宮内庁長官と東宮大夫の記者会見をめぐる最近の皇室関連報道について

平成20年12月24日

最近の皇室関連報道において,羽毛田宮内庁長官および野村東宮大夫の記者会見での発言を取り上げ,東宮大夫が宮内庁長官に対し,皇太子妃殿下が長官発言に傷つかれた,あるいは妃殿下の方がより傷つかれている旨の反論を行ったなど,あたかも宮内庁内部が対立しているかのように報道する記事が見受けられます。

しかし実際は,宮内庁長官は,「皇室そのものが妃殿下に対するストレスであって,ご病気の原因ではないか」といった論調がしばしば報道等で見られることに対し,両陛下が深く傷つかれた旨発言し,東宮大夫も長官の発言に同調し,このような論調には妃殿下も深く傷つかれている旨述べたものです。また,皇太子妃殿下が長官発言に傷つかれた,あるいは妃殿下の方がより傷つかれているとの東宮大夫からの発言は一切ありません。したがって,東宮大夫が公の場で宮内庁長官に反論したとし,あたかも宮内庁内部が対立しているかのような報道は全くの誤報です。

宮内庁としては,報道各社に対し,客観的事実に基づいた記事を掲載するよう要請してきているところですが,本件につきましては,宮内庁ホームページを通じ,正確な事実につき,直接,国民の皆様にもお知らせいたします。

なお,羽毛田宮内庁長官と野村東宮大夫の記者会見での発言の関連部分は次の通りです。

  1. 羽毛田宮内庁長官(平成20年12月11日)

    「妃殿下の適応障害の御病気との診断に関しまして「皇室そのものが妃殿下に対するストレスであって,御病気の原因ではないか。」,また,「妃殿下がやりがいのある御公務をなされるようにすることが,御快復の鍵である。」といった論が,しばしばなされることに対し,皇室の伝統を受け継がれて,今日の時代の要請に応えて一心に働き続けてこられた両陛下は,言わばこういう両陛下のなさりようを否定をするようなと申しますか,そういうような論に対して深く傷つかれたのでございます。」

  2. 野村東宮大夫(平成20年12月12日)

    「私の方から,昨日の長官の会見での御発言について一言触れます。長官の御発言は,先般の陛下の御不例とその後の医師団の判断を受けて長官が個人的な所見を述べられたものと理解しており,その中には,皇太子同妃両殿下に関わる部分がありますが,これについて私が私の立場で(長官と)同様に個人的な所見を述べることは控えます。ただ,はっきりとしていることとして指摘しておいた方がいいという点がいくつかございます。一つは妃殿下の病気御治療に対して両陛下から賜っておりますお心遣いとお励ましを妃殿下が心から有り難く思っておられるということでございます。もう一つは,両陛下の御健勝を両殿下が常に強く願っておられ,この度の陛下の御不例に対しては心から御案じ申し上げ,お早く御回復されることを願っておられるということでございます。それから両陛下が妃殿下の適応障害との御診断に関して,「皇室そのものが妃殿下に対するストレスであり,御病気の原因ではないか。」といった論がなされることに対して,深く傷つかれたとのことでございますが,このような論に対しては,妃殿下御自身も深く傷つかれたことと思います。妃殿下は皇室の伝統も御公務も大切に考えておられるわけでございます。それらを十分に行うことができるようになるよう御治療に鋭意努めておられます。両陛下に両殿下の健康診断のことでお心遣いを賜っていることを両殿下は有り難く思っておられると思います。」