所蔵資料詳細

冠(かんむり)

冠
本品は,愛媛県妻鳥(めんどり)陵墓参考地から明治27年に出土した金銅製の冠であり,広帯二山式(ひろおびにざんしき)に分類される。冠のうち正面部分を中心に残存しているが,蝶形金具など欠損している部分が多い。上段,下段に蕨手状の透彫りが,中間段には剣菱形の透彫りが主文様として配されており,彫り残された部分には蹴彫りなどを用いて波状列点文が施されている。各所に歩揺(ほよう)がみられるが,縁を彎曲させた皿状の円形歩揺と魚をあらわした魚形歩揺の2種類がある。魚形(うおがた)歩揺は細部の表現にいたるまで魚佩(ぎょはい)など同時期にみられる他の魚形意匠と共通しており,その関連が注目される。