「文藝春秋」(平成21年3月特別号)の記事について

平成21年2月19日

「文藝春秋」(平成21年3月特別号)の「元号「平成」決定の瞬間」(佐野眞一著)と題する記事に関する事実関係及び宮内庁の対応は,下記のとおりです。

  1. 「文藝春秋」(平成21年3月特別号)の「元号「平成」決定の瞬間」において,筆者の佐野眞一氏は,「平成に皇后となった美智子妃は,天皇のことを公的な席では「陛下」と呼び,プライベートな場所では「おとうさん」と呼んでいる。」と記述しています。あり得ぬことではありますが,事の性質にかんがみ,天皇陛下に事実関係をお伺いいたしましたところ,皇后陛下が天皇陛下を「おとうさん」と呼ばれたことは,勿論一度もなく,また,お子さま方は,御幼少の頃は,当時の皇太子殿下を「おもうちゃま」皇太子妃殿下を「おたたちゃま」と呼ばれ,少し成長されてからは,それぞれ「おもうさま」,「おたたさま」と呼ばれ,御一家の中で「おとうさん」という呼びかけ方がなされたことは全くなかったとのことでした。

    佐野氏が,この一点をもって「何事も輪郭線のはっきりした昭和と,不透明で閉塞感に覆われた平成の違いを物語る皇室がらみのエピソード」とし,さらに,香淳皇后が昭和天皇を「お上」と呼ばれたことと対比しつつ「わずか20年の間のこの呼称の変化には,昭和の重圧を脱却した平成の開放感が象徴されている。それだけではない。そこには,皇室の権威失墜の兆候が,それ以上の強いインパクトで刻まれている。」と結論付けておられることは,全く事実に反することを記述した上で,それに基づいて論を進めていることであり遺憾であります。

  2. 宮内庁においては,以上の点を佐野眞一氏に伝えるよう,「文藝春秋」編集人に要請しました。