会見年月日:平成21年11月25日
会見場所:秋篠宮邸
この9月で長男の悠仁が3歳になったわけですけれども,今お話しになったようにこの春くらいからでしょうか,三輪車に乗ることが好きになったようで,時々休日など私たちで散歩に出かけるときも,三輪車に乗ってついてくるということがしばしば見られるようになりました。三輪車に限らず,乗り物一般に関心があるように感じております。また,これも去年もそうだったのかな(妃殿下を振り向かれて),結構虫に興味が出てきまして,庭でカブトムシを見つけたり,カマキリを見つけたりして,それを毎日何回か眺めるというか,一緒に遊ぶことを楽しみにしているようでした。
また,上の二人の娘たちのことについてですけれども,長女の眞子が来年高校を卒業して,次女の佳子が中学を卒業するという時期になっているわけですけれども,あれは多分上の娘が高校1年くらいの時だったと思うのですが,どういうきっかけでそうなったか私,定かではないのですけれども,何となしに長女と高校を卒業した後どうしようかという話をしたことがありまして,下の娘も一緒に私の部屋に来て,話の輪に加わっていました。その時には具体的にどうということはなかったように記憶していますけれども,その後に(眞子内親王殿下が)本人なりにいろいろとどういう方向に進むかということを考え,そのためにはどこの大学に行くのが良いのかというようなことを,もちろん親である私たちとも話をしましたし,また,いろいろな知り合いの人から話を聞いたりして,恐らくだんだん自分の進路というものを決めていったのではないかというふうに思います。
下の娘についても,来年は高校に入るわけですので,恐らくそろそろその後のことを考える時期に来ているのではないかなというふうに思います。余り頼りになるとは思いませんけれども,もしそのような話をしてきたら,また,二人なりそれから私たち(両殿下)と娘とでいろいろ話をしてみたいなというふうに思います。
また,教育方針というお話が出ましたけれども,特に一番下の子どもにつきましてはこれは昨年話したのと同じで,これからだんだんと成長して上の学校へと進んで行くわけですけれども,そういう中できちんとした社会生活ができるようになってくれれば良いと思います。また,これは3人の子どもたち全員に言えることですけれども,自分の今いる立場ということの認識もしていってもらいたいと考えています。それ以外についてはやはり自分の関心のあることを今後とも深めていってもらえれば良いと考えております。
今日のさわやかな青い空を見上げておりますと,今から約1か月くらい前でしょうか,久しぶりに家族5人で御用地内を散策したことを思い出します。(今日と同じような良い天気の)休みの日の午後で,娘たちがテニスをしたいと宮様も一緒にと誘って出かけまして,テニスを楽しみました後に私と悠仁が確か飲みものでしょうか(殿下を振り向かれて。殿下うなずかれる)を持って合流しまして,それから近くの芝生のある広場で気持ち良く皆で過ごしたひとときがございました。
この1年,悠仁は運動量が一段と増えて体力もついてきたように感じます。先ほど宮様が話されましたように三輪車が大変好きで,随分長い距離を走らせることができるようになりました。また,見晴らしの良い丘にかけ上って空に浮かぶ雲や遠くの工事している建物を眺めたり,近くの林の中に入って虫探し,木の実拾い,草の実摘みなどをしたり,葉山など出かけた先の公園ですべり台やジャングルジムでそばにいる子どもたちと一緒に遊びましたり,元気に外で過ごしております。
最近の好きな遊びですが,私たち親とか娘たちと一緒に全身を使って楽しめる遊び,例えば私が悠仁の両手を取って悠仁が逆上がりをするような形でぐるりと回転しましたり,私が軸となって悠仁の両手を持ってぐるぐる回ったりする大変素朴な遊びですが,「もう一回,もう一回」と…(少しお考えになる)
ねだるわけね。(妃殿下を振り向かれて)
満面の笑みを見せている姿に,私もこたえたいという気持ちと,一方ではずっと続けていたらちょっと体力が足りないと思う気持ちもありまして,近くに宮様や娘たちがいますと助けてもらいながら,交代して遊びを楽しんでおります。
今月の半ばになりますか,秋の火災予防運動の時に消防車が防火活動の訓練をしている様子を見せていただきました。悠仁はこのような作業する車やバス・電車などの乗り物,道路標識や地図などにも関心を向けるようになり,自分の知っている記号や文字があるとうれしそうに私に教えてくれます。身近な物や初めて見る物に対して「これは何ですか」,「どうしてこうなるのですか」と知りたいことがたくさんあるようで,盛んに見て確かめたい年になってきたのではないかと思います。
娘たちが幼いころ年齢の近い子どもたちの集まりに参加させていただいておりましたが,悠仁も同年代の子どもたちとふれ合う機会が大事であると考えております。以前にもお話ししましたが,生活の中で基本的な習慣を身につけられるよう導きながら,また,いろいろな経験を通して大切なことを学べるよう,そして心身ともに健やかに成長できるよう見守ってまいりたいと思います。
長女の眞子と次女の佳子についてですが,小さいころから元気に一緒に遊んできましたが,このごろは二人で仲良く語り合う姿がよく見られます。最近は家族で長い時間話し合うこともしばしばございます。日々思っていることや考えていることなど話す内容は様々でございますが,娘たちが私には思いもつかない豊かな発想や新しい視点を教えてくれることもあり,時には親に厳しいことを言うこともあり,娘たちの若々しいエネルギーにふれつつ,一方では娘たちが私たちの体調を心配して優しい言葉をさりげなくかけてくれることも多くなり,そのような娘たちの様子を見て成長を感じます。
長女の眞子は,高校生活もあと数か月となりました。幼いころから読書や絵を
次女の佳子は,この3年間自分の姉と同じキャンパスで過ごし,運動会,文化祭,学芸会などの学校行事に携わり,姉と共有している思い出がたくさんあるようです。高校生になりますと,自分で選択する授業が増えるなど新たな経験をしていく過程で自らの進路について考え,自分が関心ある分野を深めていくことができる機会が増えていくのではないかと思います。佳子は,家族の中で悠仁の年齢に最も近いからなのでしょうか,自然体で遊び相手になっています。二人でにぎやかに遊んでいる様子を見ておりますと,ほほえましくうれしく思います。
このことにつきましては,この1年間公的なご活動や祭祀その他で負担軽減が行われていたわけでありますけれども,恐らく可能な限りの軽減がなされたと思います。先日も(天皇陛下ご即位20年に際しての)両陛下の会見で陛下が,今の状況であるならばこのまま続けていきたい,ということを話されておりますので,私もそのとおりでよろしいのではないかと思います。
羽毛田宮内庁長官の発言は,昨年末に陛下が体調を崩された折,医師のほうからストレス性によるものだという話があり,それを受けての発言であります。恐らく,陛下のお気持ちを
また,皇統の問題ですけれども,これはなかなか簡単に話すということは難しいわけですけれども,皇位継承の制度自体のこと,それからその周辺にあるというか,将来的な皇室の在り方みたいなものまでも含まれるのではないかと思います。皇位継承の制度というもの自体に関しましては,これは陛下も述べられているように,国会の論議にゆだねるべきものであるというふうに私も考えます。しかし,その過程において今後の皇室の在り方ということも当然議論されることになるわけですけれども,その将来的な在り方ということについては,将来その当事者になる皇太子ほかの意見を聞くという過程も私は必要なのではないかと思っております。皇室の在り方に関連して,今ご質問にあった皇族の数が今後減少していくことにより,これも何ていう言葉を使って言ったらいいか私にはよく分かりませんけれども,皇室の活動もしくは役割とか,そういうものが先細りするのではないかという意見を聞くこともあります。しかし,その一方で,皇族の役割を明確に規定したものはありません。これは言い換えると,よく公務という言い方がされますけれども,皇室の中で国事行為は別にして,皇族の場合には公的な活動というものはあるわけです。しかし,いわゆる規定のある公務というものはないと考えていいのだと思います。したがいまして,そういう規定がはっきりしないということから,なかなかその辺りのことを言うことは難しいように感じます。
これはまた,全く別の視点になりますけれども,皇族の数が今後減るということについてですけれども,これは確かに今まで皇族が行ってきたいろいろな仕事,それから役割が,だんだんそれを担う人が少なくなるということはありますけれども,国費負担という点から見ますと,皇族の数が少ないというのは,私は決して悪いことではないというふうに思います。
国内でもこの1年間様々な所にまいりましたし,印象に残るいろいろな行事に出席をいたしました。なかなかどれというふうに一つを取り上げるということは難しいと思いますけれども,一つ非常に私がかかわって大変良かったなというふうに思いますのは,本年日本で国際生物学オリンピックが開催されました。日本は今回初めてその中の一人,大月亮太さんが金メダルを取得いたしました。2005年から日本は参加しているわけですけれども,今回初めてのことでありますし,4名参加した中で,残りの3名の人も,銀メダルを受賞するという,大変すばらしいことがありました。ちなみに,出場者全員がメダルを取るというのもこれで確か3回連続ということになり,そういう生物学を志し,非常に熱心に勉強している人がいることをうれしく思いました。これに出る人たちは,『キャンベル生物学』という,分厚いテキストを使うらしいですけれども,理論課題,それから実験ですね,非常に幅広いところからの出題に対応するために『キャンベル生物学』を学習するわけですけれども,千数百ページのテキストを満遍なく学ぶということは大変なことだと私は感じております。
国外につきましては,5月にオーストリア,ブルガリア,ハンガリー,ルーマニアの4か国を訪問いたしました。それぞれ4か国とも,例えば外交関係の開設の140周年であったりとか,再開の50周年であるという節目の年であり,それによって,本年を「日本・ドナウ交流年2009」というふうに位置付けております。家内はオーストリアに2年間ほど住んでいたことから,その辺りの地域は(妃殿下を振り向かれて)行ったことあるんでしょ?
はい。
私にとりましては4つとも初めて訪問した国でありました。それぞれの国で,大統領閣下もしくは大統領ご夫妻,そして政府の関係者,それから訪問した先々で多くの人たちから温かく迎えていただきました。私にとりまして初めての国ばかりでしたけれども,様々な知見も得ることもできましたし,大変有意義なひとときであったと思います。
また,8月にオランダを訪問いたしましたのは,日蘭通商400周年の記念式典に出席するためでしたけれども,その式典を挟んで,オランダの女王陛下ならびに皇太子殿下,同妃殿下,それから,その弟君のコンスタンタイン殿下ならびに妃殿下と,かなりゆっくりとお話しをする機会を得ることができました。ヨーロッパの国でいいますと,私は若いころ,オランダは自分の調べ物をするために頻繁に訪れていた国で,オランダの女王陛下とも随分何度もお目に掛かりましたし,そのお子様方も,大体私と同じぐらいの年代の方になるわけですけれども,ご一緒に過ごさせていただいたことがありますので,その意味でも,久方ぶりに皆様とゆっくりお話しをし,旧交を温めることができ,これも意義深い旅行でありました。
プライベートなことについてですが,何を挙げたらいいのか,なかなか難しいところがありますけれども,一番最近のことを一つ挙げると,一昨日までですか,6日間ほど上野のほう(上野松坂屋)で「生ける文化財展」という展示会を行いました。生ける文化財,すなわちこれは家畜であり家
両陛下のご結婚から50年に当たるわけで,私はそのうちの40何年間かをずっと近くで接しているわけですけれども,ひとことで言うと,両陛下がずっと支え合いながら過ごしてこられた50年なのではないかなというふうに思います。その支え合いながらというのは,単にお互い同士だけでなく,身近の社会のことであるとか,それからさらに広く世界のこととか,様々な事柄に対して,一緒に関心を持ち,視線を向けてこられた,そういうふうに私は感じております。それとともに,前の時代のことを大切にしつつも,現在,つまり,その時代,その時その時の今を生きている人々にとって,皇室というものがどういう存在であるのかということをずっと考えてこられたのではないかなと思います。ちなみに,一つエピソードになりますけれども,今御所の中に2枚の絵が飾ってあって,それはハゼの絵なんですね。これは皇后陛下が陛下のために描いた絵で,ニシキハゼ,何て言うの,色鉛筆じゃなくて単色の。(妃殿下を振り向かれて)
白黒の?(殿下を振り向かれて)
白黒の,いわゆる鉛筆で
両陛下のお身近なところで過ごさせていただきます機会に恵まれましてから約20年がたちました。その間,両陛下より多くの大切なことを教えていただき,今も折にふれて,様々なことを学ばせていただいておりますことに,心より感謝申し上げます。
平成の
それから20年,両陛下は常に人々を思われ,日々の公的なご活動を一つ一つ心を尽くして務めてこられましたことを感じております。
天皇陛下が象徴として歩まれた20年について宮様も話されましたが,天皇陛下が象徴としてのあり方を絶えず考えられ,お務めになりながら過ごされていらしたと感じております。
先ほど,皇位継承のことを議論する過程で,皇室の在り方というものが,もう少し広い意味で存在するのではないかと申しましたけれども,私は,今言われたように,皇室典範の議論そのものは,こちらが何か言うということではありませんけれども,その過程において,恐らく,皇室の在り方というものについての何らかの意見というのは聞く,私が聞く必要があるというふうに言ってはいけないかもしれませんけども,周りから求められることがあるのではないかというふうに思います。
それから象徴天皇の在り方とか,宮家の在り方というのをおっしゃったかと思います。天皇の在り方というのは,今,陛下が常に,どうあるべきかというのを模索しながら過ごされていると先ほど申しましたけれども,やはりその考え方というのは,今後も継続されるものであると思っております。また,いわゆる宮家の在り方というのは,これはなかなか一概には言えないと思いますけれども,やはり一番大切なことは,天皇をサポートする存在である,それがやはり一番大切なことなのではないかと思っております。そして,それ以外は,幾つか宮家があるわけですけれども,それぞれの考えで,その在り方というものを模索していくということになるのではないかと思います。
同時に手を挙げられたから,もう一問。後ろで手を…どうぞ。
私も同じようなことを…(一同笑い)
そうですか。(他の記者が手を挙げ)それでは。
大体同じような答えになってしまうと思います。先ほど,皇太子殿下ほかというのは,陛下の会見では皇太子と秋篠宮というふうに名前が挙がったわけですけれども,自分のことを言うのはちょっとはばかられたものですから,それでほかというふうに言いました。先ほど,関連質問の最初にお答えしたこと以上に今すぐここで思い浮かばないというところがあって申し訳ありませんが,先ほどの答えで代えさせていただきます。
具体的にそういう話合いを,話合いという形でしていることは,今現在においてはそう多くありません。ただ,例えば御所などに集まった時に,話の中でそれに関連するようなことは話題になることがあります。しかし,今後はそういう機会を作っていく必要があるというふうに考えております。
お言葉の重複や助詞など,わかりにくい表現の箇所は,若干の修正をしてありますが,ご発言の内容は変更しておりません。