主な式典におけるおことば(平成24年)

皇太子殿下のおことば(仮訳)

第32回国際泌尿器科学会総会開会式
平成24年9月30日(日)(福岡サンパレス)

本日,第32回国際泌尿器科学会総会開会式に,世界中から参加された多くの研究者の皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

この会議は,1907年の学会創立以来,世界の主要都市で定期的に開催されてきた泌尿器科学分野で最も歴史のある国際会議の一つと聞いています。また,本年は,主催者である日本泌尿器科学会が創立されて100年目であり,この記念すべき年に,日本のここ福岡の地において国際泌尿器科学会総会が世界93の国と地域という多くの国と地域からの参加者を集めて開催されることは,大変意義深いことと考えます。

泌尿器科学は,男女を問わず,全ての年齢層を対象として,副腎・腎・尿路・男性生殖器に関わる多様な疾患を,外科的及び内科的な手法を駆使して診療・研究する医学分野であり,幅広い人々の健康に貢献することが期待されています。基礎部門では,泌尿器科疾患の疫学や,病因とそれに基づく予防に関する研究,新規薬物療法の開発などに取り組まれており,臨床部門では,外科的治療としてのロボット支援腹くう鏡手術や,内科的治療としての内分泌療法を始めとする先端医療の開発・研究が進められていると伺っております。こうした取組により,患者の体への負担の軽減や生活の質の向上を図りつつ健康を増進する努力がなされていると伺い,皆様の御尽力に深く敬意を表します。

最後に,世界が高齢化社会に向かう中で,泌尿器科学の果たす役割は今後ますます大きくなるものと思われます。今回の会議が実りある成果をあげ,世界の医療の発展に貢献するとともに,人類の幸福に寄与することを願い,私の挨拶といたします。

第67回国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会全体会合
平成24年10月12日(金)(東京国際フォーラム)

リアド・サラーメ レバノン中央銀行総裁
クリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金専務理事
ジム・ヨン・キム世界銀行総裁
各国総務各位
御列席の皆様

第67回国際通貨基金・世界銀行年次総会が,ここ東京において,世界各国から多くの参加者を迎え,開催されたことを喜ばしく思います。

まず,昨年3月に未曽有の大災害に直面した我が国に対して,諸外国の皆様から多くの温かい励ましと御支援を頂いたことに対し,この場を借りて深く感謝の意を表します。我が国は,こうした国際社会からの支援を受けて復興を着実に進めており,このような日本の姿を皆様方に御覧いただけることを,うれしく思います。

国際通貨基金及び世界銀行は,その設立以来,経済困難に直面した加盟国への支援や途上国の経済開発への援助などを通じ,世界経済の安定的成長や貧困の削減に大きく寄与してきました。ここに,両機関が果たしてきた多大なる功績に改めて敬意を表します。

我が国は,今から60年前の1952年に,国際通貨基金及び世界銀行に加盟し,その後しばらくの間は,両機関からの援助を受けました。このような国際的な支援と我が国の国民の努力もあり,我が国は,急速な経済発展を遂げ,現在では,両機関の活動に対して積極的な貢献を行い,困難に直面する国々や貧しい国々を支援しています。

現在,世界経済は,持続的成長の確保,国際金融の安定化,雇用の回復と貧困の削減,大規模災害や気候変動への対応などといった様々な課題を抱えています。これらのグローバルな課題は,いずれも,国際協調の精神に基づく世界レベルでの取組を必要としています。こうした取組に当たり,国際通貨基金及び世界銀行グループが,ますます重要な役割を果たすことを期待しています。

昨年の東日本大震災の後,私たちは,助け合いや団結することの大切さを改めて認識しました。外国からのお見舞いの中にも,日本の被災者が厳しい状況の中でも互いに助け合いながら復興に向かって歩んでいく姿に印象付けられたというものが数多くありました。このような支え合いの精神は,国際社会においてもひとしく重要です。日本で開催されるこの年次総会が,世界各国がきずなを強め,一つになって世界が直面する困難の克服に取り組む契機となることを願い,私の挨拶といたします。