親王妃の「妃」を「きさき」と呼称することについて

平成28年11月21日

先の崇仁親王殿下の薨去に際しての一部の報道において,崇仁親王妃百合子殿下を「きさきの百合子様」と呼称する部分がありましたが,この呼称は下記のとおり誤りでありますので,注意喚起するとともにその点をお伝えします。


  1. 皇室典範における妃
  2. 明治の皇室典範において,皇族の配偶者を妃と規定されました。すなわち,皇太子妃・皇太孫妃・親王妃・王妃がそれであります。これは,現行の皇室典範にも継承されておりますが,ここでの「妃」の呼び方は,いずれも「ひ」であり,「きさき」とは呼ばれておりません。

  3. 歌会始めにおける妃
  4. 現在,歌会始の儀においては,皇后陛下のことを「きさいのみや」とお呼びしています。しかし,皇太子妃は「ひつぎのみこのみめ」,親王妃は「○○のみこのみめ」とお呼びするように皇太子殿下を始め皇族の妃を「きさき」もしくは「きさい」と称することは行われておりません。

  5. 結論
  6. 宮内庁において,皇族の配偶者はいずれも「妃(ひ)」と呼んでおり,「きさき」とは呼んでおりません。

  • (注)
  • 広辞苑においては,「きさき(后)」を「天皇の正妻。皇后。中宮。」,「ひ(妃)」を「皇族の妻の称。」とされています。