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佳子内親王殿下の主な式典におけるおことば

令和8年

  • 皆様、こんにちは。本日、第35回森と花の祭典-「みどりの感謝祭」が開催され、皆様にお会いできたことを、たいへん嬉しく思います。

    はじめに、これから表彰と「苗木と花の特別贈呈」を受けられる方々に、お祝いを申し上げます。この催しに先立って、皆様が森林や樹木、花などの「みどり」を大切に活動してこられたことを伺い、たいへん貴重なことと感じました。

    本日は、山火事を予防するためのポスター用原画の表彰も行われます。
     今年も、岩手県大槌町など各地で山火事が起きています。消火活動に力を注いでこられた方や避難された方のことを考えながら、火がおさまることを願ってきました。被害にあわれた方に心からお見舞いを申し上げますとともに、対応に力を尽くしてこられた方に深く敬意を表します。
     そして今後、各地で大切にされてきた森林が再生されていくことを願っております。

    「みどり」は、私たちに潤いや、安らぎ、豊かさをもたらしてくれるとともに、多くの役割を果たしています。とりわけ、日本の国土の約7割を覆う森林では、木々が大地に根を張り巡らせて雨水を蓄え、また、土が流れ出すことを防いでいます。さらに、二酸化炭素を吸収して地球温暖化の防止に貢献するとともに、多様な生き物を育む場となっています。
     日本の森林には人々が植え守り育ててきた人工林も多く、これを将来に確実に引き継ぐためには、木を伐って使い、新しく植える苗木などを太陽の光の下で育てる必要があると伺いました。木を伐って、使って、植えて、育てるという循環を、様々な立場から進めていらっしゃることは、とても意義深いことと思います。

    おわりに、全国各地で「みどり」に関わる活動に携わってこられた方々に心から敬意を表しますとともに、「みどり」を大切にする取組が、さらに広がっていくことを願い、「みどりの感謝祭」に寄せる言葉といたします。

  • 皆様、こんにちは。本日、「第73回産経児童出版文化賞」の贈賞式が開催され、皆様にお会いできたことを、たいへん嬉しく思います。はじめに、各賞を受賞された皆様に心からお祝いを申し上げます。

    「産経児童出版文化賞」は、子どもたちが良い本に出会えるよう、幅広いジャンルから魅力的な本を選ぶ役割を担ってきました。今回選ばれた9作品について、これから読む人のお邪魔にならないようにしながら、お話したいと思います。

    大賞の「もしも君の町がガザだったら」では、長年にわたりパレスチナに関わってきた作者が、現地の悲惨な状況に触れ、「もしも私たちがパレスチナで暮らしていたら」と想像するように促します。そして、パレスチナとイスラエルがなぜ現状に至ったのか、そこに日本を含む世界がどう関わってきたのか、様々な角度から解説しています。この本を読み、「もしも自分だったら」と考えることの大切さを改めて感じるとともに、平和な日々が訪れることを、心から願っています。

    「どきどきしてる」は、ページをめくるたびに、生命力あふれる色とりどりの木版画が広がる絵本です。こんな「どきどき」もあるのかと驚く場面もあります。そんな意外性も楽しみながら、躍動感のある絵や、静かな絵を味わいました。 

    「わたし、わかんない」は、学校に息苦しさを感じ、周囲に違和感を持っている小学生の物語です。質問された時に「わかんない」と答えることを、からかわれてしまう時もありますが、読み進めていくと、本当はたくさんのことを考えているように感じました。

    「ある星の汽車」では、汽車に乗っている様々な動物と人間の親子が、不思議な魅力のある細やかな絵で描かれています。動物たちが次々に降りていく駅に書かれた数字には、隠れた意味があります。最後の説明を読んでから、なぜ汽車から降りることになったのか、考えながら読み直しました。

    「ずかん 石積み」は、様々な角度から石積みの面白さを教えてくれます。例えば、石の大きさや形を考えて組み合わせる方法が、地域ごとに工夫されていることがわかります。私も、以前訪れたペルーやギリシャ、福島などの石積みや、身近にある石積みを思い出しながら、興味深く読みました。

    「ちょっとだけともだち」では、友だちをつくろうとするものの、なかなかうまくいかない主人公の視点で物語が進みます。柔らかな色彩の絵とともに、同じような経験をしている人を「大丈夫だよ」と励ましてくれる本だと感じました。

    「白い虹を投げる」は、野球に打ち込む二人の小学生と、周囲の人たちを描いた物語です。多様な登場人物が、お互いの考えを理解できずにすれ違ったり、共通の目標に向かって力を合わせたりしながら、仲間になっていきます。読んだ後には明るくさわやかな気持ちになりました。

    「サメのイェニー」は、大きな声で話すのが嫌いで、注意深く考えるのが得意、自分のことをひとりで泳ぎまわるサメのようだと思っている小学生が主人公です。自分の中で変えたくないことはそのままに、周囲に自分を理解してもらえるよう、自ら考え、行動を起こす姿に勇気づけられました。

    「レーナとヒキガエルの紳士」では、町と森を行き来する舟を漕ぐレーナが、森から帰ってこないオーレンを探し、森の主と名乗るカエルに勇敢に立ち向かいます。見るたびに発見のある絵に引き込まれながら、カエルが恐ろしいことをした理由や、森と町の未来について、想像を巡らせました。

    本日受賞された皆様、改めましておめでとうございます。本年も、このような受賞作を読むことができ、ありがたく思っております。

    子どもの頃から様々な本に触れる経験は、大切な宝物になると思います。私の子ども時代を振り返っても、物語の世界に引き込まれ夢中になったことや、部屋に飾っていたお気に入りの本の主人公の言葉が、よみがえってきます。

    また、私自身にとって本が大切な理由の一つは、本が、読む人の考えを深め、自分とは異なる様々な状況や背景を持つ他者の視点を教えてくれるということです。読者一人一人の考えが深まることに加え、幅広い視野を持った人が増えることは、多様な人々が大切にされる、より幸せな、より良い未来を築くことにも繋がっていくのではないでしょうか。そのような点からも、「産経児童出版文化賞」により、優れた本が紹介されることを、とても意義深く感じます。

    そして、読書の体験をより多くの人に届けるための取組も行われています。例えば、障害、家庭や経済の状況などにかかわらず本を読める環境が整備され、読書の選択肢が増えてきていることを心強く感じます。また、地域の図書館や学校が、多くの子どもたちに読書の楽しみを伝えていることは、素敵なことだと思います。このような努力が実を結び、誰もが、様々な方法で隔たりなく読書をできる社会になることを願っています。

    終わりに、子どもたちに良い本を届けるために努力してこられた皆様に深く敬意を表しますとともに、これからもすばらしい作品が人々の心に残っていくことを願い、贈賞式に寄せる言葉といたします。