本24日午前,天皇陛下には,心臓バイパスご手術後の経過観察のために,宮内庁病院において検査をお受けになりました。
検査結果は概ね良好で,胸水貯留もごくわずかに認められる程度の量でした。
今後も,ご運動を通じてリハビリテーションを進めて頂くとともに,引き続き経過観察をおこなっていく予定です。
平成24年10月24日:皇室医務主管
天皇陛下には,昨日午後宮内庁病院において,専門医の拝診と胸水の貯留などに関するご検査をお受けになりました。その結果,10日前に行われた前回のご検査以降,胸水貯留は両側とも増加していないことがわかりました。また,坂道や階段でもあまり息切れをお感じにならなくなっています。残存するこの胸水も次第に吸収されて行き,ある程度の時間はかかりますが,やがては消失するものと判断されます。
以上の医学的判断に基づき,本日,国事行為の皇太子殿下への委任の解除が閣議決定されました。しかし,依然として,胸水が両側に明らかに残存している状態であることから,あらゆる場面において身体的・精神的なご負担をできるだけ少なくすることが当分の間大切であるとのコメントを専門医から受けています。それと同時に,骨粗鬆症の予防や予備力を含めた体力のご回復のためには,適度で継続的なご運動は必要不可欠であり,この両方のバランスを取ることが今後の課題となります。
平成24年4月10日:皇室医務主管
平成24年4月10日
閣議決定
天皇陛下は,御病気御快復の状況に鑑み,4月10日,日本国憲法第4条第2項及び国事行為の臨時代行に関する法律第3条の規定に基づき,皇太子徳仁親王殿下に対する国事に関する行為の委任を解除されることとする。
天皇陛下には,本日午後,宮内庁病院において,専門医の拝診と胸水の貯留などに関するご検査をお受けになられました。その結果,前回の穿刺により一旦は完全に排除したはずの胸水が,10日の間に再びある程度貯留していることがわかりました。しかし,このために更なる穿刺を行う必要はなく,恐らくやがて自然吸収されるものと判断されます。
3月4日に東大病院から退院される際に,少なくとも3月中は御所にてご静養をお願いしたい,と申し上げました。しかし,その3月中に穿刺を2度にわたってお受けいただくという状況が加わったこと,さらに未だに胸水が残存していること,などの理由から,ご静養の期間をいましばらく延長して頂くことにし,これを発表いたします。
平成24年3月30日:皇室医務主管
本20日午前,宮内庁病院において,天皇陛下の胸水穿刺は無事終了しました。両側合わせて前回をやや上回る量の胸水のほぼすべての排液を完了し,ご昼餐前には,御所にお戻りになりました。
平成24年3月20日:皇室医務主管
天皇陛下には,胸水の吸収が予想よりも遅れており,リハビリテーションを進めるなどの上で支障となっている状況に鑑み,明20日午前,宮内庁病院において再度穿刺を受けられることになりました。
これにともない21日に予定されている国賓ご接待の諸行事に際しては,主として,皇太子殿下がご名代として接遇に当たられますが,歓迎行事後に宮殿で行われるご会見は,陛下ご自身がお出ましになるご予定です。
また,皇后陛下には,明20日午前,天皇陛下のご治療にお付き添いのため宮内庁病院に赴かれますので,当初予定されていた春季皇霊祭・春季神殿祭の御拝へのお出ましは,お取り止めになります。
平成24年3月19日:宮内庁
本7日午前,宮内庁病院において,天皇陛下の胸水穿刺は無事終了し,相当量の胸水を排液することが出来ました。夕刻前に,御所にお戻りになりました。
平成24年3月7日:皇室医務主管
ご退院後,天皇陛下には,期待されたほどにはお食事が進まず,階段のみならず,平地歩行に際してもご自覚的に息切れが出現するなど,改善傾向がやや後戻りした感がありました。そこで,本日胸部X線検査を行いましたところ,胸水がやや増加していることが判明しましたので,全身状態のご回復を図るべく,明日午前中に宮内庁病院にて,これまでの合同チームの協力の下に,穿刺による胸水の排液を行うことに致しました。
平成24年3月6日:皇室医務主管
今般のご入院に際して,記帳のために皇居を訪れた10万人に近い人々,また,これまでご手術の成功を願ってきてくれた多くの人々に対して,感謝の気持ちを伝えるようにと,陛下からご指示を頂きましたので,その旨お伝え致します。
平成24年3月5日:宮内庁
お見舞い記帳の受付は,3月4日(日)をもって終了しました。
記帳受付期間 2月17日(金)から3月4日(日)の17日間
記帳名数総計 97,899名
平成24年3月4日:宮内庁
天皇陛下は,東大病院での冠動脈バイパス手術を無事終わられ,本日ほぼ2週間ぶりに御所にお戻りになりました。手術に至った経過および手術所見についてはすでに報告しておりますので,今日は術後の経過及び今後の課題などについてお話しします。
手術後お入り頂いたICUでは,幸いにも心房細動などの危惧された不整脈が起こることはなく,ほぼ予定通り2日後にICUから病室にお戻りになりました。ただそれ以後は,手術の後には一般的に起こるとされる37度台の発熱や炎症反応などの他,開胸手術後に一定の頻度で生じるとされる肝機能障害,食欲不振,低蛋白血症,胸水貯留などが生じてきました。幸いこれらすべての問題は確実に改善に向かってはいますが,お食欲は十分ではなく,低蛋白血症と胸水貯留は今も満足できる段階ではないので,「術後経過は順調である」と単純には言えず,「術後の様々な出来事があったが想定内であって,それもすべて改善の方向にある」と考えるのが適切であると考えます。
一方陛下には,そうした身体的な問題がある中でも,いわゆるリハビリテーションのメニューを順々にこなして頂きました。例えば,手術翌日にベッド脇に立つところから始め,介助を受けながらの数歩の歩行,室内での独歩,廊下での歩行,階段の昇降へと進み,今では一日の歩行距離の総和が1km近くにまでに及ぶほどになっています。しかしながら,階段の昇降のようなやや大きめな運動負荷がかかる際には,まだ「息があがる」状態になられますし,血中酸素飽和度が多少低下することもあります。
この呼吸や酸素飽和度の問題は,胸水貯留が未だ両側に残っていることを反映しているためであると考えています。しかしながら,貯留量は少しずつ減少していること,日常のご生活上には胸水の影響はあまりないこと,胸水が消失するにはなお数週間程度は必要であること,などの理由から,胸水のためにご入院を継続して頂く必要性はないと判断されました。さらに,これからのリハビリテーションメニューが御所においても実行して頂ける内容であること,なども考慮に入れた総合判断の結果,本日ご退院となった次第です。
以上の経過および胸水貯留の状態などを考えますと,少なくとも3月一杯は御所でのご静養を基本としてお過ごし頂くことが適切であると考えます。その間,引き続き東大と順天堂大の合同チームのご協力を得ながら適切に対応していきたいと思います。
なお,陛下のご入院中,皇后さまが毎日,ほぼ隔日には病院に泊まって,陛下に付き添われ,大勢の人々が記帳のために皇居を訪れていることや,神社やお寺から陛下のご快癒を祈る御札が多数寄せられていることなどをお耳にお入れになり,あるいはリハビリテーション中には心を和ませる音楽をお流しになる,など細やかなお心遣いをされたことは,陛下がご入院生活を心安らかに過ごされる上で,大きな力となったことと思われます。
最後に,この度の天皇陛下のご入院に際して,東京大学と順天堂大学の関係の方々に,言葉に尽くせぬほどのご協力とご厚意を頂きましたことに対して,ここに厚くお礼を申し上げたいと思います。
平成24年3月4日:皇室医務主管
天皇陛下の冠動脈バイパス手術は,本日11時01分に執刀開始し,3時間56分後の14時57分に終了いたしました。すでに発表しましたように,手術は東京大学医学部附属病院心臓外科と,順天堂大学附属病院心臓血管外科の合同チームで行われました。
術者は3名で,東大チームは小野稔教授,順天堂チームは天野篤教授と稲葉博隆准教授です。手術は予定通りに順調に進み,終了いたしました。すなわち,狭窄が認められた二本の冠動脈(左回旋枝と前下行枝)のそれぞれに左右の内胸動脈を吻合してバイパスを形成することができました。術中の出血もほとんどなく,また術後の麻酔からのお目覚めも順調で,ほぼ予定通り15時55分に手術室からICUにお移りになりました。17時過ぎには,皇后様が,やはりご手術の少し前より付き添われた黒田清子様とともにご面会になり,短時間ではありましたがご一緒の時を過ごされました。
平成24年2月18日:皇室医務主管
平成24年2月15日
閣議決定
天皇陛下は,御病気御療養につき,2月17日から当分の間,日本国憲法第4条第2項及び国事行為の臨時代行に関する法律第2条第1項の規定に基づき,国事に関する行為を皇太子徳仁親王殿下に委任して臨時に代行させられることとする。
お見舞記帳は3月4日をもって終了となります。
天皇陛下のご病気ご療養につき,希望される方には,下記のとおりお見舞い記帳をお受けになります。
平成24年2月15日:宮内庁
天皇陛下には,東京大学医学部附属病院において,2月11日午前11時25分からおよそ30分間にわたって,左手首から挿入した動脈カテーテルによる冠動脈造影検査をお受けになり,十分な情報が得られました。
昨日の結果の所見を,1年前に行いました冠動脈造影検査の所見と比較しながら専門医と検討した結果,前回見出された冠動脈の狭窄がやや進行している部分があり,何らかの新たな対応が必要であるとの結論に達しました。
関係する専門医と今後の対応について改めて協議した結果,この際従来のご生活の維持と更なる向上を目指して,冠動脈バイパス手術をお受け頂くことが適切であると判断しました。なお手術は,東大病院において東大と順天堂大の合同チームが行うこととし,現在のところ,2月18日の手術を予定しています。
平成24年2月12日:皇室医務主管