文仁親王同妃両殿下 グアテマラ及びメキシコご訪問を終えられてのご印象

文仁親王同妃両殿下 グアテマラ及びメキシコご訪問を終えられてのご印象

(平成26年10月14日)
グアテマラ及びメキシコ訪問を終えて

このたび,明年を外交関係樹立80周年に控えたグアテマラ共和国,そして昨年から始まった「支倉使節団訪墨400周年:日墨交流年」のメキシコ合衆国をそれぞれ訪問できましたことを誠にうれしく思います。メキシコは,日本人移住100周年の機会以来の再訪で,グアテマラは初めて訪問いたしました。

最初の訪問国であるグアテマラにおいては,ペレス・モリーナ大統領閣下ご夫妻への表敬,同大統領ご夫妻主催の晩餐会に出席をしたほか,世界遺産に登録され,グアテマラにおいて最大の古典期マヤ文明の都市として知られるティカル遺跡や18世紀の地震で大きな被害を受けるまで首都であり,富士山にうり二つの姿をしたアグア火山でよく知られる街アンティグアを訪れました。また,今回行くことができなかった場所についても,各種博物館で展示されている考古遺物や各地方の多様な手工芸品等を見たことは,グアテマラの歴史,文化や人々の暮らしを理解する一助になったと思います。そして,マヤ文明の末裔たちが形を変えながらも現代マヤ文化を創造していることを再認識いたしました。

訪ねた場所はそれぞれ特徴がありましたが,ティカル遺跡では4号神殿の上から見渡すと,この遺跡が深い森の中にあった都市であることがわかり,同じマヤ文明でも以前に見たことがあるチチェン・イッツァとは趣が異なり,興味深く見学することができました。そして,この遺跡の調査研究や地域住民に対する遺跡保存に関わる活動に我が国の金沢大学が大きく寄与していることは,マヤ文明の解明のみならず日本とグアテマラとの学術交流という点からもきわめて意義深いことといえると思います。

つづく訪問国であるメキシコでは,ペニャ・ニエト大統領閣下への表敬と午餐会,そして今回の主目的のひとつでありグアナファト州で開催されている「セルバンティーノ国際芸術祭」の開会式に出席いたしました。先にも触れましたが,昨年から本年にかけては,支倉慶長使節団が日本を発ち,メキシコに到着してから400周年であることを記念した日墨交流年にあたります。その大きな行事のひとつが特別招待国として同芸術祭へ出席し,日本の各種団体が芸能や音楽など,いくつもの公演を披露することです。19日間にわたって催されるこの祭典において,多くの人々が日本の芸術文化の一端に触れるよき機会となることを期待しております。

また,移住100周年の記念式典が行われた日墨会館において,多くの日本人移住者ならびに日系人と会う機会がありました。これらの方々が,多岐にわたる分野で活躍をし,メキシコの社会に寄与していることを大変喜ばしく思いました。

1997年に訪問が叶わなかったオアハカ州にも訪れることができました。サポテカ文明のモンテアルバン遺跡では,先に訪れたティカル遺跡同様,往時の状況に思いをはせました。また,壮麗なバロック様式のサント・ドミンゴ教会や付随する元修道院を利用した博物館,そして同じ敷地内に設けられた植物園においては,ここの施設を堪能するのみならず,一か所に異なる文化施設があることの意義深さも実感しました。

このたびのグアテマラとメキシコの二か国において,首都以外にも幾つかの都市を訪れ,多くの人々に会う機会がありました。各地において,温かく迎えていただきましたことに深く感謝いたします。そして,たとえば,私たちが普段あまり意識していないものの身近に存在する栽培植物やそれに伴う食生活,そして手工芸など,メソアメリカ諸文明の一端に触れることができたことをうれしく思います。今後とも我が国とグアテマラ,メキシコ両国との友好親善関係がさらに増進されることを願っております。

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