文仁親王同妃両殿下 ペルー及びアルゼンチンご訪問を終えられてのご印象

文仁親王同妃両殿下 ペルー及びアルゼンチンご訪問を終えられてのご印象

(平成26年2月6日)
ペルー及びアルゼンチン訪問を終えて

このたび,日本とペルー共和国との間の「外交関係樹立140周年」および「日本国政府とアルゼンチン共和国政府との間の移住協定」発効50周年の機会に,それぞれペルー共和国政府ならびにアルゼンチン共和国大統領からのお招きにより訪問できましたことを誠に嬉しく思います。それぞれの国の大統領を始めとする関係者には,大変温かく迎えていただくとともに,種々のご配慮をいただきましたことに深く感謝の意を表したく思います。

私たちにとりまして,ペルーは初めて訪れる国でありました。滞在中は,140周年の記念行事やウマラ大統領閣下主催の晩餐会などへの出席とともに,パチャカマック遺跡をはじめ,多くの考古学的資料に触れることができました。それぞれの時代の遺跡から出土した土器もさることながら,1000年を経た今日でも鮮やかにかつての面影を残している織物には大変驚くとともに,日本に見られるものと共通する織り方や染め方がペルーにも存在していたことを知り興味を覚えました。また,これら考古学の分野において,長い間にわたり,日本の研究者がペルーの研究者とともに学術研究を進め,重要な役割の一翼を担ってきたことは,誠に喜ばしいことと考えます。

また,東日本大震災に対して,ペルー国政府と国民から,多くの支援と連帯の意を表していただきました。とくに日系社会においては,「日本とともに」というキャンペーンのもと,県人会などの日系諸団体から募金が行われたほか,チャリティーコンサートも開催されたことを知り,大変有り難く思いました。

今回は時間的にも限られており,リマのみの滞在となりました。再び訪れる機会に恵まれましたら,その他の地域,たとえば,日本人の研究者が調査・研究を進めてきたコトシュやクントゥルワシ,ペルーに存する遺跡で最大規模といわれるマチュピチュなどの遺跡,そして異なる生態系を有するアマゾン地域を訪ねることができればと思います。

いっぽう,アルゼンチンは1998年の日本アルゼンチン修好100周年記念のときに訪問しましたので,約15年ぶりの再訪となりました。同国においては,移住協定発効50周年の式典に出席し,フェルナンデス大統領閣下を表敬し,そしてブドゥー副大統領主催の晩餐会などに出席いたしました。とくに,大統領閣下には,昨年手術を受けられ,その後も完全には復帰しておられないなか,お時間を取っていただいたことは誠に有り難いことでした。

また,東日本大震災に際しては,アルゼンチンにおいても政府関係者と日系社会を含む多数の国民から弔意と連帯の表明,そして支援の申し出が寄せられるとともに,震災翌月には弔意と支援表明のため,同国のイニシアティブで外務大臣が訪日して下さいました。これらのご厚意を大変有り難く思います。

アルゼンチンは,南米で3番目に大きな日系社会であります。今回,日系の諸団体が歓迎行事を開催してくださいました。前回に引き続き多くの日系人に会いましたが,再会した人も多く,心温まる時間をともにすることができました。この行事の最後に幼年部児童たちによる沖縄の踊りと婦人部の人たちによる日本舞踊が披露されました。これは,一つの例ということになりましょうが,二世,三世,さらにその次の世代において,アルゼンチンの文化と共に日本の文化を大切に思い,この国で継承してくれていることを嬉しく思いました。

外交関係樹立から140年を経たペルーと,移住協定発効から半世紀が過ぎたアルゼンチン,この両国と日本との友好親善関係が,さらに進展することを心より願うとともに,日系社会が今後も発展していくことを祈念しております。

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