皇太子殿下 モンゴルご訪問時のおことば

モンゴル

平成19年7月10日 (火)
モンゴル大統領主催晩餐会における皇太子殿下のご答辞(大統領市内公邸(迎賓ゲル))

エンフバヤル大統領閣下,

並びにご列席の皆様,サイハン ゾスチ バイノー(良い夏をお過ごしですか)。

まず,大統領閣下のご招待に対して,心から御礼を申し上げます。

また,本日は,私のために晩餐会を催してくださり,また,丁重で心温まる歓迎のお言葉を頂き,深く感謝します。

この度,大統領閣下のお招きで初めて貴国を訪れることができ,滞在中に国家的行事であるナーダム,世界遺産であるオルホン渓谷,牧民宅等,多くのものを見ることができますことを楽しみにしております。

貴閣下とは,本年2月のご来日の際にお目にかかりましたが,このように早い時期に,当地モンゴルで再びお会いできましたことを大変うれしく思います。

貴閣下がこれまで一貫して我が国とモンゴル国の関係を重視してこられたこともあり,両国の協力関係が,現在,様々な分野で大変目覚ましく発展しておりますことをうれしく思います。スポーツの分野では,朝青龍関,白鵬関を始めとするモンゴル出身力士のご活躍にお祝いを申し上げたいと思います。今,名古屋場所が開催中ですが,二人の横綱のいずれもがモンゴル人であり,多くの日本国民が貴国のことを大変身近に感じるようになりました。

今回の私の訪問が,長い歴史を持ち,そして今新しい時代を迎えようとしてる日本とモンゴル関係の更なる発展に役立つことを願うとともに,貴閣下を始め皆様のご健勝とご多幸を心からお祈りします。バヤルラー(ありがとうございます)。

それでは,両国の友好親善の更なる発展を願って乾杯したいと存じます。

トグトーイ(乾杯)。

平成19年7月16日 (月)
モンゴル日本センター創立5周年記念式典における皇太子殿下のおことば(モンゴル日本センター)

エンフボルト首相閣下

並びにご列席の皆様

本日ここに,モンゴル・日本人材開発センターの開所5周年記念式典に,本センターの設立・運営に関係する多くの皆さんと共に出席できましたことを大変うれしく思います。

モンゴル・日本人材開発センターは,モンゴルの市場経済化を担う人材を育成し,また,両国の相互理解を促進するための拠点として,2002年に開所いたしました。以来,モンゴル国民に親しまれ,開館以来の来館者が延べ60万人に達したと伺っております。まずは,本センターのこの5年間の成功にお祝いを申し上げます。

日本国民は,モンゴル出身の大相撲力士の活躍もあり,モンゴルを非常に近い国と感じるようになっております。昨年は「大モンゴル建国800周年」を祝い,「日本におけるモンゴル年」としてモンゴルについての理解を一層深める契機となりました。本年は両国の外交関係樹立35周年に当たり,両国政府は「モンゴルにおける日本年」と定めています。

こうした両国の極めて良好な関係を背景に,本センターがここにお集まりの両国関係者の協力の下,今後,本センターの機能が一層強化され,モンゴルの社会・経済発展にとって欠かすことのできない存在となることを希望します。そして,本センターの活動をとおして,両国と両国の国民の相互理解の増進に大きな役割を果たすことを期待して,私のあいさつといたします。

平成19年7月16日 (月)
「モンゴルにおける日本年」公式行事「交流の集い」における皇太子殿下のおことば(バヤンゴル・ホテル)

バトボルド内閣官房長官閣下

並びにご列席の皆様

「モンゴルにおける日本年」の公式行事である「交流の集い」に,皆様と共に出席できることをうれしく思います。

今般,エンフバヤル大統領のお招きにより初めて貴国を訪れて,多くの方にお会いし,たくさんのものを見ることができました。

貴国の国家的行事であるナーダムでは,伝統的な競技である相撲,弓,競馬を観戦しました。地方訪問ではモンゴル帝国の旧都ハラホリンに滞在し,ホショー・ツァイダム遺跡,ハル・バルガス遺跡等の騎馬遊牧民族の歴史をしるす世界遺産を視察しました。また,牧民宅を訪問し,遊牧がはぐくんできた豊かな生活の知恵に触れました。そして,何より,貴国の胸のすくような大自然と,お会いしたすべての皆様の温かいおもてなしに深い感銘を受けました。

ここにお集まりの皆様は,我が国との関係強化に努めてこられた方々であり,両国の外交関係が樹立される以前から尽力されてきた方々も少なからずおられると聞きました。同時に,日本の大学を卒業して間がなく,これからの両国関係の促進に大きな貢献を果たすことが期待されている方々も,多くおられると承知しています。

日本とモンゴルの長い歴史の中で,その交流が最も広がりを見せた時代は,正にこの現代であると思います。「大モンゴル建国800年」に当たる昨年を「日本におけるモンゴル年」とし,「日本モンゴル外交関係樹立35周年」に当たる今年を「モンゴルにおける日本年」とするまでに両国の友好が深まったことを喜ばしく思います。両国関係のこのような発展に多大な貢献を果たされた皆様に敬意を表します。

しかしながら,現在の両国関係が頂点を極めたということではありません。

貴国は今年,グローバル化の世界の中で自国をいかに発展させるかを具体化するために,中・長期的な開発戦略を策定していると伺いました。日本とモンゴルの関係についても,今後どのようにあるべきか,両国国民が長期的な視野に立って,改めて真摯(しんし)に考える時を迎えているとの認識の下で,本年2月のエンフバヤル大統領ご来日の際には「今後10年間の日本・モンゴル基本行動計画」が発表されました。

両国が今後も未来に向けて,様々な分野における関係をより一層発展させるためには,皆様のこれまでと変わらぬお力添えが不可欠であると考えます。

今回の貴国訪問は今宵(こよい)の「交流の集い」をもって終わることとなりましたが,この最後の公式行事において,皆様と親しくお話しする機会を得ましたことは,忘れ得ぬ思い出となるでしょう。

「交流の集い」を主催されたバトボルド内閣官房長官閣下,「モンゴルにおける日本年」組織委員会その他関係団体の皆様すべてに改めて感謝し,そして,日本とモンゴルの友好親善がより一層発展することを祈念して私のあいさつといたします。