかにということになりますと、私は上皇后様から絵本のことについてお話を伺いました。ベトナムをご訪問された上皇后様は、ベトナムで子どもたちに絵本を届ける活動をされている方々とお会いになってお話をお聞きになったようです。その時に上皇后様がお励ましの言葉をかけられて、そうしたことがあってでしょうか、その後活動が広がり、日本の絵本の翻訳出版がされるようになり、また、子どもたちへの絵本の読み聞かせの活動などが進められているようです。私も今回、その方々とお会いする機会があります。その方々が取り組まれている、子どもと本をつなぐ活動、新たな活動もあるかもしれませんので、その話を伺い、帰国後に上皇后様にお話し申し上げたいと思っております。

問2 両殿下にお伺いします。コロナ禍では難しかった皇室の外国訪問が再開しています。直接その国を訪問し交流する意義をどのようにお考えでしょうか。佳子さまはペルーへのご訪問を控えられ、悠仁さまは来年成年を迎えられますが、国際親善の担い手として期待されていることをお聞かせ下さい。
殿下

直接、外国に訪問してということですね。最初の質問は。

恐らく、それはこの対比として、画面を通してオンラインでということがあるのかなと思いました。オンラインでもってつながるというのは、それこそコロナ禍になって非常に頻繁に使われるようになったわけですね。とにかく往復の時間も取らないし、それから複数の場所にいる人が同じ時に1か所に集まれるという点でこれは便利なものでありますし、今みたいに皆が行き来するようになってからも、様々な場面で活用していくことは間違いないことです。一方で、画面を通してだと分からないことというのはかなりあるのかなと思っています。もちろん画質の問題であったりネット環境の問題なんかもあるわけですけども、そこの場所に行ってみないと分からない空気であったりとか、質感、何か物を見た時の質感であったりとか様々なもの、つまり五感で感じるもの、目と耳以外、目からは入ってくるものは多いわけですけれども、感じるものというのは、まだ画面を通してだと難しいのではないでしょうか。そして人と接して話をするのもやはり、少し年が行っているせいもあるかもしれませんけれども、実際に会うのと画面を通して会うのとでは違いがあるように思いますし、実際に会って話をすることで、お互いのことをよく知ることができるのではないかと考えます。それが実際にその国に行くことの大切さでもあるのではないかと、もちろんほかにもいろいろあるでしょうが、その一つではないかと思います。

記者

佳子様、悠仁様の国際親善の担い手として期待されていることをお聞かせいただけますでしょうか。

殿下

国際親善というと、こちらからどこかの国に出向くこともあれば、どこかの国の人が日本に来ることも、両方があると思いますね。いずれの場合にも、娘や息子にとって、主に海外に行った時としましょうか、現地に行ってそこの人たちと話をして、交流をして、その地域のことを学ぶ良い機会になりますし、今度は日本のことを、行った先々で伝える機会にもなると思うのですね。そうすれば、その話を聞いた人は、今度は日本のことも一端を理解してくれるかもしれません。そういう両方の行き来があって、より相互理解が深まっていくのでないかと思いますし、そういうことはしてほしいなと思っています。もう一つは将来的、例えば30年後を見れば、もうこの世代というのはとっくにリタイヤしている時代になるわけですね。そういう交流というのはどの年代の人たちが行うことも意義があるわけですけども、今話したように何十年後かのことを考えると、やはり若い世代の人たちがそれを担っていくことが大切ではないかなと思います。そういう感じで行ってもらったらいいなと思います。

記者

コロナ禍では難しかった直接その国を訪問して交流する意義をどのようにお考えでしょうか。

妃殿下

先ほど宮様も話されていたことと関係しますけれども、やはりこの数年間のコロナ禍で、直接会うことが非常に難しかった時期があって、そういう中で皆が工夫していろいろなことをおこなってきました。その中の一つにオンラインがあり、画面越しに、例えば遠く離れている日本に暮らしている方と、また海外の方とも話したり、また最近は観光したりすることができるようになりました。一方で、つながることができた半面、画面を通しての交流では難しい、やはり実際に直接その場所を訪れることによって経験できることがいろいろあることに、特にこのコロナ禍を経験して気づくようになりました。例えば、その国を訪れて、直接お会いして目を合わせて笑みで挨拶を交わしたり、また、握手をしてその手の(ぬく)もりを感じながら話をしたり、また外国ですと、再会した時にはお互いに近づいて、ハグというのでしょうか、したりすることもあります。何かそのようなことをしながら、お互いの心が近づくような、また自分の持っている気持ち、あるいはお互いの気持ちが伝わりやすいように私は感じています。こうして直接出会って感じる、オンラインではちょっと難しいこととして他には、例えばある場所を訪れて、その場所の景色を見たり、見まわしたり、あるいは聞こえてくる音に耳を澄ましたり、それから、例えばいろいろな花の香りを楽しんだり、その場の空気とか息遣いを、より旅をすることでふれることができ、そうした経験がまたその場所に住む人とかその場所のことを理解する手がかりにもつながっているように思います。このように直接お会いしてまたその場所を訪れることで、学ぶことも考えることもいろいろとあって、とてもこの過程というのは大切であり、直接その場所、その国、その地域を訪れて交流することは大事だと感じております。

記者

佳子様、悠仁様の国際親善の担い手として期待されていることをお聞かせいただけますでしょうか。

妃殿下

それぞれの、今の過ごし方がありますけれども、私たちもそうですが、子どもたちも折にふれていろいろな国についてその歴史や文化について学んだり、また世界の出来事について目を向けたりしながら、海外からいらっしゃる方々を迎えて交流を深めることはとても大切なことだと思います。今年の夏は南米でしょうか、パラグアイとブラジルの若者たちがこちらにいらしてくださって、その時には自国の踊りや歌を披露してくださったり、また、学校の様子とか他には自分の持っている関心、興味についてもいろいろと話してくださいました。子どもたちにとっても、こうして直接若い世代の海外で暮らす人たちと会うことで、話を聞きながら学び考える貴重な機会になっていると思います。そうした経験を重ねながら、自分たちと近い年齢の人たちを含めて友好の輪を広げていってもらえればと願っています。

<在日外国報道協会代表質問>

問3 今回の秋篠宮両殿下の日本とベトナム友好50年を記念してのご訪問は、6月の天皇皇后両陛下のインドネシア訪問に続き東南アジアへのご訪問となります。日本は先の大戦後平和国家として歩むことを誓って築いてきたアジア諸国との友好関係が半世紀を経た今こそ、日本と東南アジアとの友好関係において両殿下が重要とお考えになるのはどのようなことですか。
殿下

そうですね、東南アジアの国々とは、先ほどもベトナムのことでお話をしましたけれども、長くて非常に深いつながりがある国々です。そして、また日本もアジアの国の一つで、言ってみれば非常に近隣の国になるわけですね。

そのような国々との関係というのは、非常に私は大切だと思っています。特に私が思いますのは、ソフトというか、文化面での交流というのが大事になってくるのではないかと思います。単に文化面というふうに言ってしまいますけれども、長期的な視野に立って、それで、今の若い世代の人たちが、東南アジアに関心を持って、また、その国をよく知り、それで交流し、それぞれがお互いの文化を尊重する、そういう関係があると良いのではないかなと思っています。例えばですけれども、学校の授業とかで、今以上に東南アジアのことを取り上げて、例えば総合的学習の時間でも良いのかもしれません、いろいろな国がありますけれども、その国の文化、それから言語、宗教とか、そういうものを知ってもらう時間が持てれば随分違うと思うのですね。いろいろな民族がいますから、その人たちの特徴を見ていくだけでも、恐らく関心が湧いてくるのではないかなというふうに思います。

それから、何かありましたでしょうか。

記者

途中で質問を切ってしまいました。殿下はこれまでにも家(きん)のご研究などでベトナムを含め近隣のアジア諸国も訪問しておられますが、この地域の魅力は何でしょうか。また両殿下が今回のご訪問で特に楽しみにしていることがございましたら教えてください。

殿下

今の質問に入る前に、最初の質問は二人にでしたね。(妃殿下をご覧になって)1番最初の質問から。

妃殿下

東南アジアの国々を私たち二人で、公的私的に訪問して交流を深める機会もありましたし、そのほかに娘たちが小学生の時に東南アジアを訪れて、私は「学びの旅」と表現していましたけれども、そういう形で実際に訪問して、現地の方たちからお話を聞いたり、遺跡を見学したりすることとか、いろいろな思い出があります。

私自身は、学生時代に国際交流事業の一つである「東南アジア青年の船」に参加して、ASEAN諸国と日本の青年たちが一緒になって、船の上で、それから寄港地で約2か月間共にして、交流を深めてそこで育んだ友情は、本当に今、かけがえのないものになっています。

宮様もいろいろなことをお話しされましたけれども、お互いの国について、私たちは東南アジアの国々の人々の暮らし、文化を学ぶこともとても大切だと思います。地理的にも東南アジアと日本はとても近い国でもありますし、日本に仕事で、また勉強で来る方も増えています。そういう中でお互いに学び合い、また、尊重して理解を深めることはとても大切だと思いますし、そういう形で、いろいろな分野の方たちが交流したり、また、いろいろな年齢層の方も一緒になってさまざまなものに取り組んだり、またプロジェクトに参加したりする、そのような機会も大切かしらと思ったりしております。

殿下

(記者を向かれて)続きが何でしたか。

記者

殿下はこれまでにも家(きん)のご研究などでベトナムを含め近隣のアジア諸国も訪問しておられますが、この地域の魅力は何でしょうか。また両殿下が今回のご訪問で特に楽しみにしていることがございましたら教えてください。

殿下

魅力、私は東南アジアのいろいろな所の景色も好きですし、遺跡を見るのも好きですけれども、まあ、1番簡単に言うと、昔有名な登山家が「なぜチョモランマに登るのですか」と聞かれて「そこにそれがあるから」と答えた。やっぱり、そこに、私も「あるから」「いるから」なんですね。例えば、今、家(きん)のっていうお話がありましたけれども、鶏の野生原種がいるのは東南アジアです。東南アジア、ほかにも少しいるのですが、その野生原種がいて、更にそこからが家畜化されたものがいます。様々な家畜化されたものがいるのですけども、例えば、今度行くベトナムでも非常に恐らく家畜化段階が進んだとも思われる鶏がいますし、インドネシアなどは、もちろん島によってもいろいろ違いがありますけれども、非常に日本と似た鶏の文化を持っていたりします。そういう所に行って、村の人とかから話を聞きながら、言ってみれば、ドメスティケーションがどういうふうに起こってきたのか、そういうのを考えることができる場所として非常に魅力があります。もう一つはメコンですけども、メコンにすごい巨大ナマズが()んでいるのですね。これが非常にインターナショナルな魚と言えるかもしれませんけれども、上流部から下流部まで、数は今、うんと少なくなっていますけども生息しています。その魚自体がただ長距離を移動しているとかということ以外に、まだ生態的なこともよく分かっていない、それから、もう一つこれは、フォークバイオロジカルなことになると思いますけれども、様々な伝承を持っていたりとか、それの漁法なんかについても特殊なものがあったりとか、そういうのは以前に本にも書いたことがあるので、それを見ていただければと思いますけれども、非常に私にとっては興味深い、いろいろな顔を持っている魚ということで興味深く、そしてそれが生息しているのは東南アジアなんですね。そうすると、「その地域にそれらがいるから」というのが魅力の一つだと考えています。

もう一つが、今度、恐らく行く先々でいろいろな人と会う機会があると思います。それを通して今のベトナムってどういう所なのかという、そういうことを知ることも楽しみの一つですね。

そして、あとは何でしょう、やはり久しぶりにベトナムに行って、そして、まだ行ったことがなかったダナン、ホイアンに行くことができることも楽しみですし、チャンパのミーソン遺跡も見ることができればとても興味深いのではないかと思っています。

妃殿下

今回の楽しみにしていること、そうですね、今回は24年ぶりに訪れるハノイの街、今回初めて訪れるホイアンとダナン。ホイアンは朱印船時代に日本と交易して東西交易の拠点として栄えた中部の港町ですけれども、そのホイアンと、ベトナムの中部で最大の都市で交通の要衝であるダナンを訪れて、また更に今お話しされていましたけれども、チャンパ時代の遺跡のミーソン遺跡をご一緒できることを楽しみにしています。また、私たちのベトナム訪問にあたって準備くださっている行事一つ一つなどで、多くの方々と会えることを心待ちにしています。