「週刊文春」(平成26年11月13日号)の記事について

平成26年11月13日

「週刊文春11月13日号」に掲載された「雅子さま“復活の笑顔”「晩餐会」直前に掛けた一本の電話」と題する友納尚子氏の記事についての事実関係及び宮内庁としての対応は下記の通りです。

    同記事は,「十一年前の「衝撃的な出来事」」との小見出しの下に,2003年10月,メキシコ大統領を迎えた宮中晩餐の前席で,大統領に対する天皇陛下の皇族御紹介が,「雅子妃を飛ばして,秋篠宮殿下に移ってしまった」ことから,「雅子妃が妃殿下としての自己の存在について,決定的に自信を喪失した」との趣旨のことを記しています。

    しかしながら,以下に記すように,これまで踏襲されてきた皇族方の国賓に対する御紹介の段取りからして,「皇太子妃殿下を飛ばして」というようなことは到底起こり得ないことです。

    宮中晩餐御出席のために宮殿南車寄に到着された国賓御夫妻をお出迎えになった両陛下は,国賓とご一緒に松風の間に入られます。間内では,皇太子同妃両殿下始め皇族方が,御身位の順に列立してお待ちになっておられ,天皇陛下は皇太子殿下から順番にお一人ずつ国賓御夫妻に御紹介になり,すぐその後に続き皇后陛下が同様にして国賓夫人に次々と皇族方を御紹介になります。そして御紹介が完了すると飲み物が供され,国賓御夫妻と皇族方の御懇談が始まります。このようにして進められる国賓御夫妻と皇族方のお出会いは,通例15分程度で終了し,次いで両陛下と国賓御夫妻お四方が松風の間を出,その日の晩餐会の招待者一人一人から挨拶をお受けになるレシービング・ラインに立たれるため,石橋の間に向かわれます。この石橋の間での行事の完了後,両陛下は国賓御夫妻とご一緒に,そして皇族方がその後を進まれ,晩餐が供される豊明殿にお入りになります。

    以上のように,国賓御夫妻への皇族方の御紹介及びそれに続く行事は,毎回全く同じ段取りで取り進められており,その第一段階で,秋篠宮殿下以下全員の皇族が見守られる中で,天皇陛下が,皇太子妃殿下を賓客に御紹介になることなく,秋篠宮殿下を御紹介になるというようなことは到底起こり得ません。念の為2003年10月にメキシコ大統領を国賓としてお迎えした際の宮中晩餐での御紹介の状況につき,当時皇太子妃殿下の次に控えておられた秋篠宮殿下に伺ったところ,自分(殿下)は,行事などの際に,何か手順通りに進められなかった場合は,直ちに気が付く方だし,また,再発を防ぐためにもかなりの長きにわたりそれを記憶しているつもりだが,これまで国賓をお迎えした際の陛下の皇族御紹介で何か手順と異なることを陛下がなさったという記憶は全くなく,皇太子妃殿下を飛ばして自分が紹介されたということは決してないと思う。また,万一にも自分が先に紹介されそうになったら,自分は必ずその場で陛下に申し上げ,皇太子妃殿下の紹介が先になるように取り計らったと思うとの御返事を頂きました。

    国賓を迎えるという晴れの席で,天皇陛下がそのようなことをなさるという事実に反することが手記として掲載されたことは,陛下に対する礼を失する誠に遺憾なことであり,本日付で週刊文春編集長及び友納尚子氏に速やかに訂正することを要求しました。