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主な式典におけるおことば(令和8年)

秋篠宮皇嗣殿下のおことば

  • 本日、第66回交通安全国民運動中央大会が開催され、皆様とともに出席できましたことを誠に喜ばしく思います。
     そして、このたび、長年にわたる交通安全活動への貢献により、表彰を受けられる方々に心からお慶びを申し上げます。

    昨年の交通事故による死亡者数は2,547人で、1948年の統計開始以来、最も少ない人数となり、1970年のピーク時の6分の1以下となっております。このことは、交通安全に関わっている多くの方々の長年にわたるたゆみない努力の賜物と申せましょう。

    しかしながら、いまだに毎年2,500人以上の尊い命が失われ、約34万人が負傷され、辛く、悲しい思いをしている方々が多数おられます。
     また最近では、高齢者の運転する自動車事故の増加や、飲酒運転などの悪質で危険な運転、さらには、交通ルールを守らない自転車の走行が問題となっています。

    私たちが日々利用する道路では、多くの人や車が往来しており、交通事故は、何時でも、何処でも、誰にでも起こり得ます。
     一人ひとりが、生命の尊さと、ひとたび交通事故が起こったときの重大性を深く心にとどめ、運転者が自覚を持ち、歩行者も交通事故に遭わないように気をつけることが大切です。

    そして、交通道徳を高め、これを確実に実践することはもとより、運転者や歩行者が、それぞれの立場を思いやりながら行動することが求められていると申せましょう。

    その意味からも、各地で交通安全活動を進め、豊かな知識と経験をお持ちの皆様が一堂に会し、交通安全に関わるさまざまな問題を話し合うことは、誠に意義深いことと思います。

    おわりに、本日の受賞者をはじめ、全国津々浦々で日々交通事故防止に取り組んでおられる皆様のご尽力に深く敬意を表するとともに、交通事故のない安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、交通安全活動がさらに進むことを祈念し、大会に寄せる言葉といたします。

  • 本日、2月6日からイタリア共和国のミラノ及びコルティナ・ダンペッツォを中心に開催される、第25回オリンピック冬季競技大会の結団式にあたり、参加されるTEAM JAPANの皆様とお会いできましたことを誠にうれしく思います。また、選手の皆様には、このたび、日本の代表に選ばれたことを心からお祝いいたします。

    ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックは、オリンピック史上初の複数都市による共同開催であり、ミラノでは氷上競技、そして、コルティナ・ダンペッツォを中心とする北部地域では雪上競技などが行われます。コルティナ・ダンペッツォにおいては、70年前の1956年に第7回オリンピック冬季競技大会が開催されております。このとき、本日ご出席の猪谷千春さんがスキー競技のアルペン男子回転で、オリンピック冬季競技大会における日本人初のメダルを獲得されたことをご存じの方も多いと思います。

    さて、今回のオリンピック冬季競技大会においては、スキーと登山の両方の技術を駆使するスキーマウンテニアリングが新たな競技として加わり、競技数で前回の北京大会を上回る8競技11種別116種目が実施されると伺っております。

    参加される皆様には、競技の場に臨んでは、日頃の成果を存分に発揮し、すばらしいパフォーマンスを披露してくださることを期待いたします。そして、皆様一人ひとりがスポーツを通して世界から集う人々との交流を深められ、国際親善に努められることを願っております。

    おわりに、皆様のご活躍をお祈りし、結団式に寄せる言葉といたします。

  • 本日、「第22回日本学術振興会賞並びに日本学士院学術奨励賞」授賞式が開催され、皆様にお目にかかれましたことを大変うれしく思います。
     そして、ただ今受賞された皆様に、心からお祝いを申し上げます。

    さて、昨年は、坂口志文さんと北川進さんのお二人が、それぞれノーベル生理学・医学賞と化学賞を受賞されるという喜ばしいニュースがありました。ノーベル賞受賞が決定した後、お二人は、基礎研究の重要性に言及されるとともに、自由な発想に基づくオリジナルの研究が、最初は主流ではないため理解を得ることが難しかったものの、継続的に研究を進めた結果、成果につながったという研究の歩みにまつわるエピソードを語られたとのことです。 

    このことからもうかがわれるように、学術研究は、研究者の知的好奇心と自由な発想が出発点となり、地道に研究を継続することによって新たな知見が獲得され、真理の発見、経済の持続的発展、生活の利便、心の豊かさなど、多様な成果を生み出すものと考えます。現在、人類社会は、気候変動やそれに伴う自然災害、様々な疾病や食料・資源・エネルギーなど、多くの困難な課題を抱えております。このような現代社会において、多岐にわたる課題を解決していくためには、多様な学術領域からの知的貢献が必要不可欠であることは言を()ちません。

    その意味で、これまで我が国の学術研究を支えてこられた日本学術振興会と日本学士院が協力して、人文学、社会科学から自然科学にわたる幅広い分野で若手研究者を顕彰し、その研究意欲をより一層高め、研究の発展を支援しようとすることには大きな意義を感じます。それとともに、若い世代の研究者が業績をあげていかれることは、学術の発展を期待し、その成果を享受、あるいは共有する国民にとっても大変喜ばしいことと申せましょう。

    このたび、受賞の栄に浴された皆様は、それぞれが専門とされる分野において研究活動を推進され、これまでに大変素晴らしい業績をあげてこられました。このたびの受賞を一つの契機として、今後さらに充実した研究を進められ、世界的に活躍されることを心から願っております。

    おわりに、関係の皆様のご尽力により日本の学術研究の進展が一層図られることを祈念し、式典に寄せる言葉といたします。

  • 本日、隔年で開催されている「全国学校・園庭ビオトープコンクール2025」の発表大会に、皆様とともに出席できましたことを大変嬉しく思います。そして、このたび各賞を受賞される方々に心よりお祝いを申し上げます。

    野生の生き物やそれらが暮らす多様な自然環境は、私たち人類にとってもかけがえのないものであり、積極的に守っていく必要があります。世界各国では、生物多様性の保全・再生のため、様々な取り組みが行われていると聞いております。例えば、ドイツでは、近年の昆虫の激減を危惧し、2019年に連邦政府が「昆虫保護行動計画」を策定しました。また英国では、2021年に成立した法律で、イングランドのほぼ全ての開発事業において、開発前よりも生物多様性を増加させることが義務付けられています。
     さらに、2021年に開催されたG7のコーンウォール・サミットなどの国際会議では、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復に転じさせる、“Nature Positive”の方向性が示されました。その達成に向けて、地球に暮らす私たち一人ひとりが自然からの恩恵を理解し、自然への関心を深めていくことが大切です。

    その意味で、様々な国の教育・保育の現場が取り組んでいる学校や園庭のビオトープは、自然との触れ合いにとどまらず、自然との共存について考える大切な機会を提供してくれる場であると思います。このたびのコンクールにおける受賞事例においても、ビオトープを通じて地域の自然や生き物について考え、児童・生徒たちの視点で自然との共存について探究するなど、意義深い取り組みが行われていると伺っております。これらの取り組みが広く紹介されることは、持続可能な社会の実現に向けた人づくり・地域づくりに大きく寄与するものと申せましょう。

    本コンクールも今回で14回目を迎え、学校や園にビオトープがあることの大切さが広く認識されるようになってきたことと思います。このことは、本活動に携わってこられた多くの方々のご尽力によるものであり、ここに深く敬意を表します。

    おわりに、学校・園庭ビオトープの取り組みが、今後も日本各地で普及・継続し、自然とともに生きることの輪が広がっていくことを祈念し、私の挨拶といたします。

  • 本日、3月6日からイタリア共和国において開催されるミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会の、日本代表選手団の結団式に当たり、大会に参加される選手ならびに役員の皆様とお会いできましたことを誠にうれしく思います。また、選手の皆様には、このたび、日本の代表に選ばれたことを心からお祝いいたします。

    今大会は、1976年の第1回冬季パラリンピック大会開催から50周年を迎える記念の年に当たる大会であり、ミラノ、コルティナ・ダンペッツォ、そして、ヴァル・ディ・フィエンメの3地区に分かれて、アルペンスキーやクロスカントリースキー、アイスホッケーなど、6競技にわたり熱戦が繰り広げられると伺っております。

    パラリンピックは、パラアスリートにとって、最高峰の舞台の一つであります。皆様は、長きにわたる鍛錬と努力を重ね、多くの困難を乗り越えてその場に立たれるわけですが、競技の場に臨んでは、日頃の練習の成果を存分に発揮し、すばらしいパフォーマンスを披露してくださることを期待いたします。それとともに、皆様一人ひとりが、スポーツを通じて世界の人々との交流を深め、相互理解と友情を育まれることを希望しております。そして、IPC憲章が掲げる理念、「包摂的な世界の実現」が、皆様のご活躍によって一層輝きを増すことを願っております。

    おわりに、皆様のご健闘をお祈りし、結団式に寄せる言葉といたします。

秋篠宮皇嗣妃殿下のおことば

  • 本日、第71回青少年読書感想文全国コンクールの表彰式に出席し、皆さまにお会いできましたことを、大変うれしく思います。

    今回は、23,536校の児童・生徒から、203万編を超える感想文が寄せられました。数多くの応募作品の中から選ばれ、本日表彰を受けられる皆さまに、心よりお祝いを申し上げます。そして子どもたちと本との出会いを、家庭で、学校で、あるいは図書館などの場所で支えてこられたご家族、教職員や司書をはじめとする関係者の方々のご努力に深く感謝いたします。

    今年も受賞作品を読む機会に恵まれました。皆さまが読まれた本には、自然や身近なものを見つめることで新たな気づきのきっかけになる本、自然災害や戦時下での経験を伝える本がありました。また、登場人物がさまざまな感情を抱え、悩みながらも、自分らしさや希望を見つけていこうとする姿、障害や病気と向き合う今を生きる姿をとらえた本もありました。長く読み継がれてきた本から課題図書などの新しい本まで、幅広い分野から選ばれていたことが印象に残りました。

    本コンクールに応募した皆さまは、本を読みながら物語に自分の体験を重ねたり、自分が登場人物だったらと想像したり、不思議に思ったり、新たに知ったことをこれまで得た知識と照らし合わせたりしながら、さまざまな思いをめぐらせて文章にまとめられたことと思います。感想文を書き上げるまでに相当な時間がかかったことでしょう。本を読み、考えを深め、感想文を書くことを通して、自分と向き合い、これからの過ごし方をみつめるよい経験になったと思います。受賞者の皆さまお一人お一人が、これはなんだろう、もっと知りたいと思ったり、ずっと大切にしたい、誰かに伝えたい気持ちを抱いたりしながら、ご自身の言葉で表現した作品は、私の心にも響いてきました。

    昨年の10月、香川県で瀬戸内海の島々の子どもたちに本を届ける「子ども図書館船」に乗り、海や環境に関する本が並んだ書棚を前に、今後の活動についてお話を伺う機会がありました。昨年の暮れには、本の文字を大きくした「拡大写本」作りの様子を見学しました。そこでは、目の見えにくい生徒からの希望で、課題図書の「拡大写本」に取り組んでいました。そして今月は、筑波大学附属視覚特別支援学校で、見えない人や見えにくい人も見える人も一緒に楽しめる、手作りの「さわる絵本」を手にしました。また先週訪ねた都内の子ども図書館には、「多言語コーナー」があり、アジアやヨーロッパの言語の絵本が並んでいたことに心惹かれました。海外にルーツをもつ子どもたちが母語の本も読めるように、少しずつ本を増やしているところだと伺いました。このように一人でも多くの子どもが本に親しめるような取り組みが進められているのは、とても大切なことだと感じています。さまざまな状況にある子どもたちのために本を作ったり、本をそろえたり、その本を子どもたちの手元へ届けたりする活動を続けていらっしゃる方々に敬意を表します。

    本コンクールの発展に力を尽くしてこられた皆さまに心より感謝いたしますとともに、これからさらに多くの子どもたちに本との幸せな出会いがありますよう願い、表彰式に寄せる言葉といたします。