天皇陛下のおことば
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本日、第221回国会の開会式に臨み、衆議院議員総選挙による新議員を迎え、全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。
国会が、国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のため、永年にわたり、たゆみない努力を続けていることを、うれしく思います。
ここに、国会が、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、国権の最高機関として、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します。 -
2026年日本国際賞の授賞式に、皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
日本国際賞は、世界の科学技術の発展に資するという我が国政府の構想により、民間からの寄付を基に1982年に創設されました。この賞は、世界中の科学技術者を対象とし、科学技術の進歩に大きく寄与する成果を挙げ、そのことがひいては人類の平和と繁栄に著しい貢献をしたと認められる人に贈られます。
今年の授賞対象分野は、「エレクトロニクス、情報、通信」分野及び「生命科学」分野でした。「エレクトロニクス、情報、通信」分野でシンシア・ドワーク博士、「生命科学」分野で審良静男博士及びジージャン・チェン博士がそれぞれ受賞されたことを、心からお祝いいたします。受賞者の皆さんが、それぞれの研究を通じて、人々の暮らしの安全と利便性の向上、また、医療や予防の発展に大きく貢献されてきたことに深く敬意を表します。
今回の授賞対象分野を始め、近年、世界が地球規模で直面する課題は、ますます多様化し、複雑化してきており、そのような中で科学技術が果たすべき役割は一層重要になってくるものと思います。私たちが、より広い見識の下、様々な分野の叡智を結集し、互いに力を合わせることにより、地球の未来のために、そして、人類の持続的な発展に向けて、科学技術を最良の形で活かす方法を模索する努力がなされることを願っています。
日本国際賞が、人々に幸福をもたらす科学技術の発展に一層寄与するとともに、世界人類の将来にとって大きく貢献することを願い、式典に寄せる言葉といたします。 -
御列席の皆様
第41回世界獣医師会大会の開会式に、世界の多くの国と地域の獣医師を始め、幅広い分野の専門家の皆さんと共に出席できることをうれしく思います。そして、1995年にアジアで初めてとなる世界獣医師会大会が日本で開催されて以来、今回、31年ぶりに再び日本で開催されることを喜ばしく思います。
多くの動物の存在に支えられている私たちの社会において、獣医師の方々は、日々動物の命と向き合い、その健康と福祉を守る専門職として尽力してこられました。また、動物の診療のみならず、高度な科学的、専門的知識とその実践により、幅広い分野で重要な役割を果たされ、社会に貢献されていることに深く敬意を表します。
私たち家族も、これまで3頭の保護犬や4頭の保護猫を始め、様々な動物たちと生活を共にし、多くの喜びや癒やしを享受してきました。その一つ一つの命は、私たち家族にとって常にかけがえのない存在であり、この動物たちの健康や幸せを守る上で、獣医師の先生方や動物病院のスタッフの皆さんには日頃から大変お世話になってきています。そして、その中で、動物たちの健康を守り、命を救う獣医師の仕事に深く感銘を受けています。
近年、人の健康、動物の健康、そして環境の健全性を一体として捉える「ワンヘルス」の理念が、国内外で一層注目されるようになってきました。この理念の下、人と動物の共通感染症への対応を始め、家畜伝染病の防疫、食の安全の確保、抗菌薬の適正使用などの公衆衛生の向上、更には野生動物の健康監視や、災害時の動物救護活動などに果たす獣医師の方々の役割は、より一層大切になってきていると思います。また、こうしたワンヘルスの実践は、医学や環境を始めとする様々な分野における専門家との連携の下、社会全体のリスクを軽減する力となり、その役割は、国家や学問分野の枠組みを超え、ますます重要なものになってくるものと思われます。
今回の大会が、世界の獣医師や様々な分野の専門家の皆さんが、それぞれの知見を共有し、協力を深め、未来に向けた新たな道を切り開く貴重な機会となることを願うとともに、人と動物がよりよく共生できる社会の実現につながることを期待し、私の挨拶といたします。
ありがとうございました。 -
第76回全国植樹祭がここ愛媛県で開催され、全国から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
愛媛県では、昭和41年に松山市にある久谷ふれあい林で第17回全国植樹祭が開催されました。私は、平成20年に全国育樹祭で同じ地を訪れた折に、昭和天皇と香淳皇后がお手植えになったスギの手入れを行いました。今年、植樹から60年を経て、その時植えられ、愛情を持って守り育てられてきた木々が、今回この植樹祭の会場のベンチなどに活用されていると聞き、感慨を覚えます。
愛媛県は、西日本最高峰の石鎚山を始めとする緑深き四国山地がそびえ、北には多くの島々の連なる景観が印象的な瀬戸内海、西には美しいリアス海岸の宇和海など、多彩で豊かな自然環境に恵まれています。このようなすばらしい自然が、多くの人々のたゆみない努力により守り育てられてきたことを喜ばしく思います。
森林は、木材の生産や地球環境の保全はもとより、自然と身近に触れ合うレクリエーションや環境教育の場としても大きな役割を果たしており、様々な面から私たちの生活を潤してくれる、かけがえのない存在です。私たちは、森林を始めとした自然の大きな循環の中で、自然と関わりを持ちながら生かされています。こうした恵みをもたらす森林の大切さを思うとき、私たち一人一人が緑を守り育て、豊かな森林を、それを育んできた技術や文化とともに次の世代、更にその先の未来へと引き継いでいくことが、私たちの果たすべき大切な役割であると考えます。
本日表彰を受けられる方々を始め、日頃からそれぞれの地域で緑化活動に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに、そうした活動が、今後とも多くの人々によって支えられながら、更に発展していくことを期待いたします。
終わりに、この大会のテーマである「育てるけん 伊予の国から 緑の宝」にふさわしく、人々がかけがえのない宝である森林への愛情を育み、親しみながら森林を大切に守り育てていくとともに、森林資源の循環利用や健全な森づくりに向けた活動の輪が、ここ愛媛の地から全国へ、そして未来へと大きく広がっていくことを願い、私の挨拶といたします。 -
日本感染症学会創立100周年記念式典に、医学関係者を始め、多くの皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
日本感染症学会は、大正15年に伝染病の臨床医学、疫学、予防医学、臨床細菌学を主軸とし、急性伝染病に関連する学術の進歩を図ることを目的に、日本伝染病学会として創立され、その後、日本感染症学会と名称を変えて、本年創立100周年を迎えます。
日本感染症学会は創立以来一貫して、それぞれの時代に問題となった感染症に対して広く取り組み、感染症領域における学術的活動を通じて社会に大きな貢献をしてこられたと聞いています。特に、令和元年の年末に発生した新型コロナウイルス感染症によるパンデミックにおいては、多くの学術機関・医療機関・行政機関などと協力して国民の治療、予防に大きく貢献されました。
近年、気候変動などによる自然環境の変化や、人々の往来が活発化する中で、新たな感染症が問題となってきています。日本感染症学会は、これらの感染症に対し、微生物学、公衆衛生学などの基礎医学領域の研究者、内科、小児科を始めとする幅広い臨床領域の医療従事者が協力して、活発な学会活動を行っていると聞きます。また、近年において、サイレント・パンデミックとも言われ、喫緊の課題となっている、従来の治療薬が効かない薬剤耐性菌の問題にも精力的に取り組まれているとも聞きます。今後も、これまでの実績と経験を基に、新たな感染症や、次なるパンデミックに備えた研究の進展が図られることが期待されます。
終わりに、これまで感染症学の発展に力を尽くしてこられた関係者の皆さんに深く敬意を表するとともに、日本感染症学会が新たな100年に向けて、感染症学の更なる発展を通して社会に貢献されることを願い、式典に寄せる言葉といたします。 -
この度、フィリピン共和国大統領フェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア閣下が、令夫人と共に、国賓として我が国を御訪問になりましたことを心から歓迎いたします。ここに、今夕を共に過ごせますことを、誠に喜ばしく思います。
本年、日本とフィリピンは、両国の国交正常化から70周年の節目の年を迎えました。両国の間には、過去に苦難の時期もありましたが、戦後、我が国が平和国家として歩み始めて以来、多くの先人たちが、両国間の相互理解と信頼を育むために努力を積み重ねてきました。先の大戦後の両国の歩みは決して平坦な道のりだけではありませんでしたが、1956年の国交正常化以来、共に手を取り合い、一歩ずつ関係を深め、友好関係を確固たるものとしてきました。その歩みの中で、マルコス大統領の御両親であるフェルディナンド・エドラリン・マルコス大統領御夫妻にも、1966年、そして1977年の二度、国賓として日本を御訪問いただきました。
2016年の国交正常化60周年に当たり、私の両親である上皇上皇后両陛下は、当時の天皇皇后として貴国を訪問されました。訪れた各地で貴国国民から温かく迎えられたことや、日本で看護師・介護福祉士になることを目指して日本語研修に取り組むフィリピンの方々と触れ合われ、50年以上の歳月を経て、両国関係が大きく進展してきたことを実感されたと伺っております。今日の両国関係が、多くの人々のたゆまぬ献身的な努力の上に築かれていることを胸に刻みつつ、これからも両国の信頼関係がますます深まることを切に願っております。
日本とフィリピンは、困難な時に互いに助け合うことで信頼を一層確かなものとしてきました。我が国が東日本大震災や能登半島地震などの大きな自然災害に見舞われた際、貴国から義援金や救援物資などをお寄せいただいたことに、改めて深く感謝いたします。また、昨年セブ島沖で発生した地震や台風の被害により、多くの尊い命が失われたことに心が痛みました。一日も早い復興を心から願っております。
私にとって初めての海外訪問は、1974年のオーストラリアへの旅行でしたが、往路の飛行機が給油のためにマニラ空港に立ち寄っており、フィリピンは、私が初めて降り立った外国の地となります。マルコス大統領が初めて日本を訪問されたのは、1970年に大阪で開催された日本万国博覧会に、御母堂であるイメルダ・マルコス大統領夫人に同行された時と伺っております。昨年の大阪・関西万博に際しても、大統領御夫妻で万博を視察されたと伺っており、マルコス大統領が、日本で開催された万博に二度もおいでになり、両国関係の緊密化に寄与いただいたことを嬉しく思います。
私自身がマルコス大統領御夫妻と初めてお会いしたのは、2023年2月に皇后と共に皇居でお目にかかったときでした。マルコス大統領と私は、いずれも英国のオックスフォード大学に留学しております。私の留学中には、フィリピン人留学生にとても親切にしてもらい、フィリピン人の親しい友人ができたことをよく覚えており、マルコス大統領との会話においても、共通の友人やオックスフォードでの生活など、当時の思い出話に花が咲いたことが深く印象に残っています。
本年の国交正常化70周年のテーマは「未来を共に織りなす:平和、繁栄、可能性」であります。近年、日本とフィリピンの間では、政治や経済、文化での交流のみならず、科学技術や防災といった新たな繁栄につながる可能性のある分野でも協力が進んでいると聞いております。特に宇宙関連の分野においては、両国の関係機関が協力して衛星の開発や打ち上げを行ってきたほか、日本の宇宙技術や衛星データ解析技術が、フィリピンの災害リスク低減や迅速な災害対応に活用されるなど、より具体的な成果につながっていると聞いています。日本・フィリピン両国が、海でつながる親しい隣国として、今後も緊密な交流を続け、平和で可能性にあふれる未来を共に織りなし、繁栄していくことを期待いたします。
日本は、今、緑の美しい季節を迎えています。この度のマルコス大統領並びに令夫人の我が国御訪問が、両国の相互理解と友好関係の更なる発展につながることを願うとともに、お二方の御健勝、そして、フィリピン共和国の繁栄と貴国国民の幸せを祈り、杯を挙げたく思います。
フィリピン大統領閣下のご答辞
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御列席の皆様
本日、世界島嶼国海洋会議に、皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
四方を海に囲まれた日本は、古くから豊かな海の恵みを受けてきました。地球温暖化による海面上昇や、異常気象による災害が世界各地で相次ぐ中、地球上の水が海からもたらされ、そしてまた海に戻るという、大いなる水の循環を通じた地球上の繊細な均衡を保ち続けていくことの大切さを、改めて深く感じています。
私自身、安全な飲み水や衛生の問題を始め、水上交通、さらには気候変動や水にまつわる自然災害などといった、国民生活や地球規模での課題に深く関わる「水」問題について、世界各地の議論が深められることを願い、関心を持ち続けてきました。
本会議の目的は、民間の組織、政府及び国際機関が協働して、海洋環境の保全と持続可能な海洋資源利用の両立を目指す国家レベルでの計画を島嶼国に広めることだと聞いています。
この場におられる皆さんや各国が協力して、それぞれの叡智と経験を互いに共有し、最新の科学を踏まえてそれらを生かすとともに、伝統も大切にしながら、国際協調によって地球規模の課題の解決につなげようとしていることに敬意を表します。
海を慈しみ、その健全な未来に向けて行動することは、私たち自身の未来を守ることに他なりません。海面上昇など、数々の困難に直面している現代にあって、私たちの連帯が世界に調和と希望をもたらすことを願い、私の挨拶といたします。
ありがとうございました。