オーストラリア カウラ日本庭園財団・日本協会会長ドン・キブラー御接見(平成23年10月21日)について

平成23年11月4日

去る21日,天皇皇后両陛下には,御所において,オーストラリアから来日したカウラ日本庭園財団・日本協会会長であるキブラー氏に会われましたが,これに関する一部の報道には若干不正確なところが見られましたので,補足方々,事実関係を以下の通りお伝えします。

天皇皇后両陛下には,昭和48年皇太子同妃両殿下としてオーストラリアを御訪問になられた際,シドニー市から320キロ離れたカウラ市を訪れられ,戦時この地で落命した日本人捕虜の墓地にお参りされました。両陛下は,昭和19年夏にこの地において多くの日本兵捕虜が,俘囚(ふしゅう)を恥として捕虜収容所からの脱走を試みて死亡した悲劇的な事件を長く記憶され,こうしたお気持ちに沿って,平成4年には清子内親王殿下が,また,平成7年には秋篠宮同妃両殿下が,オーストラリア御訪問のお時間をさかれ,同じくカウラ市を訪れておられます。

昨年4月に,キブラー氏の訪日が報じられたのを機会に,カウラの最近の状況について,宮内庁より在シドニー日本総領事館に照会しましたところ,昭和48年に当時の皇太子同妃両殿下がカウラの日本人墓地を御訪問されたことを契機として,日豪の和解と,死亡した日本人捕虜の慰霊のために日本庭園を建設することがキブラー氏により提案され,昭和61年の庭園完成に至るまで中心的な役割を果たしてきた同氏は,現在も,日本兵の慰霊と日本庭園の維持のために引き続き力を尽くしていることが分かりました。こうしたキブラー氏の尽力に対して,昨年5月,侍従長より在シドニー日本総領事を通じて両陛下の御謝意とお労いのお気持ちを伝達しました。本年9月に至り,同氏より10月19日(水)夕刻から23日(日)までという日程で訪日するので,短時間なりとも是非両陛下にお目にかかりたい旨伝えられてきました。何分,同氏の滞在は短いので,いろいろと検討した結果,同氏が侍従長に会うために宮内庁を訪れる際,両陛下と短時間なりとも御面会がかなうよう,蓮池参集所での勤労奉仕団御会釈からお帰りになった両陛下に,御所御車寄の玄関ホールにおいて同氏を御紹介申し上げた次第です。両陛下には,この場において同氏と短時間ではありましたがお会いになり,日本兵の死者を手厚く弔い,長く墓地を守ってきてくれたことへの御謝意とお労いのお気持ちをお伝えになりました。