新浜鴨場での鴨場見学会実施について(千葉県市川市)

令和5年7月3日
宮内庁総務課広報室

6月22日、新浜鴨場(千葉県市川市)にて、鴨場見学会を開催しました。今回は4月から5月にかけて全国から参加者を公募し、当選された方が参加されました。

鴨場とは、越冬で飛来する野生の鴨を捕獲するための場所です。無傷のままで捕獲する独特の技法が用いられています(将軍家や大名家に伝わっていた技法を明治以降、皇室が継承しています。)。捕獲した鴨は、調査のため記録等を行った上で、全て放しています。


参加者は、鴨場を紹介する映像を視聴した後、鴨の捕獲に使用する道具や鴨場に関する資料の説明を受け、実際に鴨猟が行われる引堀やおとりのアヒルの様子などを見学しました(アヒルは、捕獲のため鴨を誘導するよう、鴨場で訓練されています。鴨場見学会で鴨の捕獲は行われていません。)。


新浜鴨場へ入場する参加者

鴨の捕獲に使用する道具の説明を受ける参加者

引堀(細い水路)をのぞく参加者
(鴨は人の気配を察すると逃げてしまうため、
小覗このぞきと呼ばれる見張り場ののぞき穴から様子を確認します。)

引堀に移動してきたおとりのアヒル
(実際の鴨猟ではおとりのアヒルに誘導され
鴨が引堀に移動してきます。)

小覗このぞきから見たおとりのアヒルの様子
小覗このぞきから鴨やアヒルの状況を確認して
一斉に捕獲に向かいます。) 
鴨猟で使用する叉手網さであみを手に持つ参加者
叉手網さであみを使用することで鴨を傷つけることなく捕獲することができます。
この網は伝統に基づいて、職員の手作業で作られています。)


参加者からは、「初めて知ることばかりで楽しかった。」「テレビで見た場所を実際に見ることができてよかった。」などの感想が聞かれました。


【鴨場について】

鴨場では、野生の鴨を無傷のままで捕獲する独特の技法が維持保存されています。鴨場で行われている技法は、元溜もとだまりと呼ばれる12,000平方メートル(約3,600坪)の池に集まった野生の鴨を訓練されたアヒルを使い引堀に誘導し、絹糸で作られた叉手網さであみと呼ばれる手持ちの網を用いて鴨が飛びたつところを捕獲するものです。この技法は、江戸時代に将軍家や大名家に伝わっていたものを明治以降、皇室が継承して今日に至っています。

鴨場は、内外の賓客接遇の場としても用いており、毎年11月15日から翌年2月15日までの狩猟期間に招かれた閣僚、国会議員、最高裁判所判事や各国の外交使節団の長等がこの独特の技法で自ら鴨を捕獲します。

なお、捕獲した鴨は、国際鳥類標識調査に協力して種類、性別などを記録し、標識(足環)をつけ、全て放鳥しています。猟期外には地元住民の施設見学会を行うなど、鴨場は市民の自然保護観察の場としても貴重なものとなっています。

鴨の捕獲・鴨場の接遇へ



【鴨場見学会】

宮内庁では、平成28年に政府においてとりまとめられた「明日の日本を支える観光ビジョン」(平成28年3月30日明日の日本を支える観光ビジョン構想会議決定)を受け、地域住民の皆さんを対象に従前から行っていた鴨場見学会に加え、埼玉県、千葉県とも協力をしながら、地域住民以外の方が参加できる見学会を平成28年度から実施しています。

令和2年度以降は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から実施を見合わせていましたが、令和5年2月から鴨場見学会を再開しており、今年度も引き続き見学会を実施します。

なお、次回の募集(鴨猟期間終了後の令和6年2・3月実施分)は、11月頃行う予定です。

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