悠仁親王殿下16歳のお誕生日に当たり

令和4年9月6日
宮内庁皇嗣職

悠仁親王殿下は、16歳のお誕生日を迎えられました。本年春にお茶の水女子大学附属中学校を卒業され、筑波大学附属高等学校にご入学になり、この1年を健やかにお過ごしになりました。

悠仁親王殿下の中学校生活を振り返ると、1学年の3学期からCOVID-19の感染が拡大し始め、ご卒業になるまでのほとんどの時期をコロナ禍の中で過ごされたことになります。そのため、学校行事が取り止めになったり小規模のものになったりするなど、残念に思われたこともあったと拝察しております。しかし、そのような中にあっても、殿下には感染予防に留意しながら通学をされました。

最終学年になられてからは、中学校生活の仕上げとして、今までの学びがさらに充実するよう、ひたむきに授業や課題に取り組んでおられたお姿が印象的でした。また、進路学習や面談、ご両親とのお話合いなどをされながら、ご自身で進路の目標を定められ、高等学校の学力検査に向けて、計画的に取り組まれたと伺っております。

ご卒業までの数週間は、同級生たちと協力して各種の「卒業プログラム」に積極的に臨まれました。その中には、最初で最後の合唱コンクールをはじめ、総合的な学習の時間に1年次から取り組まれてきた身の回りの社会的課題に関する学習成果発表会があったほか、救急法を学び、国際協力ワークショップや日本文化体験に参加されたりするプログラムなどもあったそうです。そして最後に3年間を過ごされた学び舎への感謝のお気持ちを込めて清掃活動をされたと聞いております。

また、卒業文集に寄せる文章をまとめられる際には、学年ごとのテーマ「ひらく」の漢字である「開」「啓」「拓」の三文字それぞれの意味する目標につながることになった行事を振り返られました。卒業時の在校生による歓送会では、クラスを代表してクラスメートたちとともに在校生への返礼のプログラムを準備されたそうです。その後の日々も、中学校生活を支え、導いて下さった教職員の方々や楽しい思い出を一緒に作ってきたお仲間への感謝のお気持ちを胸に、大切に過ごされたと伺っております。

本年4月からは、筑波大学附属高等学校に進学され、「自主・自律・自由」をモットーとする校風のもと、授業にも学校の活動にも、新しい級友とともに意欲的に取り組まれ、高校生活をのびやかに楽しんでおられるようです。また、学習の面では、どの教科にも、楽しく学ぶご様子が見られるとお聞きしています。

部活動の体験入部期間には、ご友人たちと複数の部活動を見学・体験され、最終的にバドミントン部に入部されました。現在は、基礎体力作りのトレーニングやバドミントンの基本ステップなど、上級生やコーチのアドバイスを受けながら、積極的に活動されているようです。

夏季休暇に入ってからも、秋におこなわれる文化祭の準備や部活動のために登校されることもありました。

そのような中、7月下旬に実施された2泊3日の蓼科生活(立科町での宿泊行事)では、地図とコンパスを頼りに山の中を歩き目的地を目指したり、蓼科山の登山、生徒が企画したレクリエーションなどを経験されたりしました。

7月末には、ご両親殿下とご一緒に「全国高等学校総合文化祭(とうきょう総文2022)」の開会式に出席され、開催地と翌年開催地との交流や開催地プログラムのミュージカルをご覧になるなど、同世代の高校生が情熱を傾けた発表(舞台)に触れられました。さらに、幾つかの部門を見学され、作品の製作などの準備を重ねてきた高校生たちとの交流をされました。

学校以外の時間には、トンボ類をはじめとする生き物の生息環境の調査や、野菜や稲の栽培などに励んでおられると伺っております。

小学生のときからご関心をお持ちだったトンボ類の生息環境の調査は、とくに熱心に続けられています。高校に進学された今も、国立科学博物館が刊行した報告書(「赤坂御用地のトンボ類」国立科学博専報(39)2005年3月)をご覧になりながら、調査時に飛来していたトンボと現在見ることができるトンボの種類を確かめるなど、センサスを続けておられます。COVID-19の拡大により、赤坂御用地から外出しての調査が難しい状況がしばらく続きましたが、むしろ、身近な自然環境を見つめ直す機会を持たれ、そこに生きる虫や植物などの生物多様性の保全にも関心を広げられたようです。そのような場所に生息するトンボをはじめとする生き物の生息環境が良くなるよう、積極的に環境づくりに取り組んでおられます。

幼稚園のときからトマトやナス、きゅうりなどの野菜を作ってこられましたが、今年も野菜の成長に合わせて栽培に取り組まれ、この夏は、オクラやスイカも作られました。また、中学生のときに個人研究のテーマとして稲の交配実験をされましたが、現在も継続中で、今春もご家族と田の畦塗りをされたり苗を植えられ、収穫も間近のようです。

こうした悠仁親王殿下のご成長の様子を、ご両親殿下は温かく見守られ、学校の内外においても様々な人と出会い、いろいろな活動に取り組みながら、自らの道を「拓」いていかれることを願っておられるように拝察しております。