公表事項

カナダ国及びアメリカ合衆国御訪問に当たり天皇皇后両陛下のご健康状態について

平成20年12月9日に発表した天皇陛下の上室性不整脈は,現在も散発的に持続していますが,ほぼ安定した状態です。最近では,良い兆しが見えています。また,骨粗鬆症の予防のためのご運動は不可避なものであり,ご体調に応じて引き続きお続けいただいています。

皇后陛下は,今年2月初め,久しぶりにされたテニスのプレイ中つまずかれ,左膝を強打し,後十字靱帯に切断に近い損傷を受けられました。その際,膝の骨や半月板に損傷のなかったこと,皇后陛下からも,左足が少し頼りないという他にあまり痛みのお訴えがなかったことから,申し訳ないことに,靭帯の損傷を見逃してしまいました。その後,お痛みが強くなり,ご自身のお申し出により,お怪我から大分経った3月23日にMRI検査を行い,靭帯の損傷が発見されました。この初動の遅れがご回復を遅らせる結果を招いてしまいました。

専門医の意見を聞いて,現在ご運動や毎日の歩行など,リハビリに努めておられ,一時おつらかった,膝裏の神経がさわるような鋭い痛みは全くなくなりました。しかし,長期間のお痛みが坐骨神経痛を誘発し,現在も左足,特に足首付近に時々疼痛があり,また,長く坐位を保たれた後,歩き出されるまでに,少し手間取ることがあります。歩行は,下り階段においてやや不自由を感じられるようですが,立っておられること,普通に歩かれることに問題はなく,むしろ,できるだけ歩かれることによって,失われた筋力を取り戻されるよう,積極的に運動に取り組まれるようお願いしています。

以上,両陛下のご健康は必ずしも万全ではない状態ですが,今回のカナダ国及びアメリカ合衆国御訪問については,これまで立てられている計画に変更はありません。しかし,今回のご旅行中,両陛下のご体調によっては,ご予定変更を余儀なくされることがあり得るため,現時点での両陛下のご健康状態についての理解が必要と考え,ここに公表することといたしました。

平成21年6月29日:皇室医務主管