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お題一覧(昭和22年から)
昭和39年歌会始お題「紙」
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昭和39年歌会始お題「紙」
御製(天皇陛下のお歌)
世にいだすと那須の草木の
書
(
ふみ
)
編みて紙のたふときことも知りにき
皇后陛下御歌
みそのふのかうぞの木もてすかせたる紙にいくとせゑがききにけり
皇太子殿下お歌
蒐
(
あつ
)
めたる和紙ながめつつそれぞれの
漉
(
す
)
かれしすべをおもひ語らふ
皇太子妃殿下お歌
まがなしく日をてりかへす点字紙の文字打たれつつ影をなしゆく
正仁親王殿下お歌
細胞の分裂しゆくさま追ひてこまかく写すケント紙の上に
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
水ぐるまめぐるわらやの軒先に干す紙しろく冬の日は照る
宣仁親王殿下お歌
榊葉
(
さかきば
)
のみどりにかけしぬさの紙うつる白さの心にぞしむ
宣仁親王妃喜久子殿下お歌
金泥
(
きんでい
)
の文字に祈のこもりたる紺地の経のまきものの紙
崇仁親王殿下お歌
書きて消し消して書きつつ論文の原稿用紙
日日
(
ひび
)
たまりゆく
崇仁親王妃百合子殿下お歌
をさなごの
小
(
ち
)
さき手先に折られゆく紙のかたちの鶴になりゆく
召歌 花田大五郎
ふるさとの清き流に今もかも翁はひとり紙
漉
(
す
)
くらむか
召歌 高村豊周
たらちねのははの貼らせる紙障子手かけにふたつもみぢしるしも
選者 太田みつ
おのが名を入れて刷らせし原稿紙手ふれぬままに時は過ぎゆく
選者 松村英一
種紙をかこふ
風穴
(
ふうけつ
)
かぜ冷えてわれの手にもつ鑞の灯ゆらぐ
選者 五島美代子
凹
(
くぼ
)
みたる
紙型
(
しけい
)
の文字にあづけおくこころとおもふ
集
(
しふ
)
成りかねて
選者 木俣修二
波のごと寄するおもひに紙
展
(
の
)
べて霜の
朝明
(
あさけ
)
を筆とらむとす
選者 鹿児島寿蔵
ひとくみのまろきひひなにひたすらに手染の紙を貼りかさねゆく
選歌(詠進者氏名五十音順)
秋田県 金子重治
回游する鰯の群をキャッチして閃光はなつ音波記録紙
宮崎県 甲斐徳次郎
杉うゑて
葉守
(
はもり
)
の
四手
(
しで
)
と山口のひともとの
秀
(
ほ
)
に白紙を結ふ
三重県 小久保長二
霰
(
あられ
)
降るゆふべ現場に居残りてモルタルの
凍
(
しみ
)
ふせぐ紙敷く
京都府 小林穆
ニュージーランドソ聯の松を紙に漉き研究室の
一日
(
ひとひ
)
終りぬ
岩手県 佐藤和子
神棚に供へし紙幣
枡
(
ます
)
のまま父は見せにき馬売りし夜
愛知県 鷲見東觀
西域
(
さいゐき
)
の流砂出土の黄変紙
吐貨邏
(
トカラ
)
のことば今に伝へて
群馬県 高橋三郎
ひとはみなねむりし夜はを舞台裏にバックつくると紙貼るわれら
京都府 竹内銈三
反故紙
(
ほぐがみ
)
の裏を使ひて墨にじむ父の帳簿を捨てがたく持つ
カナダ国オンタリオ州 中野武雄
墳墓の地カナダときめて宣誓紙に署名するわが手はふるへたり
栃木県 永井與左衛門
捕虜となりて紙すくすべををそはりしシャムの泉の水清かりし
三重県 橋本善七
斎館
(
さいくわん
)
のひとりの
室
(
へや
)
に息とめて神に
奉
(
まつ
)
らむ
幣
(
ぬさ
)
の紙
截
(
た
)
つ
京都府 深見多喜三郎
汚れなき白紙のごとくわれはあらむ罪を問はるる人さばく日に
佳作(詠進者氏名五十音順)
愛知県 植島和子
しろじろと板に乾したる手漉紙ねべしのにほひ日だまりに満つ
東京都 乙川ともえ
向ひあふわが子は弱き目をとぢて真白き紙に点字うちゆく
和歌山県 川崖久能
渋染の吉野の紙をしき重ね鉢にあす塗る漆漉すなり
京都府 北村武子
打ち終へしタイプ原紙を揃へつつ友とかたみにいたはりをいふ
北海道 工藤ケイ
巻取紙滝なす下をくぐり来てインク香に立つ夕刊を受く
ブラジル国サンパウロ州 光田八千代
親しめる異国の子らに囲まれて昔ながらの紙の鶴折る
福岡県 澁田毅
亡き父がわが臍の
緒
(
を
)
を包みにし手漉の紙は黄にくすみ来つ
島根県 白根重暉
温床紙
(
をんしやうし
)
捲きとりゆけば妻の手にわが手にみどりひろがりゆきぬ
和歌山県 菅家俊章
御山
(
みやま
)
より雪解の水の流れくる
谿辺
(
たにべ
)
に住みて
高野紙
(
かうやがみ
)
漉く
岐阜県 高木英吉
埋
(
うづ
)
み火にかけてある湯に手をぬくめ母ひたすらに寒の紙漉く
愛媛県 田中重晴
足立たぬ
幼
(
をさな
)
がひとり紙裂きて遊ぶを見れば涙ぐましき
静岡県 堤政之助
ギプスの手
癒
(
い
)
えそめし
児
(
こ
)
も刷りをへて紙の版画の匂ふ教室
大阪府 永井菊枝
春あさきやまとの寺のお水とりこもりの僧のかみぎぬしろし
富山県 野沢潤
虫食ひし
生紙
(
きがみ
)
の日記亡き祖父のわが誕生を細かに綴れる
三重県 広岡有為生
手ざはりにて紙の斤数よみわくる印刷工となりて三十年
神奈川県 福田參四郎
千年
(
ちとせ
)
へし紙にいのちのなほありて
陀羅尼
(
だらに
)
の文字を明かによむ
大阪府 松山金八郎
大判の製図紙いつぱいに書きあげぬ進水近き船の艤装図
長野県 村上忠夫
赤石岳の夕映見つつ棟上の柱に妻と白き紙巻く
愛知県 山口輝弘
白く透く紙をほどけば大いなる菊の蕾はひろごりはじむ
愛媛県 山下照子
紙めくる
音
(
おと
)
も補聴器につたはりて師のきみ近くわがまなぶかも
北海道 吉田照
明日より業務開始の紙貼りてペンキの匂ふ窓硝子ふく
東京都 六本木盛夫
映画界のゆふべを告ぐるはり紙にまぐさ背負へる農夫よりくる
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