主な式典におけるおことば(平成24年)

皇太子殿下のおことば

第57回青少年読書感想文全国コンクール表彰式
平成24年2月3日(金)(東京會舘)

第57回青少年読書感想文全国コンクールで表彰を受けられた皆さん,おめでとうございます。

この表彰式に私が出席するのは今回で12回目になります。この後,受賞者の皆さんとお話しする機会もあり私も楽しみにしていますが,これまで毎回,受賞者の皆さんが読んだ本について笑顔で,生き生きと話してくれたことが,私の中で強く印象に残っています。

今回の表彰式に当たり,皆さんの書かれた感想文の幾つかに目を通しました。一人一人が読まれた本も様々ですし,それによって感じたこと,考えたこともそれぞれ違いますが,皆さんそれぞれに,すばらしい本との出会いや読んだ感想を素直に文章にまとめて伝えたいという気持ちは共通しているように思いました。

自分が感じ,考えたことを言葉にまとめ,文章にすることは簡単なことではありません。受賞された方々以外にも,取り組まれた多くの皆さんが机に向かい一生懸命感想文を書いている姿が目に浮かびます。

本を読むことで,自分の知らなかった世界を知ったり,考えてもみなかったことを想像したりしたこと,そしてそれを苦心して文章にして人に伝えようとしたことは,きっと一人一人の心の中にしみこみ,いつまでも残っていくことと思います。

また,今回の作品では,読んだ本と東日本大震災における自らの経験や社会の状況を重ね合わせた感想が多くあったと伺っております。このように本を読むことは,自分や他の人の経験をより深く考えて自らの糧とする機会でもあります。

皆さんには,是非今後とも本を読む習慣を続け,たくさんの良い本と巡り合っていただきたいと思います。

今回の第57回コンクールでは,442万編以上の作品が寄せられたと伺いました。学校や家庭,様々な場において,子どもたちの読書のための環境を整えたり,感想文の指導に当たられた多くの方々の御努力にも,心から敬意を表したいと思います。

これからも,若い人々が読書によって豊かな知識を吸収しながら,驚きや喜びなど様々な感動を経験し,大きく成長されることを期待いたします。それとともに,このコンクールが一層発展していくことを願い,お祝いの言葉といたします。

ユネスコ・国連大学国際シンポジウム-人は,なぜ逃げられなかったのか-東日本大震災と津波警報システムのあり方を問う-政策の観点から開会式
平成24年2月16日(木)(国際連合大学)

挨拶に先立ち,昨年3月11日の東日本大震災で亡くなられた多くの方々に,心から哀悼の意を表します。東日本の広い範囲にわたり未曽有の被害をもたらした大震災から早1年がたとうとしていますが,今もなお,多くの被災者が,被災地や,故郷を遠く離れた地で不自由な生活を送っておられます。ここに改めて,御遺族と被災された方々に心からお見舞いを申し上げますとともに,災害からの復旧・復興が一日も早く進むことを願っております。また,未曽有の大災害に直面した我が国に対して,諸外国の皆様から多くの温かい励ましと御支援を頂いたことに対し,この場を借りて深く感謝の意を表します。


ボコバ国際連合教育科学文化機関事務局長,
オスターヴァルダー国際連合大学学長,
御列席の皆様,

東日本大震災と津波警報システムのあり方を問う国際シンポジウムが,ボコバ・ユネスコ事務局長始め多くの関係者の出席を得て,ここに開催されることを大変うれしく思います。

四方を海に囲まれた日本は,古来,豊かな海の恵みを享受してきました。しかし同時に,海は沿岸住民にとって津波や高潮といった脅威をもたらす恐ろしい存在でもあります。昨年3月11日,東日本を襲ったマグニチュード9の大地震は,北海道から沖縄にかけての広い範囲に津波をもたらし,特に東北地方から関東地方の沿岸地域では,大津波による未曽有の被害が発生する事態となりました。

また,海に限らず,河川や湖沼も含め,水は生命に必要な最も基本的な資源であり,人は生きるため水辺を求めてきましたが,その歴史はまた,水との闘いの歴史でもありました。

日本の国内において,川や湖による水運が地域と地域を結び,発展をもたらしてきたのと同様に,海は広く世界の国と国とを結ぶ役割を果たしています。それと同時に,津波という災害も海により遠く離れた国々にまで伝していきます。昨年の東日本大震災による大津波は,ハワイやガラパゴス諸島,そして南極にまで到達しました。

このことから分かるように,水害の中でも,特に津波に関しては,国際的な対策・対応がとられることが大変重要です。ユネスコは国連の専門機関として,この国際的な津波対策に長年取り組んできています。

1960年,南米チリで発生した大地震による津波は,遠く日本の三陸沿岸にも押し寄せました。この津波発生を契機として,ユネスコ政府間海洋学委員会において太平洋津波警報システム国際調整グループが設立され,太平洋における津波警報システムが構築されました。さらに,2004年のスマトラ沖地震による被害に鑑み,インド洋における津波警報システムの構築が進められ,昨年運用が開始されたと伺っております。

また,国連大学においては,人類の持続可能な発展を考える上でのグローバルな課題の一つとして,津波を始めとする災害リスクの軽減や,防災のための研究や調査が実施されてきました。さらに,今回のようなシンポジウムを開催することを通じ,国際社会における様々な課題につき,多角的に議論する場を数多く提供してきました。

今回のシンポジウムでは,東日本大震災から間もなく1年となる本日と明日の二日間,昨年の大震災により発生した津波に現地でどう対処したのかを振り返りつつ,これまでの津波警報システムの実効性について改めて検証するという誠に時宜を得た内容であり,開催の労を執られたユネスコ,国連大学の御尽力に対し敬意を表します。


御列席の皆様,

今回のテーマである水をめぐる問題については,私自身,国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁の立場から,かねてより関心を寄せ,様々な角度から考えを深めてまいりました。昨年,私は被災地を訪れ,水に関する災害の深刻さを目の当たりにするに付け,過去の被災状況などを検証し,将来への備えとすることがいかに大切かということを強く感じました。今回のシンポジウムを通じ,国内外の専門家の方々により,津波に関する検証と分析が行われ,その結果生まれる教訓から謙虚に学ぶことにより,将来の日本と世界の防災につながることを希望して,私の挨拶といたします。

ボーイスカウト日本連盟創立90周年記念事業中央式典
平成24年5月26日(土)(国立オリンピック記念青少年総合センター)

ボーイスカウト日本連盟が創立90周年を迎えられ,ここに,皆さんと共にお祝いすることができることを,喜ばしく思います。

ボーイスカウト日本連盟が大正11年の創立以来,90年の長きにわたり,我が国における青少年の健全な育成に真摯に取り組んでこられたことに,心から敬意を表したいと思います。

昨年は,3月11日の震災により,多くの方々が被災されました。この中にはスカウト関係者の方々もおられると思います。震災では,被災した方々のため,仲間のために,全国のスカウトの皆さんが被災地で,そして,それぞれの地域で,「そなえよつねに」の実践として,様々な支援活動に尽力されたと伺いました。皆さんの活動に対し,深く敬意を表するとともに,災害からの復旧・復興が一日も早く進むことを願っています。

日本連盟創立から90周年を迎える今日まで,青少年を取り巻く環境は大きく変わってきました。その中でも科学や技術が進歩する反面,豊かな自然環境が減少し,子どもたちが自由に駆け回ることができる野山が少なくなっていると思います。自然の中で仲間と共に知恵を出し合い,体を動かすことの大切さ,スカウト活動の楽しさを,私は昭和57年の第8回日本ジャンボリー,昭和61年の第9回日本ジャンボリーで実際に体験しましたが,これは,今でも大切な思い出として深く心に刻まれています。

創立90周年のテーマは,「SCOUTING, value for life!」と伺いました。スカウト活動での体験は,スカウトの皆さんの心に刻まれ,人生を通じた宝物になることと思います。スカウト運動が,今後も更に充実し,発展することを切に願い,式典に寄せる言葉といたします。

第23回全国「みどりの愛護」のつどい
平成24年6月2日(土)(秋田県立中央公園)

挨拶に先立ち,昨年3月11日の東日本大震災により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。被災地の復興には時間が掛かると思いますが,これからも被災された方々と被災地に思いを寄せ,その復興を見守っていきたいと思います。

第23回全国「みどりの愛護」のつどいが,ここ秋田県立中央公園において開催されるに当たり,日頃から緑の愛護活動に携わっておられる皆さんと共に,出席できることをうれしく思います。

我が国は,緑豊かな環境の中で,四季折々に姿を変える美しい自然の恵みを受け,数多くの文化を生み,育んできました。秋田県も,世界自然遺産に登録された白神山地,日本の三大美林の一つ,秋田杉を含め県土の7割以上を占める森林など,美しく豊かな自然環境の中で発展してきました。私も,6年前に鳥海山に登った折に眺めた山々の緑を懐かしく思い出します。

豊かな緑は,私たちの暮らしにゆとりと潤いをもたらすとともに,多様な生態系を支え,地球温暖化を始めとする様々な環境問題の改善や,さらには災害防止にも大切な役割を果たしています。

貴重な緑とその緑を源とする清らかな水を守るとともに,新たな緑を創り出していくためには,多くの人々がその大切さを理解し,幅広く運動に参加することが重要です。その意味でも,ただ今表彰を受けられた方々の緑の愛護活動への取組は,大変意義深いものであり,皆さんの努力に対し深く敬意を表します。

終わりに,今回のつどいにおいて,全国から参加された皆さんが相互に交流を深め,緑を守り育てる心を新たにされるとともに,緑豊かな環境づくりが一層発展することを願い,私の挨拶といたします。

第30回オリンピック競技大会日本代表選手団結団式
平成24年7月21日(土)(国立代々木競技場第二体育館)

ロンドンにおいて開催される第30回オリンピック競技大会に参加される選手及び役員の皆さんとお会いできましたことをうれしく思います。

選手の皆さんには,この度,日本代表選手に選ばれたことを心からお祝いいたします。

今回の大会は,日本が初めてオリンピックに参加したストックホルム大会から100周年という記念すべき大会であると聞いております。

この記念すべき大会に参加される皆さんが,スポーツを通して世界各地の精鋭と競い合い,そして友好を深められることを希望いたします。

選手の皆さんには,体調管理に十分留意され,競技の場においては,日頃の練習の成果を十分に発揮されるよう願っております。

皆さんの活躍する姿は,多くの国民に希望を与え,とりわけ東日本大震災からの復興に取り組む人々を勇気付けるものとなると思います。

選手の皆さんの御活躍と御健闘をお祈りし,結団式に寄せる言葉といたします。

第48回献血運動推進全国大会
平成24年7月24日(火)(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール)

挨拶に先立ち,この度の平成24年7月九州北部豪雨により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げ,災害からの復旧が一日も早く進むことを願っております。

全国各地から参加された皆さんと共に,第48回献血運動推進全国大会に出席できることを,うれしく思います。医療活動に欠かせない献血は,現在,医療の需要に応えるため,400ミリリットル献血及び成分献血の推進が図られ,昨年は延べ525万人の方が献血に協力され,全国の患者さんに滞りなく血液製剤が届けられたと聞いております。これは,本日ここに表彰を受けられた方々を始め,献血運動の推進に尽くしてこられた関係者の皆さんの努力と,国民の一人一人の献血への理解と協力があって成し得たことであると思います。

近年は,少子高齢化が進み,10代,20代の献血者数が減少している一方で,今後,輸血を必要とする高齢者が増えると予想されることから,若い世代の方々の理解と協力が強く求められています。そのため,日本赤十字社では,将来の献血を担う小学生,中学生や高校生に対して,学校に出向いて献血の意義を説明する献血セミナーを行ったり,輸血を受けた患者さんの実話を基に映画の制作を行うなどの啓発活動も行っていると聞いております。こうした取組により,献血への理解が一層広がることを期待しています。

献血は,輸血を必要とする患者さんのために,一時期に偏ることなく継続的に行われることが必要であり,途切れることのない献血への協力は,人と人とが助け合う心をも育むものであると思います。

この滋賀大会を契機に,このような人々の健康と命を守る献血運動の輪が,国民の皆さんの協力により日本中に広がっていくことを希望して,大会に寄せる言葉といたします。

平成24年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成24年7月28日(土)(朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター)

挨拶に先立ち,先の九州北部豪雨により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族,被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げ,災害からの復旧が一日も早く進むことを願っております。

平成24年度全国高等学校総合体育大会「2012北信越かがやき総体」が,全国各地から多数の参加者を迎えて,トキの幼鳥羽ばたく佐渡島など,美しい自然と豊かな歴史・文化に恵まれたここ新潟の地を中心に,富山県,石川県,福井県,長野県で開催されることを,喜ばしく思います。

選手の皆さんには,体調管理に気を付けられ,それぞれの競技において,日頃鍛えた力と技を十分に発揮し,お互いに友情を育むとともに,地元の方々とも交流を深め,高校生活のすばらしい思い出をつくられるよう願っています。

そして,この大会が,選手の皆さんの活躍と,地元高校生を始めとする皆さんの協力により,実り多い大会となることを期待します。

皆さんの御健闘を心からお祈りします。

第32回国際泌尿器科学会総会開会式
平成24年9月30日(日)(福岡サンパレス)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
at the Opening Ceremony of the 32nd Congress of the Société Internationale d’ Urologie
September 30, 2012
Fukuoka Sun Palace

Distinguished participants and guests,
Ladies and gentlemen,

I am pleased to have the honor of attending the opening ceremony of the 32nd Congress of the Société Internationale d’ Urologie, with the participation of so many scientists from all over the world.

I am told that this congress has one of the longest international histories in the field of urology, having being convened in major cities around the globe since the inaugural congress in 1907. This year also marks the centennial anniversary of the establishment of the Japanese Urological Association, which is co-organizing the congress. I believe it to be of great significance that the Congress of the Société Internationale d’ Urologie is being hosted here in the city of Fukuoka in Japan with the participation of so many delegates from 93 countries and regions around the world in this commemorative year.

The field of urology is one where surgical and medical methods are fully utilized in both practice and research to address a diverse range of disorders that encompass the adrenal glands, the kidney, the urinary tract and the male genital organs. These disorders affect all people, young and old, men and women alike. Accordingly, it is a field that is expected to contribute to the health and well-being of a wide range of people. In the field of basic science, various endeavors are being undertaken, including research into preventive measures based on the epidemiology and etiology of disorders, and the development of novel drug treatments. Likewise, in the clinical field, it has come to my attention that cutting-edge medical treatments are being developed and researched, including robot-assisted laparoscopic surgery in terms of surgical treatments, and endocrine therapy in terms of medical treatments. I am told that through these various approaches, efforts are being made to improve health and well-being, by lightening physical burdens and improving the quality of life for patients. I would like to express my deepest respect to you all for these ongoing efforts.

Finally, given the increasing shift towards a globally aged society, it is thought that the role of urology will continue to grow in importance in the future. In closing, I offer my heartfelt wish that this congress will bear fruitful results that will help to advance healthcare around the globe and contribute to the well-being of humankind.

国際交流基金設立40周年記念 平成24年度国際交流基金賞授賞式
平成24年10月9日(火)(六本木アカデミーヒルズ)

国際交流基金が設立40周年の記念すべき年を迎えた今年,平成24年度の国際交流基金賞授賞式に皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

国際交流基金は,我が国に対する諸外国の理解を深め,国際相互理解を増進するため,海外への日本の文化芸術の紹介,外国の人々への日本語教育を,国内だけでなく,広く世界各国において進めてきました。私自身,これまでに,日本語国際センター,関西国際センターなどの基金の機関を訪問し,海外の皆さんが日本文化に触れ,日本語を学んでいる様子を見る機会を持ちました。さらに,これまで訪問した国々においても,基金がこれまでの事業を通して関わってこられた方々が日本に親しみを持ち,現地で交流を深めている様子を多く見てまいりました。基金の活動を支えてこられた関係者の皆さんの熱意と努力に対して,深く敬意を表します。

国際交流基金賞は,この40年の間に,様々な国の多くの人々に授与されてきました。受賞をきっかけとして,受賞者の方々の御苦労や御尽力に脚光が当てられ,日本と諸外国との相互理解が一層促進されたことと思います。先日訪問したカンボジアにおいても,長年にわたりアンコール遺跡の保存に携わってきた国際交流基金賞受賞者の方から説明を伺いましたが,国際交流の幅広い分野において,専門性をいかして活動されている受賞者及び受賞団体の皆さんの一層の活躍を心から期待いたします。一人一人の交流はやがて国と国との相互理解に発展していくものと考えます。

設立から40年を迎えた今日,国際社会における相互理解,文化交流の必要性はますます高まっており,その中において国際交流基金が果たすべき役割はとても重要なものであると考えます。本日,ここにお集まりの皆さんが力を合わせ,幅広い分野で,文化交流が更に活発になることを願い,私の挨拶といたします。

第67回国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会全体会合
平成24年10月12日(金)(東京国際フォーラム)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
at the 67th Annual Meetings of the International Monetary Fund and the World Bank Group
October 12, 2012
Tokyo International Forum

Mr. Riad Salamé, Chairman of the Boards of Governors,
Madame,Christine Lagarde, Managing Director of the International Monetary Fund,
Mr. Jim Yong Kim, President of the World Bank Group,
Distinguished Governors,
Ladies and gentlemen,

I am pleased that the 67th Annual Meetings of the International Monetary Fund and the World Bank Group are being held in Tokyo with many participants from all over the world.

First of all, I would like to take this opportunity to express my sincere gratitude for the warm support and encouragement that we received from your countries and many others in the world when Japan was struck by the unprecedented disaster in March last year. I am glad that today I can show you a nation that is recovering steadily from the damage, thanks to the support of the international community.

Since their foundation, the IMF and the World Bank Group have assisted member countries facing economic difficulties and have promoted economic development in developing countries. They have thus contributed significantly to the stable growth of the world economy, as well as to the elimination of poverty. I would like to express my sincere respect for the great achievements of the IMF and the World Bank Group.

Japan joined the IMF and the World Bank 60 years ago in 1952. During the initial period of our membership, Japan received financial assistance from the IMF and the World Bank. Such international support, coupled with the efforts of the Japanese people, enabled us to achieve our rapid economic development. Now, Japan is supporting countries facing economic difficulties and poverty through the active contribution to the activities of the IMF and the World Bank Group.

Today, the world economy needs to address various challenges, such as sustaining economic growth, stabilizing international finance, recovering employment and reducing poverty, and responding to large-scale disasters and climate change. These global challenges require global efforts based on the spirit of international cooperation. I have high expectations that the IMF and the World Bank Group will play an increasingly important role in these efforts.

After the Great East Japan Earthquake, we have recognized the importance of mutual assistance and acting in solidarity. Many messages of sympathy received from abroad mentioned that it was truly impressive to see the disaster victims, even under such severe conditions, helping each other to take steps towards reconstruction. Such a spirit of cooperation is equally valuable in the international community. I hope that the Annual Meetings held here in Japan will offer an opportunity to strengthen the solidarity among countries, which will help to promote our efforts in unity for addressing global challenges.

Thank you very much.

第12回全国障害者スポーツ大会開会式
平成24年10月13日(土)(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)

第12回全国障害者スポーツ大会「ぎふ清流大会」の開会式に,全国各地から参加された多くの選手,役員,そして開催地である美しい清流に恵まれた岐阜県の皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。

この大会は,昭和40年に全国身体障害者スポーツ大会として,ここ岐阜県で開催されたことを源としています。本大会が,「心をひとつに 日本再生」を合言葉に,東日本大震災の被災地を元気付け,日本再生のシンボルとなる大会として開催されることは,復興の途上において,いまだに多くの苦労をされている方々を勇気付けることにもなり,誠に意義深いことです。

選手の皆さんは,この大会に関わる多くのボランティアや岐阜県の皆さんの支えと応援を力に,精一杯活躍されるとともに,選手同士や地元の方々との交流を深め,たくさんの良い思い出を作ってください。

今年開催されたロンドンパラリンピック競技大会では,日本選手団のすばらしい活躍がありました。これを契機として,障害者スポーツへの関心が高まっている中で開催されるこの大会が,今後の障害者スポーツのより一層の発展と,障害者への理解の広がりにつながることを希望します。

終わりに,この大会の開催を支えてこられた全ての皆さんの努力に心から敬意を表するとともに,「だれもが主役」の合言葉のとおり,全ての人が活躍し,「輝き」,「はばたく」大会になることを願い,私の挨拶といたします。

第39回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクール授賞式
平成24年10月25日(木)(NHK放送センター)

第39回を迎えた「日本賞にっぽんしょう」授賞式に,世界各地の皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

豊かで希望に満ちた未来を築くために,教育の役割は大変重要です。私は1989年よりこの授賞式に出席してきましたが,出品作品数が着実に増加し,様々な国や地域で,教育コンテンツの質の向上にかける意欲が年々高まる様子を目の当たりにしてきました。これまで「日本賞にっぽんしょう」に関わってこられた皆さんの努力と熱意に対して,深く敬意を表します。

今年のコンクールでは,紛争や貧困,人権問題といった複雑に絡み合って解決が決して容易でない課題や,地球規模の環境破壊や巨大な自然災害など国境を越えて取り組むべき規模の大きな課題に,正面から取り組む作品が充実していたと聞いています。一方,これまで受賞経験の少ない機関が制作した作品の中にも,テーマ選びや演出に工夫を凝らした作品が多かったと聞いています。世界の各地から「日本賞にっぽんしょう」に集まった皆さんが,お互いの知識や経験を分かち合い,教育コンテンツの質の向上を目指して力を尽くされることは,誠に意義深いことです。

皆さんが,この成果を持ち帰って,更に豊かな教育コンテンツを作り出され,教育コンテンツの持つ力によって国際的な理解と協力に貢献するという「日本賞にっぽんしょう」の目的が果たされることを願うとともに,「日本賞にっぽんしょう」教育コンテンツ国際コンクールが今後も発展することを期待して,私の挨拶といたします。

第27回国民文化祭・とくしま2012総合フェスティバル開会式典
平成24年10月28日(日)(アスティとくしま)

平成19年に,ここ徳島県で開催された国民文化祭も記憶に新しい中,再びこの徳島の地において,第27回国民文化祭の総合フェスティバルに,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

徳島県は,北は瀬戸内海,南は太平洋に面する美しい海岸線を擁し,名峰剣山,そして四国三郎と称される吉野川など,豊かな自然と風土に恵まれております。また,四国八十八箇所霊場巡りを支える,心温まる「もてなし」の文化が古くから根付き,今日に受け継がれています。

この徳島の地において,全国各都道府県,さらには海外からも,様々な文化活動に取り組まれている方々を迎え,国民文化祭が開催されることは,誠に喜ばしいことであります。今回の国民文化祭の開催に向けて,関係者の皆さんが払われた努力に対し,心から敬意を表します。

特に今回は,東日本大震災からの復興元年とも言われている中での開催となります。文化の持つ力を大いに発揮し,国民一人一人の心を癒やし,夢や希望を与えるものとして,国民文化祭が大きな役割を果たすことを期待しています。

また,徳島では,5年前に開催した国民文化祭以降の文化振興の集大成として,これまで育んできた文化力を大きく開花させるとともに,文化活動を通じて,人材の育成や,伝統文化の継承・発展,地域の活性化を図ることにより,文化の力を積極的に活用した「まちづくり」が進められていると伺っております。

こうした取組を通じて,皆さんの間に,地域や世代を超えた幅広い交流の輪が広がり,人と人のきずなや地域の連帯感が深まるとともに,地域の良き伝統を再発見し,個性豊かな文化を創造していく場として,「国民文化祭・とくしま2012」が大きな成功を収めることをお祈りして,私の挨拶といたします。

第15回全国農業担い手サミットinあきた
平成24年10月31日(水)(秋田県立武道館)

「第15回全国農業担い手サミットinあきた」に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

農業は,食料の生産と供給を通じて,人々の健康と暮らしを支えているほか,緑豊かな景観をつくり出し,国土を保全するとともに,それぞれの地域で特色のある文化を育んできました。

皆さんが,このような大切な役割を果たす農業を担い,地域のリーダーとして農業・農村の発展に意欲的に取り組まれていることを,大変心強く感じます。

ここ秋田県は,世界自然遺産の白神山地を始めとする四季折々の美しい自然や広大な農地,豊富な水資源を背景に,「あきたこまち」に代表される稲作を中心に農業が発展してきており,最近では,食と農業と観光を結び付けた取組に力を入れていると伺っております。

この度のサミットは,東日本大震災の後,初めて東北地方で開催される大会であります。全国から集まった担い手の皆さんが,「ニッポンを耕そう!ユタカな国へ」のテーマの下,互いの知識や技術を交換し合い,将来の農業のあるべき姿を探求していかれることは,日本の農業はもとより,被災地の復興においても誠に意義深いことと思います。

皆さんが,このサミットにおいて研さんと交流を深めることにより,様々な困難や課題を克服し,将来に向かって日本の農業を力強く築いていかれることを願い,挨拶といたします。

第36回全国育樹祭
平成24年11月11日(日)(エコパアリーナ)

第36回全国育樹祭が全国各地から多くの参加者を迎え,静岡県において開催されることを喜ばしく思います。

静岡県は,霊峰富士や南アルプスを始めとする山々に抱かれ,その県土の3分の2を森林が占めています。このすばらしい森林は,長年にわたり守り育てられてきた林業関係者と県民の皆さんのたゆみない努力の賜物たまものであると思います。私も静岡県の山々を登るたびに,森林の美しさに心を打たれます。

昨日,私は,平成11年の第50回全国植樹祭から13年が経過した伊豆半島のあまぎの森で,天皇皇后両陛下がお手植えになりましたヒメシャラとヤマボウシの手入れを行いました。その折に,県民が大切に育ててこられたあまぎの森の美しさに感銘を受けるとともに,林業関係者ばかりでなく,森林ボランティア団体や企業など,森林を支える活動の輪が大きく広がっていると聞き,大変心強く思います。

森林は,国づくりのもとであり,絶えることなく,水を育み,災害を防ぎ,木材などの森の実りを与えるとともに,河川水を通じて豊富な栄養塩類などを漁場に供給することで,豊かな海づくりにも貢献するなどの大きな役割を果たし,人々の暮らしを豊かにしてきました。さらに,最近では,地球環境の保全に果たす役割も大いに注目され,期待されています。

こうした森林の大切さを思うとき,これまで緑を守り育んできた技術や文化を次の世代に引き継いでいくことは,極めて大切なことと考えます。

本日表彰を受けられる方々を始め,日頃から各地域において国土の緑化に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに,そうした活動が,更に多くの人々により支えられ,発展していくことを期待します。

終わりに,この大会テーマである「木を植えて 育ててかす 緑の力」にふさわしく,森林を守り育て,そしてかす活動の輪が全国に広がり,緑あふれる豊かな自然が未来へと継承されていくことを切に願い,私の挨拶といたします。

「アジア太平洋障害者の十年(2003年-2012年)」最終年記念「障害者フォーラム2012」記念式典
平成24年12月3日(月)(有楽町朝日ホール)

アジア太平洋障害者の十年が,今年その第二次の最終年を迎え,先頃,この「十年」を更に延長し,障害者施策の一層の推進を図ることが合意されましたことは誠に意義深いことと思います。

近年,国連など国際的な取組が強化される中で,我が国の障害のある人への施策は,関係者の尽力によって,多くの分野において着実に推進されてきております。障害のある人の地域における自立や社会参加も進展しています。その背景には,多くの人々の障害のある人に対する理解と関心の深まりや,障害のある人の社会参加の意欲の高まりがあると思います。

私は,毎年開催される全国障害者スポーツ大会などの機会に,選手,役員はもとより,ボランティアの方々にもお会いしますが,それぞれの夢と可能性に挑戦される選手の姿や,そうした選手を多くの人々が支えることにより,協力の輪が広がってきている様子を目の当たりにし,うれしく思っております。本年,ロンドンで開催されたパラリンピックでの多くの日本選手の活躍もすばらしいものでした。また,最近,障害を持つ子どもたちのための教育,医療,福祉を総合的に進める新たな取組などを視察し,関係者の努力に更に意を強くしています。

今日に至るまでには,障害のある人,一人一人と,それを支えてきた多くの人々の努力と熱意があったことと思います。改めて関係者の皆さんに深く敬意を表します。

障害のある人の自立と社会参加を一層促進していくことは,人間の尊厳や個人の尊重という,全ての人に関わる根本的な課題です。このような認識の下に,障害の有無にかかわらず誰もが相互にその個性と人格を尊重し支え合う「共生社会」が実現されていくことを切に願い,挨拶といたします。