主な式典におけるおことば(平成18年)

皇太子殿下のおことば

第61回国民体育大会冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会開会式
平成18年1月28日 (土)(苫小牧市白鳥アリーナ)

あいさつに先立ち,この冬の豪雪により,亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,ご遺族と被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

第61回国民体育大会冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会の開催に当たり,全国各地から参加された選手,役員,そして地元北海道の皆さんにお会いできることを,大変うれしく思います。

60年を超える歴史と伝統を持つ国民体育大会は,国民の健康増進やスポーツの普及・発展に大きく貢献してきています。大会の開催を支えている多くの関係者の熱意と努力に対して深く敬意を表します。

この大会に参加される選手の皆さんには,日ごろ鍛えた練習の成果を十分に発揮されるとともに,お互いの友情をはぐくみ,また,地元道民の皆さんとの交流を深められることを期待しています。

美しく豊かな大自然に抱かれた北海道,そして,ここ「スポーツのまち」苫小牧市で開催される「氷都(ひょうと)とまこまい国体」が,いつまでも皆さんの思い出に残る,実り多い大会となることを願い,私のあいさつといたします。

第17回全国「みどりの愛護」のつどい
平成18年4月22日 (土)(国営木曽三川公園三派川地区センター)

第17回全国「みどりの愛護」のつどいが,ここ国営木曽三川公園三派川地区センターにおいて開催されるに当たり,日ごろから緑の愛護活動に携わっておられる皆さんと共に,出席できることをうれしく思います。

我が国は,古くから緑豊かな環境の中で,自然の恵みを受けながら多様な文化を生み,はぐくんでまいりました。豊かな緑は,私たちの生活に潤いや安らぎ,季節感を与えてくれるとともに,多様な生態系を支え,健全な国土をつくり,様々な地球環境問題の改善や災害防止にも大切な役割を果たしています。この地も,先人の叡智と工夫により,治水等多くの困難を克服して,木曽川がもたらす豊かな自然と共存しつつ発展してきたと伺っております。

地球規模での緑の保全と育成が,人類共通の喫緊の課題となっている現在,緑を守り育てていくことは私たちの重要な責務であります。その意味でも,ただ今表彰を受けられた方々の「みどりの愛護」活動への取組は,大変意義深いものであり,皆さんのたゆみない努力に対して深く敬意を表します。

今回のつどいを契機として,水と緑が豊かに調和した当公園において,全国から参加された皆さんが相互に交流を深め,緑を守り育てる心を新たにされるとともに,皆さんの心と活動を通して,緑豊かで快適な生活環境づくりが一層発展することを願い,私のあいさつといたします。

全国大学国語国文学会50周年記念式典
平成18年6月3日 (土)(中央大学後楽園キャンパス)

全国大学国語国文学会50周年記念式典が,海外からの参加者と共に多くの研究者が集い,ここに挙行されますことを,誠にうれしく思います。

全国大学国語国文学会は,時代や専門分野を越えて国語国文学全般を見通すことのできる学会として,大学における研究教育の充実に力を尽くし,伝統文化の継承と発展に大きく貢献してこられました。この学会の創立と発展に力を尽くされた多くの人々の熱意と努力に心から敬意を表します。

今日,国際化の進展が著しい中で,伝統的な文化や生活様式にも変化の波が押し寄せているとも言われております。しかし,世界の様々な地域の人々と友好的な関係を保っていくためには,まず自らの伝統的な文化や生活様式に根ざした独自性や同一性を再認識し,その上でお互いの違いを尊重しつつ協調していくことが大切だと思います。

そのような状況で,国語国文学のあらゆる領域を代表する方々の集まるこの学会の果たす役割は,今後一層重要になってきていると思います。

この記念式典が,これまでの50年を振り返り将来を考える契機となるとともに,全国大学国語国文学会が我が国の文化の向上のために今後ますます貢献されていくことを願い,私のあいさつといたします。

第20回国際生化学・分子生物学会議開会式
平成18年6月18日 (日)(国立京都国際会館メインホール)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
on the Occasion of the Opening Ceremony of
the 20th IUBMB International Congress of Biochemistry
and Molecular Biology and 11th FAOBMB Congress
Sunday, June 18, 2006
Kyoto International Conference Hall

Distinguished participants,
Ladies and gentlemen,

I am pleased that the 20th IUBMB International Congress of Biochemistry and Molecular Biology and the 11th FAOBMB Congress is being held here, with the participation of so many scientists from all over the world.

39 years ago, in Tokyo, this Congress was convened for the first time in Japan. Since then, the life sciences have made remarkable developments, and we live now in the early 21st century when dramatic advances in the life sciences may herald a new era for mankind. I feel very happy that Japan is again hosting this Congress of worldwide importance, this time in Kyoto, with the theme "Life: Molecular Integration & Biological Diversity."

It is said that we are now in the midst of the golden age of the life sciences. The human genome, the very blueprint of a human body, has been decoded, and scientists, through their efforts, will eventually translate this genomic information into a scenario for the drama of life. It is extremely interesting how genome research will reveal the history of life.

At the same time, the life sciences are also closely linked to the issues of medical treatment of serious diseases such as leukemia and AIDS and assuring safety of food supply, which are presently confronting us and affecting our daily life. It is no exaggeration to say that this area of science will profoundly influence the future of mankind. In this context, I am very happy to see so many young scientists participating in this Congress.

Finally, I wish to express the hope that this Congress will produce fruitful results and contribute to the prosperity and welfare of mankind.

第42回献血運動推進全国大会
平成18年7月13日 (木)(群馬県総合スポーツセンターぐんまアリーナ)

第42回献血運動推進全国大会に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

献血は,国民の医療の重要な一翼を担うもので,安全な血液の安定的な供給の確保を目指して,これまでも多くの努力が続けられてきました。

昨年は,変異型クロイツフェルト・ヤコブ病への対応として欧州渡航者からの献血を制限する措置が強化されたことなどにより,献血者の減少が予想されました。しかし,献血を支える多くの方々の支援と協力により,献血者を確保することができ,輸血用血液は不足を来すことなく,医療機関に届けられたと聞いています。

これは,本日ここに表彰を受けられた方々を始め,献血運動の推進に尽くしてこられた関係者の皆さんのたゆみない努力と,国民一人一人の献血への理解と協力があって初めて成し得たものであり,大変心強く,また喜ばしく思います。

しかし,近年,少子高齢化とともに若い人たちの献血が減少するなど,献血を取り巻く環境は,年々厳しくなってきております。将来にわたって,安心して輸血医療を受けられるよう,特に若い人たちの献血への参加が,今強く求められています。

献血運動は,より多くの人々に,献血への理解と協力を呼び掛けるものでありますが,人と人とが支え合い,助け合うという,人道的行動の源泉となる心をはぐくむものでもあります。

このような意義のある献血運動が,この群馬大会を契機に,更に普及され,多くの国民の皆さんの献血への理解と協力が一層深められていくことを希望して,大会に寄せる言葉といたします。

平成18年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成18年8月1日 (火)(なみはやドーム)

あいさつに先立ち,この度の「平成18年7月豪雨」により,亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げ,災害からの復旧が一日も早く進むことを願っております。

平成18年度全国高等学校総合体育大会 「06 総体 THE 近畿」が,全国各地から多数の参加者を迎えて,豊かな歴史・文化に恵まれ,我が国を代表する経済都市であるここ大阪を中心に,近畿2府4県で開催されることを喜ばしく思います。

選手の皆さんには,それぞれの競技において,日ごろ鍛えた力と技を十分に発揮し,お互いに友情をはぐくむとともに,地元の方々とも交流を深め,高校生活のすばらしい思い出をつくられるよう願っています。

そして,この大会が,選手の皆さんの活躍と地元高校生の協力により,実り多い大会となることを期待します。

皆さんの御健闘を心からお祈りします。

第14回日本ジャンボリー大集会
平成18年8月5日 (土)(第14回日本ジャンボリー会場アリーナ)

第14回日本ジャンボリーの大集会に,国内外から参加されたスカウトの皆さんと共に出席できることを,大変うれしく思います。

能登では,古く万葉の時代より海から吹く風を「あいの風」と呼び,この風が,大陸の文化や人々を珠洲の地に運び,この風によって能登の豊かな風土と独自の文化がはぐくまれました。こうしたことから,今回のジャンボリーは,「風の不思議を突っ走れ!」―Scouts Wave 100-をテーマにしたと聞いております。

世界のスカウト運動は,1907年に英国で実験キャンプを行ってから,明年100周年を迎えますが,この大会にも海外から多くのスカウトが参加されており,スカウト運動の国際性がよく示されていると思います。

スカウトの皆さんは,この珠洲の海浜に面したキャンプ地で開催する初めてのジャンボリーで,自らが「あいの風」のように,多くのプログラムに参加し,能登の豊かな自然と文化に触れるとともに,この地域の人々と交流することにより,多くの思い出をつくってください。また,日本のスカウトの皆さんも是非この機会に海外のスカウトの皆さんとの交流を深めてください。

私は,第7回大会以来このジャンボリーに出席していますが,スカウトの活動には,自然の中で生活するための様々な知恵や工夫があり,それを身につけることが,いろいろな形で必ず将来の皆さん自身の役に立つものと信じています。皆さんが,スカウト活動を通して,互いに交流を深めるとともに,明日を担う国際人として一層の研鑽(けんさん)を積まれることを,そして,スカウト運動が100周年を契機に,更に発展することを願い,私のあいさつといたします。

第18回全国農業青年交換大会開会式
平成18年9月4日 (月)(山形国際交流プラザ)

第18回全国農業青年交換大会に,全国各地から参加された農業青年の皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

今日の農業には,安全で安心な食料の生産のみならず,子どもたちが食べ物や健康に理解と関心を深めるための体験教育の場を提供し,さらには,水・緑・大地といった豊かな自然を守りはぐくむ役割が求められています。

このような中で,全国各地で農業青年の皆さんがこれらの役割を担い,農業への夢と希望を持って,生産技術や経営の改善に努め活躍されていることを,大変心強く感じています。

今回この大会に参加された皆さんが,それぞれの地域で4Hクラブなど農業青年クラブ活動を通して共に交流を深め,農業・農村の若きリーダーとして地域に貢献されていることをうれしく思います。美しい自然に恵まれたここ山形で,新しい知識や技術の研鑽(けんさん)を積まれ,友情の輪を広げていただくよう期待しています。

終わりに,山形大会のスローガンである「参(つど)おう 生産(う)みだそう 燦(かがや)こう」にふさわしく,皆さんが大会を通じて,農業青年としての自信と誇りを高められることを希望するとともに,我が国の農業に携わる多くの皆さんがより一層の輝きを増し,新しい時代の農業を築いていかれることを願い,私のあいさつといたします。

第10回国際先天代謝異常学会記念式典
平成18年9月15日 (金)(ホテルニューオータニ幕張)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
on the Occasion of the commemorative ceremony
of the 10th International Congress of Inborn Errors of Metabolism
Friday, September 15 , 2006
Hotel New Otani Makuhari

Distinguished participants,
Ladies and gentlemen,

I am most pleased to have the honor of attending the commemorative ceremony of the 10th International Congress of Inborn Errors of Metabolism, together with so many participants from Japan and all over the world.

This year's Congress celebrates the 10th meeting, and I understand that it marks the passage of nearly a century since the concept of the genetic disorder known as Inherited Metabolic Diseases was first proposed. When I realize that great advances in the treatment and research of inherited metabolic diseases over the past century have resulted in saving the lives of many patients throughout the world, I am filled with deep respect for the pediatricians, biochemists, nurses, dietitians, and other specialists who have been dedicating hard work and strenuous efforts to this worthy cause.

I have heard that the field of Inherited Metabolic Diseases is made up of an excellent combination of basic and clinical medicine, and thanks to rapid progress in genetic engineering, the diagnosis of many genetic diseases has become possible, and it is expected that this field will contribute greatly to the development of future regenerative medicine and even gene therapy.

Nearly 20 years have passed since the last Congress in Asia was held in Japan, and I am happy to note that a great number of the research papers introduced at the Congress this year are from various nations of Asia, a region with an immense population. I hope that these research papers will clearly demonstrate the steady progress of research and clinical studies in Asia, which, I expect, will lead to an ever widening scope of international cooperation in this field.

Finally, I would like to express my sincere wish that this Congress will produce fruitful results and lead to further developments in the clinical study and research on Inherited Metabolic Diseases, and thus contribute to the well-being of humankind.

Thank you.

第6回全国障害者スポーツ大会開会式
平成18年10月14日 (土)(神戸総合運動公園ユニバー記念競技場)

全国各地から参加された多くの選手,役員の皆さんと共に,第6回全国障害者スポーツ大会「のじぎく兵庫大会」の開会式に出席できることを,大変うれしく思います。

大会開催地の兵庫県は,阪神・淡路大震災から11年,被災地の方々は,共に励まし助け合いながら様々な困難を乗り越えてこられました。この兵庫の地で,地元兵庫県の皆さんの参加の下,スポーツを通じて,すべての人々が「共に生きる」喜びと心の豊かさを実感できる心のこもった大会が開催されることは誠に意義深いことです。

また,この大会は,すべての人々が楽しく参加し観戦できるように配慮する中で,ユニバーサルデザインに基づくまちづくりや,こころのバリアフリーに対する人々の理解を深め,障害を持った方々の自立と社会参加を促進することを目的とすると伺っております。この大会を契機として,すべての人が安心して暮らせ,その持てる能力を最大限に発揮できるユニバーサル社会づくりへの取組が更に進むよう希望します。

選手の皆さんには,日ごろから培われた力と技を存分に発揮されるとともに,選手同士はもちろん,ボランティアを始め地元の方々との交流を深め,たくさんの楽しい思い出を作ってください。

終わりに,この大会の開催を支えてこられた皆さんの努力に対して,心から敬意を表するとともに,この大会が,すべての参加者にとって新たな飛躍の場となることを願い,私のあいさつといたします。

第30回全国育樹祭
平成18年10月22日 (日)(広島県立中央森林公園)

第30回全国育樹祭が,全国各地から多くの参加者を迎え,ここ広島県立中央森林公園において開催されることを喜ばしく思います。

広島県は,北はなだらかな中国山地の山々から,南は風光明媚(び)な瀬戸内海の島々まで,四季の変化に富んだ多彩な気候の中で,緑豊かな森林に恵まれています。

このすばらしい森林は,長年にわたり守り育ててこられた県民と林業関係者の皆さんのたゆみない努力の賜物(たまもの)であると思います。

森林は,美しく豊かな国づくりの基礎として重要な役割を果たすだけではなく,台風などの自然災害への備えともなり,また地球温暖化防止に貢献するなど,人々が安全に,安心して暮らしていく上でも,その役割はますます大きなものとなっております。

こうした森林の大切さを思うとき,緑を守り育て,そしてそれをはぐくんできた技術や文化を次の世代に引き継いでいくことは,私たちに課せられた重要な責務であると考えます。

近年,森林ボランティアの方々など幅広い国民の参加による森林の整備・保全活動が活発になっていると伺い,大変うれしく思います。

このような中で,本日表彰を受けられる方々を始め,日ごろからそれぞれの地域において国土の緑化に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに,そうした活動が更に多くの人々により支えられ,発展していくことを期待します。

終わりに,この度の大会を機に,森林を大切に守り育てる活動の輪が,平和への願いとともに,この地から,世界へ,そして未来へと大きく広がることを願い,私のあいさつといたします。

第33回「日本賞」教育番組国際コンクール授賞式
平成18年10月30日 (月)(NHK放送センター)

第33回「日本賞(にっぽんしょう)」授賞式に,世界各国から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

教育は,現代の国際社会が抱える貧困や紛争という課題を乗り越え,真の豊かさと平和を模索するための最も重要な方法です。人々は,教育により,文字を学び,多くの知識を得,先祖からの歴史や知恵を受け継ぎ,そして,異なる文化や考え方を知るようになります。

私は,毎年の「日本賞(にっぽんしょう)」を通じて,世界が今抱えている教育の課題と,それに立ち向かう人々の知恵や努力を見てまいりました。「日本賞(にっぽんしょう)」の長い歴史をはぐくんでこられた世界の関係者の方々の御努力と,制作者の皆さんの熱意に心から敬意を表します。

このコンクールへの参加数は毎年その数を増やし,今までは参加がなかった国や地域,放送局からも集まり,今年は280作品もの応募があり,過去最大の規模になったと伺いました。とりわけ,企画部門の中に昨年新設された識字に関する特別賞に該当する企画は,大変意欲的なものが多くあったと聞いております。放送を通じて,文字を学ぶことを支えようという試みに挑戦している制作者に,この新しい賞は更に大きな勇気と励ましを与えると考えます。

豊かな未来を築くために,放送の果たす役割は大変重要です。世界各国から集まった皆さんが,教育のためにメディアをいかに活用するか,お互いの知識や経験を分かち合うことは誠に意義深いものであると思います。

「日本賞(にっぽんしょう)」教育番組国際コンクールが,今後とも一層発展していくことを願い,私のあいさつといたします。

第21回国民文化祭・やまぐち2006開会式
平成18年11月3日 (金)(きらら元気ドーム)

「やまぐち発 心ときめく文化維新」をテーマとする,第21回国民文化祭の開会式に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

山口県は,多くの島並みが美しい瀬戸内海,浸食海岸美の日本海,東西に緑の山々が走る中国山地と,3つの異なる景観に恵まれております。そして,本州の西端に位置するという地理的特徴を反映して,早くから大陸文化流入の門戸としての役割を担い,今日に至るまで,様々な芸術文化を生み出してきました。

この山口の地において,県内各地,全国各都道府県,さらには海外からも,多種多様な文化活動に取り組まれている方々を迎えて,第21回国民文化祭が開催されることは,誠に喜ばしいことです。ここに,関係者の皆さんが開催のために払われた努力に対し,心から敬意を表します。国民の文化に寄せる関心が一層の高まりを見せる中,国民文化祭は,地域の特色を生かしながら,優れた伝統文化の継承とともに,今日的に工夫され,創造・発展へとつながる文化の祭典として,大きな役割を果たしていると思います。

国民文化祭やまぐちでは,特に,次代を担う「子どもたちのための文化環境づくり」を始め,様々な取組を多くの県民の方々の参加を得て進められていると伺っています。こうした取組を通じ,多くの人たちの出会いや交流が未来につながる「燦(きら)めきのとき」となり,この「国民文化祭・やまぐち2006」が,大きな成功を収めることをお祈りして,私のあいさつといたします。

青少年育成国民運動発足40周年記念式典
平成18年11月11日 (土)(国立オリンピック記念青少年総合センター)

青少年育成国民運動発足40周年に当たり,青少年育成のため全国各地で日ごろたゆみない努力を続けておられる参加者の皆さんと共にこの中央記念大会の式典に出席できることをうれしく思います。

昭和41年5月に「青少年は日本の希望である。日本の明日をにない,世界の将来を築くものは青少年である」から始まる宣言の下,青少年育成国民運動が始まりました。それ以来,40年という長い期間にわたり,青少年が自らの活動と経験を通して自己を形成していくことに,粘り強く,幅広い援助を続けてこられた関係者の皆さんの尽力に対して,深く敬意を表します。

私自身,ちょうどこの運動の発足の年に小学校へ入学し,現在は,子どもの成長を大人として見守る立場になりました。我が国社会もこの間に大きな発展を続けてきましたが,青少年の置かれている環境は,少子高齢化,国際化,情報化など様々な面で大きく変化してきました。

昨今,子どもたちをめぐる悲しい事件などの報道に接することが多く,心が痛みます。現在,我が国の青少年については,一人一人の社会的自立の促進や子どもの安全・安心の確保といったことが重要な課題であると言われており,その解決には,家庭,学校,職場や地域社会,民間団体など社会を構成するすべての人々が,それぞれの持てる力を十分に発揮し,相互に連携を取り,各地域において青少年の健全な育成を支えていくことが,ますます必要とされています。

この重要な役割を担う青少年育成国民運動が,40周年を機になお一層発展し,青少年が持っている能力を十分に発揮することができる社会の実現に一歩ずつ近づいていくことを心から願い,私のあいさつといたします。

JETプログラム20周年記念式典
平成18年11月22日 (水)(ホテルオークラ)

語学指導等を行う外国青年招致事業JETプログラム20周年記念式典が,世界各地から多くの参加者を迎え,盛大に開催されることをうれしく思います。

このJETプログラムは,日本と世界との「草の根」の国際交流の進展を図ることを目的として,昭和62年に創設されました。以来,地域レベルでの外国語教育の充実はもとより,我が国と諸外国との相互理解の増進に寄与してきました。招致国及び招致人数は拡大し,現在では44か国から約5,500名が参加する規模の人的交流事業へと発展しました。

海外から招致された青年は,日本各地の地方公共団体に配置され,中学校・高等学校などの教育現場における外国語指導助手として,また,国際交流事業の企画立案業務に従事する国際交流員として,あるいはスポーツ国際交流員として地域の国際化の推進に大きな役割を果たしています。

昨今,国際化が進展する中,我が国が,世界とのつながりを一層進めていくために,将来を担う青少年に対する外国語教育や国際交流活動はますます重要性を増しています。地域社会においてのこうした招致青年との交流は,異なる文化の人々と共生する国際感覚を磨いて,相互理解を促進する上で,大変意義深いものであります。

一方外国青年にとっても,日本の様々な地域に住み,地元の人々と接することにより,その風土や文化を知ることのできる機会は,とても大切であると思われます。また,外国青年の皆さんの多くが,プログラム参加後も日本との国際交流の面で貢献されていることもとてもうれしいことです。

JETプログラムが20周年を迎えるに当たり,本プログラムのこれまでの功績を振り返り,そして今後の一層の発展に向けて,関係者が多数参加し記念式典が行われることはとても喜ばしいことです。この事業活動を通して,我が国の外国語教育の充実と地域レベルでの国際交流の進展がこれからも更に発展していくことを願い,私のあいさつといたします。