秋の特別公開「京都御所 宮廷文化の紹介」を開催(京都御所(京都市上京区))

令和5年12月20日
宮内庁総務課広報室


11月22日(水)から26日(日)までの日程で、令和5年秋の特別公開「京都御所 宮廷文化の紹介」を開催しました。この特別公開は、平安時代以来の宮廷の文化を国内外の方々へ広く紹介する取組として、春と秋の年2回行っています。今季は天候にも恵まれ、5日間で23,021人の来訪がありました。

襖絵ふすまえや生け花の展示、紫宸殿ししんでん御常御殿おつねごてんの室内の公開、管絃・雅楽・蹴鞠けまりの実演が披露されました。

本報告では、特別公開の様子と主な内容について紹介します。


入門の様子順路の様子
入門の様子順路の様子
会場案内図
(写真をクリックすると別ページで拡大写真を見ることができます。)

【襖絵の展示】

宜秋門番所ぎしゅうもんばんしょの展示スペースでは、襖絵「四季花鳥図」を展示しました。

「四季花鳥図」は、孝明天皇の女御にょうごである英照皇太后や明治天皇の皇后である昭憲皇太后のご生活の場であった皇后宮常御殿こうごうぐうつねごてん御寝ぎょしんの間に飾られた、春夏秋冬の花木や鳥をえがいた襖絵です。

展示した襖絵は、秋から冬の景を表しており、左側3面には、秋らしい紅葉の下に萩・芙蓉ふよう、菊や鶏頭けいとうなどの花々と雀やうずらなどがバランスよく配され、右側3面には、冬の景を表す山茶花さざんかや南天を大きく画き、その周りに配された水辺の鴛鴦おしどりや南天の実を咥えるひよどりなどが生き生きと画かれます。

四季花鳥図 岸岱
四季花鳥図 岸岱がんたい 筆 安政2年(1855年)

【御常御殿室内の公開】

通常は非公開である御常御殿の上段の間・中段の間・下段の間の室内を公開し、建築の特徴・障壁画しょうへきが・使われ方などをパネルで紹介しました。

御常御殿は、豊臣秀吉による天正18年(1590年)の内裏だいり御造営の際に、古代より天皇の日常のお住まいであった清涼殿からその機能を独立させて建てられた御殿です。現在の御常御殿には、孝明天皇や明治天皇がお住まいになり、明治2年に東京にお移りになった後も、明治天皇、大正天皇及び昭和天皇が、第二次世界大戦中に至るまで京都ご滞在の際にお使いになりました。

室内公開の様子室内公開の様子
室内公開の様子

上段の間・中段の間・下段の間の3室は、畳を敷き詰め、床面の段差や天井の仕様を変えて室内の空間の序列を表すなど、書院造の様式がみられます。その一方で蔀戸しとみどを備え、天皇の御座ござの後ろに剣璽けんじの間の入口となる帳台構ちょうだいがまえを設けるなど、古代以来の宮廷文化の特徴も併せ持っています。

蔀戸と床面の段差の様子上段の間
蔀戸と床面の段差の様子上段の間 天皇の御座ござと帳台構

室内の障壁画は、金箔きんぱくでかたどった雲の周りを金砂子きんすなごで柔らかい印象に仕上げた手法が用いられており、京都御所の中でも特にきらびやかな障壁画です。上段の間の東面には、鳳凰が画かれ、三種の神器である宝剣や神璽を納める剣璽の間の入口としての格式が表されています。上段の間から下段の間にかけての障壁画には、古代中国の良い政治を行った王の逸話が画かれます。

上段の間 桐竹鳳凰きりたけほうおう狩野永岳かのうえいがく 筆 安政2年(1855年)
上段の間 尭任賢図治ぎょうにんけんとち図 狩野永岳 筆 安政2年(1855年)
中段の間 大禹戒酒防微たいうかいしゅぼうび鶴沢探真つるさわたんしん 筆 安政2年(1855年)
下段の間 高宗夢賚良弼こうそうむらいりょうひつ座田重就さいだしげなり 筆 安政2年(1855年)

【管絃・雅楽・蹴鞠の催し】

期間中は、展示のほかに管絃・雅楽・蹴鞠の実演も行いました。実演前には、開演を待つ多くの人々の姿が見られ、終演時には大きな拍手が沸き起こりました。

蔀戸と床面の段差の様子上段の間
春興殿しゅんこうでん前での管絃の様子(いちひめ雅楽会) 承明門じょうめいもんでの管絃の様子(いちひめ雅楽会)
平安雅楽会平安雅楽会
春興殿前での雅楽の様子(平安雅楽会)
蹴鞠保存会蹴鞠保存会
春興殿前での蹴鞠の様子(蹴鞠しゅうきく保存会)
蹴鞠の様子はこちら

このページのトップへ