「SAPIO」(2013年6月号)の記事について

平成25年5月20日

「SAPIO」6月号に掲載された大原康男國學院大學大学院客員教授の記名記事の中に,「今上陛下も皇太子時代,昭和天皇が新嘗祭の潔斎(けっさい)(身を清めること)をされた日に,当時の美智子妃殿下と手をつないでアイススケートをしておられたのがニュースで報じられ,問題にされたことがある。」との記述が見られますが,昭和天皇が新嘗祭の潔斎をされた日,すなわち新嘗祭当日に,両陛下(当時の皇太子同妃両殿下)がアイススケートをされていた事実はありません。

のみならず天皇陛下(当時の皇太子殿下)は,ご成婚以降の昭和期において,毎年,11月23日の新嘗祭には欠かすことなく拝礼されており,唯一の例外は,昭和35年に皇后陛下(当時の皇太子妃殿下)とともにイラン国,エチオピア国,インド国,ネパール国を,これらの国々の元首の我が国訪問に対する答礼として,昭和天皇の御名代のお立場で公式に訪問されていた時だけです。

両陛下がお二人でアイススケートをなさったご様子が報道されたのは,昭和46年2月7日,札幌冬季スポーツ大会開会式御臨席のために北海道に行啓された折の早朝のことであります。この日は新嘗祭の日でないことは勿論,他の宮中祭祀も行われていません。

この記事の記述は,皇太子殿下でいらした頃から,宮中祭祀を大切にお考えになり,臨んでこられた天皇陛下の御姿勢に誤解を与えかねない内容でありますので,大原教授及び出版社に対し,その誤りを正し,読者に周知されるよう申し入れました。