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記者会見をなさる秋篠宮皇嗣同妃両殿下
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本年、日本とベトナムの外交関係樹立50周年の記念の年にあたって、ベトナム国からのお招きによって同国を訪問することになりました。このことは私たちにとりまして大変うれしいことであります。外交関係の樹立が50年といいましても、ベトナムと日本の関わりというものは非常に古い歴史があります。例えば8世紀には、当時のチャンパ王国の僧侶だった仏哲が日本に渡来して、その時にチャンパは
さて、私は今度が3回目になりますけれども、初めて行きましたのが1999年、2回目が2012年です。1999年といいますと、ベトナムが長い戦争で非常に困難な時期を経て、そしてドイモイが1986年ですね、それから10年少し
その次は、抱負でしたか。
外交関係樹立50周年の節目に公式訪問される抱負をお聞かせください。
私は前に会見でも話したことがあるのですが、あまり抱負は語らないことにしています。ただ、こうであったらいいなという願いとして一つお話しできますのは、日本とベトナムというのは今、非常に緊密な関係にありますし、アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップを更に深化させていき、また経済連携協定も結ばれて発効されています。そういう両国の関係が緊密になっている時のこの50周年ということで、ベトナムと日本の両方で様々な催物が行われていると聞いております。中にはかなり長いスパンでの事業もあるやに聞いております。そのような多くの両国で行われている催し、事業、これは今後更に二つの国の関係を良くしていくことにつながっていくことと思いますけれども、私たちの訪問もそれら多くのものの一つとして、両国の友好親善関係の促進に何か役に立つ、何か寄与できることがあればうれしいと思っています。
それから、何でしたでしょうか。
陛下や上皇ご夫妻から伺っていることをお聞かせいただけますでしょうか。
陛下が2009年になりますかね、上皇上皇后両陛下が2017年に訪問されています。いずれもベトナムから大変温かい歓迎を受けたという話を聞いております。今の陛下が行かれた時には、ホイアンの日本町を訪ねておられます。その時の詳細までは覚えておりませんけれども、私はホイアンに行ったことがなかったものですから、日本町の様子というのを伺った記憶があります。またメコンの下流部、メコンデルタのあの地帯のところを視察されましたけれども、その話も何度か伺ったことがあります。私自身、メコンはもっと上流部の方、中国の雲南からラオス、タイ、そういう辺りのメコンは何度も見ていますけれども、ちょうど海の方に流れ出るそこの場所は見たことがなくて、今回も時間があれば行きたかったのですが、残念ながらまた次の機会にすることにしたいと思います。上皇上皇后両陛下は、これは平成の最後の外国訪問になるわけですね。そのことからもやはり非常に強い印象を持たれたと思います。ハノイとフエでしたけれども、その中でも残留日本兵の家族の人たちと会った時のお話というのは伺ったことはあります。あとは上皇陛下からカントー川で採集されてその後、新種記載をされたハゼのことも伺ったことがあります。それぐらいでしょうか。
先ほど宮様も話されましたように、この度、宮様とご一緒にベトナムを公式に訪問することになりました。私たちは一緒に今から24年前にベトナムを訪れまして、その時には、初めは首都のハノイ、続いてホーチミン、そしてフエを訪れましたけれども、それぞれの都市で温かく迎えていただき、歴史を感じさせる街並みや、活気あふれる街の様子とか、あとは様々な出会いもありましたので、そういうことを思い出しております。また、ベトナムについて訪問した時のことをふり返りますと、ベトナムが育んできた豊かな文化が印象に残りました。例えば初めに首都のハノイに到着した晩に、長く受け継がれてきた水上劇。
(妃殿下をご覧になって)水上人形劇。
(殿下をご覧になって)ありがとうございます。水上人形劇を鑑賞しまして、これはとても
外交関係樹立50周年の節目に公式訪問される抱負をお聞かせいただけますでしょうか。
今年は外交関係樹立50周年にあたって、両国では音楽とか芸術の公演を始め、学術研究の交流、それから生活文化を紹介するイベントとか様々な行事がおこなわれています。私たちも滞在中に、今回初演となる新作オペラのアニオー姫を鑑賞する予定でおります。この大切な節目の年にあたり、宮様と共に訪問できますことを大変うれしく思っておりますとともに、心を尽くして両国の親善に努めてまいりたいと思います。
陛下や上皇ご夫妻から何か伺っていることがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。
宮様が今、いろいろなお話をされました。そのほかにということになりますと、私は上皇后様から絵本のことについてお話を伺いました。ベトナムをご訪問された上皇后様は、ベトナムで子どもたちに絵本を届ける活動をされている方々とお会いになってお話をお聞きになったようです。その時に上皇后様がお励ましの言葉をかけられて、そうしたことがあってでしょうか、その後活動が広がり、日本の絵本の翻訳出版がされるようになり、また、子どもたちへの絵本の読み聞かせの活動などが進められているようです。私も今回、その方々とお会いする機会があります。その方々が取り組まれている、子どもと本をつなぐ活動、新たな活動もあるかもしれませんので、その話を伺い、帰国後に上皇后様にお話し申し上げたいと思っております。
直接、外国に訪問してということですね。最初の質問は。
恐らく、それはこの対比として、画面を通してオンラインでということがあるのかなと思いました。オンラインでもってつながるというのは、それこそコロナ禍になって非常に頻繁に使われるようになったわけですね。とにかく往復の時間も取らないし、それから複数の場所にいる人が同じ時に1か所に集まれるという点でこれは便利なものでありますし、今みたいに皆が行き来するようになってからも、様々な場面で活用していくことは間違いないことです。一方で、画面を通してだと分からないことというのはかなりあるのかなと思っています。もちろん画質の問題であったりネット環境の問題なんかもあるわけですけども、そこの場所に行ってみないと分からない空気であったりとか、質感、何か物を見た時の質感であったりとか様々なもの、つまり五感で感じるもの、目と耳以外、目からは入ってくるものは多いわけですけれども、感じるものというのは、まだ画面を通してだと難しいのではないでしょうか。そして人と接して話をするのもやはり、少し年が行っているせいもあるかもしれませんけれども、実際に会うのと画面を通して会うのとでは違いがあるように思いますし、実際に会って話をすることで、お互いのことをよく知ることができるのではないかと考えます。それが実際にその国に行くことの大切さでもあるのではないかと、もちろんほかにもいろいろあるでしょうが、その一つではないかと思います。
佳子様、悠仁様の国際親善の担い手として期待されていることをお聞かせいただけますでしょうか。
国際親善というと、こちらからどこかの国に出向くこともあれば、どこかの国の人が日本に来ることも、両方があると思いますね。いずれの場合にも、娘や息子にとって、主に海外に行った時としましょうか、現地に行ってそこの人たちと話をして、交流をして、その地域のことを学ぶ良い機会になりますし、今度は日本のことを、行った先々で伝える機会にもなると思うのですね。そうすれば、その話を聞いた人は、今度は日本のことも一端を理解してくれるかもしれません。そういう両方の行き来があって、より相互理解が深まっていくのでないかと思いますし、そういうことはしてほしいなと思っています。もう一つは将来的、例えば30年後を見れば、もうこの世代というのはとっくにリタイヤしている時代になるわけですね。そういう交流というのはどの年代の人たちが行うことも意義があるわけですけども、今話したように何十年後かのことを考えると、やはり若い世代の人たちがそれを担っていくことが大切ではないかなと思います。そういう感じで行ってもらったらいいなと思います。
コロナ禍では難しかった直接その国を訪問して交流する意義をどのようにお考えでしょうか。
先ほど宮様も話されていたことと関係しますけれども、やはりこの数年間のコロナ禍で、直接会うことが非常に難しかった時期があって、そういう中で皆が工夫していろいろなことをおこなってきました。その中の一つにオンラインがあり、画面越しに、例えば遠く離れている日本に暮らしている方と、また海外の方とも話したり、また最近は観光したりすることができるようになりました。一方で、つながることができた半面、画面を通しての交流では難しい、やはり実際に直接その場所を訪れることによって経験できることがいろいろあることに、特にこのコロナ禍を経験して気づくようになりました。例えば、その国を訪れて、直接お会いして目を合わせて笑みで挨拶を交わしたり、また、握手をしてその手の
佳子様、悠仁様の国際親善の担い手として期待されていることをお聞かせいただけますでしょうか。
それぞれの、今の過ごし方がありますけれども、私たちもそうですが、子どもたちも折にふれていろいろな国についてその歴史や文化について学んだり、また世界の出来事について目を向けたりしながら、海外からいらっしゃる方々を迎えて交流を深めることはとても大切なことだと思います。今年の夏は南米でしょうか、パラグアイとブラジルの若者たちがこちらにいらしてくださって、その時には自国の踊りや歌を披露してくださったり、また、学校の様子とか他には自分の持っている関心、興味についてもいろいろと話してくださいました。子どもたちにとっても、こうして直接若い世代の海外で暮らす人たちと会うことで、話を聞きながら学び考える貴重な機会になっていると思います。そうした経験を重ねながら、自分たちと近い年齢の人たちを含めて友好の輪を広げていってもらえればと願っています。
そうですね、東南アジアの国々とは、先ほどもベトナムのことでお話をしましたけれども、長くて非常に深いつながりがある国々です。そして、また日本もアジアの国の一つで、言ってみれば非常に近隣の国になるわけですね。
そのような国々との関係というのは、非常に私は大切だと思っています。特に私が思いますのは、ソフトというか、文化面での交流というのが大事になってくるのではないかと思います。単に文化面というふうに言ってしまいますけれども、長期的な視野に立って、それで、今の若い世代の人たちが、東南アジアに関心を持って、また、その国をよく知り、それで交流し、それぞれがお互いの文化を尊重する、そういう関係があると良いのではないかなと思っています。例えばですけれども、学校の授業とかで、今以上に東南アジアのことを取り上げて、例えば総合的学習の時間でも良いのかもしれません、いろいろな国がありますけれども、その国の文化、それから言語、宗教とか、そういうものを知ってもらう時間が持てれば随分違うと思うのですね。いろいろな民族がいますから、その人たちの特徴を見ていくだけでも、恐らく関心が湧いてくるのではないかなというふうに思います。
それから、何かありましたでしょうか。
途中で質問を切ってしまいました。殿下はこれまでにも家
今の質問に入る前に、最初の質問は二人にでしたね。(妃殿下をご覧になって)1番最初の質問から。
東南アジアの国々を私たち二人で、公的私的に訪問して交流を深める機会もありましたし、そのほかに娘たちが小学生の時に東南アジアを訪れて、私は「学びの旅」と表現していましたけれども、そういう形で実際に訪問して、現地の方たちからお話を聞いたり、遺跡を見学したりすることとか、いろいろな思い出があります。
私自身は、学生時代に国際交流事業の一つである「東南アジア青年の船」に参加して、ASEAN諸国と日本の青年たちが一緒になって、船の上で、それから寄港地で約2か月間共にして、交流を深めてそこで育んだ友情は、本当に今、かけがえのないものになっています。
宮様もいろいろなことをお話しされましたけれども、お互いの国について、私たちは東南アジアの国々の人々の暮らし、文化を学ぶこともとても大切だと思います。地理的にも東南アジアと日本はとても近い国でもありますし、日本に仕事で、また勉強で来る方も増えています。そういう中でお互いに学び合い、また、尊重して理解を深めることはとても大切だと思いますし、そういう形で、いろいろな分野の方たちが交流したり、また、いろいろな年齢層の方も一緒になってさまざまなものに取り組んだり、またプロジェクトに参加したりする、そのような機会も大切かしらと思ったりしております。
(記者を向かれて)続きが何でしたか。
殿下はこれまでにも家
魅力、私は東南アジアのいろいろな所の景色も好きですし、遺跡を見るのも好きですけれども、まあ、1番簡単に言うと、昔有名な登山家が「なぜチョモランマに登るのですか」と聞かれて「そこにそれがあるから」と答えた。やっぱり、そこに、私も「あるから」「いるから」なんですね。例えば、今、家
もう一つが、今度、恐らく行く先々でいろいろな人と会う機会があると思います。それを通して今のベトナムってどういう所なのかという、そういうことを知ることも楽しみの一つですね。
そして、あとは何でしょう、やはり久しぶりにベトナムに行って、そして、まだ行ったことがなかったダナン、ホイアンに行くことができることも楽しみですし、チャンパのミーソン遺跡も見ることができればとても興味深いのではないかと思っています。
今回の楽しみにしていること、そうですね、今回は24年ぶりに訪れるハノイの街、今回初めて訪れるホイアンとダナン。ホイアンは朱印船時代に日本と交易して東西交易の拠点として栄えた中部の港町ですけれども、そのホイアンと、ベトナムの中部で最大の都市で交通の要衝であるダナンを訪れて、また更に今お話しされていましたけれども、チャンパ時代の遺跡のミーソン遺跡をご一緒できることを楽しみにしています。また、私たちのベトナム訪問にあたって準備くださっている行事一つ一つなどで、多くの方々と会えることを心待ちにしています。