御誄(おんるい)

香淳皇后

殯宮移御後一日祭の儀(平成12年6月29日)

明仁謹んで
御母皇太后の御霊に申し上げます。
在りし日のお姿や明るいお声は今もよみがえって日夜心を離れず、思い出は尽きることがありません。
哀慕の情はいよいよ胸にせまるものがあります。
ここに、霊柩を殯宮にお遷しして、心からお祭り申し上げます。

追号奉告の儀(平成12年7月10日)

明仁謹んで
御母皇太后の御霊に申し上げます。
長き歳月、昭和天皇をお助けになり、温かく、香しくましました在りし日のお姿は今も深く心に残っております。
ここに、追号して香淳皇后と申し上げます。

斂葬の儀 葬場殿の儀(平成12年7月25日)

明仁謹んで
御母香淳皇后の御霊に申し上げます。
昭和天皇の崩御あそばされてより十一年、吹上大宮御所にお過ごしの日々が穏やかにして一日も長からんことを願い、お側近く過ごしてまいりましたが、この夏の始め、むなしく幽明界(ゆうめいさかい)を異にするにいたりました。
在りし日のお姿を偲びつつ、しん殿(しんでん)に、また殯宮(ひんきゅう)におまつり申し上げること四十日、ここに斂葬の日を迎え、葬列をととのえ、昭和天皇のお側にお送り申し上げます。
お慈しみの下にあった去りし日々を思い、寂寥(せきりょう)は深く、追慕の念は止まるところを知りません。誠に悲しみの極みであります。