宮内庁長官記者会見要旨(関係箇所)

平成25年6月13日(木)

  • (宮内庁長官)
    •     本日発売の週刊新潮に,「『雅子妃』不適格で『悠仁親王』即位への道」との記事が掲載されておりますことについて,一言申し上げたいと思います。
    •     この記事では,私(宮内庁長官)から安倍総理及び菅官房長官に対し,「天皇の生前退位及び譲位」並びに「皇位継承の辞退容認」を可能とするような皇室典範改正の要請を行ったこと,また,そうした宮内庁の要請内容については,天皇・皇后両陛下と皇太子・秋篠宮両殿下の間では,既に納得されていること,などが記述されておりますが,このような事実は一切なく,この記事は全くの事実無根であります。
    •     そもそもこの記事については,週刊新潮編集部より事前(6月10日付)に文書にて取材申請があり,当該事実は一切ないことを文書にて明確に回答していたにも関わらず,その回答には全く触れることもなく,このような記事がそのまま公表されたことに,強い憤りを感じます。
    •     少しその内容について個別に申し上げますと,最初に「ついに『雅子妃に皇后は無理』の断を下した美智子さまの憂慮」との見出しで,「皇后陛下はすでに,周囲には『皇太子妃には将来,皇后の仕事はつとまらないでしょう』と漏らされています」との記述が「さる宮内庁幹部」のコメントとして記載されておりますが,皇后陛下はお誕生日会見などでもかねてより,「妃は皇太子にとり,また,私ども家族にとり,大切な人であり,妃の快復を祈り,見守り,支えていきたい」と仰ってこられたところであり,そのようなご発言をされることなど,全く考えられません。
    •     また,「さる宮内庁幹部」とありますが,私は宮内庁幹部の一人として,もちろんそのようなご発言を耳にしたことはございません。
    •     さらに,「皇后陛下は,『もし仮に,陛下がおられなくなって,私が一人残されたとします。その時のことを考えると,とても不安を覚えます』と近しい人に打ち明けられている。ご公務の引継ぎなどはもちろんのこと,はたして皇太子ご夫妻が,ご自身を適切に遇してくれるのだろうか…その点を気に病んでおられるのです。」との記述もありますが,常に周囲をお気遣いになっている皇后陛下のお立場を鑑みるに,そのようなご発言をされることなど,到底考えられません。
    •     この記事の内容を皇后陛下はまだご存じないものと思いますが,仮にこの記事を実際ご覧になられれば,大変お心をお痛めになるのではないかと思われ,とりわけ現在ご体調を崩されているところでもありますので,非常に心配をしております。
    •     また,次に「『皇太子即位の後の退位』で皇室典範改正を打診した宮内庁」との見出しで,私が安倍総理及び菅官房長官に皇室典範の改正を提案したとの記述がありますが,そもそも宮内庁は,皇室典範等が定める皇室の制度を前提に天皇皇后両陛下及び皇族方にご奉仕申し上げるのが務めであり,制度の在り方を宮内庁から提案することなどあり得ません。
    •     さらにこの記事の中では,その背景などについても記述されておりますが,改めまして,全くの事実無根,荒唐無稽な話であると申し上げておきます。
    •     次に,「『秋篠宮は即位すら辞退』が頂上会談で了解された深い事情」との見出しで,こうした宮内庁から官邸への提案が,「すべて天皇・皇后両陛下の思し召し」であり,「すでに天皇・皇太子・秋篠宮の三者による頂上会談でも話し合われ,納得されている」との記述がされております。
    •     私(宮内庁長官)は,今上陛下,皇太子殿下,秋篠宮殿下のお三方によるお話し合いの場には常時同席させていただいております。そこでのお話し合いの内容については,本来私から申し上げることは控えるべきことと思っておりますが,この件に関してのみは,そのような内容のお話し合いはこれまで一度も行われたことはなく,全くの事実無根であるということを申し上げておきたいと思いますし,そもそもそのようなことを仰られること自体,あり得ないことと考えております。
    •     以上申し上げたようなこの記事の内容について,両陛下は未だご存じないものと思いますが,ご覧になられれば大変悲しまれるのではないかと非常に憂慮しております。
    •     また,皇室制度や皇位継承のあり方という極めて重要な事柄について,このように憶測等に基づく,全く事実と異なる記事を掲載することは,国民に重大な誤解を与えかねないものであり,大変遺憾に思っております。
    •     このため,この週刊新潮の記事に対しては,内閣官房と宮内庁の連名により,文書にて厳重に抗議するとともに,速やかに訂正記事を掲載することにより,記載のような事実がなかったことを明らかにするよう求めることとしているところであります。