令和5年9月11日
宮内庁総務課広報室
岐阜県の長良川では、毎年5月11日から10月15日まで、中秋の名月と増水時以外は毎夜鵜飼が行われています。
そのうち8回については、長良川古津地区及び立花地区の両地区において、宮内庁が主催する御料鵜飼が行われており、古津地区の2回については、外交団鵜飼として駐日外国大使夫妻等を招待しています。【御料鵜飼について】
1300年以上前から続いている長良川の鵜飼漁が、皇室の保護のもと、今もなお大切に行われている姿を駐日大使に紹介し、日本の文化に間近に触れてもらうとともに、皇室と国内伝統行事とのつながりを理解してもらう場となっています。
今年は、必要な感染症対策を行い、4年ぶりに、7月26日と8月23日に実施されました。
※鵜飼・・・鵜という鳥を使って鮎を獲る、日本の古代漁法。鵜は喉に魚をためられる特徴があることを利用しています。
鵜が鮎を捕ったときに瞬時にくちばしで体を絞めるため鮮度が保たれ、おいしい鮎になるといわれています。
○駐日大使等を招いた外交団鵜飼
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6艘の鵜舟と、それぞれに乗る「鵜匠」「中乗り」「艫乗り」が観覧船乗り場に到着し、準備を始めます。竹製の籠の中に鵜がいます。
季節、天候、川の水量、鵜の状態など条件は毎日異なりますが、
鵜匠、中乗り、艫乗りそれぞれの判断で、鮎の捕れ高が大きく変わります。マニュアルはなく、経験と工夫による瞬時の判断とあ・うんの呼吸が要です。
※鵜匠・・・鵜舟
に乗り、8~12羽の鵜を使って漁をします。 明治時代以降、長良川の鵜匠は宮内庁式部職鵜匠として任命 され、代々世襲で技術を継承しています。
※中乗り・・・操船や鵜匠を補助します。
※艫乗り・・・操船の責任者であり、鮎が多くいる場所を見極めます。
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伝統的な装束(漁服、胸当て、腰蓑、風折烏帽子、足半)を
着用した鵜匠。
乗船前に6名の鵜匠の紹介があり、記念撮影が行われました。 |
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観覧船に乗船。川上へ向かいます。 |
辺りが暗くなる中、篝火に照らされた鵜舟が近づいてきます。 |
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鵜匠は当日の川の様子、漁場の状況、天候、鵜の体調などを考慮し、鵜と息を合わせて漁を行います。 |
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暗闇の中、篝火に照らされた鮎を鵜が巧みに飲み、鵜匠は鵜の膨らんだ喉を見て鵜を引き上げ、鮎を出させます。
手縄がからまることなく、見事な手縄さばきです。火の粉が散る、迫力ある美しい漁です。
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長良川鵜飼のクライマックス、総がらみ。
篝火を焚いた6艘の鵜舟が、火の粉を飛ばしながら横に並んで一斉に鮎を追い込みながら川を下っていきます。
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○鵜匠の家を訪問しました。
 鵜匠は、鵜の表情や呼吸、抱えた時の体重、のどの状態(しこりがないか、のどを触って嫌がらないかなど)からその日の体調を読み取ります。異常があれば獣医の診察を受けます。日々生活を共にし、心を通わせて培った、人鵜の信頼関係が窺われます。
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 鵜は、鵜匠の家の敷地内で暮らしています。
えさを捕るという野生の本能を利用した漁法であるため、生後2、3年から飼育し、生涯をここで過ごします。 野生の鵜の寿命は5年程度ですが、鵜匠に飼育された鵜には、20年以上生きるものもいます。
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 長良川の鵜飼が1300年継承されているのは、川を美しく保ち、天然鮎を保護し、鵜匠、中乗り、艫乗りが伝統漁
法を守り、鵜舟を造る技術の継承、鵜飼用具の製作、観光資源としてのバックアップなど、多くの人々の鵜飼文化 を守る意思や協力があるからだと感じます。
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