所蔵資料詳細

鉄鋌(てつてい)

これらの鉄鋌は,昭和20年に奈良県宇和奈辺(うわなべ)陵墓参考地の旧陪冢(ばいちょう)ろ号から出土したものである。この陪冢からは鉄鋌282点,小鉄鋌590点が出土しており,出土した鉄鋌の総重量は約140㎏に及ぶと推定されている。鉄鋌は,朝鮮半島で製作されたものと考えられており,それ自体が鉄素材であるという説や,あるいは権威を示す宝物としての性格が考えられている。残りの良い個体は,現在でも磁石がつくほどであり,細部の形態や製作技術痕を明瞭に確認できる。古墳時代における鉄生産や,その流通を考える上で極めて重要な資料である。