文字の大きさを変更する機能にはJavaScriptを使用しています。
正しく動作させるには、JavaScriptの機能を有効にしてください。
皇室に伝わる文化
講書始
歌会始
お題一覧(昭和22年から)
最近のお題及び詠進歌数等
雅楽
蹴鞠
古式馬術(打毬・母衣引)
鴨場
御料鵜飼
書陵部所蔵資料
正倉院宝物紹介(別ウインドウで開きます)
現在のページは
ホーム
皇室に伝わる文化
歌会始
お題一覧(昭和22年から)
昭和53年歌会始お題「母」
のページです。
昭和53年歌会始お題「母」
御製(天皇陛下のお歌)
母宮のひろひたまへるまてばしひ焼きていただけり秋のみそのに
皇后陛下御歌
今もなほ母のいまさばいかばかりよろこびまさむうまごらをみて
皇太子殿下お歌
やすらぎに面はみちたりたらちねの母のまなざし受けて眠る子
皇太子妃殿下お歌
子に告げぬ哀しみもあらむを
柞葉
(
ははそは
)
の母
清
(
すが
)
やかに老い給ひけり
正仁親王殿下お歌
母鳥のすてさりし巣がただひとつ那須の高原の岩かげに見ゆ
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
わがための写経を母さりげなく箪笥の奥に入れて給ひき
宣仁親王殿下お歌
子を思ふ母の心にかはりなく佛も永久に住むをちぎりぬ
宣仁親王妃喜久子殿下お歌
温かくやさしき母をうばひたる癌とたたかはむ命のかぎり
崇仁親王殿下お歌
やうやくに母の心の想はれてなにも知らざりし若き日を悔ゆ
崇仁親王妃百合子殿下お歌
母たらむこと難きかな迷ひつつ三十年あまり夢と過ぎにき
容子内親王殿下お歌
暖き日ざしを浴びて眠りをり母となる日の近きこの犬
召人 井出一太郎
母まさば大内山に初春のけふの節会のよし告げましを
選者 木俣修二
老ふかきわがあけくれにいまもなほ香のごともますたらちねの母は
選者 佐藤佐太郎
左ききなりしことなど懐しくしてたらちねの母しおもほゆ
選者 山本友一
録音の唄の
高音
(
たかね
)
のあるときは母かとぞ思ふみづからの声
選者 香川進
おもかげもまぼろしにしてわれを生みし母ましまさば百歳を越ゆ
選者 宮肇
冬の夜の吹雪の音におびえたるわれを小床に抱きしめし母
選歌(詠進者生年月日順)
山形県 井上助太郎
白牡丹白く崩るるおくかより
顕
(
た
)
ち来る遠き母のまぼろし
埼玉県 小鹿野富士雄
亡き母の植ゑて置きたる韮萌えて今朝の庭の
面
(
も
)
靄あたたかし
アメリカ合衆国カリフォルニア州 藤田實
アラスカへ帰る鯨の
母子
(
おやこ
)
といふ潮吹き合ひつつ春の沖ゆく
神奈川県 渡辺和代
並みゆきし母も幻ふるさとの小みち頻りに木犀匂ふ
鹿児島県 波戸内美佐保
花嫁の母と呼ばれて拍手わく中に花束受けつつゐたり
奈良県 綛田栄
夕映えのかなたにいつも母のゐてそのをりをりの声聞こえくる
山形県 大井ふくみ
育てしにあらず育ちし
汝等
(
なれら
)
とぞ農婦の母の言ひし思ほゆ
新潟県 佐久間昭吾
ゐろり火に餅鍋かけて老母の喜ぶ家に生きて帰りし
三重県 中田宣子
おもむろに麻酔さめゆくわが耳に産声徹りて母となりたり
佳作(詠進者生年月日順)
東京都 小池よね
離れ住む父に宛てたる仮名文字の母の手紙をいまも秘めもつ
福岡県 上野敏生
母を呼ぶ子牛の声が浦々に響きてけふも牛の市立つ
埼玉県 松村五郎
針穴に糸を通せとのたまへる
母者
(
ははじや
)
によりて足らふ日々かも
静岡県 黒田初太郎
背
(
せな
)
にのせ腹に潜らせ母鶏が雛を遊ばす日溜りの庭
福島県 江川晃
妻の腕太しと言へば母の腕なほ太かりしと妻は語らふ
福島県 山田松江
まづしくて逝きたる母に合掌す健やかな身をわれにたまへる
新潟県 加藤義平
母の遺髪千人針に縫ひこめて征けりしこともはろかとなれり
三重県 出丸恒雄
手毬
(
てんまり
)
をつくる手すさび八十の母は春日に小さくいます
岡山県 菅田節子
文字習ふ手をとりくるる母の息あたたかなりきわが耳の辺に
神奈川県 内藤幸
遠き日に蚕棚の下に母と寝て聞きたる音す今宵降る雨
茨城県 加藤木甲司
降り積みし雪につらなり生みの母育ての母の墓静かなり
神奈川県 関口久彌
灸にゆく母の歩みのもどかしく思ひし坂をいま登りゆく
群馬県 岩上林司
秋わすれ終へて夜なべに繭紡ぐ母の日やけをランプは照らす
東京都 高橋一男
雪凍るクルチイの森に木を挽きて夜となれば母を呼びて泣きしか
東京都 今田紀美
おくれてはまた走り寄る仔を待ちて
愛
(
かな
)
しく澄めり母馬の
眸
(
め
)
は
北海道 河合松夫
ラバウルの砂こぼれ落つ
掌
(
てのひら
)
に母が手縫ひの
守
(
まもり
)
開けば
埼玉県 南文雄
ゆふばえの山の畑に母とゆき秋蚕の桑をつみし日おもほゆ
山形県 佐藤政太
音もなく雪降りしきる朝まだき豆腐商ふ母は起き出づ
千葉県 市瀬潤子
一人負ひ一人抱きて
両
(
もろ
)
のたもと二児につかませ来し母われは
東京都 松生富喜子
これかぎり
終
(
つひ
)
の別れかと思ひつつ故郷に老いし母を残し来
福岡県 伊藤政美
賑かにあがる笑の中にしてわらひおくるる母を侘しむ
徳島県 妹尾君雄
野火遠く燃ゆるゆふべを買出しの藷を背負ひて母と帰りし
青森県 對馬信夫
夕ぐれの薄明ながき海を見る母が仲仕をせし埠頭より
山口県 内藤靜江
額づけるかたちに父の足洗ふ母のそびらのいたく小さし
愛知県 久田篤
鰺高く売れたる朝のかたらひに臥す母もきて厨明るし
このページのトップへ