ボロブドゥール寺院はいかがでしたか。
陛下:ボロブドゥール寺院は、私も子供の時から歴史の教科書ですとか、上皇上皇后両陛下からもお話を伺っておりまして、また、歴史に関心がある者としまして、ぜひ一度訪れてみたいと思っておりましたので、今回このような形でボロブドゥール寺院を訪れることができましたことを、大変うれしく思っております。
ボロブドゥール寺院では、ガイドの方にボロブドゥール寺院の歴史、どのようにして寺院が作られていたか、それをどのように保存しているかといった非常に多岐にわたる話を丁寧に説明していただき、私としてもボロブドゥール寺院についての理解を深めることができたというふうに思っております。
このような本当に素晴らしい寺院が、これからも末永く保存されることを心から願っております。
記者:今回のインドネシア訪問では、両陛下がインドネシアの若者と交流される様子が非常に印象的でした。実際に懇談されてみていかがでしたか。
陛下:今回は、何度かインドネシアの若い方々とお話しする機会がありました。特にダルマ・プルサダ大学では、日本語を勉強している、そして日本に関心を持っている何人かの学生さんとお話をすることができましたけれども、そういった学生さん方が非常に高い志を持って日本語あるいは日本文化を学ぼうとしている様子、しかも自分の思っていることを非常に洗練された良い日本語で私たちに語りかけてくれたことが、非常に印象に残っております。
こういった方々が、将来日本に留学生なり、どういう形であっても日本を訪問することができると、本当に良いと思っております。私も今回、「テムズとともに」のあとがきにも書きましたけれども、留学をしてみた経験としまして、今はインターネットでもっていろいろ外国の情報が手に取るように分かりますけれども、やはり外国に実際に行ってみなければ分からないことというのは数多くあると思います。
その意味でも、インドネシアの若い方々、日本に興味を持っている方々が、是非日本を訪れて、自分の目で日本を確かめて、日本について様々な経験をしていただけると大変うれしく思います。
そして、将来的にこの日本に関心を持っているようなインドネシアの方々、また、インドネシアに関心を持っている日本の若い方々相互の交流によって、両国間の親善関係がより深まることを心から願っております。
記者:そういう意味では、ボロブドゥール寺院も良い経験になられたということではないでしょうか。
陛下:そうですね。私自身、歴史についてもとても興味を持っておりましたし、このボロブドゥール寺院は仏教の寺院ですけれども、この近くにはプランバナンなど、他のヒンズー教の寺院などもいくつもあるというふうに聞いております。そういう面でもこのボロブドゥールは、インドネシアの持つ多様性をよく表しているものなのではないかと思います。
記者:サンダルはいかがでしたでしょうか。
陛下:サンダルは思っていたより履き心地が良かったです。そして、サンダルを履くことによってこの寺院を保存しようという、そういった方々の熱意を強く感じました。
一言付け加えさせていただければ、今日の説明でも、このボロブドゥール寺院を今後どのように保存していくかということについての説明を受けましたけれども、特に排水の面ですね、水をどういうふうに逃がすかということで、中にパイプを入れたり、水を逃がしたりする様々な方法が講じられていること、そういったことも分かり、遺跡をどのように保存していくかということにも理解を深めることができたこともとても良かったと思いますし、前にカンボジアで訪問しましたアンコールワットでも、遺跡の修復あるいは保存に多くの現地の人々が関わっていて、それを日本の指導者が、上智大学の石澤先生を始めとする方々がいろいろ指導して育てておられる。このような文化交流などが行われていることもその時に知って、とてもうれしく思いました。遺跡の保存というのも本当に将来に向けてとても大切なことなのではないか、と思います。
記者:上からの眺めはいかがでしたでしょうか。
陛下:そうですね。特に本当にこの遺跡の大きさというものを改めて思いましたし、それから、周囲にある火山ですね。特にムラピ山、活発な活火山で、富士山に似た形をした山ですけれども、本当にこの上から見た景色も大変印象深いものであったと思います。
また、昨日は砂防事務所を訪れまして、このムラピ山の噴火に対する砂防についての知識を深めることができましたことも、水についていろいろと取組をしている私としても、とても役に立ったというふうに思っております。