故皇太后の追号について

故皇太后の追号は、次のとおり定められた。

香淳(こうじゅん)皇后

平成12年7月10日
宮内庁

  • 『懐風藻』安倍朝臣広庭(あべのあそんひろにわ)の詩「春日侍宴」
    • 花舒桃苑、草秀蘭筵新
    • (花舒(ひら)きて桃苑香(とうえんかぐわ)しく、草秀でて蘭筵新(らんえんあらた)し)
    • 《花は開いて桃の園は香しく、草は伸びて蘭のむしろは新しく感じられる》
  • 『懐風藻』山前王(やまさきおう)の詩「侍宴」
    • 四海既無為、九域正清
    • (四海(しかい)既に無為(むい)にして、九域(きゅういき)正に清淳(せいじゅん)なり)
    • 《四海は太平でよく治まり、天下に清らかであつい徳が広く及んでいる》

故皇太后は、昭和天皇のお側で皇后としてのお務めをお果たしになるとともに、芸術へのご造詣も深く、お印の桃に因んで雅号を桃苑と称された。

故皇太后の香しく、温かいお人柄や文化に対するご関心にかんがみ、この追号を定められた。

『懐風藻』
我が国現存最古の漢詩集。天平勝宝(てんぴょうしょうほう)3年(751)成立。撰者未詳。7世紀後半~8世紀中ごろ(白鳳時代~奈良時代中ごろ)の天皇(弘文天皇・文武天皇)・皇族・諸臣・僧侶の詩を収める。