皇太子同妃両殿下御結婚満25年に際しての記者会見開催要望への対応について

平成30年6月22日
宮内庁東宮職

最近,一部週刊誌において,皇太子同妃両殿下の御結婚満25年に際しての宮内記者会からの記者会見開催に関する要望への対応について,事実に反する記事が掲載されていることから,宮内庁東宮職として,国民の皆様に正しい理解をお持ち頂くのが適当との観点から,以下のとおり経緯を説明致します。

  1. 宮内記者会より出された記者会見の要望については,東宮職として,皇太子同妃両殿下の御活動やお気持ちをできる限り国民の皆様にお伝えするのが望ましいとの観点から,その可能性について両殿下に御相談申し上げ,直前に至るまで真剣に検討してまいりました。

  2. 今回の記者会見開催に関する要望については,御結婚記念日の直前には「みどりの愛護」のつどい御臨席などのための滋賀県行啓やベトナム国国家主席同令夫人の国賓行事などがあり,また,御結婚満25年に際しての数々の関連行事も控えるなどお忙しい御日程の中で,最後までその可能性につき真剣な検討が行われました。最終的には,5月の諸行事を終えた後,その後の諸行事日程等を全体的に考慮した結果,妃殿下の御体調への影響などを勘案し,今回は,記者会見ではなく,宮内記者会からの質問を殿下・妃殿下がそれぞれお答えになるという「文書回答」をお受け頂くこととし,その旨を宮内記者会に連絡致しました。この間の事情は,東宮大夫定例記者会見で説明しております。

  3. 皇太子妃殿下には,引き続き御療養中ではありますが,努力と工夫を重ねられ,御体調に気をつけながら,公私にわたってできる限りのお務めを果たされようとしていらっしゃいます。また,皇太子殿下には,そうした妃殿下の御努力をお支えになってこられました。その結果,妃殿下には,公的な御活動を一つ一つ着実に積み重ねられ,御活動の幅が少しずつ広がってきておられます。一方で,これまでの東宮職医師団見解にもありますとおり,妃殿下には,引き続き御快復の途上にいらっしゃって,御体調には波がおありで,行事が続いた場合には,お疲れがお残りになることもあります。

  4. 「文書回答」という形は,妃殿下が御療養に入られる前の御結婚満10年に際して採った形と同じであり,御療養に入られた後の御結婚満20年に際しては,両殿下の御感想という形で両殿下のお気持ちを皆様にお伝えしておりますので,今回,妃殿下が病気御療養に入られてから初めて質問を受け,3問全てについて両殿下がそれぞれお考えを記される「文書回答」という形としたのは,現時点で採り得る最大限の対応でした。

  5. したがって,最近の一部週刊誌,具体的には女性セブンと女性自身において,「ご夫妻の結婚記念日と,両陛下の『最後の被災地訪問』の日程が重なっていたことが本当の理由」であり,「16年ぶりに雅子さまの会見が開かれたとなれば,各メディアはその報道で一色になり,両陛下の地方公務への関心が低くなって」しまう,「皇室内には絶対的な序列が存在し」「両陛下の,しかも最後となる被災地訪問の“裏”で,会見を開くわけにはいかなかった」との記事や,「雅子様ご本人が,会見出席を断固として拒否されて」おり,その理由として,過去の記者会見が「批判的な報道につながったこともあり,雅子様にとっては“トラウマ”というほどの体験だった」といった記事が掲載されましたが,このようなことを考慮したことは一切ありません。

    女性セブンの記事は,記者会見が開かれれば,両陛下の地方公務への関心が低くなる,それが記者会見を開かない理由だ,と論じていますが,仮に記者会見が行われたとしても,早朝から始まるその報道は,両陛下の福島県行幸啓より相当前の時間帯でした。両陛下の福島県行幸啓があるから記者会見を行わない,ということは検討したこともありません。このような記事は,両陛下の御公務に込められるお気持ちや日頃から両殿下を温かくお見守りくださっていることをないがしろにする失礼なものと言わざるを得ません。また,会見を開かなかった別の理由として,皇室内の序列を挙げて論じていますが,両陛下,両殿下,皇族殿下方の行事が,日程上重複することは従来からあることです。その意味で,序列は関係ありません。このように,事実に反する内容の記事を週刊誌に掲載するとともに,興味を煽るような見出しを掲げることによって,両陛下,両殿下の真摯なお気持ちを傷つけ,読者,さらには一般の人々に誤解を与えていることは,極めて遺憾であると考えます。

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